暴走したAIに支配された、3000年後の未来。荒廃した終末世界の地球を舞台に、主人公アカネが暴走AIへの対抗組織「A-Lith」のエージェントとして活動する『アーティスインパクト』。

本作は、開発者のMas氏が4年半の歳月をかけて描いた圧倒的なピクセルアートと、思わずクスッと笑ってしまう、シュールでコミカルな世界観が融合した独自の魅力を持つRPGだ。

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一見すると、どこか懐かしい王道レトロRPGに見えるかもしれない。しかし、ひとたびプレイを開始すれば、その固定観念は様々な面で心地よく裏切られることになる。

本記事では、東京ゲームダンジョン13での試遊体験と、Switch版のローカライズ・パブリッシングを担当するハピネットの担当者から聞くことができた情報をもとに、『アーティスインパクト』のプレイレポートをお届けする。

アニメのように動く「何をしているのかひと目でわかる」ピクセルアート

『アーティスインパクト』の見どころのひとつが、ピクセルアート(ドット絵)ながら「何をしているのかひと目でわかる」精緻な描写だ。

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キャラクターの頭身がしっかりリアルに描かれているため、動きがスムーズで動作がわかりやすい。『クロノ・トリガー』など往年の名作RPGが持つピクセルアートならではの味わいを感じさせつつ、キャラクターの指先、足の動きまで高い表現力のある描写となっている。

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しかも『アーティスインパクト』のピクセルアートは誇張でなく、アニメーションのようにぬるぬる動く。アカネがベッドに飛び込む時も、バトルの時も、残像感を感じさせながらダイナミックな動きを見せてくれる。

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正直、最初は「ドット絵でしょ? スーパーファミコンとかの頃の懐かしい感じかな」と侮っていたのだが、プレイを開始してすぐにその認識は誤っていたと気づかされた。むしろ、「ドット絵ってここまでできるんだ」という驚きへと変わっていった。

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細部まで作り込まれたピクセルアートは、新しいマップに進むたび、「次はどんな表現を見せてくれるんだろう」という期待感を与え続けてくれる。『アーティスインパクト』は、ピクセルアートの懐かしさと新鮮さを両方感じられる、本作でしか体験できない見どころを持った作品といえるだろう。

画面の隅々まで調べ尽くしたくなる、散りばめられた豊富なインタラクト

『アーティスインパクト』のピクセルアートの味わいをさらに深いものにしているのが、インタラクトの豊富さだ。

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作中ではマッチで火をつける、電気のスイッチを操作する、蛇口から水を出す、といった細かい動作ができる。見下ろし型のゲームだと、こうした動作は単にスイッチの前で決定ボタンを押すだけ…となりがちだが、『アーティスインパクト』はひと味違う。

アカネがインタラクトを行うと該当箇所がアップで表示され、「蛇口をひねっている」様子が描写される。インタラクトの表示は画面内の小さなスペースに1秒程度だが、「今、こういう操作したんだ」と視覚的に把握できるため、ピクセルアートながら内容が非常にわかりやすい。

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しかも、インタラクトには2種類あり、普通操作と特殊操作で違う行動になることがある。普通操作だと「鍵がかかっている」だけで終わるような場面も、特殊操作を行うとアイテムが隠された扉を無理矢理こじ開ける、という動作につながることもあるのだ。

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マップ上の様々な場所にインタラクトできるものが隠されているので、「このオブジェクトではどんな動きをするんだろう?」と、触れそうなところを隅々まで回りたくなった。RPGの定番である、NPCに話しかけることとあわせてこまめにインタラクトすると、より『アーティスインパクト』を楽しめるだろう。

ゲーム内で漫画を読んでいるような感覚になれる、秀逸なカットインイラスト

ピクセルアートとあわせて見てほしい『アーティスインパクト』の大きなポイントが、要所要所で挿入されるイラストだ。

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イベントシーンは単に一枚絵が表示されるのではなく、漫画のコマを読み進めるように次のイラストに切り換わっていく。ピクセルアートではわからないキャラクターの表情も細かく読み取ることができ、まるで簡単なアニメーションを見ているような気分でイベントを楽しめた。

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イラストは開発者のMas氏が1枚1枚、ペイントソフトで手描きをしているそうだ。ピクセルアートも含め、4年半かけて1人で描いたものだという。イラストに関しては今回、日本語ローカライズを行ったハピネットの担当者に詳しい話を聞くことができた。

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ゲーム開発ではあらかじめ用意されたカット絵を当てはめてイベントシーンとすることも多いが、『アーティスインパクト』は作業工程が逆で、イベントシーンごとに1枚1枚のイラストを書き起こしているとのこと。この手法が、イベントごとの豊富なカットシーンにつながっている。

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また、Mas氏が1人で全工程を手がけていることから、「こうやってキャラクターを動かしたい」という意図も作品を通してブレがない。それが作品全体でハイクオリティを実現できている理由だという。

CGとは一線を画す、手描きならではの豊かな風合いは、高グラフィックのゲームが溢れる中でも独特の魅力を感じる。イベントでMas氏が描いたカットシーンが見たい、というだけでも『アーティスインパクト』をプレイするモチベーションになりそうだ。

会話のたび予想の斜め上をいく、クセ強キャラ同士のシュールな掛け合い

ここまで本作のグラフィック面についてレポートしてきたが、実は筆者が本作をプレイしていて最も驚いたのは、世界観と登場人物たちとのあまりにも大きなギャップだった。

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そもそもゲーム開始時に「センシティブなコンテンツを軽減した制限モード」の「スーパーセーフモード」が出てくる時点で「おや…?」となるのだが、実際にゲームを始めてみると、キャラクター同士の掛け合いに滲むシュールさが(いい意味で)わりとヤバい。

しかも、会話の中でたまに出てくるのではなく、誰かと会話するたびにかなりの頻度でコミカルなシーンや、シュールなやり取りが発生する。

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通行止めをしている警官はアカネを見て「おい、誰だこの女? めちゃくちゃかわいいじゃねえか」「電話番号聞いとけよ」なんてコソコソ話しているし、町の中には「あなたのことは尾行させてもらってますから。家がこっちじゃないことくらいわかっています」と、とんでもない理由で通せんぼをしてくる警官までいる。

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アカネとともに行動しているボットはボットで、「アカネさん、気をつけてください。ストーカーですよ」「ストーカーさんの邪魔をするものじゃありません」と、本当にAIかと言いたくなるような反応までしてくる。

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ボットは常にアカネと一緒にいるため、自然と会話相手はボットが多くなるのだが、アカネとのやり取りはなんとも可笑しなものばかりで、気づけば終始ニヤニヤしながら遊んでいた。

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例えば地下鉄に向かうシーンでは、「本当に階段を使うの!?」と突然言い出したアカネに対して、ボットが「それがどうしたんですか? 同じ場所に辿り着くじゃないですか」と冷静にツッコミを入れてくる。

プレイヤーからしてもボットに同意のシーンなのだが、アカネは突然、エレベーターを作るためにいかに時間をかけたのか、開発者の気持ちを熱弁し始めるのだ。しかしボットは「泣いてるんですか? ……ああ、ウソ泣きってやつですか?」と、辛らつなセリフを浴びせてきて、すっかりこの2人が醸し出す独特な空気感がクセになってしまった。

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ストーリー冒頭から、アカネのキャラクターがクールビューティーな見た目とは違いすぎて面白い。

かと思うと、道を塞いで「(通りたいなら)私を倒してからだ」と言うお爺さんに突然勝負を仕掛けられても慌てず、お爺さんが脱ぎ捨てた服と帽子を拾って着せてあげ、「帰るよ」と優しく声をかけたりもする。

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やり取りはやっぱりちょっとよくわからないが、アカネというキャラクターにはコミカルさだけでなく、豊かな人間性もあるのだと感じ取れるシーンだった。

『アーティスインパクト』の世界設定自体はシリアスだが、展開やキャラクター同士の掛け合いはこうしたコミカルなシーンが多いので、雰囲気は堅苦しさがない。あまり気負いすぎず、気軽に楽しめるのも本作の持ち味といえる。

作品への愛とこだわりが光る、キャラクターの魅力を引き出す丁寧なローカライズ

そして、こうした『アーティスインパクト』の魅力を支えているのが日本語のローカライズ(翻訳)だ。

『アーティスインパクト』はSteamで体験版が配信されており、体験版に限って日本語でのプレイが可能になっている。9月17日に発売するSwitch版はファン待望の全編日本語版となっているが、実は体験版と重なる範囲内においても、Switch版は一部翻訳で異なるものが採用されている。

翻訳を見比べてみると、より自然な日本語になっていることがうかがえる。

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例えば、アカネが司令官に任務を志願する場面。司令官に圧をかけられた時、体験版ではアカネが「どこか褒めるところ……!」「男は褒められるのが好き……!」と思考して、ヘンテコな褒め言葉を並べるシーンになっていた。

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一方、東京ゲームダンジョン13で試遊したSwitch版の翻訳では、アカネの思考が「空気を変えなきゃ……!」「なにか……そう、褒めよう!」となっており、アカネの行動がよりわかりやすく調整されている。

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また、アカネの行動に対する同僚のツッコミも、体験版だと「司令官の顔についてどんどんよくわからないことを言ってる」だけだったが、Switch版では「司令官のお顔について、どんどんよくわからないことを言って……え、どしたの?」に変更されていた。

こうしたローカライズを行う際には、ゲームの全体像を把握した上で、キャラクター性を壊さないように調整を重ねているとのこと。ローカライズ担当者がゲームを最初から最後までプレイした上で調整しているそうなので、英語版で遊んだプレイヤーも安心して遊べる。

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実際に、東京ゲームダンジョン13で『アーティスインパクト』を試遊した一般ユーザーからも、「体験版よりも日本語翻訳のクオリティが高かった」という声が聞かれた。『アーティスインパクト』の雰囲気を日本語で楽しみたい、というプレイヤーにとっては、Switch版の翻訳は非常におすすめだ。

レベル上げをしながら進めていく、昔ながらのコマンドバトル

『アーティスインパクト』をプレイする際には、戦闘にも注目してほしい。

戦闘システムはコマンドバトルで、行動は攻撃、アーツ(必殺技)、防御、アイテムの4つ。ターン制の進行や状態異常、ボットによる回復の支援行動など、王道のRPGを思わせる設計になっている。

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戦闘の難易度はそれほど高くなく、道中でレベル上げをしつつ、適正レベルで進めれば行き詰まることはないとのこと。敵の中には毒や被ダメージ増加デバフを使用してくるものもいるが、アイテムをしっかり使うことを意識すればそれほど苦戦はしない。普段RPGやコマンドバトルのゲームを遊ばないプレイヤーでも、カジュアルに楽しめるだろう。

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戦闘中はターンごとにボットが回復してくれるので、同レベル帯の敵との戦闘ならアカネのHPが削られてレベル上げどころではなくなってしまう…といったこともなかった。レベル上げをする時にちょくちょく回復場所まで戻らなければいけない、というストレスがなく快適な設計になっている。

何より、『アーティスインパクト』は戦闘シーンも非常に見ごたえがあるのでぜひ様々なモーションを楽しんでほしい。

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各モーションもピクセルアートで描かれており、CGとはまた違った格好良さがある。特にアーツは技によって異なるモーションを見ることができるため、アーツ集めそのものも楽しめる要素になりそうだ。

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ちなみに、戦闘終了後にはアカネがボットを持ち上げて楽しそうに躍るのも見逃せない。お茶目なアカネがとてもかわいい。

ただし、レベルが離れた敵に挑むとアカネの攻撃がほとんど通らず、敵から大ダメージを受けてしまう。

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ボットから開けない方がいい、と警告された扉を開けると、奥には強力なボスが控えており、オーバーキルであっという間に倒されてしまった。ダンジョン内にはストーリー進行中に立ち寄っても勝つのが難しい敵が潜んでいることもあるため、現在の進行度では倒せないと判断した場合は戦闘を避けることも大切になる。

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適正レベルで進行していても難しく感じる場合には、ストーリーモードも用意されているため、戦闘はほどほどに物語や世界観を楽しみたい、という場合はストーリーモードで進めるのもおすすめだ。

なお、アカネの成長要素はレベルアップだけではなく、特定のイベントをクリアすることでアーツや適性を取得することがある。

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アーツを獲得すれば範囲攻撃や単体攻撃の使い分けができるようになり、適性は各種ステータスが強化されていく。

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ストーリー中で取得できるもののほか、中には町の人との会話や、特殊操作のインタラクトを使わないと手に入らないものもある。ストーリーを追うだけでなく、いろいろな場所で人もオブジェクトもとにかく調べまくる、という探索魂に火が付きそうだ。

一度遊べば絶対に忘れられない、緻密なグラフィックと会話センスが光る至高の一作

高精細な3Dグラフィックのゲームが溢れる現代だからこそ、『アーティスインパクト』が魅せる手描きピクセルアートの味わいは心に強く刺さる。

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そしてドット絵の懐かしさに加え、シンプルながらも格好良いコマンドバトル、ゲーム内のどこを調べても新しい発見がある探索のワクワク感は、まさに昔ながらのRPGが持っていたプレイ体験そのものだった。

しかし一方で、『アーティスインパクト』はシリアスな世界観の裏で繰り広げられるキャラクター同士のシュールな掛け合いも見逃せない。レトロRPGファンはもちろん、ちょっと変わったゲームを求めている、という方にもぜひおすすめしたい1本だ。

『アーティスインパクト』のゲーム情報

ゲーム名 アーティスインパクト
ジャンル アドベンチャーRPG
プラットフォーム Switch
価格 パッケージ版 4,950円(税込)
ダウンロード版 2,750円(税込)
リリース日 2026年9月17日
公式サイト https://artisimpact.happinet-games.com/
公式X https://x.com/happinet_game
コピーライト © 2025 Gentle Mars Sdn. Bhd. Licensed to and published in Japan and Asia by HAPPINET CORPORATION.

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