独特な雰囲気を持つピクセルアート表現で注目を集める、『Tokyo Stories』。
2022年の発表以来、多くのSteamユーザーがリリースを待ち続けているタイトルだ。筆者も『Tokyo Stories』の唯一無二の表現に心を奪われた一人だが、2026年現在、全貌はまだ明らかになっていない。
何が多くのユーザーの心を惹きつけ続けているのか、プレイヤーの想像力を刺激する仕掛けについて取り上げていく。前半では東京ゲームダンジョン13での試遊をもとにしたプレイレポート、後半では開発者の池田佑基氏のインタビューを通してお届けする。
目次
『Tokyo Stories』東京ゲームダンジョン13試遊プレイレポート
「誰もいなくなった東京」で体感する、ピクセルアートが残す絶妙な余白
『Tokyo Stories』は「誰もいなくなった東京」を舞台に、主人公スズが親友ユノを探す物語だ。
試遊版はスズが電車の中で目覚めるシーンからスタート。東京ゲームダンジョン13での試遊は10分程度の短いものだったが、それでも作品世界の雰囲気や、初めて触れるピクセルアートの表現に夢中になった。
地下鉄から出た先は渋谷の町。誰もいないはずの夜の渋谷は、しかし煌々と灯りがともっていて、ついさっきまでそこに人がいたのではないかと思わせる雰囲気だ。
『Tokyo Stories』はピクセルアートによる表現が大きな特徴のひとつで、昨今のリアリスティックな描写とは一線を画す、抽象化による余白の創出が独特なノスタルジーを生み出している。
高解像度の3DCGは、画面の全てをわかりやすく説明してくれるが、プレイヤーに想像の余地を残さない。反面、『Tokyo Stories』のピクセルアートはあえてギリギリのラインまで情報を削ぎ落とすことで、ゲームの描写にプレイヤーの記憶や想像力が入り込む余白を残す。
スズが歩き回る夜の闇も、暗闇の深さと光の強さが色のコントラストによって描き分けられ、月明かりやネオンのにじみまで違和感なく再現されている。
描かれていない空気感や気配をプレイヤーが自身の感情で補完するからこそ、かつて歩いた夜の町の記憶と重なり合い、より深く、切ない没入感へと引き込まれていく。リアルではないはずなのにリアルに感じる、奇妙な感覚だった。
誰もいない空間とスズの感情が交差する、カメラワークとテキスト演出
さらに、カメラワークも『Tokyo Stories』の特徴的な演出のひとつだ。
『Tokyo Stories』ではカメラワークは固定で、常にスズの背後を追従していくわけではない。場面によって下から見上げる角度になることもあれば、斜め上から見下ろすような見え方になることもある。
カメラワークの変化とともに、画面にはスズの心情と思われる言葉が白い文字で浮かび上がってきた。
スズが道の曲がり角に差しかかった時、背後に「あの角を曲がると」という文字が現れるように、カメラと心情がリンクする。こだわり抜かれた演出によって、思い出深い道を歩いている時に何かを思い出すような感覚が自然とよみがえり、スズにとってこの町が特別なのだということが強く伝わってきた。
そして、スズの心情を追いながら渋谷を歩いて行くと、そこにはスズが探していたユノがいた。
ユノとの会話シーンでは、「私はどこにも行かない」と言うユノに対して、「嘘…」と「わからない」ふたつの選択肢が表示される。そして、それぞれにスズの心の声と思われる言葉が浮かび上がり、スズの心情をより深く読み取れるようになっていた。
「嘘…」の方では「いつも居なかった」と思う反面、「わからない」の方では「からかってる…?」「でも嬉しい」のように、会えて良かったという感情を抱いている。突然いなくなってしまったユノに対して快く思っていない一方で、どれだけ大切な存在かも読み取れる描写だ。
このように、両方の選択肢からスズの心情を読み解くと、スズがユノに対して抱いている複雑な感情への解像度が上がると感じた。
ツタが這う崩壊した世界の中で、ユノとの思い出を手繰り寄せる探索へ
ユノとの出会いから場面が変わると、スズはツタが這った建物の前に立っていた。
あたりは崩壊しており、建物や道路の破片が浮かんでいることからも、現実世界ではない様子。ツタがある方向へと進んでいくと黄色い花が咲いていた。ユノが着ていた服も黄色だったので、この花はユノにまつわるもののようだ。
ここで探索パートに入り、崩壊した世界で黄色い蝶を黄色い花まで連れていくことになる。
ツタをたどっていけば黄色い花を見つけるのにはそれほど苦労しないが、時には黄色い花まで行くための道がないこともあった。そんな時は崩れた道の縁まで近づくと、記憶が復元されるように道が現れる。おそらくスズがおぼろげな記憶を頼りに進んでいる、という表現なのだろう。
複雑な謎解きやアクションなどはなく、画面上にあるヒントをもとに進むべき道を少しずつ手繰り寄せていく。普段、あまりゲームをしないプレイヤーにも馴染みやすいゲームシステムであると同時に、等身大のスズとして、同じ目線で物語を追えているという体感があった。
全ての蝶を黄色い花のもとまで導くと、建物を覆っていたツタが消え、ゲームセンターが現れた。
スズの「これはあなたの記憶? 私の記憶? あなたが忘れた、私たちの記憶の世界…?」という言葉から、探索していた世界は記憶にまつわるもののようだ。製品版でも記憶の断片を拾い集めるように、ユノとの思い出を追っていく展開になるのかもしれない。
![]() |
![]() |
ゲームセンターでユノとの出会いや思い出を振り返った後、ユノは意味深な言葉を口にする。
![]() |
![]() |
「もう、忘れていいのに」「全部、ウソなの」と語るユノの真意に、『Tokyo Stories』の核心が隠されているのだろう。忘れて良いと言うユノと、ユノを探して彼女との思い出をたどっていくスズとの間に何があったのか、様々な想像が頭を巡った。
東京ゲームダンジョン13の試遊版は、スズが公園でユノと出会い「二人の物語は、この町に消える」「この物語の結末がどんな終わりになろうとも」というモノローグが表示される場面まで。非常に先が気になる引きで終わっていて、早く先のストーリーが見たくなった。
ここからは、『Tokyo Stories』開発者である池田佑基氏のインタビューをお届けする(以下、敬称略)。プレイレポートの内容とあわせて、開発者のこだわりや想いについても触れることで、より深く作品を楽しんでほしい。
『Tokyo Stories』開発者・池田佑基氏インタビュー
『Tokyo Stories』が再浮上してきた裏側、完成への目途と細部へのこだわり
――早速ですが発売日が2023年から未定になって、今回久しぶりに『Tokyo Stories』が表舞台に帰ってきたな、という感覚がありますね。
池田:途中SNSの発信が止まっていた時期もあって、今まで待ち続けてくださっているファンの方にはとてもありがたく思っています。
開発自体はずっと続けていたんですが、リリース体制を整えたり、外部の会社さんと一緒に開発する体制を作れたことで完成までの目途が立ち、BitSummitであらためてアナウンスをさせていただいた、という形ですね。
――すると、発売時期もそろそろ決まる頃なのでしょうか?
池田:うーん、そこはちょっとまだわからないですね…ただ、開発進捗でいうとストーリーは完成していて、ステージなども増えてきて作り込みをしているところです。
本当に一番最初のデモからビジュアルは決まっていたので、あの雰囲気から離れないように、新しいステージをどんどん作っていっています。最初に作ったステージに比べてちょっと派手だよね、とかカラフルになり過ぎちゃってるよね、とならないように、一番最初に作ったものをリファレンスとして置いて、全体のクオリティを一定に保って。
また今回、カットシーンもよくある立ち絵ごとに切り分けるのではなく、カットシーンごとに全部モーションを起こしています。どれくらい終わってるんだ、というのもよく聞かれるんですけどね。申し訳ないんですがまだ言えないです。場面ごとに、その時その場にいるキャラクターがどう振る舞うかをセリフとモーションを考えながら作っているので、そういうところもあって時間がかかっていますね…(笑)
消えてしまったものを覚えておきたい、コロナ禍の体験と思い出を拾う物語
――非常に細部まで作り込まれていることが伝わってきて、ますます今後の情報が楽しみになりました。
ストーリー部分についても深掘りしてお聞きしたいのですが、公式サイトには「彼らが紡ぎあげる物語は、徐々に牙を向き始め やがて、全てが思わぬ方向へ堕ちていく」と記述があります。この「牙を向く」というのは、どういったことを指しているのでしょうか?
池田:そこはストーリーを進めるにつれてどんどん不安になっていくとか、寂しくなっていくとか、そういう方向性ですね。
『Tokyo Stories』のコンセプトとして、なくなってしまったもの、消えてしまったものが自分の中にあるので、そういうものを覚えておきたいな、という想いがあります。もうかなり前のことにも感じてしまいますが、やっぱりコロナは私たち皆にとってすごく特別な体験でしたし、コロナ禍が終わった後も、皆さん様々な想いを抱えてらっしゃると思うんですね。
私自身の経験でいうと、コロナ禍で活動を辞めてしまったアーティストの中に、すごく好きな人がいて、「ああ、もう会えないのか」という不安であったり、寂しさがすごく強い気持ちとして残っているんです。ですが、コロナ禍のようなことがあっても、私たちは日々の生活の中でもうなんとなく忘れかけているところがある。それでも、先ほどお話ししたようにコロナ禍で確かになくなってしまったもの、消えてしまったものが自分の中にあるので、そういうものを覚えておきたいなと思って『Tokyo Stories』を作っている面があります。
――まさしく、『Tokyo Stories』は親友が消えてしまったというストーリーですが、誰もいない東京を探索していく中で思い出をたどり、なくしたものを思い出していくような感覚を体験してもらいたい、という意図があるのでしょうか?
池田:そうですね。例えば、昔の映画やアニメの中で見たことがある渋谷の風景など、そういう記憶をゲームの中で呼び起こせるような体験を提供できたらいいな、と思って作っています。
もちろん、『Tokyo Stories』でプレイヤーさんが抱く気持ちはひとつではないと思うのですが、私の年代だと、若い頃に憧れていた渋谷とか、大人になってから疎遠になったけどやっぱり最先端だよね、と思える渋谷とかがあるんですよね。私の子ども世代ならまた違う感想を持っているでしょうし、年代年代によって「渋谷」のイメージは違う。そういう、東京というものを広く自分の思い出に重ね合わせられるような物語が作れたら、と思っています。
あえて削ぎ落とした言葉と解像度が、語りすぎない余白を生む
――試遊版をプレイしてみて、『Tokyo Stories』は言葉以外の部分で訴えかけてくるところもすごく多いなと感じました。
池田:私自身わりと言葉にしてしまうタイプの人間なので、それを抑えて抑えて、絵と表情と仕草でどこまで語れるか、というのを頑張って作っている感じですね。
語りすぎないことや、余白部分をしっかり残すことを大切にしています。いくら絵としては粗くなりやすいピクセルアートでも、作り込んで解像度を上げすぎると余白は生まれないんですよね。なので、キャラクターの動きの大きさで調整したりしています。とはいっても、どのキャラクターもあまりオーバーアクションはしないので、本当に繊細なところです。この身体の向きとこのセリフの噛み合わせならどう感じるんだろう、というところを大事にしています。
あえて作り込まずに、解像度を下げることによっていろいろな要素が抽象化されていく。抽象化された中に何を見るかは人によって違っていて、捉え方も変わってくる。同じ路地を見て「美しい」と思うか、「寂しい」と思うかは人それぞれで、キャラクターがどう思っているかもプレイヤーには伝わりきらないかもしれない。いろんな人がいろんなふうに見る、けれど物語としてはきちんと進んでいく。そういうゲームにできたらいいなと思っています。
――あと、遊んでみて印象的だったのが固定カメラです。最近のタイトルとしては、固定のカメラワークはけっこう珍しいですよね。
池田:キャラクターを追従するカメラって、演出がないわけではないものの、表現の幅は出しづらくなってしまうんです。
キャラクターの足取りをきちんと見せたい時や、地面の模様なんかを見せたい時にはカメラが下を向いたり、主人公が寂しそうな時にはカメラを遠くに引く。そうやって、場面場面で意図した演出にするには固定カメラの方がやりやすいんですよ。
それに、固定カメラって今のゲームではほとんどなくなってきているので、私たちの世代だとシステムそのものにノスタルジックさを感じられますし、逆に若い人だと触れたことがない人もいると思うので、あえて採用するのもいいなと。私はプレイステーション1の時のような、作り込まれた背景と簡素な3Dキャラクターが重なっている感じがすごく好きだったんです。それで、最近はああいう表現がなくなってきたなあ、と思っていたところにピクセルアートのアーティストの方からインスピレーションを受けて。ダイナミックなカメラワークやキャラクターの動きで日常を切り取っているイラストに影響されて、「こういうカメラを置きたいな」「こういう見せ方をしたいな」ということを考えているので、そういう部分でも固定カメラにこだわりを持って開発していますね。
――どの場面でどんな見せ方をしてくれているのか、試遊版ではプレイできなかった範囲での演出がとても楽しみです。
池田:それだけに、固定カメラを大量に配置しなければいけなくて…1ステージにカメラ何個あるんだろうっていうくらい置いているんですよ…(笑)大変なんですが、がんばります。
「今の若い子は」社内の厳しいフィードバックから生まれたリアリティ
――『Tokyo Stories』はスズやユノなど、キャラクターのビジュアルも非常に魅力的ですが、どのようにデザインされたのでしょうか?
池田:最初にあった構想は、東京にいる普通の子の話を作りたいな、ということでした。
それで、キャラクターデザインもいろいろな作品を見ながら考えていたんですが、会社の若い子たちに見てもらったら、「そのTシャツはちょっとダサいです」「そのシルエットはないです」「今の若い子はそういうの着ません」とかズバッと言われてしまって(笑)けっこう熱いフィードバック大会があって、おじさん2人がもうボロボロに言われまくりました。そのあたりのデザインの変遷は、そのうちどこかでお見せしたいですね。
あと、名前もそうですね。「そういう系はダサいです」みたいに言われました…(笑)
ピクセルアートなので、あまりディテールを入れてもグチャグチャになってしまうじゃないですか。だからわりとシンプルなシルエットで、色で差別化をして、少し寄ったらおしゃれなファッションだとわかる、みたいな感じで作っていたんですけど。それで色でキャラが立ってきたので、「この色に関連する名前がいいのかな」みたいな話をフワッとしたら、「いや、それ最近じゃダサいっすよ」みたいに若い子から言われて、すごいショックだったという(笑)名前の方は、最終的には自分たちで決めたんですが、アドバイスという名の厳しいツッコミをたくさんもらいました(笑)
――ありがとうございます(笑)最後に、『Tokyo Stories』を心待ちにしているファンの方々にメッセージをお願いします。
池田:まだ発売日など具体的なことが言えず申し訳ないのですが、お待ちいただいているファンの方々の期待に応えられる作品になるよう、開発はしっかり続けています。情報は今年中にSNSなどで徐々に出していけるかなと思うので、もうしばらく待っていていただけると嬉しいです。
まとめ:正式な発売日が今から待ち遠しい、全く新しい最高峰のピクセルアート体験
『Tokyo Stories』は現代的なライティング技術と立体的3D空間をピクセルアート、そしてカメラワークによる演出と融合させることで、ノスタルジックでありながら全く新しいグラフィック体験をプレイヤーに提供している。AAAタイトルともレトロゲームとも違う体験をしてみたい、という方にはぜひおすすめしたい作品だ。
発売日はまだ未定だが、今後の情報は公式Xなどで随時発信していく予定とのことなので、新たな情報を追いながら発売日を待とう。
Tokyo Storiesのゲーム情報
| ゲーム名 | Tokyo Stories |
|---|---|
| ジャンル | 未定 |
| プラットフォーム | PC/コンソール |
| 価格 | 未定 |
| リリース日 | 未定 |
| 公式サイト | https://tokyo-stories.info/ |
| 公式X | https://x.com/tky_stories |
| コピーライト | © Drecom Co., Ltd. All Rights Reserved. Published by Happinet. |
Twitterで最新情報をゲット
神ゲー攻略では最新ゲーム情報やプレイレポートを配信するTwitterアカウントを運用中!新作タイトル発表やイベント情報、キャンペーン情報など有益な情報をつぶやいていますので、是非フォローお願いします!
注目の記事
- 『アーティスインパクト』プレイレポート!終末世界×シュールな会話がクセになるアドベンチャーRPG
- 序盤ストーリーをネタバレありで詳細レポート!購入検討中の方に贈る『ほの暮しの庭』発売後レビュー
- 『幻想水滸伝 STAR LEAP』が配信開始!シリーズ初のモバイルゲーム【攻略wikiも開設】
発売直後の新作ソフト
-
配信済み
Switch2配信日: 2026年8月28日バンダイナムコエンターテインメント, フロム・ソフトウェア/9020円フロム・ソフトウェアの新作アクションRPG。広大な世界で過去作以上の充実した探索と戦闘が楽しめる -
配信済み
-
配信済み
PCPS5Xbox Series配信日: 2026年8月28日Focus Entertainment/8980円『プレイグ テイル』シリーズの新たな物語!主人公ソフィアとしてミノタウロスの島を冒険 -
配信済み
-
配信済み
PCPS5Xbox Series配信日: 2026年8月28日Electronic Arts/8400円シングルプレイヤーのターン制ストラテジー!『Star Wars』世界のクローン大戦の衰退期を舞台にしたリアルかつ本格的なストーリーを楽しめる
発売直前の新作ソフト
-
未配信
PCPS5Xbox Series配信日: 2026年9月3日バンダイナムコエンターテインメント, Rebel Wolves/価格不明14世紀ヨーロッパが舞台のオープンワールド ダークファンタジーARPG!昼は人間、夜は吸血鬼として生きる主人公「コーエン」として家族を救うために戦う -
未配信
-
未配信
【厳選】編集部注目のアプリ
| ジャンル別のおすすめゲームアプリ | ||||
|---|---|---|---|---|



































