【陰陽師】桜奇譚の進め方と報酬まとめ
- 最終更新日
記事の更新を停止しています |
---|
現在、こちらのページは更新を停止しております。情報が古い可能性がございますので、ご注意ください。 |
『陰陽師』の桜奇譚の進め方と報酬をまとめて紹介。桜銭貨や妖狐スキンの入手方法、物語(ストーリー)も記載しているので参考にどうぞ。
©1997-2020 NetEase, Inc.All Rights Reserved
桜奇譚の概要
期間 | 4/8(水)メンテ後~4/19(日)23:59 |
商店 | ~4/26(日)23:59 |
物語解放で報酬獲得
桜奇譚イベントは、各ダンジョンで集めた桜銭貨を使って手帖を完成させ、物語を解放していく。妖狐スキン「白面金装」を初め、桜餅や勾玉、挿絵など報酬が貰える。
桜餅の回数が7回&消費が10個に固定
桜奇譚イベント期間中は、紙人形に桜餅を与える回数が7回に増え、毎回の消費数が10個に固定される。桜餅月間券の購入で、更に無料で1回餌やりができる。
紙人形の「桜」もしくは地蔵から入れる
庭院左側地蔵 | 庭院右側紙人形「桜」 |
---|---|
庭院右側にいる紙人形の「桜」アイコンまたは、庭院左側の地蔵のイベントバナーからイベントページに入れる。
桜奇譚の進め方
各ダンジョンや毎日任務で桜銭貨獲得
入手方法 | |
---|---|
桜銭貨 |
探索ダンジョン 覚醒ダンジョン 御魂ダンジョン(叢原火、卑弥呼含まず) 毎日任務花合戦経験値100報酬(50個) |
探索、覚醒、御魂(叢原火、卑弥呼、新オロチ除く)ダンジョンにて一定確率で桜銭貨がドロップする(毎日上限200個)。また、毎日任務の花合戦経験値100到達時に桜銭貨50個獲得できる。
※毎日最大250個獲得可能
桜銭貨必要数 | |
---|---|
記憶欠片 | 300個 |
商店交換 | 150個+α |
合計 | 450個+α |
※+αは宝箱を交換する場合に必要
奇譚商店から記憶欠片を購入する
記憶欠片購入 | |
---|---|
桜花幣を使って奇譚商店でキャラクター、場所、事件の記憶欠片を購入する。欠片を購入するごとに桜餅×20が貰える。
報酬 | 必要桜銭貨数 | |
---|---|---|
記憶欠片全購入 | 桜餅×120 | 300 |
物語全完成 | 勾玉×400 | - |
手帖編集で物語を完成させる
手帖編集 |
---|
手帖編集から購入した欠片を配置できる。キャラクター+場所+事件の組み合わせを配置し、すべて揃ったら「合成」を押すことで物語が完成する(物語は計8種類)。
記憶欠片の組み合わせ一覧(8種類)
※物語完成するたびに勾玉×50獲得(計400個)
物語 | キャラ | 場所 | 事件 | |
---|---|---|---|---|
林中桜 |
陰陽師 |
桜の森 |
日常 |
|
昔桜の詩 |
陰陽師 |
庭院 |
日常 |
|
散桜賛歌 |
陰陽師 |
桜の森 |
紛争 |
|
白狐春夢 |
陰陽師 |
庭院 |
紛争 |
|
桜塚の憶 |
青行燈 |
庭院 |
紛争 |
|
鳳火散桜 |
青行燈 |
桜の森 |
日常 |
|
連理之枝 |
青行燈 |
桜の森 |
紛争 |
|
晴空旧景 |
青行燈 |
庭院 |
日常 |
桜奇譚の報酬
通常報酬(全記憶欠片をアンロックで解放)
報酬 | 桜銭貨 | 購入制限 | |
---|---|---|---|
折り紙の思い (挿絵) |
50 | 1 | |
白面金装 |
100 | 1 | |
奇譚宝箱・壱(※1) |
10 | 999 | |
奇譚宝箱・弐(※2) |
10 | 999 |
※1.スタミナ20獲得し、奉為ダルマ(欠片)×3、大吉ダルマ(欠片)×2からランダムで一つ獲得
※2.スタミナ20獲得し、オロチの鱗×15、オロチの逆鱗×3からランダムで一つ獲得
折り紙の思い(挿絵)
妖狐スキン「白面金装」
欠片
報酬 | 桜銭貨 | 購入制限 | |
---|---|---|---|
記憶欠片・陰陽師 |
50 | 1 | |
記憶欠片・青行燈 |
50 | 1 | |
記憶欠片・桜の森 |
50 | 1 | |
記憶欠片・庭院 |
50 | 1 | |
記憶欠片・日常 |
50 | 1 | |
記憶欠片・紛争 |
50 | 1 |
桜奇譚の物語一覧
序章
序章ストーリー |
---|
【青行燈蛙】 「どうすればいいんだケロ!朧車様と約束したお花見会まであと数日しかないケロ。でも、満足の行く物語がまだ書けてないケロ。みんなの前で出しゃばらなかったら良かったケロ。今日は何が何でも物語を書かないといけないケロ…ケロ?地面に光っているのは何だケロ?手帳だケロ!まさか神明様が私の困難を知り、わざわざ物語集を贈ってきたのかケロ?ちぇ、なにも書いてないケロ。」【かぐや姫蛙】 「青行燈蛙!何をしているケロ?」【青行燈蛙】 「あぁ!あたいは…あたいは新しい物語の素材を探しているのだケロ。」【かぐや姫蛙】 「お花見会でみんなに披露する物語だケロ?楽しみだケロ。だって、青行燈蛙はいつも「まだ書いてる」なんて言いながら、ちゃんと最後まで語った物語は一つもなかったケロ。」【青行燈蛙】 「なによ、その表情は全然期待しているように見えないケロ…ケロ!それを返せ!」【かぐや姫蛙】 「何を書いたのか、見せてケロ!」【青行燈蛙】 「ケロ!それは…」【かぐや姫蛙】 「ケロ?嘘だケロ。本当に物語を書いてるケロ!」【青行燈蛙】 「何を言っているケロ?あたいはもちろん…ケロ?(手帳を取り戻して)返すケロ!お花見会であたいの物語を待っていろケロ!」【かぐや姫蛙】 「びっくりした…あの青行燈蛙がほんとに物語を書くなんて。」【青行燈蛙】 「(こっそり手帳を開いて)字が書いてあるケロ!しかも、挿絵もついてる…どれどれ…「お菓子を盗み食いするかぐや姫蛙と和菓子の神」!これは…本当に物語だケロ!どうして急に文字が現れたんだケロ?それにこの物語…本当のことのように思えるケロ。桜の花びら?手帳に桜の花びらが挟まれてる…まさか…ケロ!字が変わったケロ!「物語を語れない青行燈蛙と青行燈」の話に変わったケロ!ケロケロケロ!分かったケロ!違う花びらを入れると、違う話になるんだケロ!最高の花びらが見つかれば、最高の物語ができるのだケロ!でも、どうして桜の花びらから物語が出るんだケロ?分からないケロ…」 |
物語壱「昔桜の詩」
昔桜の詩ストーリー |
---|
春になると、いつも眠く感じる。 今日も目が覚めたときは、太陽がすっかり高く昇っていた。晴明はあの巨大な桜の下に座って、書の練習をしていたようだった。 珍しく静かな午前中で、晴明の名前を呼んで庭の扉を押し開けて入ってくる人はいなかったし、小白と兄さんのいつもの口喧嘩も聞こえなかった。八百比丘尼はいつものように庭の隅に静かに座っていた。そよ風の音と鳥の鳴き声以外、何も耳に入ってこない。 本当に静かな一日だ。 私が近づいてきたことに気づいて、晴明は筆を止めた。 彼は毎日何を書いているんだろう?私は晴明に聞いてみた。平安京の毎日を記録しているのだと晴明が教えてくれた。 「日記を書いてるの?」 「前日各地で起きた出来事を記録しただけだ。日記と呼べるものではないかもしれない。」晴明はこう答えた。 「それは、晴明が記憶を失ったから、すべてを書き残そうと思ったの?」 彼は机にある巻物を持ち上げ、しばらく眺めると、こう言った。「そうかもしれないな。」 「最初に記録を書き始めた頃は、確かにそのような理由があった。陰陽術をいくら極めても、かつて失った記憶を取り戻すことはできなかった。このようなことを防ぐために、何らかの記録を残さなければと思ったんだ。」 「時が経ち、かつての記憶を読み返す時も、きっと特別な気分になるだろう。」 晴明は何枚かの紙を私に渡し、筆をもう一本持ち上げた。 「神楽も書いてみないか?」 何を書けばいいんだろう?私の質問を聞いた晴明は、ただあの桜の木を眺めて微笑んでいた。 彼の目線の方向に目を向けると、枝に咲き誇る桜の花びらの間に、光が踊っているのが見えた。 「庭で春の息を探し、古い住居に桜が舞い落ちる。私の最初の記録も、庭で花見をしたときの気持ちを書いただけだった。」晴明は一片の花びらが墨汁の中に落ちていくのを眺め、こう続いた。「心の中の思い、目にした景色、意外な出会い。書きたいものなら、何でもいい。」 「神楽が記録するのは、神楽だけの記憶だからな。」 まだ少し不安はあったものの、筆が机の上に置いてある紙に触れた瞬間、晴明の言いたいことが分かってきた。 晴明は記録を通して毎日に対する敬意を表しているのだ。 彼が教えてくれたように、私も今の生活を大切に思っている。 紙に舞い落ちる桜、月から降り注ぐ銀色の輝き、遠くから伝わってくる八百比丘尼の歌声、兄さんと小白の喧嘩、晴明の微笑み。 私がここで経験したすべての瞬間は、私の大切な宝だ。 |
物語弐「林中桜」
林中桜ストーリー |
---|
「博雅様!もう少しゆっくり歩いでくださいってば!」早朝の桜林で、ある白い姿が草地を駆けていき、背後に朝露の小雨を降らせた。 「その短い足を急がせろ!まだ半分しか回ってないぞ。明日までにいい場所を見つけ出さねぇと。」前方にいる人影がそう言いながらも、すこし歩幅を小さくした。 小白は博雅に追いつき、一緒に桜林の中を通っていく。 「どうして小白まで連れてくるんですか?結界が得意な博雅様なら、お一人でも十分じゃないですか。普段のこの時間なら、小白はまだ寝ていたんですよ…」 「おまえの鼻はよく効くだろ?俺はどんな些細な危険でも見落としたくないんだよ。」 「それ、本当に小白を褒めているのですか?いや、まあ、セイメイ様のお役に立てるのなら、小白は喜んでやりますけど。」 平坦な小道はだんだん野草に埋もれ、彼らは普段人がやってこない林の奥へと入った。 今はちょうどお花見の時期で、都に生きる人間も妖怪も、今は酒を飲んで桜を楽しみ、宴会を開いてはしゃいでいる。昨年の災いを経て、みんなはようやくこの桜が満開する時期に息を抜く機会を得たのだ。 これが、博雅が未明に晴明の庭を訪ね、小白を起こして無理矢理に連れてきた原因だ。 「こんな時だからこそ万全な用意をしなければならん!」 戦闘に精通している博雅様はこう思った。みんなが安全にお花見ができるよう、小白と一緒に都の郊外にある静かで安全な桜林を見つけ出したいと。 「セイメイ様がいるんですから、たとえ危険があっても大丈夫ですよ。」博雅に庭から引っ張り出され、まだ寝ぼけていた小白はそう言ったが、博雅から冷水を差された。 「それでも晴明の式神だとよく言えるものだ。彼が信頼している式神が主人を危険に冒してても、寝る時間を惜しむのか?晴明も苦労してるんだな。」 「小白も行きます!行けばいいんでしょう!」 万事思い通りと得意げに笑っていた博雅の表情を思い出した小白は軽くため息をつき、博雅の前に走り、地面に泳ぐ日陰を追いかけながら、周辺の気配を探った。 「あそこはいかがですか?桜の匂いがします。山の爽やかな空気もありますし、きっと博雅様も満足できるでしょう。」 博雅は狐の後を追い、いくつかの古い木々を後にすると、一面に満開している桜を見た。 人気のない山谷で、山桜は悠然と咲き誇っている。 「おお、これはいい!さすがだ。いい鼻してるじゃねぇか!」 「今度こそ、博雅様もお分かりでしょう。小白をただの犬のように扱うことがどんなに失礼なのかを。小白もちゃんと役に立つのですよ。」 「ああ、晴明の前でもちゃんと褒めてやるぞ。ただの犬っころじゃないってな!」 「その通りです。小白はただの…あれ?小白はただのでもなければ、犬でもありませんよ!」 騒ぎ立てる小白をよそに、博雅は嬉しそうに桜林を眺めた。 ここで花見ができるなら、神楽はきっと喜ぶだろう。晴明の野郎もすこし息抜きができそうだ。 そうだな。確かにすこし休むべきだ。この桜林をただただ楽しむだけの時間も、たまにはいいじゃないか。 |
物語参「晴空旧景」
晴空旧景ストーリー |
---|
神楽に誘われ、私は晴明の庭を訪ね、ご無沙汰していた陰陽師に会いに来た。 都が戦火に覆われた時、私は辺境の地にいたばかりに、みんなが一致団結した光景を目にすることがかなわず、鳳凰火とともに敵を迎え撃つこともできなかった。真偽は定かではないが、晴明の庭さえも海妖に占領されたと噂されていた。今この庭の平和な雰囲気からは、侵入された痕跡などまったく見いだせないが。 神楽は晴明に付き従う白い子犬と一緒に、玄関で私を迎えた。この子は相変わらず口数が少ないが、以前よりずいぶん明るくなった。そして人間らしさも少し増したように見える。ただ、彼女の傍の子犬はどうやら大変腕白なようだ。 神楽は私を庭の桜の木まで案内すると、慌ててお茶を用意しに行った。客人をもてなす元気さがあるのだから、戦乱が残した痛みもすでに回復しているのかもしれない。 庭の桜の木を眺めた。 とても古い木だ。私でも、その年齢を見て取ることができなかった。 妖怪の直感から、この木には多くの物語があることが分かった。躊躇しながらも、私は手を差し出した。そして、まるで時を見計らったように吹き上げた春風が、桜吹雪を降らせた。 私の目の前には、この桜の木の記憶が浮かび上がっていた。 時が木の枝と葉に痕跡を残し、鮮血はその根に流れ込み、古い時代の光景を年輪の奥深いところに刻み込んだ。この庭園が建てられた時、正確にはこの都が建てられた時よりも昔に、この木はすでにここにいたのだ。 私の今の妖力では、この木の全ての記憶を読み取ることができず、ほんのわずかを覗くことしかできなかった。 そのわずかな一瞬で、私は木の目を通して、血に覆われた古の戦場を見た。 その次の刹那、私は心配そうな顔を浮かべた神楽の姿を目にした。 「青行燈、大丈夫?さっきから顔色が悪いよ。」 「ハハ、大丈夫だ。絶妙な怪談を思い出したから、自分でも怖くなってね。」 小白は大げさに何歩か引き下がり、爪で地面を掻いた。「あなたの怪談なんて小白は怖くないですけど、で、でも神楽様が怖がるかもしれないので、語らないでいただきましょう!」彼の尻尾はぶわっと膨れ上がっていた。 「小白、大丈夫。私は怖くないよ。」 神楽はお茶を渡し、話を続けた。「昔はよく悪夢で目が覚めてたの。夢の中は真っ暗で、何もないようにも見えるし、怖いものがいっぱい潜んでいるようにも見えた。」 「今も悪夢を見るけど、もう怖くない。」その子の顔に明るい笑顔が浮かんだ。 「八百比丘尼は歌を歌ってくれるし、兄さんは大げさにいろんなことを聞いてくる。晴明は心配そうに私を見守ってくれるし、小白は尻尾を枕にしてくれる。」神楽は落ちてくる桜を手で受けとめ、小さい声で言った。「みんなが傍にいてくれるから、怖い夢でも悪く感じなくなったの。」 神楽は鋭かった。私の一瞬の動揺も見逃さなかった。 「心配しないで。あなたたちが平和に生きててくれれば、怪談も怖くないから。」私は彼女の頭から桜の花びらを一片取って、手のひらで軽く握った。 悲惨で血まみれな歴史にせよ、はるか遠い未来にせよ、彼らがいれば、晴れ空の下で満開する桜があれば、この世界も悪くないだろう。 |
物語肆「鳳火散桜」
鳳火散桜ストーリー |
---|
「久しぶり。あなたの炎に、ようやく温かさが宿ったようだ。」 それは、幾年後に私が鳳凰林に戻ったとき、古き友人から聞いた最初の言葉だった。 私は妖怪として現世を百年余り彷徨ってきたが、彼女の目に映る私は、まだかつて油灯を抱えていたあの子供に過ぎないらしい。時が流れ、書物は厚くなったり薄くなったり、灯火は暗くなったり明るくなったりしたが、変わっていない物も多かった。 私は彼女と鳳凰林でずいぶん長い間話をした。彼女は自分の信仰があり、私にも求めているものがあった。それでも、私は自分が見てきた世界を彼女に伝えることはできる。 鳳凰の火の種である彼女なら、青い灯の中でどんなものが燃やされたのかは当然分かるだろう。それなら、あの物語についてはこれ以上話す必要もない。 「ずっとこんな神社にいるより、私と一緒に外に出てみないか。」私は意地悪な表情で彼女が頭を振って断る様子を眺めた。 「あなたこそ、どうして戻ってきたんだ?」 私が黙っているのを見て、彼女はすべて悟ったかのような表情を見せた。 「躓いたのなら、しばらく休むといい。今は桜を楽しむいい時期だ。」彼女は木の幹に手を伸ばし、花びらを一片手に取った。「この木々の記憶を読んでみてはどうだ?彼らも多くの物語を見てきたはずだ。」 私は彼女に倣って木に手を置き、時間の痕跡を感じ取ろうとした。 風が桜を散らして、私の視界をしばらく遮った。眩しい光の中で、鳥の鳴き声を聞いた。 そして燃ゆる炎が空から落ちてくるのを見た。 私にはわかる。それは鳳凰の炎だ。かつて彼女が私の灯に着けた火と同じく、生命の力を宿っている。燃やされた空がだんだん近づき、雲を貫いた後、思い切った勢いで地面に突き刺さった。煌めく灼熱の炎は桜の木を通り抜き、その熱で勢いに巻き上げられた花びらを灰に燃やした。 翻す烈火は桜吹雪となり、私の周りを飛び、青い炎に飲まれた。 「見ただろう?千年前の灰燼がこの木の花となった。」彼女は翼を羽ばたき、木の上に立った。「命は物語を作る。命が続く限り、物語も続くのだ。」 「それなら、私もまた物語に囚われながら、期待に満ちている読者にすぎないかもしれない。」 「誰でもそうだ。」 物語の中には似たような別れや悲しみが多く存在し、無味な結末や哀愁が溢れている。 しかし、この桜が舞い散る季節に、私は永遠に燃ゆる炎と、無数の終わりのない物語を受け継いだ。 |
物語伍「白狐春夢」
白狐春夢ストーリー |
---|
暖かい午後、白い狐は自分の尻尾を枕にし、陽だまりの廊下で静かに寝ている。 小白は夢を見た。 梦の中で、彼は雪のように白い夢山に戻り、姿もかつて禅院で静座している銀色の髪を持つ少年に変わっていた。彼は夢山の主と呼ばれ、「小白」のようなどこか馬鹿げた名前は持っていなかった。 何か大事なことを忘れたみたいだ。そう思いながら、彼は困惑した目で周りを眺めた。古い禅院、遠くへと飛んでいく鐘の音、銀白色の峰。夢にしては、すべてに現実味がある。 これは夢なのか? 或いは、彼がかつて経験した裏切りや殺戮の方が夢だったのかもしれない。 初春の寒さはまだ続いており、寺院の香炉は暖かい。絶えないお経を読む音を聞き続けると、ふとした瞬間に眠りに落ち、その刹那の夢の中で長い年月を過ごしてしまいそうだ。 少年は寺院を歩き出し、夢山へ戻って、再び眠りにつこうと思った。しかし、彼が寺院から足を踏み出した瞬間に、外の銀白の世界は火の海と化した。 一体何があったんだ? 少年は爪を振り上げたが、灼熱の炎に焼かれたような苦痛を感じた。彼の体は炎に縛られ、身動きが取れなくなった。彼は頭の上にある青い空が血の色へと変化していくのを眺めるしかできず、何をしても束縛から逃れることはできなかった。 このままでは、きっと悲しいことが起きてしまう!彼はそう思うと、心にかつて味わったことのあるような恐怖感が沸き上がった。 血の色の中にすこし薄めの色が混じり入り、炎は桜吹雪のように散っていった。まるで花びらの隙間から差し込む光に耐えられないかのように、少年は目を瞑る。そして二度と開けられなくなった。 暗闇の中でもがきながら、深い淵へと落ちていく中、ある声を聞いた。 「眠るがいい。眠ればすべてが終わる。」 違う、今すぐ起きなければ!このまま寝ていたら、きっと悲しいことが起きる。大切な人に忘れられるなんて、もうたくさんなんだ!少年はそう思い、暗闇の中で必死にもがいた。 「なら、お前はどうなんだ?今のお前は、互いを結びつける紐を取り戻せるのか?」 それは名前だ。忘れていたそれを、今思い出した。その名前を思い出すのだ! 「小白?小白。」 その名前と一緒にやってきたのは、暗闇を突き破る夕日の光だった。 「小白?大丈夫か?起きろ。」 白い狐が目を開けると、自分にとって最も大切な人の顔が目に入った。その人は眉をひそめ、心配そうな顔で自分を見つめている。 「うう…?セイメイ様…」 「さっきまで魘されていた。悪い夢でも見たのか?」晴明は小白の毛を撫で、白い狐が自分のひざ元に乗り上がるのを見守った。 「はい、あまり良くない夢を見たようです。はっきり覚えていませんが…でも、起きて早々セイメイ様のお顔が見れたので、そんなに悪い夢でもなかったのかもしれません。」 「もう少し寝るか?さっき博雅が来て、明日一緒に林で花見をしようと声をかけてきた。」 「いいですね…桜…」 白い狐は小さい声で呟き、また眠りについた。 今度はきっと桜色の夢が見えるだろう。 |
物語陸「散桜賛歌」
散桜賛歌ストーリー |
---|
暖かい晩春の日、友人と集い、花見をしながら酒を楽しみ、天下の逸話を語る。まさに極楽だ。 晴明たちの他に、騒ぎ好きな博雅は知り合いの妖怪も誘い、みんなで桜林に集まった。 ひと時、幽谷の中で静かに花を咲かせている桜林は異様に賑やかになった。 暖かい日差しはいつも人の気分をよくしてくれる。かつて共に戦った戦友でも、喧嘩沙汰で知り合った友でも、みんなこの時を楽しんでいる。妖怪たちは面白い見聞や伝説を語り、都で起きた楽しいことを話していた。 この愉快な空気の中、静かに酒を飲んでいる八百比丘尼は大変特別な雰囲気を発している。 彼女は他人を故意に避けようとしているのではなく、いつも通り微笑みながら、はしゃいでいる妖怪たちを眺めていただけだ。しかしこの「いつも通り」は、今のような祭の時では、少し異様な光景に映る。 「八百比丘尼は、何を考えてるの?」勘の鋭い少女が八百比丘尼に近づき、傍に座った。 「なにも考えておりません。ただみんなを眺めていただけですよ。」 「散歩しに行かない?小白から聞いたけど、兄さんは今回の花見のためにいっぱい苦労して、やっとこの景色のいい谷を見つけたらしいの。」 八百比丘尼は頷いて、神楽と一緒に桜林へ歩いていた。途中、博雅もついていこうとしたが、神楽に断られた。 「博雅様は私と一緒だと、何か危険があると心配しているのでしょう?ふふ、悲しいですね。」 博雅が落ち込んでいる後ろ姿を見て、神楽は軽くため息をついた。「ううん。ただ、私はいつもみんなを心配させているから。」 「神楽はこのままで十分ですよ。みんなもきっとそう思っています。」 「そういうことなら、私も八百比丘尼がずっと今のままでいて欲しい。」 八百比丘尼が無言で微笑んでいるのを見て、神楽は躊躇しながら聞いてみた。「あなたは……まだ死を望んでいるの?」 「人は、どうしても手に入らないものを欲するものです。」傍らにいる少女が暗い顔をしているのを見て、八百比丘尼は付け加えた。「でも、今の私は、生きててよかったとたまに思えるようになりました。」 「何がそう思わせたの?もしそうだったら……」 「以前共に経験したあの大戦です。」彼女は首をかしげている神楽に解釈した。「このような言い方は良くないかもしれませんが、あの戦争であまりにも多くの死を見てきました。命の脆弱さと自分の無力さを知り、まさにその悲惨な戦を見て、命の美しさを再び理解できるようになりました。」 「私はやはり罪深い人間です。人の死を目の当たりにしたときだけ、自分の不死身をありがたく思えるなんて。」 「そんなことない!」少女は突然足を止め、八百比丘尼の前に立ち、彼女の目をまっすぐ見つめた。 「散っていくことを知っているからこそ、私たちはいま咲いている桜を大切に思っている。命も同じ。あなたは今、やっとそれを理解したんだよ。あなたの命だけじゃなく、あの戦争で、ほかの人の命の美しさも見た。そして私たちと一緒にそれを守ろうとした。そうでしょう?」 八百比丘尼は神楽を見つめた。すこし高揚している少女の目には、涙が光を反射していた。八百比丘尼はため息をついた。 「その通りですね。あなたは正しいです。死への敬意、生へのあこがれ、どれも同じものなのかもしれません。」 遠いところから、宴会の騒ぎが伝わってきた。八百比丘尼と神楽は肩を並べて、音が伝わってくる方向へ向かっていった。 散っていく桜への讃美歌は、まさに命への讃美歌なのだ。 |
物語漆「桜塚の憶」
桜塚の憶ストーリー |
---|
青行燈は眠っていた記憶を呼び覚ました。 それは彼女が知っていた時代のものでもなければ、特定の誰かのものでもない。 賑やかな都がまだ建てられていなかった頃、様々な妖怪が集まるこの庭がまだなかった頃、桜はすでにここで咲き誇っていた。 戦乱、殺戮、絶えない悲鳴。 人々の屍は埋葬される場所がなく、桜の下に埋められ、枝に咲く花が墓標となった。 桜が咲き、散り、灰となって、地面の血の跡と交える。春風に吹かれ、赤い塵が空を覆った。 これは千百年前にすでに結末が完成された物語だ。たった一人この記憶を掘り起こした妖怪は、物語を青い炎に取り込み、桜をすべて散らせる春雨を待っていた。 「若いの。それは遠い昔のことだ。それ以上知る必要はない。」 青色の妖怪はその言葉を鼻であしらった。 「物語はいくらあっても飽きないよ。あなたの物語が古すぎないか、その心配でもしてな。」 「もう十分だ。ワシはもうたくさん見てきた。結末の到来を祈るばかりじゃ。」 「私はまだ見終わっていない。ここに生きている人々もまだ見飽きていない。ここには殺し合いがあり、戦争があり、愛と憎しみと別れがある。すべては当たり前のことだ。これらの物語こそ、最も貴重なものなのさ。」 青色の炎が空から燃え上がり、瞬く間に幻境のところどころへと広がった。古い虚像はすべて燃やし尽くされた。 「古木は古木らしく、平穏な日々を楽しみな。見守ること以外、何もできないんだから。」妖怪は背を向けて、火の光へと歩いていった。 記憶によって編み上げられた幻境は完全に崩れ、瓦解し、暗闇の中に消えた。 最後に残った光景の中では、血に濡らされた大地で、緑が地面を掻きわけ、潔白な花が暗闇の中で咲き誇っていた。 |
物語捌「連理之枝」
連理之枝ストーリー |
---|
私はある桜の木の下で一人の地縛霊を見た。自分の姿が見えていることに驚いて、彼女は一時動揺した。私は彼女に怖がらないでと言い、自分がただの通りすがりの者だと話した。もちろん、差し支えなければ彼女の物語を知りたいと伝えた。 彼女が身にまとった赤と白の服はその身分を現している。だが、なぜ巫女が霊となり、そしてなぜこの地にとどまり続けているのだろうか? 彼女はただやさしそうに微笑み、語ろうとしなかった。 そうしているうちに、遠いところからある姿がやってきて、塚の上にいくつかの花を残した。私は姿を隠し、霊とともにその姿が離れていくのを見守った。その後、私は花を拾い上げ、燃え上がった青い炎に、花は燃やされてしまった。 霊は慌てて手を伸ばして止めようとしたが、自分の手から花が通りぬいていくのを見て落ち込んだ。 「この花であなたの物語と交換するのはどうだ?」私は灰を再び花の姿に戻して、彼女に渡した。彼女はそれを軽く抱え上げた。 私はこの花で、結末が最初から定められた、少し悲しい物語と交換した。 狐は神聖で無垢な人間に惹かれやすいのかもしれない。彼らはこの桜の木の下で出会い、知り合い、そして実を結べない人と妖怪の儚い恋に落ち、生死の別れに向かっていた。 このような物語はたくさん見てきた。主人公はそれぞれ異なれど、いつも同じ結末にたどる。 「私は薄々感じていたのだけど、認めたくはなかった。」 人類は苦難や死には勇敢に立ち向かえるけれど、自分の本当の気持ちに対してはいつも臆病だ。 「彼女が本当のことを教えてくれたそのとき、私は恐怖を感じたの。」彼女は手の中の花を眺めて、ため息をついた。「気が付けば、彼女はもう離れていた。私が彼女を突き放してしまったんだ。」 「私は自分は悪くないと、自分を説得しようとした。人間の命はあまりにも短い。彼女のためにも、別れるべきだったんだ。それに、人間と妖怪が友達になるなんて、初めから無理だったんだよ。」 それはただの言い訳だ。 「あなたはどうやって死んだんだい?」 彼女は目を下ろし、壊れた墓標を見ながらこう言った。「人間は時々、妖怪よりも怖いから。」 この結末は決して予想できないものではない。髪の色が生まれつきの白であることさえ他人に嫌われる理由になるのだから、妖怪と友達になった巫女ならなおさらだ。 「私が生きていた頃はほとんどこの桜の下で過ごしたの。だから死んだ後も、ここに封印された。彼女が同じくこの木に縛られているのを眺めることしかできなかった。たとえ罠にかけられても、退治されても、彼女はここに戻ってくる。」巫女は墓標に座って、微笑みを見せた。「妖怪のお姉さん、この物語はどうだった?」 「つまらないな。」炎は彼女の消えかかっている魂に広がり、一つの油灯へと凝縮した。彼女は自分の体を見て、驚きを隠せなかった。そして手を伸ばし、木の幹に触れた。 「新しい結末を書いてきな。」 |
終章
終章ストーリー |
---|
【青行燈蛙】 「この手帳に書いてある物語はあたいのより遥かに面白いケロ…なんだか悲しいケロ…」【青行燈】 「おや、ここにいたのか。」【青行燈蛙】 「ケロ!!!青行燈蛙だケロ!」【青行燈】 「ん?誰が青行燈蛙だって?」【青行燈蛙】 「ううう…朧車様、助けって!」【青行燈】 「何を恐れている?あたいはそれを取り戻しに来ただけだよ。」【青行燈蛙】 「ケロ?この…この手帳はあなたのものだケロ?」【青行燈】 「向こうの桜の木の下で拾ったんだろう?あたいのじゃなければ、あなたのものなのかね?」【青行燈蛙】 「違うケロ!か…返すケロ。でも、これは一体何なのだケロ?あたいが…あたいが花びらを入れると、新しい物語が出るのだケロ。」【青行燈】 「その手帳に書いてあるのは物語ではない。桜に記された記憶だ。」【青行燈蛙】 「記憶?」【青行燈】 「儚い思いかもしれないし、本当の出来事かもしれない。それか、ただの夢。桜の木はあらゆる物語を見守り、花に記録するんだ。そして物語を春雨とともに地に散らし、塵となる。この手帳には、それらの物語が記録されている。」【青行燈蛙】 「あたい…よくわからないケロ。でも、でも!あたいはその手帳に書いてある物語が好きだケロ!いつか、あたいもそのような物語が書けるようになれるかケロ?」【青行燈】 「それは分からないね。でも、今日からでも書き始めて、最近の出来事を物語にしてみてはどうだ?物語が人の心を惹きつけるのは、その無限な可能性だからな。」 |