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『モノノケの国』はネコマタなどのモノノケや妖怪たちがいる和風の世界観で、主人公タイキとムサシが冒険するアクションアドベンチャーだ。
一見すると可愛らしく親しみやすい雰囲気をまとった本作だが、その根底には「古事記」をはじめとする日本神話や伝承、そして現代社会が抱えている様々な問題を掛け合わせた、奥深く重厚なストーリーが流れている。
本インタビューでは、開発者である七瀬セイジ氏(以下、敬称略)に直接お話を伺い、作品に込められた圧倒的なこだわりや開発秘話について、じっくりと語っていただいた。
目次
「古事記」と現代社会の融合で、「新たな神話」を作り出す
――まずはじめにうかがいたいのが、『モノノケの国』の世界観についてです。『モノノケの国』は神社や妖怪など和風の雰囲気が特徴的ですが、どこから着想を得たのでしょうか?
七瀬:遊んでくださっている方々からも、共通して言っていただくのが「世界観がすごく良い」ということなんですが、『モノノケの国』は「根の国」という実際に「古事記」に出てくるところを舞台にしていて、その隅っこで起きているお話、という設定になっています。
例えば、神話は昔の話として終わっていますが、「もし、この話が現代まで続いていたらどうなっていたんだろう?」と考えたものを『モノノケの国』に落とし込んで、神話の物語と、私たち現代人が抱えている問題を掛け合わせるような形にしています。
それこそ、現代人は個人主義に走り過ぎているところがあるよな、と感じる部分について、神様への祈りが失われた時にどうなるのか、というのを異世界を舞台に描くという感じです。ラスボスもヤマタノオロチにしているので、「古事記」をベースに、新たに物語を発展させた新しい神話を作ることをテーマにしていますね。
――「新しい神話を作る」というのは、壮大なテーマですね。ストーリーでどんな神話が紡がれるのか楽しみです。
七瀬:神社については、実在する神社がモチーフになっていたり、エピソードも神社の由来をもとに作ったりしているので、考察をしていくと「これって、あの神社のあの逸話だよね」と全てつながっていくようになっていますね。特に、『モノノケの国』は日本狼が滅んでしまったことで、次にオロチの標的になったのが柴犬のムサシだった、という設定なので、見る人が見ればモデルになっている神社などもわかるんじゃないかと。
――それこそ、聖地巡礼のようなこともできてしまいそうな気がしますね。
七瀬:『モノノケの国』で日本の神話や神社の由来などに興味を持っていただいた海外の方に、いずれ日本に来ていただいて「あ、ここ見たことある!」と言っていただきたいなと密かに思っています(笑)
それに妖怪の逸話も、実在する歴史に絡めていたりします。例えば、鎌倉時代にある地方で起きたことをモチーフにして新しい逸話を作り出していたりするので、「あ、これ知ってる」という方も出てくると思いますね。
――妖怪といえば、村にいるモノノケたちも妖怪の一種なのでしょうか?
七瀬:そうですね。一番最初に出会うのは、尾がふたつ生えている猫の妖怪「ネコマタ」です。ほかにタヌキであれば「ムジナ」、キツネであれば「コミ」。カエルなら「ガマ」といった具合です。このように、動物を題材にした妖怪たちを「モノノケ」と呼んでいます。
モノノケたちは妖怪としての特徴をきちんと出していくことを意識していて、ネコマタであれば二又になった尾の先に炎が灯っているんですが、怒ったりすると炎がボオーッと燃え上がったりするんですよ。
あとは、草花などの自然と一体化しているという設定なので、嬉しいことがあると周りに花がポワポワ咲いたりとか。動物らしさだけではなくて、妖怪らしさも掛け合わせたユニークな表現が多いので楽しんでもらいたいです。
――そういえば、モノノケたちの身体にはそれぞれ違った植物が生えていましたね。植物も『モノノケの国』では重要なテーマになりますか?
七瀬:はい。『モノノケの国』は春夏秋冬が大切な要素になっていて、例えば秋だったら紅葉が思い浮かぶので、紅葉の「赤」と「炎」を掛け合わせる…といった作り方をしています。
世界の穢れが大きく燃え上がるほど、そのエリアの紅葉が赤くなる。雪山であれば、穢れが溜まるほど雪が降り積もっていってしまう。村人たちはそうならないように、穢れを浄化していきたい…というサイクルの中で生きているんですね。ですが、現代社会で大量に穢れが溜まると浄化が追いつかなくなってバランスが崩れ、世界に異変が生じるんです。そこで巫女たちが対策を取る、というのが物語のスタートになります。
可愛らしい見た目の裏側で紡がれる、「犠牲」と「成長」のストーリー
――巫女といえば、主人公への接し方にすごくトゲがありますよね。でも、たまに優しさが出てしまって隠そうとしていたりとか…(笑)
七瀬:あのトゲトゲしさにも実は理由があるんですよ(笑)
ストーリー中盤くらいの話にはなってくるんですが、『モノノケの国』は「誰かが犠牲にならなければならない」ということもテーマになっています。ヤマタノオロチを再び封印するためには、短期的な解決手段と中長期的な解決手段とがあって、巫女それぞれが別の意志を持って動いているんですね。なので、主人公とムサシも、それぞれ違う思惑でコントロールしようとしている。
ちょっとネタバレすると、赤い巫女は自分を犠牲にしようとしているので、周りから好かれないように冷たく振る舞っているし、主人公に死んでほしくないから「頑張るんじゃない」と言っていたりするんです。なので、「この人、なんでこんな態度取るんだろう」という部分に、中盤以降気づいていってほしいなと。中盤からはちゃんとデレがくるので(笑)
――そういったお話を聞くと、ストーリーもかなりシリアスな部分がありますね。正直、遊んでみるまでは「けっこう子ども向けのお話なのかな」と思っていたんですが、全然違っていました。
七瀬:ビジュアル面は可愛らしく、アクションもできるだけシンプルにしたり、難易度変更ができるようにして、間口は意識的に広くしています。
ですが、実際にやってみると大人でも考えさせられるところがあったり、子どもの頃にプレイした人が大人になってあらためて遊んでみたら見方が変わるような、年齢層によっていろいろな感じ方ができるゲームにしたいな、と思って作っています。
『モノノケの国』は20種類以上の言語に対応しているんですが、最近イギリスのイベントで本作を出展させていただいた時、すごく嬉しいことに、現地のお子さんが「今まで遊んだゲームの中で一番面白い」と言ってくれたんですよ。遊びやすさ、楽しさから入ってもらって、妖怪たちのいろいろな物語に触れてもらって。年頃的に難しい話も少しずつ理解できるようになってきたくらいだったと思うので、そういう子が大人になってもう一度遊んでみた時にまた別の感想を持ってもらえる、そういうゲームにしていきたいなと強く思いましたね。
――ゲームを通して学びを得て、考え方を広げていけるような体験ができるというのは、すごく貴重な経験になりますよね。
七瀬:妖怪たちのエピソードを見ていくと、いろんな人にいろんな未練や後悔があります。それはどういう感情で、どうしてそうなってしまったのか。現時点で8体いるボスから、道中で戦うことになる雑魚敵まで必ずエピソードが入っています。そして、彼らのエピソードで語られる経験は自分たちがこれから人生で向き合っていくことでもあるので、それをどう乗り越えていくかを考えるきっかけにしてほしいな、と思っています。
――妖怪たちが抱える未練や後悔を知ることで、主人公のタイキが内面的な成長を遂げていくところも見どころになりそうですね。
七瀬:そうですね。タイキは最初はもうムサシのことしか考えていないんですが、根の国の人々を助けていく中で、こんなに感謝されるんだ、自分が取れる選択肢もこんなに増えていくんだ、と感じていくことになります。はじめの頃はムサシがみんなから人気者であることにジェラシーを感じたりしているんですが、それもムサシにとっての幸せなんだ、と知って徐々に成長していくような物語になっています。
今のテストプレイ版の範囲だと、まだあまり深掘りできていない面もありますが、発売後にゲームをプレイしていただくと、かなり深いところまで設定を作り込んでいることを感じ取っていただけると思います。主人公を子どもにしたのも、少子化の世界に対して私たちはどう向き合っていなければいけないのか、というところを掘り下げていきたいと思って設定しています。『モノノケの国』は表向き、「犬がかわいい」を押し出していますけれども、深掘りしていくと大人でも唸ってしまうようなシーンがけっこうありますよ。
開発陣で開催される「ムサシ会」から得た、リアルすぎる犬の再現度
――ムサシもただかわいいだけではなくて、ストーリー上で非常に重要な役割がありそうでした。村の中でモノノケたちと話していると、彼らがムサシを「おいぬさま」と崇め奉ってくれている感じで、「あっ、この世界だと特別なワンちゃんなんだ」と思ったり。
七瀬:実は、モノノケの種族によってムサシの扱いってちょっと違っているんですよ。
「おいぬさま」と扱う種族もいれば、「犬柱」という、生贄として捧げなければいけないと考えている種族もいて、あとはどうでもいいと考えている種族もいます。種族によって考え方はバラバラで、かなりこだわって作り込んでいる部分なので、そういった違いも楽しんでもらえると思います。
――ムサシが今後どうなっていくのか、タイキとムサシとの触れ合いも見どころになりそうですが、2人の関係性を描く中で、プレイヤーにはどんな体験をしてほしいという想いがあるのでしょうか?
七瀬:一番感じてほしいのは、やっぱり犬との相棒感ですね。
動物全般がそうですが、言葉が通じなくても心は通じる、というところを体験してほしいなと。しかも動物の中でも犬って、一緒に旅をする相棒としてすごく適していると思うんですよ。匂いや危険にも敏感ですし、遠くに行っても必ず帰ってきてくれる。飼い主に対して愛情を向け続けてくれることも含め、そういう動物はなかなかいない。そして主人公も愛犬のムサシが生贄にされる宿命に対して、どうにかムサシを救って一緒に元の世界に戻ろうという気持ちから頑張っていく。
次回のPlaytest版ではタイキとムサシの出会いのシーンも体験できるようにする予定なので、「この子を必ず助けなければ」という想いを最初に抱いてもらった上で、ムサシを救う壮大な旅に出ていただきたいなと思っています。犬から人へ、人から犬への愛情をぜひ追体験してほしいです。
――ムサシの仕草を見ていると本当に犬らしさに溢れていて、それだけでも和みました。
七瀬:実はうちのメンバー、意外と犬を飼っている人が少なくて。なので、私が言っていることをなかなか理解してもらえなかったりもして、定期的に私の家にメンバーに集まってもらう「ムサシ会」をやっています。
――「ムサシ会」ですか(笑)
七瀬:うちの犬の様子をメンバーに見てもらって、みんなカメラ片手に「こういう動きをするのか」と写真をパシャパシャ撮って。「ちょっと抱っこして、肉球撮るから」なんてやり取りもしていますね。それで肉球アイコンができたり(笑)
そうやって犬と触れ合う機会を増やしてもらいつつ、バトルプランナーから「こういう時ってどんな仕草させたらいいですかね」と相談されると、私の方で「こういう動きをするんだな」と観察して、写真を渡して「これをリファレンスにして作ってください」と。実際の犬の様子をそのまま資料素材として渡している感じです。
――だからこそ、ムサシがあんなに生き生きしているんですね。
七瀬:犬ってすごく掛け替えのない存在だなと思うんですよ。悲しい時に近づいてきてペロペロしてくれて、そういう瞬間に救われたり。ぜひ皆さんにも、そうやって犬に気持ちを穏やかにしてもらえる、みたいな感覚を得ていただきたいなと。
一方で、落ち込んでいる時にペロペロしてくれて「かわいいな」と思ってよく見たら、食べカスを食べていただけ、なんてこともあって(笑)そういう、ちょっと間の抜けた感じもかわいくて、ゲームに盛り込んでいきたいと思っています。それこそ、ひたすらムサシを撫でていたいという方にはそういう遊び方をしてもらうのもいいですし、今後さらにムサシと交流できる機会は増やしていきたいですね。
「絶対に負けないモード」も用意!幅広いプレイヤーに寄り添うアクション
――ゲーム内の「スロー&キャッチ」のムサシがとても可愛かったので、とても楽しみです。ムサシは戦闘でもタイキをサポートしてくれていますが、製品版では共闘のバリエーションもさらに増えるのでしょうか?
七瀬:Playtest版だと、ムサシが自動で回復してくれる機能がありますよね。これが製品版になると、ムサシ自身が戦闘に参加してくれたり、吠えることで相手を硬直させるデバフを付与できたり、衣装を着せて固有スキルを発動し、主人公との連携技を出せるようにもなっていきます。忍者や侍、あとはまだ公開されていないんですが、将軍や歌舞伎などがあるので、それらの衣装を着替えさせて連携することで、より共闘感が出るようにしていますね。
――ムサシが歌舞伎衣装で戦う姿、早く見てみたいです(笑)
ムサシの可愛さもあって、『モノノケの国』は比較的、低い年齢層の方も遊ぶのではというイメージがあるのですが、アクション自体の難易度はどのように調整されていますか?
七瀬:アクション面は、普段アクションゲームに慣れている方にも満足していただけるようにきちんと作り込みつつ、世界観やシナリオを楽しみたいという方向けに、製品版ではカジュアルモードを搭載する予定です。
――カジュアルモードというと、敵の攻撃が弱くなるといった感じでしょうか?
七瀬:いえ、絶対に負けなくなります(笑)
――えっ(笑)
七瀬:無敵になるとかではないんですが、体力が0になってもムサシが必ず生き返らせてくれます(笑)
今のAAAタイトルって全体的に難しくなってきていて、世界観を重視したゲームを遊ぶ機会はどうしても減ってきていると思うんですね。なので、アクションは苦手だけれども世界観が好きで遊びたい、という方々にも楽しんでもらえるように、『モノノケの国』は操作自体かなりシンプルにしています。とりあえずボタンを押すだけでもかっこいい技が出せて、戦闘もサクサク進めるようになっているので、パリィを全く使わなかったとしても、ガードを使って攻撃して、という戦い方で全然いけます。それでも、どうしてもアクションが苦手だな、という場合はカジュアルモードを活用できるので、安心して遊んでいただきたいです。
――逆に、やり込みモードのようなものもあるのでしょうか?
七瀬:今ハードモードも準備しているんですが、気を抜くとすぐにやられるくらいヒリヒリします(笑)
――そんなに!落差がすごい(笑)
七瀬:本当に、幅広い層の方に楽しんでいただきたいと思っているので、アクションゲームが苦手な方も、世界観から入りたいという方も、気軽に手に取ってもらえると嬉しいです。
全てのフィードバックを受け止め、プレイヤーと二人三脚で挑むゲーム開発
――最後に、『モノノケの国』に興味をお持ちの方々に向けて、メッセージをお願いできますか?
七瀬:『モノノケの国』は、ユーザーさんと距離感が近い状態で作っていきたいと思っていますし、いただいたフィードバックは全部検討しています。Discordを見ていただくとわかりますが、「この指摘に対応します」と全部私から直接返信していたりもしますし、Playtest版の配信なども全部、隅々まで見ています。
ユーザーさんの意見を受けて作っていけば、ゲームは必ず面白くなると思っているので、本当にありがたいなと思いながらメンバー全員で拝見させていただいています。もちろん、全てに対応することはできないんですが、最適解を導き出すきっかけになるので、ぜひこれからもたくさんの意見を寄せてください。
『モノノケの国』のゲーム情報
| ゲーム名 | モノノケの国 |
|---|---|
| ジャンル | 異世界アクションアドベンチャー |
| プラットフォーム | Steam |
| 価格 | 未定 |
| リリース日 | 2027年 |
| 公式サイト | https://mononokenokuni.happinet-games.com/ |
| 公式X | https://x.com/MononokeNoKuni |
| コピーライト | © LIGHTS-INTERACTIVE Co.,Ltd. All Rights Reserved. Published by Happinet. |
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