【陰陽師】「雅楽の邦」ストーリーまとめ【ネタバレ注意】
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『陰陽師』の「雅楽の邦」のストーリー(シナリオ)をまとめて紹介。
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雅楽の邦のあらすじストーリー
第一章
第一章 |
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【源博雅】 「鹿が青空の下で水を飲み、赤い鳥居が海に浮かぶ。ここは藤原家の聖地、厳島だ。」【神楽】 「博雅お兄ちゃん、藤原家の人達が神社のほうに向かっていった。私達も早くついていこう。」【源博雅】 「待て、あれは…晴明か?晴明がなぜここに?」【晴明】 「博雅、神楽、また会えたな。」【源博雅】 「何を言っているんだ…皆欠片を浄化するのに忙しい、お前たちはどうして厳島に来たんだ?はは、さては俺がへまするんじゃないかと思ったんだな!普段の俺は確かに細かいことに気にしないが、こんな時ぐらいは俺を信じろよ!」【小白】 「……」【源博雅】 「この犬っころ、今日はやけに静かだな。」【小白】 「博雅様、お疲れ様でした。」【源博雅】 「ん???」【晴明】 「小白は今日は疲れたようだ、船酔いのせいかもしれない。私達はただ様子を見に来ただけだ、厳島と欠片の浄化はもちろんお前たちに任せる。」【源博雅】 「そうだ、安心して俺に任せろ!」【晴明】 「では、私達は先に島の別のところを見て回ろう。」【神楽】 「晴明、気をつけて。博雅お兄ちゃん、私たちも早く神社にいる藤原お兄さんに会いに行こう。」【源博雅】 「……いや。あの神社はなんだか様子がおかしい。神楽はここで待ってろ。俺が様子を確かめてくる。」【神楽】 「お兄ちゃん……気をつけて。」【源博雅】 「ああ、安心しろ。」【藤原の武士・甲】 「源博雅が島に来た。「百人衆」に待機を命じろ。」【藤原の武士・乙】 「はっ。」 |
第二章
第二章 |
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【神楽】 「お兄ちゃんはどうしてまだ帰ってこないの…」【源博雅】 「うわああああ、うわあああああああ!!!」【神楽】 「お兄ちゃん……?」神楽が神社に駆け付けた時、源博雅は手で右目を押さえて地面に倒れていた。その指の隙間からは鮮血が滲み出ている。【神楽】 「お兄ちゃん!!一体何があったの!?」【源博雅】 「ああ……!!!うう……目が…俺の目が…ああ!!!俺の目が!!!」【蒿雀】 「道綱様、毒針が源博雅の目に当たって、彼はもう弓を使えなくなりました。十五日以内に、毒が全身に回り、命を奪います。」【藤原道綱】 「あなたたちも聞いただろう、もう百人衆の手を煩わせる必要はなくなった。」【藤原の武士・甲】 「…畏まりました、道綱様の邪魔をしないように私達はこれで失礼します。」【源博雅】 「藤原…ああ!!藤原道綱!!!」【神楽】 「道綱お兄さん!どうしてこんなことするの??どうして博雅お兄ちゃんの目に毒針を?」【藤原道綱】 「源博雅は弓の達人、彼を捕らえるにはその視力を奪うのが一番手っ取り早い方法です。雲外鏡の欠片は、私のものです。」【源博雅】 「お前は…雲外鏡で…何をするつもりだ…」【藤原道綱】 「「玄象」の封印を解きます。」【源博雅】 「「玄象」…「葉二」に比肩する有名な楽器、やはり厳島にあるのか…」【藤原道綱】 「あなた達が雲外鏡の欠片を浄化したいことは知っていました。だからわざと色々な情報を漏らし、あなた達を藤原家の船に乗せたのです。都で源氏の若様に手を出したら、私も罰を免れることはできません。しかしここなら、あなた達はもう袋の鼠です。」【源博雅】 「お前は…いつからそんなことを企んでいたんだ…」【藤原道綱】 「あなた達が日輪の城に赴く前に、私は既に雲外鏡があなた達の手に渡ることを予測しました。でも安心してください、私はまだあなた達を殺しません。あなた達にはまだやっていただきたいことがあります。」【源博雅】 「…うう。」【神楽】 「お兄ちゃん、私が先に手当する!」【源博雅】 「卑怯な真似で俺に傷を負わせた上…お前のために動けだと…」【藤原道綱】 「はは、博雅どの、その傷ついた右目でどうやって、妹さんを守りながら無事にここから消え去るつもりですか?」【神楽】 「私のことは心配しないで、私も戦える。」【藤原道綱】 「そうですね、神楽どのも戦えますね。もし十五日以内に、博雅どのの体に入り込んだ毒を取り除く方法が見付かれば、あなた達はまだ私と戦えるかもしれません。」【源博雅】 「こほん…神楽、俺のことはいいから、一人で逃げろ。」【藤原道綱】 「はいはい、無駄なことに時間を費やすのはやめましょう。あなた達が相手を見捨てることができないのは、一目瞭然の事実です。私は、先に仕事に戻りますから。「玄象」の封印はどうなっている?」【藤原の陰陽師】 「雲外鏡の霊力を注いだので、封印は少しずつ解けていますが、まだ玄象の力を全て引き出せてはおりません。」【藤原道綱】 「構わない、先に「彼女」を召喚して、琵琶と霊符を持ってきなさい。」【藤原の陰陽師】 「御意。」【藤原道綱】 「…深く眠る厳島の神よ、私と契約を結びましょう。」【神楽】 「(神と契約を結ぶつもりなの…?そんなことはできないはず…)」【藤原道綱】 「急急如律令!!」【???】 「……」【源博雅】 「神楽、何があった?」【神楽】 「道綱お兄さんは、玄象と霊符を使って式神を召喚した。」【藤原道綱】 「はは…」【藤原の陰陽師】 「おおおお!!これは…これは…!!」【???】 「…我が名は「緊那羅」。」【緊那羅】 「私の耳元で響くのは、悲しい現世の曲だったのね…私を呼び起こした陰陽師よ、私達の契約は既に成立した。」【藤原道綱】 「緊那羅が目覚めた、計画の第二段階に移せ。博雅どの、神楽どの、あなた達の出番です。」【神楽】 「これ以上博雅お兄ちゃんを傷つけないで。」【源博雅】 「うう…右目に傷を負った弓手に、一体何をしろというんだ?」【藤原道綱】 「雲外鏡と玄象の相性はとてもいいですが、不完全な力では緊那羅の封印を徹底的に解くことはできません。彼女の記憶と力を全て取り戻すためには、厳島の祭壇で「儀式」を行う必要があります。」【神楽】 「供物が必要なの!?」【藤原道綱】 「そう、祭壇で供物を捧げるべきなのです。その供物とは…厳島の過去です。」【源博雅】 「どういうことだ?どうやって「過去」を供物にするんだ?」【藤原道綱】 「緊那羅の力は、未練があったせいで厳島の過去に留まった。だから私は巫女オロチの方法を習って、厳島の過去を写した幻境を作りました。あなた達が幻境で四つの祭壇を見つけ、現世の緊那羅と共に祭壇で祭祀の楽を演奏すれば、儀式は完成されます。幻境での冒険なら、博雅どのにとっては慣れたことでしょう?」【源博雅】 「そんなことまで調べたのか…ならばなぜ俺たちを幻境に向かわせるんだ?優れた陰陽師なら、藤原家はいくらでも調達できるだろう。」【藤原道綱】 「理由は三つあります。その一、私が作った幻境はまだ安定していない、その中にはどんな危険が潜んでいるか、私にも推し量れません。その二、緊那羅が力を取り戻したら、雲外鏡の欠片を浄化するのに協力することができます。悪い話ではありませんよね。そして最後の理由は、私も一度聞いてみたかったのです、博雅さんが吹く笛の声を。」【神楽】 「お兄ちゃん、私達には選択の余地はなさそう、それにお兄ちゃんの目を早く治療しないと…」【藤原道綱】 「博雅どの、いかがです?」【源博雅】 「ちっ、卑怯な真似を。」【藤原道綱】 「ふん、蒿雀、お二人を幻境の入り口まで連れていって、任務を始めなさい。」(彼に逆らえない源博雅と神楽は、藤原道綱が作った幻境の中に送られた。) |
第三章
第三章 |
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【源博雅】 「神楽…神楽…!」【神楽】 「お兄ちゃん、私はここ。」【源博雅】 「神楽、無事か?俺たちは今どこにいるんだ?」【神楽】 「私達は藤原道綱が作った幻境の中に送られた、ここは昔の厳島だと思う。でもここには光がない、回りは真っ暗。」【源博雅】 「あそこから物音が聞こえる気がする。くそ…今は聴覚を頼るしかないな。」【神楽】 「お兄ちゃん……私が肩を貸す、足元に気を付けて。」【源博雅】 「分かった。」【神楽】 「あ、分かった。博雅お兄ちゃんが聞いたのは、亡霊の声。彼らの欠片が、幻境の中に落ちてる。」【源博雅】 「欠片を集めよう、彼らから何か情報を聞き出せるかもしれねえ。例えばここがどこなのか、なぜ真っ暗なのか…神楽、後ろに気を付けろ!」【神楽】 「ひゃっ…」【源博雅】 「くそ、周囲の妖怪たちがここに集まってきやがった。あいつらが見えるか?」【神楽】 「何も見えないけど、この陰の気は、この恐ろしい夜からくるものだと思う。」【源博雅】 「俺のそばを離れるな。昔修行した時、俺は音で位置を判断する方法を習ったことがあるから、まだぎりぎり戦える。」【神楽】 「うん、でも私もお兄ちゃんを守れる。」【緊那羅】 「争いの曲、騒々しい音、恨みの言葉…なぜあの陰陽師を傷つけるの?あなたの目標は、彼らではないはずよ。」【藤原道綱】 「あなたに教える義理はないし、それはあなたが気にするべきことではない。」【緊那羅】 「分かったわ…あの武士たちのせいでしょう?「百人衆」といったかしら?」【藤原道綱】 「……」【緊那羅】 「黙っても無駄よ、私には契約者の心の声が聞こえるの。あなたの計略は、全部わかったわ。」【藤原道綱】 「……」【緊那羅】 「まさか「その一手」すら考えているなんて、本当に面白い人間ね。でも一体どうやってこの計画を実現させるの?結果は分かったけど、その方法が全然想像できないわ。」【藤原道綱】 「…はあ。どうやらはったりでも、妄想を言っているわけでもなさそうだな。しかしあなたが知ったことを、決して口に出さないでください。さもなければ彼らの命は危険に晒される。」【緊那羅】 「あなたと二人きりの時でもだめなの?」【藤原道綱】 「だめだ。」【緊那羅】 「独り言なら…」【藤原道綱】 「それもだめだ。」【緊那羅】 「分かったわ。安心して、私にとって「あんなこと」はお茶の子さいさいだよ、ただ…」【蒿雀】 「道綱様、源博雅と神楽が既に一つ目の祭壇に到着しました。」【藤原道綱】 「ふん、予想より早かったな。あの兄妹はさすがに源氏の者だ、目の先が真っ暗でも、必ず進む道を見付ける。誰よりも粘り強い。」【緊那羅】 「う…頭が、痛い…」【藤原道綱】 「彼らが祭壇に近づくほど、あなたの記憶も徐々に目覚めるのだ。心配いらない、ただ待てばいい。」【緊那羅】 「うん…」【藤原道綱】 「過去について、何か思い出せることはないか?」【緊那羅】 「終わりなき夜…そして闇夜に潜む妖怪…」【藤原道綱】 「それらのことは厳島の昔の暦法に記載されている。あなたの時代には、厳島の長き夜と長き昼が入れ替わり訪れ、数年周期で変わっていた…その変化の規則を、あなた達は「律」と呼んでいるだろう。玄象に選ばれた「調律師」の務めはその傾いた昼夜を本来の形に戻すこと、もしその規則を破れば、この地は終わりなき夜に覆い尽される。」【緊那羅】 「よく調べたわね。私はその長い長い暦法を見るたびに、思わずあくびするの。」【藤原道綱】 「……それ以外はどうだ?他に思い出したことはないか?」【緊那羅】 「命兄さん…」【藤原道綱】 「「命兄さん」?」【緊那羅】 「命兄さんは魚を焼くと必ず焦がしちゃうの…お爺さんの料理の腕を全然受け継いでいない。お爺さんの魚料理はね、厳島一、いいえ、世界一美味しい料理なの。」【藤原道綱】 「本当か、一度食べてみたいな…違う!あなたには神としての自覚はあるのか…」【緊那羅】 「道綱のお母さんも、料理が得意なんでしょう。」【藤原道綱】 「な…!あなたには関係ない。」【緊那羅】 「私達は契約を結んだ以上、どんなに小さなことも、ちゃんと相手に伝えるべきよ。」【藤原道綱】 「ちっ……神との契約は、思った以上に面倒なものだな。まあいい、しばらく休憩するか。彼らはもうすぐ第一の楽章を完成させる。現世で彼らに合わせて、玄象の霊力を取り戻せ。」【垢嘗】 「…緊那羅様。」 |
第四章
第四章 |
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【神楽】 「博雅お兄ちゃん、体は大丈夫?ここで少し休もう。」【源博雅】 「この程度の傷なんか大したことない…ただものがはっきり見えないだけだ。音や匂いを頼って戦うことにも慣れてきたから、大丈夫だ。ゴホゴホッ…」【神楽】 「お兄ちゃん!あれ?この先にある結界が陰の気を阻んでる。部屋の中から眩しい光が漏れていて、闇夜に潜む妖怪たちはそこに近づけない。」【源博雅】 「あそこに一時的に避難するか。闇の中で唯一明るい場所は、おそらく生き残った者の最後の居場所だ。」【神楽】 「水上の鳥居、厳島神社…それに彼らを率いる者がいるみたい。」【命】 「南東の結界がますます弱まっていく。貴久、人を連れて今日中に結界を直せ。樹、神社の余った鉄器を溶かして武器を作れ。全員分の武器を確保しろ。そして陽太、君の妹のおもちゃはもう直した。今度は壊さないように。」【陽太】 「ありがとうございます、命様!」【神楽】 「この「命」という男の人は、本当に優しい指導者ね。」【源博雅】 「さっき亡霊が言っていた、厳島は既に十数年暗闇に覆い隠され続けてきたと。ここの住民たちはとっくに昼のことを忘れたようだ。だからてっきり生きる人たちはもう希望を失ったと思っていたが、この「命」というやつのおかげで、彼らはまだ秩序を保ち、健気に妖怪と戦っているようだな。本当に大したやつだ。」【神楽】 「でも、神社は昔住民達が暮らしていた場所なのに、どうして現世の神社はあんなにぼろぼろなの?生き残った人たちにとって、この場所は特別な場所のはず。」【源博雅】 「そうだな。もう一つ、どうしても分からないことがあるんだ。緊那羅は一体善悪どっちの味方なのか、なぜ彼女は玄象の中に「封印」されたのか。」【神楽】 「お兄ちゃんは、彼女のことを信じてないの?」【源博雅】 「いや、俺は彼女のことを信じてる。信じていないのは藤原道綱のほうだ…あいつは絶対に何かを知っている上で、俺たちに黙っているんだ。水が囁くように、人の心を慰める。鳥居から聞こえる音楽が、こんなにも美しいとは。これを弾いているのは緊那羅か?」【神楽】 「弾いているのは人間の少女、姿は緊那羅と似ているけど少しだけ違う。」【源博雅】 「この音色から感じとれる、彼女たちは同じ人物だ。」【音】 「私は「音」と言います、あなた達は道に迷った亡霊ですか?」【神楽】 「あなたには、私達が見えるの?ここは幻境なのに、どうしてあなたは…」【源博雅】 「やはり巫女オロチの幻境と同じだな、現世の人間も残像と交流できるんだ。」【音】 「私は厳島の調律師です。闇夜の亡霊を導き、厳島の人々に光をもたらすのが私の務めです。例えば霊体であっても、私には見えます。」【源博雅】 「調律師…?お前は厳島に光をもたらすことができると言ったな、ならばなぜここは闇夜に覆い尽されている?」【音】 「それは……その理由は…………」【神楽】 「(彼女は、とても悲しそう。)」【源博雅】 「お、俺は何かおかしなことを聞いたか?す、すまねえ。」【音】 「いいえ…あなたの言う通りです。光をもたらすことができないのは、私がちゃんと責務を果たしていないせいです。私はもっともっと頑張って演奏しなければなりません。」【神楽】 「あっ!博雅お兄ちゃん、私達がさっき集めた亡霊が、「調律師」に反応しているみたい。小鳥の姿になった。」【音】 「亡霊たちは玄象に浄化され、苦しみから解脱し、私の背後霊となりました。もしよければ、一緒に道に迷った亡霊を探していただけませんか?みんなの力を借りれば、私は玄象の力を上限まで引き出せるかもしれません。」【源博雅】 「安心して俺たちに任せてくれ!探すことに関しては、俺たちは専門家だ。」【緊那羅】 「眠っているの?私が安眠の曲を弾きましょう。」【藤原道綱】 「...立ったまま眠れる人などいるか?待て、あなたはなぜまた出てきたのだ?」【緊那羅】 「厳島は変わった。私は今の厳島の声を聞きたい気持ちを抑えられないわ。」【藤原道綱】 「……」【緊那羅】 「…あなたの音色は源博雅のものと全然違うのね。あなたは光のない影のようで、彼は影のない光のよう。故に絶体絶命の暗闇の中でも、彼は相変わらず太陽のような眩しい光を放っている。」【藤原道綱】 「なんだ?あなたも彼の仲間になりたいか?どんなに輝かしい人でも、自分の心の闇に向き合わないと、ただの嘘つきに成り下がるのだ。」【緊那羅】 「それは、同意するわ。でもあなたの声は、光を求めている曲に聞こえる。」【藤原道綱】 「…勝手に私のことを評価するな。」【垢嘗】 「おいおいおい!僕は隅っこでずっとお前のことを観察しているぞ、汚いやつは緊那羅様のそばに近づくな!無礼者め、手を洗ってもいないのに緊那羅様に触ったな!」【藤原道綱】 「何者だ!?」【垢嘗】 「僕は「垢嘗」、緊那羅様に従う者!緊那羅様を守る者!緊那羅様を崇拝する者だ!僕は昔から緊那羅様と知り合いなんだ。僕たちの間にはお前なんか比べものにならないほど深いよしみがあるんだぞ。」【緊那羅】 「あなたは…?」【藤原道綱】 「はは、緊那羅は全然君のことを知らないようだな。」【垢嘗】 「なっ……!!緊那羅様、あなた様がまだ調律師である時、僕は厳島で一番綺麗好きな鼠でした。あなたはどうして…どうして僕のことを忘れたのです…ううう…」【緊那羅】 「綺麗好きな鼠…少し思い出した、よく厠の近くで見かけた、あの…」【藤原道綱】 「ちっ、気持ち悪い。」【垢嘗】 「そうそう!僕は厳島の人々のためにお掃除するのが大好きです。厠の近くで僕を見かけても全然おかしくありません。緊那羅様が姿を消した後、僕はあちこちを流離いました。お掃除する時に、緊那羅様が聞かせてくれた音楽が恋しくてたまりませんでした。ようやく、ようやく再びあなた様に会えました!緊那羅様!緊那羅様はいま何処にお住まいなのですか?お掃除はぜひ僕にお任せください!」【緊那羅】 「私…?私は道綱と一緒に住んでいるわ。」【垢嘗】 「……???オッサン!!どういうことだ!!!」【藤原道綱】 「勘違いするな…彼女は私達が同じ屋敷に住んでいると言いたいだけだ。藤原家の屋敷はとても広い。彼女は三階で寝ていて、私は一階で寝ている。」【緊那羅】 「ん?そういうことよ。道綱と契約を結んだ以上、もちろん一緒に曲を作るわ。」【垢嘗】 「ぐぬぬぬぬぬ…」【藤原道綱】 「…余計なことを言うな。陰陽師と式神との契約は、一定程度の協力関係にすぎない。私は別に一緒に曲を作るなんか約束していない。」【緊那羅】 「え……もしかして知己的な関係なの?」【藤原道綱】 「もちろん違う!」【垢嘗】 「オッサン…何回死にたいか、早く教えてくれないか…」【藤原道綱】 「頼むから、これ以上話すな…」【緊那羅】 「……!」【藤原道綱】 「今度はどうした…あなたの頭上の翼は飾りではないのか?なぜ垂れている??」【緊那羅】 「……」【垢嘗】 「馬鹿野郎!あの翼は緊那羅様の感情を表しているんだ!そんなことも知らないのか!」【緊那羅】 「そっか、私だけが、道綱のことを…」【垢嘗】 「オッサン、緊那羅様に悲しい顔をさせたな、早く謝れ!!」【藤原道綱】 「…これは一体何だ。」 |
第五章
第五章 |
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【神楽】 「闇夜の妖怪は、こんなに手強い敵だったの…ただの幻なのに、並みならぬ妖力を持ってる。」【源博雅】 「藤原道綱が言っていた、幻境で死んだら、俺たちはもう帰れないかもしれない。神楽、音、気をつけろ。」【音】 「帰れない?お二人は無理矢理ここに送られたのですか?そして博雅様、その右目の傷は最近できたものですか?」【源博雅】 「ああ、ある陰陽師に傷つけられて、無理矢理ここに送られたんだ。」【音】 「…ひどすぎます。」【源博雅】 「お前の口からそれを聞けるなんて、何だか面白いな。俺たちが儀式を完成させれば、やつは俺たちを見逃してくれる。」【音】 「博雅様はそれを信じているのですか?もし…もし彼があなた達を見捨てて…」【源博雅】 「音、考えすぎると、足は自ずと止まるんだ。俺がそのせいで前に進めなければ、一体どうやって自分の妹に手本を見せればいい?」【神楽】 「……」【音】 「ふふ…博雅様は命兄さんと少しだけ似ていますね。…私たちを捨てた律姉さんとは、全然違います。分かりました、それなら私もお二人と一緒に戦います。この先にどんな危険が待っているとしても。私達が心の光を灯し、勇気の曲を奏でれば、どんな暗闇も私達を止めることはできません。」【源博雅】 「そう来ないとな。」【神楽】 「お兄ちゃん…うん!博雅お兄ちゃんは目が見えないからって尻込みしない。私がお兄ちゃんの目になる。」【源博雅】 「はは、いいぞ!敵陣を突き破り、二つ目の祭壇に向かって進もう!」【垢嘗】 「あっち行け、しー……あっち行け、緊那羅様に近づくな!」【藤原道綱】 「お前、本当に面倒くさいな。私が外にいるあのとてもとても怖い百人衆を呼びつけて、お前を退治したらどうなるかを考えたことはないか。」【垢嘗】 「なななな…このオッサンもとても怖いな…それでも僕は怖がらないぞ!?」【緊那羅】 「あなた達ったら…」【垢嘗】 「申し訳ありません、緊那羅様!僕は緊那羅様の契約者と喧嘩するつもりはありません。もう黙ります。」【緊那羅】 「あなた達が喧嘩する声は、何だか漫才みたいで、とても、とても面白いわ!ふふふふ……」【垢嘗】 「緊緊緊緊那羅様、もしかして何かよくないものでも召し上がりましたか!?」【藤原道綱】 「はあ…厳島の神は感情の起伏が激しいな…長い間玄象の中に閉じ込められたせいで、頭がおかしくなったのではないか。」【緊那羅】 「ふふ、私はただ嬉しいと思っているだけよ。こんな風に、光に照らされながら人とお話できることをね。もしあなたが私と同じぐらいの間ずっと眠っていたら、きっと私の気持ちを理解できるわ。」【垢嘗】 「…嬉しいのはいいことですけど、緊那羅様をこのオッサンに託すのはどうしても心配です。あのごちゃごちゃになっている荷物を見たら、あなたが不潔な人であることは簡単に想像できる。こうしよう、僕とも契約を結ぶんだ。僕があなたの式神になってあげる。緊那羅様のお世話や、お掃除なんかの雑務は、全部僕に任せて。」【藤原道綱】 「ふん、ゴホ…断る。」【垢嘗】 「何だと!!」【藤原道綱】 「皆の衆!部屋に危険な妖怪が入ってきた、早くやつを追い払え。」【藤原の武士・甲】 「はっ!」【垢嘗】 「ひい…! !一人で消えます、僕は一人で消えますから!」【緊那羅】 「孤独の音…あなたはそうやって仲間を追い払い続けて、最後は一人になったの?垢嘗を追い払わなくてもいいことは、明らかなのに。」【藤原道綱】 「垢嘗は計画にはない者だ。仲間であろうと敵であろうと、計画に有益な者でなければ、単なる邪魔者でしかない。不確定な要素は、全て排除すべきだ。」【緊那羅】 「以前も、あなたはずっと一人で全てに立ち向かっていたの?」【藤原道綱】 「……厳島に住んでいたときは、誰も私に近づきたがらなかった。母が亡くなった後、私は一人でいることにも慣れた。」【緊那羅】 「でもあなたも知っているでしょう、彼女が亡くなったばかりの頃、あなたがどれだけおかしくなっていたか…あなたの記憶の中で全て見たわ。彼女はあなたのお父さんに厳島に捨てられた。病気のせいでずっと寝たきりになっていたから、自分の命を諦めることすら考えた。人々があなたの家に押しかけてきたとき、あなたはもう数十日間も、腐った死体と一緒に生活していたの。」【藤原道綱】 「……それでも私は生き残った。眠れない夜は、母の遺言がいつも私の耳元で響いている。彼女は私に藤原家で一番偉い陰陽師になってほしいんだ。だから私が彼女の元に行くことを許してはくれない。厳島の神は彼女に祝福を与えなかったが、私には祝福を与えてくれた。」【緊那羅】 「…だからあなたはありとあらゆる手を使って、百年続いた封印から私を救い出したのね。でもこんなの間違ってるわ。まだはっきりと思い出せないけど、私の封印は簡単に解けるものじゃない。私がこの世にいる限り、厳島は再び災厄に見舞われるかもしれない。」【藤原道綱】 「もういい。証拠がないなら、ただの杞憂に過ぎない。どこに行く気だ?」【緊那羅】 「道綱、現世に戻って人間とお喋りできるのは、本当に嬉しいわ。でもこの喜びの代償が、厳島全体の安全だというのなら、私は永遠の眠りにつくことを選ぶ。私は博雅と神楽を幻境から連れ戻す。」【藤原道綱】 「その自己犠牲で誰を感動させるつもりだ?自分自身か?それとも厳島の民か、彼らに自分を崇め、称えてもらい、一人であの封印の中に戻る気か!?もし本当にそのつもりなら、とても滑稽だ。あなたは民を大切にしているが、あなたを大切にする人は一人もいない。私のこうしていなければ、厳島神社と幻象はとっくに彼らによって土の中に埋められてしまっていただろう。彼らは見たこともない神のことを信じはしない。」【緊那羅】 「知っているわ。あなた達親子を除けば、この厳島で誰一人私の存在を信じていないことを。人々はとっくに神を崇めることをやめた。毎日神社に来て、玄象の手入れやお掃除をしてくれるのはあなただけだもの。あなたは願いが人々に嘲笑われるのを見たくない、なんとしてでも神社を守りたい…その気持ち、よく分かるわ。」【藤原道綱】 「あの時身寄りのなかった私達は、道端の乞食にも食べ物を奪われるほど惨めな存在だった。藤原家は私達に食料と服を与えてくれたが、身を守るための武器は一度も与えてくれなかった。私が人を殺さなければ、誰かに頭を砕かれる。私が人を害さなければ、小鹿のように誰かに血肉を啜られる。母は藤原家のせいで惨めな一生を送り、異郷の地で息絶えた。私はそんな過ちを繰り返さない、私はただ自分のために生きるのだ。」【緊那羅】 「道綱…あなたの声が、悲しみから怒りに変わっていく…」【藤原道綱】 「私は光のない影、その言葉は何も間違っていない。あなたがどんな災厄をもたらすのだとしても、それを考える必要はない。四つの楽章を完成させれば、あなたを百年間閉じ込め続けてきた牢獄は、じきに闇の中に消えるのだ。そして私の計画も、もうすぐ完成する。」 |
第六章
第六章 |
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【藤原の武士・甲】 「都の長老たちから返事はあったか?」【藤原の武士・乙】 「いや…あの藤原道綱が我々の計画を狂わせたせいで、今はもう源博雅に手を出すことができないんだ。このまま命令を待つか?」【藤原の武士・甲】 「その必要はない。これ以上長引けば、源博雅は生きたまま厳島を出てしまう。長老たちは命令を下した。この千載一遇の機会を逃さないように、何があっても必ず厳島で源博雅を始末しろと。源博雅が藤原家の聖地に来たことは誰も知らない。彼は誰にも知られずに「消える」のだ。」【藤原の武士・乙】 「しかし、私には藤原道綱が彼を庇っているように見える。表では源博雅の右目に傷を負わせた上、彼を危険な幻境に送り込んだが。同時に偶然にも百人衆が仕掛けた罠から源博雅を守ったのだ。」【藤原の武士・甲】 「うん…必要があれば、藤原道綱も一緒に始末しろ。長老にとって、彼は生きていてもあまり意味のない駒だから、死んでも別に惜しくないさ。」【神楽】 「博雅お兄ちゃん、音を見つけた。人間と妖怪が結界の前で殺しあってる。だから彼女は急いで出て行ったみたい。」【源博雅】 「兵士の悲しい泣き声が聞こえる。くそ、彼らを助けるぞ。」【神楽】 「しかし…彼らは幻境が生み出した残像に過ぎない。例え彼らを救っても、厳島の過去を変えることはできない。死んだ人は復活しない…」【源博雅】 「神楽、俺のことを理解しているだろう。例え残像だとしても、俺には見捨てることができないんだ。妖怪め、この矢に貫かれろ!」【神楽】 「厳島の亡霊よ、どうか力を貸して!へや!」【夜荒魂】 「ぐお、ぐおおおお…」【神楽】 「………!!」【夜荒魂】 「ヒヒ……ヒヒヒヒ……」【源博雅】 「神楽、どうしたんだ!?」【神楽】 「う…博雅お兄ちゃん、大丈夫…ただ、少し傷を負っただけ…」【源博雅】 「くそ!!俺の目がちゃんと見えれば…」【律】 「あれは夜荒魂、この闇の世界を支配する妖怪です。一筋縄ではいきませんよ。…あなたの傷は深いようですね、早く見せてください。」【源博雅】 「傷か深いだと!?どういうことだ??」【神楽】 「魂の欠片…あなたにも私達が見えるの?」【律】 「なるほど、あなた達も肉体を持たない霊体なのですね。私は「律」と申します、この厳島で以前調律師を務めていた者です。同時にあなた達が「音」と呼ぶ者の姉にも当たります。」【神楽】 「厳島の前の調律師。教えて、厳島で一体何が起きたの?なぜここは夜がいつまでも続いて、お日様は一度も昇らないの?」【律】 「……傷の手当は済みました、もう心配いりません。」【神楽】 「私は大丈夫、心配しないで、博雅お兄ちゃん。」【源博雅】 「……」【神楽】 「陳腐な暦法、終わりなき夜…まさか平和そのものの厳島が、過去にこんな試練を受けたことがあったなんて。」【律】 「この深い森を通りぬければ、三つ目の祭壇に到達できます。」【神楽】 「ありがとう、律さん。現世にいる緊那羅は、今頃どうなってるだろう。」【源博雅】 「…藤原道綱が、玄象を使って何か悪いことをしようと企んでいなければいいんだが。」【神楽】 「彼が考えを打ち明けて私達に相談してくれれば、今みたいに対立する必要はないと思う。所属する一族が違うと、友達にはなれないの?」【源博雅】 「一族は関係ない、重要なのは俺たち一人一人が何を選択するかだ。藤原道綱が「善」を選んだら、俺は喜んでその仲間になってやる。しかしもしやつが「悪」を選んだら、俺はもちろんやつを許さねえ。」【律】 「ふふ…でも善と悪をはっきりと区別できますか?十年前、音は長き夜のせいで重病にかかりました。私がいくら待っても、神の返事も、昼が訪れることもなかったのです。私が暦法を破り、力ずくで短い昼を呼び起こしました。そのせいで厳島は長き夜に覆われ、数多の生き物が命を落としてしまいました。私は人々が「悪事」と思うことをしたから、今の姿になってしまいました。」【源博雅】 「……」【律】 「仲間、一族、家族…私にはもうそんな絆はありません。私は夜の孤独な旅人に過ぎません。誰にも理解されない頑固な女です。あなた達を見ていると、羨ましくなります。」【源博雅】 「きっとまだ全てを取り戻す方法がある、絶対に諦めるな!お前はただ…愛する「妹」を救うためにあんなことをしたなんだろ?」【神楽】 「でも博雅お兄ちゃん、過去のことはもう…」【律】 「神楽ちゃんの言う通りです、過去のことは変えられません。悔しいですが、それは理解しています。博雅さん、私のために悲しまないでください。影あるところには必ず光があり、私達がすべきなのは心の闇と戦うことではなく、その闇と向き合い、それを受け入れることです。そうすればこそ確かな願いを胸に、頭を上げて光の到来を迎えることができます。」 |
第七章
第七章 |
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【垢嘗】 「放せ、汗臭い武士たちめ。あああ!もう我慢できない、お前ら全員川に引きずり込んで洗いたくなってきた!!お前らの体の汚れが僕の頭の上に落ちそうになったぞ!!」【藤原の武士・甲】 「黙れ、さもないと痛い目に遭わせるぞ!藤原道綱の腹心は全員始末したか?」【藤原の武士・乙】 「安心しろ、あの弱っちい陰陽師の連中は、あっという間に全員倒した。今頃は地下牢で眠っているさ。」【藤原の武士・甲】 「この島で残されたのは彼と蒿雀だけになった。百人もいる精鋭武士と戦えるはずがない。厳島の「百人衆」に逆らおうなんて、妄想もいい加減にしろ。」【垢嘗】 「ちぇっ、意外だったな、お前達は一族のうちで内輪揉めするのか。まさに悪人同士の争いですね、緊那羅様。」【蒿雀】 「……」【緊那羅】 「ジャンジャン!私がいる限り、あなたたちが厳島に手を出すことは許さないわ!はっ!」【藤原の武士・甲】 「何だ!?うわあああ!!何だこれは!!他のやつらはどこにいるんだ!??まさか我々百人衆が、そんな馬鹿な???これが「玄象」に封印された神の力か!!うわあ!!!」【緊那羅】 「悪人は決して私の正義の曲から逃れられないわ!ふふ!えへへ…どうだった?実は初めてなの、こんな恥ずかしいセリフを言うの…」【垢嘗】 「緊那羅様は本当に素敵でした!あの悪臭を放つ筋肉馬鹿の武士たちを一瞬で全部倒しましたよ!!」【蒿雀】 「…道綱様、なぜ彼女がここにいるのです?私はてっきり、これは私一人の任務だと思っていましたが。」【藤原道綱】 「はあ…私にとっても予想外だ。島中の「百人衆」は、全員彼女に倒された。彼女は悪者を退治する行為を楽しんでいるようだ。」【緊那羅】 「ふふ、あの源氏の分家の兄妹を倒すだけでは、あなたは「偉大な」陰陽師にはなれないわ。玄象を手に入れ私を現世に召喚したのは、一族のために他の勢力を制圧するためではなく…厳島の武士達の軍団を壊滅させるためよね、違う?私はただごく当たり前に契約者に力を貸して、彼の「計画」を実現させただけよ。」【藤原道綱】 「ゴホゴホッ…神と契約を結ぶのは、やはり面倒なことだな…」【蒿雀】 「道綱様、陰陽師達は皆多かれ少なかれ傷を負いました。これ以上は戦えないかもしれません。源博雅と神楽が幻境から戻ってきたら、どうか私が皆の代わりに戦うことを許してください。」【藤原道綱】 「ゴホゴホ……大丈夫だ。「百人衆」は既に緊那羅に徹底的に排除され、厳島の分家も全て私の配下に入った。源博雅と神楽だけでは、何の脅威にもならない。」【蒿雀】 「こんな短時間で厳島の分家を説得されたのですか、さすがは道綱様です。」【緊那羅】 「厳島の過去の声が、次第に私の耳元で響き始める。玄象の力も大分回復したわ。博雅と神楽はもうすぐ三つ目の祭壇に到達しそう。でも何故か、胸騒ぎがするわ。」【蒿雀】 「道綱様、玄象が放つ陰の気が段々強くなっていきます…」【藤原道綱】 「もういい、彼女はまだいる。」【蒿雀】 「しかし…」【緊那羅】 「やはり知っているのね、玄象の封印を解けたら厳島は危険に晒される、そしてあなたも…」【藤原道綱】 「中途半端なのは私の流儀ではない!ここまで来たのに、私が諦めるとでも思うのか?ゴホゴホ……ゴホッゴホゴホゴホ…!!」【蒿雀】 「道綱様!!もう少しだけ我慢してください、今すぐ休める場所にお連れします!!」【垢嘗】 「焦るな、緊那羅様の歌声は人の傷を癒すことができるんだ。緊那羅様に演奏をお願いすれば、オッサンの病は必ず「楽」に治るぞ。」【緊那羅】 「…ごめんなさい、私には彼の病を治すことはできない。」【蒿雀】 「人が神と契約を結ぶには、対価を払わなければなりません。道綱様は半妖でもなければ、並みならぬ才能を持つ陰陽師でもありません。彼は自分の生命力と引き換えに、厳島の神との契約を維持し続けています。私は諫めましたが、道綱様は耳を貸してくれませんでした…緊那羅がこの世にいる限り、道綱様の命は大きく削られていきます。」【垢嘗】 「そ、そんな…だとすると、彼は私と契約を結びたくないわけじゃない、ただ…」【緊那羅】 「彼はもう他の式神を召喚できない、そして彼の命はいつ消えてもおかしくないわ。」【神楽】 「三つ目の祭壇は、この先にある。人間の部隊が、道を探してるみたい。」【厳島兵士・甲】 「結界の外は本当に不気味だな。静かすぎて声が全然聞こえない。この松明ももうすぐ燃え尽きそうだ。俺たちは道に迷ったじゃないか?誰か戻る道を知るやつはいるか?」【厳島兵士・乙】 「うう…俺たちはこの人里離れた所で死ぬのか…蓮よ、父さんを許してくれ、俺はもう家に帰ってお前と一緒に日の出を見ることはできないんだ…」【源博雅】 「周囲の声がとてもうるせえな、少なくとも…数十匹ぐらい妖怪が潜んでるぞ。」【神楽】 「じゃあ早く彼たちを助けないと。」【源博雅】 「ちょっと待て…」【神楽】 「博雅お兄ちゃん、どうしたの?私はお兄ちゃんが言ったことに賛成、人を見捨てるなんてできない。」【源博雅】 「しかし…」【律】 「気付きましたか?あなたが心の底に隠していた恐怖に。「妹」を失うことへの恐怖。」【源博雅】 「私は…」【神楽】 「博雅お兄ちゃん。」【源博雅】 「さっきはあの残像のためにお前を危険な目に遭わせた。あんな恐ろしいこと、二度と体験したくないんだ。すまねえ、神楽。」【神楽】 「私はちゃんと自分を、そしてお兄ちゃんを守るから。博雅お兄ちゃんも、しっかりして。」【源博雅】 「俺はもうこれ以上、自分を騙したくないんだ!俺の右目が藤原道綱に傷付けられた時から、心の中はずっと怖くて堪らないんだ。罠にはめられたことに怒ると同時に、お前を失うことが怖くて…俺は…俺は…………」源博雅がその言葉を口にする前に、神楽は力強く彼を抱きしめていた。あの時、彼が力強く神楽を抱きしめたように。【藤原道綱】 「ゴホッゴホ…」【垢嘗】 「この部屋に溜まったほこりはさすがに多すぎる、おかげでオッサンはずっと咳してるよ。安心しな、この垢嘗様がお掃除すれば、すぐに咳は止まるよ!」【蒿雀】 「……」【緊那羅】 「垢嘗、彼を静かに休ませてあげましょう。」【垢嘗】 「…うう、分かりました、緊那羅様。」【藤原道綱】 「ふう…まだまだ始まったばかりなのに、どうしてお前たちは皆そろって元気がないんだ…第三の楽章は間もなく完成される、早く祭壇へ向かおう…ゴホッゴホゴホゴホ…!!」【蒿雀】 「道綱様、ご命令に従いかねません。私の役目は、道綱様の身の安全を守ることです。」【藤原道綱】 「誰も行かないのか?ならば私一人でも…ゴホゴホゴホゴホ……!!」【緊那羅】 「手を貸して。」【藤原道綱】 「はは…」【蒿雀】 「何をなさるつもりです!?」【緊那羅】 「道綱様の体はまだ…最も「偉大な」陰陽師は、死をも恐れない陰陽師。それがあなたの覚悟、そうでしょう?」【藤原道綱】 「その通りだ。」【緊那羅】 「あなたの唯一の式神として、あなたの願いを叶えることは私の義務なの。私には分かるわ、あなたは一度終わりが見えない闇に落ちたからこそ、心の中は誰よりも光に憧れている。あなたが光のない影なら、これからは私が、あなたの進む道を照らす光になりましょう。」【藤原道綱】 「……!!…蒿雀、私を阻むことができ、私の理想を侮辱することができるのは、私の「敵」だけだ。この言葉の意味を、理解しているだろう。」【蒿雀】 「私は…」【緊那羅】 「一緒に来て。私達が、祭楽の第三の楽章を完成させましょう。」 |
第八章
第八章 |
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【源博雅】 「つ、次は第四の楽章だな…くそ…毒が少しずつ手足まで回ってきたか、もう両手の感覚がないぜ…藤原道綱、お前はせいぜい解毒の薬を用意してろ…」【神楽】 「お兄ちゃんはきっと大丈夫。どんな方法を使ってでも、私が必ず助ける。」【律】 「これからの戦いはさらに激しくなります。闇夜の妖怪たちが総出で襲ってくるでしょう。神楽ちゃん、私があなたにしてあげられることは、あまりないかもしれません。」【神楽】 「私は博雅お兄ちゃんと一緒に、生きて祭壇にたどり着く。律さん、心配しないで。」【律】 「別れる前に、一つ教えてあげましょう。私は結界の外で長年調べてきましたが、どうしても夜荒魂を滅ぼす方法が見つかりませんでした。それだけではなく、夜荒魂は一種の「進化」する方法すら探しています。」【源博雅】 「進化だと?」【律】 「夜荒魂はとある馬鹿者を狙いました。「九条井戸」という名の武士です。十数年に渡り、九条井戸はずっと闇夜の中で私を探し続けています。私はもう戻ることはできないと知っているのに。夜荒魂は彼に引かれました。夜荒魂がさらに強くなるには、彼の「執念」が必要だから。」【神楽】 「律さんが言いたいのは、私達はもっと強い夜荒魂に出会うってこと?」【律】 「そう。彼が私のことを尋ねたら、彼に伝えてください。「律」はもう死にました。自分を騙し続ける茶番はそろそろ終わりにすべきです。私が好きなのは、真夜の王ではない、あのお日様の光よりも眩しいお馬鹿さんなのです。」 |
第九章
第九章 |
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【神楽】 「これは…これは音の歌声、祭壇のほうから聞こえる!彼女は私達よりも早く、ここにたどり着いた。」【源博雅】 「亡霊たちが歌声に反応している、これが調律師の力なのか?いや、俺たちはその結末を知っている。…数多の苦しみを乗り越えた少女は、優しくて健気な厳島の神になった。」【音】 「律姉さん…ごめんなさい。あなたは私のために厳島の罪人になったのに、私は理由も聞かずに全てをあなたのせいにしました…」【律】 「音…私の魂は琵琶の中に入り、あなたの力となるのです。私の魂で歌いなさい、あなたにはできます、私達皆が成し遂げられないことを。あなたこそが一番優れた調律師です…あなたは私達の希望ですよ。そして私は、ようやく死ぬことができるのです。」【音】 「律姉さん……!!…………………私は律の魂を媒介として、この身を生贄にします。全ての亡霊の力を集めて、この世界の法則を塗り替えます…ここで命を落としてしまった我が一族の者たちよ、どうか私に力を貸してください!」【神楽】 「本当にすごい力、幻境の残像だけなのに、神の力の流れを感じる。」【音】 「調律師は神の使い…しかし神の使いとしてだけでは、まだ不十分です。私達がなすべきことは調律ではなく、「奏律」なのです…私は厳島のために、新たな律法を定めます。私は肉体と命を捨てて、法則そのものになります。」【厳島兵士】 「それは……神様だ!!」【緊那羅】 「私は琵琶と一つになり、この島の全ての不幸な運命を終わらせる。私は新たな星の律になり…空の上であなた達を見守るわ。我が一族の皆さん、どうか私の希望を引き継いで生きてください。」 |
第十章
第十章 |
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緊那羅が神になった祭壇の上で、源博雅は第四の楽章を完成させ、神楽と共に幻境を去り、現世に戻った。【源博雅】 「これで…終わりだ…」【神楽】 「道綱お兄さん、私達は任務を遂行した。今こそ約束を果たして。早く解毒の薬を渡して。」【藤原道綱】 「解毒の薬なんて、最初からありません。」【神楽】 「そんな…!」【源博雅】 「やはりか…ずるい狸め…」【緊那羅】 「私の記憶、私の力、全部戻ってきたわ。心配しないで、源博雅の傷と毒は私が治してあげましょう。道綱「お兄さん」は、最初からそのつもりよ。」【藤原道綱】 「ふん。」(緊那羅が玄象を軽く撫で、穏やかで優しい曲を弾いた。その曲が放つ光が、源博雅の身に落ちる。)【源博雅】 「こんな優しい音楽なのに…微かに抗えない力の波動を放っている…」【緊那羅】 「褒めてくれてありがとう。もう大丈夫よ。」【神楽】 「お兄ちゃん、どう?目はもう見える?」【源博雅】 「毒はもう取り除かれたと思う、少し休めば回復できるだろう。右目は…少しずつ光が見えてきたぞ!!」【神楽】 「ありがとう、緊那羅!」【源博雅】 「藤原道綱、お前は一体何を企んでいる?なぜ毒針で俺を傷つけ、そして過去の厳島の幻境に送ったんだ?」【藤原道綱】 「……」【緊那羅】 「また沈黙の曲を演奏するの?その必要はないと思うけど。」【蒿雀】 「博雅様の右目を傷つけたのは私です、私が説明するのが筋合いです。厳島は景色が美しいだけでなく、色んな資源にも恵まれている島です。厳島の資源を独り占めにするために、藤原家は百人の精鋭武士を選び出し、「百人衆」という名の集団を作り上げ、武力で厳島の分家を全て支配しました。子供の頃、私と道綱様は皆「百人衆」の支配下で生きていたのです。道綱様は偉大な理想を抱えています。彼があらゆる手段を講じたのは、ただ「百人衆」を打ち倒すためです。」【藤原道綱】 「あらゆる手段も、「神様」の一曲には敵わなかった…」【緊那羅】 「ふふ…」【蒿雀】 「都にいる長老達は常に源氏や賀茂家の勢力を削ぎ落とし、藤原家を都一の陰陽師の一族にしようと企んでいます。故に彼らは、博雅様が雲外鏡の欠片を浄化するために厳島に赴いたと知った時、ただちに「百人衆」に暗殺の計画を命じました。道綱様は彼らの企みを見抜いた上で、その計画を逆手にとり、私に博雅様の右目を傷付けさせて、「百人衆」の目を誤魔化しました。さらに「百人衆」の毒牙から博雅様を守るために、博雅様を幻境に送ったのです。」【源博雅】 「…それだけじゃないだろう。彼らが目先の利益に目がくらんだ時、藤原道綱はそれを利用して雲外鏡の欠片を手に入れ、緊那羅の力をわが物にしたじゃないか。同時に情報が途絶えた隙をつき「百人衆」を排除して、正々堂々と藤原の本家の代表として厳島の支配権を取得したんだ。まさに「一石二三四鳥」だな。」【垢嘗】 「オッサンはそんなに賢い人だったのか!?本当に人は見かけによらないね。」【緊那羅】 「垢嘗、あなたが碁を打つ時は何手先まで読めるの?」【垢嘗】 「うん…?三手先か、四手先ぐらいでしょう。」【緊那羅】 「藤原道綱はね、三十手のことまで読んで、お茶を飲みに行くからと託けて、陰であなたが悩む姿を眺めるの。…彼はそれほど面白い人間なのよ。」【垢嘗】 「えっ…どこが面白いのですか…めちゃくちゃ付き合いづらいではありませんか。」【夜荒魂】 「ぐあっ!!ぐああああああ!!!ぐぬぬ…ぐぬぬぬぬぬ…!!!」【神楽】 「夜荒魂!なぜここに現れたの?過去の緊那羅は、彼を滅ぼせなかったの?」【緊那羅】 「玄象は既に力を取り戻し、そして私も全てを思い出した。ごめんなさい…これは私と表裏一体の呪いなの。同時に、玄象の封印を解いてはならない理由でもある。」 |
第十一章
第十一章 |
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【源博雅】 「まさか、夜荒魂も玄象の中に封印されているというのか!?」【緊那羅】 「そう。白昼と闇夜は、入れ替わって訪れる。光あるところには影があり、影あるところには光がある。長年にわたり、夜荒魂は調律師を滅ぼすことができず、調律師が夜荒魂を倒すこともなかった。私が神になったとしても、夜荒魂を完全に退治する方法は見つからないの。」【源博雅】 「だからお前は神の力を使い、自分と夜荒魂を玄象に封印したのか!?」【藤原道綱】 「百年もの間、あなたと一緒に眠っていたのが、こんなにも醜い妖怪とは。」【緊那羅】 「あまり嬉しくなさそうな声色ね。怒っているの?」【藤原道綱】 「……」【緊那羅】 「……?」【藤原道綱】 「博雅どの、神楽どの、すみません。あなたたちはまだしばらく私のような「悪人」と一緒に戦わなければなりません。さもなければ、私が手に入れたばかりの厳島は台無しにされてしまいますから。」【垢嘗】 「僕も僕も僕も!!こんな汚いやつが緊那羅様のそばで百年も眠っていたなんて、許せません!!!百年もお風呂に入らないなんて、本当に汚い! ! !」【蒿雀】 「道綱様、私の後ろに隠れてください。この戦闘では、私は決してあなた様の足手まといにはなりません。」【神楽】 「博雅お兄ちゃん、私たちも…」【源博雅】 「俺も謝らなければならない、藤原道綱。俺はただ「音」のためにここにいるんだ。一緒に戦っているとは言えないかもしれねえ。だからお前も注意したほうがいい、俺がいつ毒針の借りを返してもおかしくないからな。」【藤原道綱】 「ふっ。」【緊那羅】 「ここからの戦いは、みんなに託します!」 |
第十二章
第十二章 |
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【真夜荒魂】 「うわ…うわあああああああ!!律…どこにいるんだ…律!!!」【源博雅】 「彼女からの伝言だ、もう彼女を探さなくていい。彼女はもう闇夜の中で死んだんだ。お前は諦めるってことを学ぶべきだ…」【真夜荒魂】 「諦めるだと!??はははははは!!!俺は百年探し続け、百年待ち続けたんだ。今さら諦めるだと???」【緊那羅】 「あなたも分かっているはず、姉さんもこんな姿になってしまったあなたを見たくないって…」【垢嘗】 「人は愛する人のために、こんな恐ろしい妖怪になれるんですか。僕の潔癖症よりも怖いよ!」【藤原道綱】 「諦められないなら、無理する必要はない。」【真夜荒魂】 「何だと!!」【藤原道綱】 「彼らは全員嘘をついた、律はまだ生きている、君はまだ彼女に会えるんだ。ほら見ろ、律はあそこにいるじゃないか。」(藤原道綱が指差したのは、彼が自ら作った厳島の幻境だった。)【源博雅】 「おいおい、なにをするつもりだ?あそこは、厳島の過去の幻境じゃないか!」【神楽】 「律お姉さんの影が幻境に現れた、もしかして…道綱お兄さんは、最初から幻境を作って夜荒魂をそこに封じ込めるつもりだったのの!?」【源博雅】 「「三十手先のことも読める」の意味、ようやく理解したぜ。」【真夜荒魂】 「律…律ううう!!!ようやく再びあなたに会えた、ようやく再びあなたに会えた…」【藤原道綱】 「行け、真夜荒魂よ…いや、九条井戸よ、私が紡ぎだした嘘を抱きしめるがいい。過去に囚われるのは、自分を騙す者に相応しい結末だ。」 |
第十三章
第十三章 |
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【緊那羅】 「雲外鏡の欠片よ、「玄象」の中から取り出したの。」【源博雅】 「緊那羅の力をもってすれば、ヤマタノオロチの呪印を浄化できるのか?」【緊那羅】 「それって鏡の中の黒い影のこと?そうね、できるわ。」【藤原道綱】 「また自分を犠牲にして、他人を助けるつもりですか。あなたはまだ、浄化の代償について話していません。」【緊那羅】 「ふふ、気付かれてしまったわね。」【神楽】 「…代償って?」【緊那羅】 「「玄象」と「雲外鏡」は同じく神器だけど、その霊力の流れは全然違う。無理矢理改造すると、「玄象」の力のほとんどを失うことになる。」【藤原道綱】 「そうなれば、緊那羅はまたしばらく自由に行動できなくなります。最近知り合ったばかりの陰陽師達のためにこんなことをしようなんて、本当に「無私」の大馬鹿者ですね。」【緊那羅】 「でも、あなたは反対しないでしょう?」【藤原道綱】 「……やれやれ…何を言っても無駄なようですね?」【源博雅】 「この二人は、いつの間にこんなに仲良くなったんだ。」【神楽】 「私達がいない間に、色々あったみたい。」【緊那羅】 「こほん、では始めましょう。博雅様、この欠片を海岸の崖の上においてください。私が浄化の曲を演奏するわ。この曲が終わると同時に、欠片の中にある暗い呪印も消える。」【源博雅】 「ああ、お願いだ、緊那羅!」【厳島の民】 「道綱様、厳島にいる分家は全てあなた様に忠誠を誓いました。お約束いただいたことですが…」【藤原道綱】 「山田さんなら、小さい頃の私も知っているでしょう。私が約束を破ったことがありますか?」【厳島の民】 「いいえ、ありません。道綱様は小さい時から一度も約束を破りませんでした。」【藤原道綱】 「心配いりません、百人衆が消えた今、分家も武士を招き入れて軍隊を作ることができます。暫くしたら、厳島と都との航路も再び開放されます。彼らが金儲けをできるかどうかは私次第なので、私の言うことには逆らえません。あなたのような私に力を貸してくれた人達には、この藤原道綱は必ず借りをお返しします。」【厳島の民】 「ありがとう!!本当にありがとうございます、道綱様!!では…これで失礼いたします。お暇な時はどうかうちに遊びに来てください、道綱様が大好きな料理を作りますよ!」【藤原道綱】 「分かった。」【緊那羅】 「普通の民から、徐々に分家の武士や権力者まで懐柔することに成功した。一歩一歩、厳島の皆を仲間に引き入れ、最後はその仲間たちと一緒に「百人衆」と本家を倒したのね。この目で見たのでなければ、たった一人の努力でここまでやれるなんて信じられないわ。」【藤原道綱】 「一人の努力?あなたも言ったとおり、これは厳島の皆の決定です。私はただ少しだけ後押ししたまで。ゴホゴホ……」【緊那羅】 「これからはどうするの?私も一度食べて確かめたいわ。あの山田さんが作る料理が厳島の昔の味と同じものかどうか。お爺さんの料理の味がちゃんと受け継がれたかどうか。」【藤原道綱】 「都に戻ります。あまり厳島に長くいると、本家に疑われるので。私が本家にいる限り、彼らは厳島がまだ支配下にあると勘違いし続けるのです。」【緊那羅】 「自分を人質にするつもりなの…?でもあなたの体は…。」【藤原道綱】 「ゴホッ…大分よくなりましたよ。」【緊那羅】 「……では私は奏でましょう、厳島で演奏する最後の曲を。」【垢嘗】 「緊那羅様!そういえば、緊那羅様は初めて故郷を出るのですね!都には美味しいもの、面白いものがたくさんありますよ!もうすぐ美食祭りが開催されるそうです。僕が都の美味しい店を案内して差し上げます。必ず期待を裏切りませんから!」【藤原道綱】 「いやいやいや、都の店にネズミが現れたらお客さんたちはびっくりするでしょう?」【垢嘗】 「余計なことを言うな!僕は都で一番の綺麗好きなネズミだ。鉄鼠みたいに荒寺で灰まみれになっても木にしないようなネズミだとでも勘違いしてるんじゃない!?」【緊那羅】 「あなたたちと一緒に見物したら、きっとがっかりしないわね。祭りといえば…都には音楽の祭りはあるの?」【垢嘗】 「うーん…踊りが上手な歌姫、狂気の琴師、それに皆の憧れの的になりたい胡蝶なら聞いたことありますけど、音楽の祭りはあまりわからないです。」【緊那羅】 「踊りが上手な歌姫?面白そうな人ね、機会があればぜひ会いたいな。ああ、遠くから都の音が聞こえるわ。なんだか…賑やかな合奏曲みたい。全ての楽器が独自の音色を持っていて、一つに溶け合いながら他の音色を引き立てている。時に悲しく、時に喜び、時に独奏し、時に合奏する。欲望と愛憎に溢れ、絢爛で多彩な音が、あの空の下で人と妖怪の曲を全力で演奏している。」【垢嘗】 「そうだ、おじさん!あなたは権力とかを奪ったでしょう?あなたの悪知恵を絞って都で音楽の祭りを開きましょうよ、絶対に面白いよ!」【藤原道綱】 「音楽の祭りを開くにはお金が要るんですよ。ネズミはそんな大金を出せないでしょう?」【垢嘗】 「なめるな!お金を貯めるのは得意だ!!うちにはダルマのおもちゃがいっぱいある。僕より多くのお金を持っている人なんてそうそういないぞ!」【緊那羅】 「ふふ、こんな日々が、いつまでも続いたらいいな。」【藤原道綱】 「…ゴホゴホッ。ふん…仮にも厳島の神たる者がそれで満足できるのですか?我々の日々は、まだまだ続くのですよ。」【蒿雀】 「道綱様、ご報告があります。……」【藤原道綱】 「ここで聞かせてもらおう、ここにいるのは信頼できる者たちだ。」【蒿雀】 「はっ。源博雅と神楽は、既に「民」が手配した小舟に乗って厳島を出ていきました。三日以内には、お二人が厳島の百人衆を倒し、雅楽の力で雲外鏡の欠片を浄化したことが、都中に知れ渡るでしょう。」【垢嘗】 「なになに??百人衆を倒したことを彼らに押し付けた!?藤原家の陰陽師は彼らのことを不倶戴天の敵と見なすのでは!?」【藤原道綱】 「「偉大な功績」を成し遂げるためには、多少の犠牲を払うべきでしょう?平安京にいる者たちは、源博雅が彼らを救うために、自ずと危険な境地に足を踏み入れたのだと知ったら。きっとそんな「雅楽の神」たる源博雅のことを、とても「偉大」だと思うのではないでしょうか?」【垢嘗】 「意味不明ですけど!」【緊那羅】 「道綱は、人々が注意を博雅様に向けたら、戦う力を持たない私がより一層安全になると言いたいのよ。それに、縁の下の力持ちのほうこそ、彼が思う「偉大な人」に近いわ。そうでしょう?」【藤原道綱】 「…違う。」【緊那羅】 「うふふ。あなたのお母さんが今のあなたを知ったら、きっと自慢の息子だと思うわ。きっとね。」【源博雅】 「神楽、お前はどう思う?昨夜別れる前に、藤原道綱が言い出した「提案」を。」【神楽】 「「一族」の制限を取り除いてこそ、陰陽師はより強い力を手にすることができる。私達に協力してほしいみたい、御三家の「隔たり」をなくすために。その理想はとても素晴らしいものだと思う、でも…」【源博雅】 「ああ、俺でさえも実現するのが難しいと思う。藤原家はともかく、我が「源氏」だけでも…源頼光にその野望と彼が作った兵器を諦めさせる?無理な話だ。」【神楽】 「うん…」【源博雅】 「だが、俺はあいつが言う「理想」を理解した気がする。あいつは俺たちには理解し難いことをやっているのかもしれねえ。俺たちが卑怯だと思う方法を使ってでもな。しかしあいつは…自分の目標は必ず実現できると信じ込んでいる。本当にとんでもないやつだ。」【神楽】 「この藤原家の秘宝の一つである百鬼図も、彼があの時私達に協力してって頼んだからこそ完成した。でももう私達にくれた。」【源博雅】 「あいつは偉大な理想を抱えているとはいえ、同時にずる賢いやつでもある。あいつは絶対にまだ何か企んでいる。もし罪なき民を傷つけるようなら、俺は必ずあいつを止める!」【神楽】 「うん!庭院に戻ったら、厳島で起きたことを晴明と八百比丘尼にも話そう。それに、晴明と八百比丘尼の冒険話も聞きたい!」【源博雅】 「はは、じゃあそうしよう!」【ヤマタノオロチ】 「……まだだ、まだだめだ。少ししか進んでいない。「あの日」の到来まで、まだ時間がある。あと少しだけ、待たなければならない。」【雲外鏡・陰】 「……それは我慢なのか?」【ヤマタノオロチ】 「ただそばで見ているだけしかできないことが、どれだけつらいことなのか、お前には理解できるか?しかし果実はまだ熟していない、私は待たなければならない…一番甘美な時に果実を摘むのは、さぞかし素晴らしいことだろう。ふふふふ……」 |
雅楽の邦の亡魂の欠片ストーリー
面具
面具・壱 |
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私は厳島一族の運命を変えたかったが、残念ながら失敗してしまった。代償か?おそらくは…死んでも穏やかな眠りにつけないことだろう。 |
面具・弐 |
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この呪われた運命は、私一人で背負えばいい。他人に理解してもらおうとは思わない。 |
面具・参 |
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町の外には私のような生きることも死ぬこともできない、魂の欠けた亡霊がたくさん彷徨っている。妖魔に堕ちてしまった人もいれば、町の前に集まり防衛線となる人もいる。 |
面具・肆 |
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音、私のために悲しまないで。お日様は明日またいつものように昇ります。それだけで十分です。 |
紫陽花
紫陽花・壱 |
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ふふふ、私に弟ができた!やっと末っ子の名を捨てることができた!でも弟の顔は本当にブサイクだな、うわああ、泣かないで、君が一番美しいよ! |
紫陽花・弐 |
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弟は泣き虫だ、そして兄さんはいつも彼に厳しくしている。私が弟を慰めることを禁じただけじゃない、私が一生彼を守れるかとまで聞いてきた。でも私は彼の姉、当然一生守れるよ! |
紫陽花・参 |
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妹が病気にかかり、しかも重病だった。彼女は白昼の中でしか少しずつ回復できないのだ。私は白昼の到来を願った、私は願い…本当に奇跡は起きた! |
紫陽花・肆 |
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光、泣かないで。姉さんは死んでない、ただ星になっただけだ。 |
大きい鈴
大きい鈴・壱 |
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私は別に剣や殺戮などが好きなわけではない、ただ…皆の兄としての責任を果たすべきなんだ。 |
大きい鈴・弐 |
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律は、最も優れた調律師だ。彼女の選択は厳島に終わりなき夜をもたらしたが、私は彼女の罪を償うために、最後まで闇夜の怪物たちと戦う。 |
大きい鈴・参 |
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戦場で、私は妖怪の頭を切り落とし、暖かい返り血で血まみれになっても、躊躇うことは一度もなかった。しかし休んでいると私は思わず考えてしまう、妖怪にも家族がいるのかと。この問いには答えがない。 |
大きい鈴・肆 |
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一番上の兄として、私は下の弟と妹達を守らなければならない。これから音は一人になるが、達者でな。 |
肘当て
肘当て・壱 |
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俺の名前は光、我が家の二番目の男子だ。長夜の町に生まれたから、誰もが闇に慣れているけど、俺はその、ちょっとだけ闇が怖い。おい、笑うなよ! |
肘当て・弐 |
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一番目の姉さんが死に、二番目の姉さんも死んだ。もし兄さんも…?闇に潜む危険は本当に恐ろしい、俺は…いや!今は俺が家族を守る番だ。 |
肘当て・参 |
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一番目の姉さんは裏切り者、我が家の恥だ。 |
肘当て・肆 |
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皆最後は星になるんだ。俺は二番目の姉さんの気持ちを理解できるようになったと思う。 |
酒壺
酒壺・壱 |
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私は死を待っているわけじゃない。ただ全身全霊をかけて次の人生を待っているんだ。この生涯は腐っちまったが、次の人生は違うかな? |
酒壺・弐 |
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私も昔は金持ちの家の若様だったんだ。家族に溺愛されて、毎日酒に耽っていた。家族が死んだ後、私はようやく自分が酒を飲む以外何もできないことに気付かされた。 |
酒壺・参 |
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ふん…風車が好きな女の子を救っちまった。この何の意味もない命がここで果ててもかまわない。 |
酒壺・肆 |
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私の家の地下室には女の服が隠れている…実は、それは私の…このまま永遠に気付かれなければいいんだが。 |
風車
風車・壱 |
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お父さんとお母さんが戻ることはないみたい。でもお爺さんが教えてくれたの、この風車がまだ回っている限り、彼らはまだ私のそばにいるって。だから、風車を無くしてはいけない。 |
風車・弐 |
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闇と戦う戦いで、皆家族を失った。 |
風車・参 |
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見た目が怖そうだけど、実はとても優しいおじさんたちに出会った。ごめんなさい、あなた達の遺志を継いで生き延びることはできなかった。 |
風車・肆 |
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お爺さんは「迷子になったら、他のところに行かないで、そのまま待てばいい」と言ってくれた。そうすればお爺さんは私を見つけて家まで連れて帰ってくれるって。でもお爺さんはもう死んでしまった。おうちに連れ帰ってくれる人はもういない。 |
莫蓙
莫蓙・壱 |
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ずっとずっと流離っていた。城壁の下で一晩寝ようと思ったが、やはり追い払われた。 |
莫蓙・弐 |
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草のむしろはとてもとても暖かくて、まるで家のようだ。私は私の家を、私と同じく地面に寝そべる男の子と分け合った。彼もまた、帰る家を失ったのか? |
莫蓙・参 |
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夜風は寒いな、でも炎はとても暖かくて綺麗だ。それは私が最後に考えたことだった。 |
莫蓙・肆 |
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「おい!私の供物を食べるな。」これを墓碑に刻んだから、いつ死んでも構わないぞ。しかし俺は本当に供物を貰えるかな…? |
高価な太刀
高価な太刀・壱 |
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反抗軍に参加して何が悪い?皆はどうせ死ぬんだから、無抵抗のまま殺されるより、反抗して死ぬほうがましだ! |
高価な太刀・弐 |
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外は寒い、もし彼に家に帰ってくれと頼まれれば、帰ってやらないこともないが…どうして武士はなぜまだ俺を見付けていないいんだ!お前の若様は寒さに耐えられなくて死にそうだ! |
高価な太刀・参 |
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一族の跡継ぎたるこの俺が、物乞いと一つのむしろを分け合えなければならないなんて。確かに大分暖かくなったけど、俺はこの臭い匂いに殺されそうだ!明日は彼を家に連れ帰って、風呂に入らせよう。 |
高価な太刀・肆 |
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…どうして逃げないんだ、馬鹿!燃え盛る火の中から俺とあの物乞いを助けようとするなんて、このままじゃ皆死ぬぞ。それじゃ無意味だ。 |
斧
斧・壱 |
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強盗とは、強者に諂い、弱者を虐める者のことだ。 |
斧・弐 |
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俺もかつては厳島の神の敬虔な信者だったが、信仰は野蛮な強盗に殺された俺の妻と娘を蘇らせてはくれなかった。 |
斧・参 |
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弱肉強食はとても普通のことだ、どこでも起こりえる。貧しい場所であるほど、よく起きる。 |
斧・肆 |
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あの子は俺の娘のように可愛いらしい。俺みたいな極悪人でも、彼女が生き延びることを望んでいる。神よ、どうか彼女を助けてくれ。 |
夜荒魂面具
夜荒魂面具・壱 |
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うちの若様を見かけませんでしたか?身長はこのくらい、いつも生意気なことを言う、嫌われやすい子供です。見かけませんでしたか、ありがとう。うちの若様を… |
夜荒魂面具・弐 |
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反抗軍は確かに数日前、そんな子供が来たと言っていた。あまりにも若すぎたから断ったって。きっと若様だ!この道を辿っていけば、必ず若様を見つけられる。 |
夜荒魂面具・参 |
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若様が家出してからもう二日経った。本当に意地っ張りな子だ、今までこんな長時間家を離れたことがないのに。水を飲んだら再び若様を探し始めるぞ。 |
夜荒魂面具・肆 |
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はますます混乱していて、何かが起こりそうだ。町の外での戦闘もうまくいっていないらしい。早く若様を見付けないと。わ、若様を見つけたぞ…危ない! |
松明
松明・壱 |
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お日様はここが好きじゃないけれど、ここにも花がある。仲間から貰った乾燥した花をいつも大切しているんだ。 |
松明・弐 |
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私はまだ長き昼を見たことがない。よく考えてみたら、いつも昼のままっていうのもなんだか怖いな。 |
松明・参 |
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父さんと母さんはまた戦場に行かなければならない。彼らはとても長い間私を見つめている、まるでもう会えないみたいに。 |
松明・肆 |
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私は炎に呑み込まれ、肌身離さず持ち歩く乾燥した花は一瞬で灰になってしまった。もうすぐ痛くなくなるから、私はそう自分を慰めた。 |
三味線
三味線・壱 |
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楽師一族の最も優れた天才は間違いなく、命律和光音の兄弟五人だ。私はただ陰で音さんを慕う、ごく普通の楽師にすぎない。 |
三味線・弐 |
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私はたまたま音さんの歌声を聞いたことがある。とても美しい声だ。同行していた人が、調律師様の音楽には兵士達を癒せる不思議な力が宿っているのだと教えてくれた。 |
三味線・参 |
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私は三味線を弾いている。音さんの音楽は兵士達を奮い立たせるが、私が弾く曲は人を楽しませる以外に何もできない。 |
三味線・肆 |
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戦いの後、私は神社へ向かった。私も…音さんのように、厳島を守るため、役に立つことはできるだろうか? |
羽
羽・壱 |
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神社は、厳島の最後の楽土だ。 |
羽・弐 |
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律の言う通り、星の律が狂った、暦法を書き直すべきかもしれない。しかしその代償を…音が払うことを私は望まない。 |
羽・参 |
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全ては運命なのだ。厳島の未来は、新旧交替の中で書き換えられる。 |
木櫛
木櫛・壱 |
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私の一人目の子供は、白昼を迎えずに長き夜の中で病死した。彼が死んだあと、私は一筋の光が空で一瞬輝いたのを目にした。 |
木櫛・弐 |
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町は突然に混乱に陥った。どうやら結界が壊されたらしい。反抗軍は皆に、神社の祭壇へ避難するよう指示を出し、人々は我先にとそこへ向かった…押さないで! |
木櫛・参 |
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別に文句を言いたいわけじゃない。こんなところに生まれたから、生きているだけで神様のおかげとも言える。 |
木櫛・肆 |
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ここに生まれたこと自体が不幸なのかもしれない。私は私の最後の子供を失った。子供たちよ、怖がらないで、お母さんも一緒だから。 |
血塗れの布
血塗れの布・壱 |
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後ろには厳城と一族の人々、そして俺が最も愛する家族がいるんだ。俺は逃げない、俺は彼らを守るんだ! |
血塗れの布・弐 |
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反抗軍の生活は本当に退屈だな。毎日訓練ばかりだ。あの女達は本当によく耐えてきたな。俺はもっと頑張って、最前線で彼女達を守るんだ! |
血塗れの布・参 |
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来世はもう戦いたくない。白昼の下で生きて、うう、素敵な可愛い笑顔の女の子と恋したいよ! |
血塗れの布・肆 |
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師匠は左足を失ってからずっと悲しい顔をしていた、彼の孫娘が生まれるまではな。 |
支える杖
支える杖・壱 |
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孫娘はいつもわしの足のことを聞きたがっているが、話すほどのことでもない。この命をかけてあなたを救ったことは、一度も後悔していない。 |
支える杖・弐 |
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孫娘は将来反抗軍になると言っている。今はわしが彼女を守るが、その後は彼女がわしを守ることになる。 |
支える杖・参 |
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手に風車を握っている女の子を、見かけたことはあるか?彼女は迷子になった。わしは何度もその質問を繰り返した後、やっと彼女の情報を手に入れた。わしの可哀想な孫娘よ。 |
支える杖・肆 |
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わしはどうして孫娘とはぐれてしまったんだ…そうか、わしが死んで亡霊になったからだ。妖魔が襲ってきた時、わしはこの身で妖魔を食い止めて、孫娘に隠れろと言うことしかできなかった。 |
薬草の箱
薬草の箱・壱 |
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最近町の皆は全員浮足立っている。負傷者の数が以前よりずっと増えた。私の腹の中にいるこの子は、無事に生まれることができるのかしら。 |
薬草の箱・弐 |
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…結界はこれ以上持たないと、知らせが来た。反抗軍は人々を連れて避難しに行ったが、道中では皆ずっと黙っている。誰も、一人では動けない病人達のことには触れなかった。 |
薬草の箱・参 |
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これが厳島の運命なの?まだ生まれていない我が子よ、あなたが生まれていなくて本当によかった。お母さんは無力だから、あなたを守ることができない。 |
薬草の箱・肆 |
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昔ある子供の治療をしたことがあったけど、結局その子を救えなかった。子供の両親の泣き声は今になっても、まだ私の耳元で響いている。 |
雅楽の邦の登場人物
緊那羅 / 音(おん) | 律(りつ) | 命(みこと) |
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藤原道綱 | 垢嘗(あかなめ) | 蒿雀(あおじ) |
藤原の武士 | 厳島兵士 | 陽太 |
厳島の民 | 夜荒魂 (よるのあらたま) |
真夜荒魂 |
雲外鏡・陰 | オロチ | |
※いつものメンバー除く
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奏曲 |
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破の歌&急の楽 (時限ボス) |
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