2026年2月に設立30周年を迎えたサイバーコネクトツー。東京ゲームショウ2026にて出展された「サイバーコネクトツー展 IN TGS2026(千葉)」には、多くの来場者が足を運んでいた。
ファンの熱気でにぎわう現地で、サイバーコネクトツー代表の松山洋氏にインタビューを実施。30周年記念タイトル『.hack//Z.E.R.O.』の発表から半年、世界中のファンから寄せられた反響や、自社パブリッシング実現までの経緯、そして自社IP展開に懸ける想いについてうかがった。
目次
ファンが17年待っていた『.hack//Z.E.R.O.』、実現の裏側
――今年の2月に『.hack//Z.E.R.O.』が発表されてから半年ほど経ちますが、発表後の反響などはいかがでしたか?
松山氏:おかげさまで、世界中からたくさんの反響をいただきました。特に反応が大きかったのがアメリカで、そして日本ですね。この2つはやはり強いですね。非常にありがたいです。
――どんなお声がありましたか?
松山氏:「待ってました」と言っていただきましたね。というのと、本作はバンダイナムコエンターテインメントさんからライセンスを受けて、サイバーコネクトツーがある種自由に作っている、というところをすごく好意的に捉えていただいています。
――そういう『.hack』が見たかったんだ、と。
松山氏:そうですね。しかも『.hack』は17年くらい休んでいましたから。この15年、新しい『.hack』を立ち上げようというお話は何度かあったんですが、いろいろあって浮かんでは消え、浮かんでは消えがずっと続いてたので。
そこから、ライセンスを預からせていただいて「我々でやらせてください」というのは、本来であればまず許諾されませんからね。そこでOKを出していただけたのは、バンダイナムコエンターテインメントさんとの30年の信頼関係あってのものだと、本当にありがたいなと思っています。
――今回、サイバーコネクトツーでライセンスを受けて『.hack//Z.E.R.O.』を作ることになったのは、どういった思いがあったのでしょうか?
松山氏:当時『.hack』を作っていたのは、もう20年前になります。それに対して、サイバーコネクトツーは30周年を迎えて、20年前から大きく進化してきました。サイバーコネクトツーの今の技術力があれば、きっと世界中の方々に夢中になっていただける新しい『.hack』が作れるのではないかということで、このプロジェクトは動き出しました。
20年前から『.hack』を遊んでいただいている方もあっと驚くような、新しい『.hack』をお届けするので、ぜひ楽しみにしていてください。
320人規模になっても変わらない、”サイバーコネクトツーらしさ”
――サイバーコネクトツーは30周年の節目に『.hack//Z.E.R.O.』を自社パブリッシングタイトルとして発表されたことに加えて、オリジナルマンガ作品、「CyberConnect2 FILM」の展開など事業の幅を大きく広げています。こうした純度100%の自社タイトルを生み出していく方向へと舵を切っている狙いを教えていただけますか?
松山氏:今まで30年やってきて、サイバーコネクトツーという会社も10年単位でだんだんと成長してきました。ゲーム開発を担当させていただいているIPの『NARUTO -ナルト-』、『ジョジョの奇妙な冒険』、『ドラゴンボールZ』、『鬼滅の刃』。こちらはこちらで本当に、全力でやらせていただいています。
その中で取り組める選択肢も増えてきたので、純度100%のサイバーコネクトツーのオリジナルタイトルをゲーム、漫画、アニメ、映画、ドラマ、こういったもので展開することで、両方の側面から世界中の方々に喜んでもらえるタイトルをお届けできるかなと思っています。
――30周年を迎えられて、サイバーコネクトツーは創業時の10人から320人規模の会社に成長しました。それだけ規模が拡大してもサイバーコネクトツーらしさを失わないために、会社の根底で大切にされている共通の価値観や、その秘訣があれば教えてください。
松山氏:サイバーコネクトツーは会社を作った時から今に至るまで、ずっと少年漫画を題材としたゲームの開発を数多く担当してきています。『.hack』や『戦場のフーガ』も含めて、自分たちで作っているオリジナルタイトルも、結局やってることは少年漫画なんですよ。
なので「少年漫画やアニメを題材に作品を作らせたら、サイバーコネクトツーが世界で一番期待できる」と、そう言っていただける会社を目指して今までもやってきましたし、これからもそこは変わりません。ぜひ飛び切りの少年漫画を、サイバーコネクトツーで楽しんでもらえればと思います。
――サイバーコネクトツーといえば、『NARUTO ナルティメット』シリーズに代表されるような「超アニメ表現」も見どころです。30周年を迎えて、これからさらに少年漫画の魅力を引き出す描写へとパワーアップしていくのでしょうか?
松山氏:そうですね。我々が培ってきたアニメ表現や演出は常にパワーアップしていますし、30年前と違うところとして、今は情報のインプット量が全く変わってきていますから。
毎年入ってくる新しい世代のクリエイターも、それらの情報をきちんと学んで、すごい速度で成長しています。若いスタッフと一緒に作り上げた、進化した「超アニメ表現」で、また新しいワクワクをお見せできると思うので、楽しみにしていてください。
――松山さんご自身も生涯現役と公言していらっしゃいますが、やはり若い世代から受ける刺激は大きいですか?
松山氏:そりゃそうですよ。だって、今の若い世代は私たちよりもさらに若い、今の子どもたちに向けて物を作るわけですからね。若い感覚を持った人間と、我々のように30年やってきたベテランのノウハウ、この両方を合わせて新しいものを作るのが、やはり正しいもの作りだと私は思います。
30周年の感謝を伝えるため「47都道府県に我々が馳せ参じます!」
――今回、サイバーコネクトツーは「サイバーコネクトツー展 IN TGS2026(千葉)」としてTGSに出展されています。貞本先生や結城先生が手がけられた実物資料をはじめ、様々な資料の展示がありますが、見どころを教えてください。
松山氏:「サイバーコネクトツー展」では、我々がこれまで30年で作ってきた、いろいろなオリジナルタイトルの原画や絵コンテを展示しています。
それに伴って、実は特別な許諾もいただいていまして。15年前の作品である『Solatorobo それからCODAへ』。当時バンダイナムコゲームスさんから発売していただいたニンテンドーDS専用ゲームソフトなんですが、当時の関係者向けのゲームの企画書をそのまま、来場された方が手に取って見ることができるようになっているんです。
松山氏:サイバーコネクトツーからバンダイナムコゲームスさんや、ファミ通さんなどメディア向けのプレゼンに使った資料で、目次からキャラクターの紹介、世界観の紹介、システムの紹介などが載っています。最終版の企画書なので、最終的にゲームが完成した後のスライドに差し替えている部分もあります。
我々からすると「うわ、懐かしい」というものなんですが、なかなかこのレベルの企画書は見ることはできないですよ。一般の方が目にする機会はまずありませんし、「あ、プロの企画書ってこうやって作られてるんだ」というのを、実際に手に取って見ることができるので、ぜひ見てほしいですね。
――こちらは『.hack』の開発資料でしょうか?
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松山氏:はい。これは『.hack//感染拡大 Vol.1~絶対包囲Vol.4』の第1作目から第4作目を作った当時の開発資料です。2002年の作品なので、ロゴがまだバンダイさんなんですよね。それくらい古い資料になります。それに当時は資料のやり取りがデジタルデータではなくて、FAXだったんですよ。だから線とかガビガビなんです(笑)。
――オリジナルタイトルの名セリフを集めたメインパネルについても、とてもアツい言葉が並んでいますが、掲載するセリフはどのように選ばれたのでしょうか?
松山氏:いいですよね。こういうの燃えますよね。どれも我々がゼロから生み出してきたキャラクターのセリフ群なので、社内で話し合いながら「この作品だったらこのキーワードだよね」というものを全部選出してはめ込んでいます。このあたりは、本当に何年経っても色褪せないなと思いますね。
――「サイバーコネクトツー展」は47都道府県で、さらに8都道府県では松山さん自身も参加される「ファンミーティング」も開催されています。こうしてユーザーさんとサイバーコネクトツーが直接触れ合える機会を用意されていることには、どのような想いがあるのでしょうか?
松山氏:やっぱり、ゲーム会社が30年続くというのはなかなかないじゃないですか。10年続く会社も1%未満といわれている業界の中で、サイバーコネクトツーは30周年を迎えられた。そこにはもう、皆さんが支えてくださった感謝しかないんですよ。その感謝の気持ちを形にしたい、となった時に限られた場所で開催して「皆さんぜひ遊びに来てください」だと、「それ違うんじゃない?」と(笑)。
私だったら「地方でも開催してよ」と思うので、我々が馳せ参じることにしました。47都道府県、8都道府県と巡回中でございます。「サイバーコネクトツー展」も「ファンミーティング」も、10月以降も各所で開催予定です。これからも、皆さんに会いに行けるだけ会いに行きますので、ぜひ楽しみにしていてください。
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