【陰陽師】護世の光ストーリーまとめ【ネタバレ注意】
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『陰陽師』の護世の光イベントのストーリー(シナリオ/エピソード)「光導く道」と「渺念の旅」をまとめて紹介。章ごとにストーリーをそれぞれ分けて記載しているので参考にどうぞ。
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序章
序章ストーリー |
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イザナミが闇黒の空から顔を覗かせ、なまめかしく笑っている。再び降臨を果たした彼女は、最初の言葉を述べる。【イザナミ】 「牢獄は砕け散り、この身を縛るものはなくなった。さあ、私を迎え入れるのです。死の哀歌を奏で、もがき苦しむ醜態を晒しながら、逝くがいい。破滅は常に、慈愛に満ちている。すべての命に、安らかな眠りを齎(もたら)しましょう。我が慈悲を――称えよ!」晴明、神楽、小白、源博雅、八百比丘尼が巨大なイザナミへ目を向ける。【晴明】 「破滅の根源、破滅の現し身、それが彼の女神の本質……都の陰陽師が総力を結集して結界を修復している。時間を稼ぐぞ。」神楽、小白、源博雅、八百比丘尼が一斉にうなずき、戦闘が始まる。だが、生身の人間が神相手では、太刀打ちできるはずもなかった。【晴明】 「すべての陰陽術をもってしても彼女には傷一つつけられないだろう……」晴明は危機に察知し、警戒を促す。【晴明】 「来るぞ!」イザナミの力が急激に高まる。しかし当の本人は、涼しげな顔で悠々と口を開いた。【イザナミ】 「虚無の海で過ごしてから幾星霜、あやうく破滅の喜びを忘れるところだったわ。破滅へと向かう結末は、いつも同じだけだけれど、それに至る道筋はそれぞれの趣きがあった。さあ、私を受け入れなさい。さすれば、あなたたちに死の奥深さを教えましょう。」アマテラスが現れ、イザナミの攻撃を防ぐ。【アマテラス】 「今です!スサノオ、荒、天羽々斬(あめのはばきり)を使います。裁きを、ここに!」【荒】 「裁きを、ここに!」【スサノオ】 「裁きを、ここに!」【イザナミ】 「アマテラスよ。この世界に再び戻ってくるために、ずいぶんと苦労したのよ。それなのに抱き締めてもくれないのね。」【アマテラス】 「再びこの世に足を踏み入れたその瞬間から、あなた様は……世界の敵、なのです。」【イザナミ】 「永き別れの日々もあなたを変えることはなかったようね。」【アマテラス】 「その言葉、そのまま返しましょう。」【スサノオ】 「アマテラス様。地上の守りに徹するため、神軍の配置を終えています。」【荒】 「虚無の侵食を防ぐために各地にも神々を派遣しましたが……結界は長く持たないでしょう……」【アマテラス】 「今日のために、私は高天原を築きました。イザナミの動きをしばらくは止められるでしょう。高天原こそが、私たちにとっての最初の防衛線なのです。そして、結界の維持には膨大な力が要ります。スサノオ、荒、ここはそなたたちに任せます。」【スサノオ】 「アマテラス様……また、行かれるのですか……」【アマテラス】 「いいえ、私はただ、運命を受け入れると決めただけです。これより、破滅の女神に対抗するために、私は浄化された悪神を取り込み、完全なる神格と力を取り戻します。」【晴明】 「ならば、我々は一足先に都に戻り、鬼王たちとともに天羽々斬の守護に当たります。必ず第二の防衛線を守り通しましょう。」【アマテラス】 「太陽の光は、これまでと同様、満遍なく地上に降り注ぎます。しかし、破滅に対抗するには、生きとし生けるもの、皆の協力なくしては叶わないことでしょう。神と人、この瞬間において言わば一心同体、イザナミに対抗するために、どうか力を貸してください。」 |
第一章
第一章ストーリー |
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【イザナミ】 「創世の光景は、世界を滅ぼす光景と大して違わないわ……あら、お目覚めのようね。」【アマテラス】 「覚醒してから、最初に見たものが「かの女神」でした。彼女の姿は熱き溶岩の上にあり、炎に照らされた唇がちらちらと赤く彩られていました。そしてその瞳に映るのは、揺れる炎に包まれた混沌でした。この時、私は美しさとはなにかを知ってしまったのです。天と地が何物であるかを知るよりも先に……」【イザナミ】 「何を、見惚れているのかしら。」【アマテラス】 「永い時間、眠っていたみたい。大事なことをたくさん忘れてしまったような……」【イザナミ】 「確かに、ここまでたどり着くのは容易ではなかったわ。でももう大丈夫。彼との戦の中で、私があなたを救ったのよ。さて、過ぎたことより、周りをよ~く見なさい。」【アマテラス】 「ここには、なにもない……」【イザナミ】 「遠い昔に、彼とともにこのような光景を見たことがあるわ。今は、その相手があなたに変わったけれど……虚無から存在へ、存在から虚無へ。私は何度も何度も同じように繰り返してきた。もう一度、よく見て。なにが、見える?」【アマテラス】 「闇と、混沌しか……」【イザナミ】 「あなたの目の前にあるのは——世界、そのものよ。」【アマテラス】 「せ、かい?」【イザナミ】 「さあ、私の手を握って。共に世界を創造しましょう。あなたの力でここを照らし出すのよ。」イザナミが前へ一歩踏み出し、アマテラスも釣られて一歩前へ歩き出した。【イザナミ】 「まずは世界を天と地に分ける必要があるわ。さあ、手を伸ばして集中するのよ。」【アマテラス】 「あれは?指先から飛び出したのはなに?」【イザナミ】 「名を与えたいのであれば、山の神と名付けるのが良いでしょう。二人の足から星の道が伸びていく。」【イザナミ】 「万物には置かれるべき場所があって、人々には辿り着くべき場所があるのよ。 <軽く笑みを見せる> 舞いを教えるわ、私と一緒に踊りましょう。」二人の踊りに合わせて、島々が現れ始める。【イザナミ】 「混沌がいまだに満ちるこの世界で、原初を共有したのは、私とあなたのふたりだけ。この瞬間をよく憶えなさい。決して……」【イザナミ】 「私を、裏切らないで。さて、あなたの吐息は世界に最初の風をもたらしたわ。風の神は世界の隅々まで、この吐息を運ぶことでしょう。」風の音が聴こえた。【イザナミ】 「でも、もう少しだけ足りないものがあるわ。この水をあたりに振り撒きなさい。」雨が振り出した。【アマテラス】 「あそこで雨雲を紡ぎ出しているのは雨の神……かな。」【イザナミ】 「ええ、まそにその通りだわ。」【アマテラス】 「次は何を作ればいい?」【イザナミ】 「私に聞くのもいいけど、あなたは何を創りたい?」【アマテラス】 「私が創りたいもの?今ここには天と地があって、星空も見上げられる。山と海、風と雨もできたのに、それでも私たちだけでは寂しい……だから、この想いで生命の神を創りましょう。さあ、世界に生命の種を撒いてきて。彼らとこの世界を分かち合いたい。」【イザナミ】 「さすが光を司る女神。では、私は彼らに命の終わりを授けましょう。」前方の島に小鹿と蛇が現れ、蛇が小鹿に巻き付いている。アマテラスがその島に赴く。【アマテラス】 「蛇が鹿を傷つけている!」【イザナミ】 「それを見て、あなたはどうしたい?」【アマテラス】 「助けてあげたい……」アマテラスが小鹿を助け、蛇が離れた。【イザナミ】 「もうしばらく、ここで様子を見てましょうか。」時が流れていく。小鹿が倒れた。【アマテラス】 「えっ、どういうこと……」【イザナミ】 「生には法則があるわ。生がある限り、強弱の違いが伴う。自然と狩る側と狩られる側が生まれる。あなたが鹿を助けたことで、腹を満たせなくなった蛇は死に、代わりに鹿は繫栄を極めた。でも、食べ物は有限だわ。生きるための糧が足りなくなれば、今度は鹿が飢え死にする。」【アマテラス】 「世界への干渉はよくない……ということ……?」【イザナミ】 「いいえ。より高い視点、より長い目で、より深く考えて行動すべきだわ。あの瀕死の鹿だけに気を取られるのではなく、世界全体のことを考えるのよ。」【アマテラス】 「……あなたの名前を、教えて。」【イザナミ】 「ふふ、よく憶えておきなさい。あなたは、アマテラス。そして私は、イザナミ。」 |
第二章
第二章ストーリー |
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【イザナミ】 「アマテラス、何を見ているの? 最近、よく窓の外を眺めているようだけれど。今日も「創造」に手抜かりがないか確認した?「良き」世界には、計画に沿って忠実に事を運ばなければならないのよ?」【アマテラス】 「天地がまだ一つだった頃、イザナミ様と初めて創世を行なった時の感覚は、確かにこの胸に深く刻まれているのに、今ではその感覚が全く異なるもののように感じます。なぜなのでしょうか?長きにわたる時が、そうさせたのでしょうか。イザナミ様は、持ちうる知識のすべてを私に授け、いつも優しく私の疑問に答えてくれます……しかし時々、あなた様は儚くて遠い存在のように感じます。近くにいるのに、とても遠い。なぜそう思えるのでしょうか?もし私に手抜かりがあって、完璧ではない世界を創ってしまったら?」【イザナミ】 「完璧でないと、存在する意味がない。彼が私を裏切り、彼らも私から引き離された。アマテラス、あなただけが私のものなの。だから、あなたは私と同じであるべきなのよ。」【アマテラス】 「よく、わかりません……」【イザナミ】 「この体はもう限界を迎える、私はしばらくこの世界から離れるわ。」【アマテラス】 「イザナミ様、どちらへ?」【イザナミ】 「遠く離れた場所、私たちの始まりの地。」イザナミがアマテラスを抱き寄せる。【イザナミ】 「約束して。もう二度と、私をあの場所へ行かせないで。これで最後にして。」【アマテラス】 「うん……」イザナミが世界から消えた。【イザナギ】 「アマテラス……アマテラス……」【アマテラス】 「誰ですか?」【イザナギ】 「ここだ……アマテラスよ……君は、この世界の花の香りを知っているか?」【アマテラス】 「花の香り?」【イザナギ】 「形だけを知り、その意味を知らないのは、創造主失格ではないか?」【アマテラス】 「私は創造主を名乗ったことなどありません。」【イザナギ】 「なるほど、それは役目だけを果たし、責任を負わないことになる。」【アマテラス】 「意味だの責任だの、一体なんなのです?あなたは誰ですか?」【イザナギ】 「それは自分で「体験」してくるといい。私は、ただの故人にすぎない……」【アマテラス】 「「体験」?声が……(その問いかけは、ずっと私の脳裏に残り続け、ついに私は宮殿を飛び出し、自分が創り上げた世界へと足を踏み入れた)ここに来るのは、久しぶりです。これが花?<嗅いでくしゃみする>(花というのは見るものであり、弄ぶものではないようですね……)草、露、泉、落ち葉……風の音、水の音、芽吹く音……これが「体験」……?イザナミ様は、この世界を俯瞰して見るよう教えてくれましたが、こんなのにも世界に奥行きがあったことは教えてはくれませんでした。創世の時とまったく同じはずなのに、今日の空は一段と鮮やかに感じます。ん?何か音が……」前方に島が見え、そこには小さな少女が泣いていた。アマテラスが少女のもとへ向かう。【アマテラス】 「どうしたのです?」【怜奈】 「<心細く泣いている>」【アマテラス】 「(彼女はいま、激しい感情の渦の中にいるようです……)」女の子はただひたすら泣いている。アマテラスが隣の木からりんごを摘み、女の子に渡すと、ようやく泣き止んだ。【怜奈】 「ありがと……」【アマテラス】 「(命には、様々な感情と欲望があると、かつてイザナミ様はおっしゃった。そして、私はこの女の子から悲しみ、怯え、無力感、迷いを感じた……あんなにたくさんの感情を、一粒の涙に凝集させるなんて……)ここで何をしているのです?」【怜奈】 「あたし、迷子になって、家に帰りたいけど道がわからなくて……お姉ちゃんはこの森によく来るの?あたし、怜奈っていうんだけど、家に連れてってくれる?」【アマテラス】 「一応ここのことは、よく知っているつもりですが……それで、ここへ来る途中に何を見たか、話してくれますか?帰り道の手がかりになるかもしれません。」【怜奈】 「来る途中……そういえば、猫ちゃんの鳴き声が聞こえた。」【アマテラス】 「どうやらこちらのようですね。まだ怖いのでしたら、手をつなぎましょう。さあ、行きますよ。」アマテラスと怜奈が、お腹を空かせた野良の子猫の前まで歩いていく。怜奈は、さきほどアマテラスからもらったりんごを猫に食べさせた。元気を取り戻した子猫は怜奈とアマテラスの足元にまとわりつく。【アマテラス】 「あなたもお腹が空いているのでしょう?どうしてたった一つのりんごを猫にあげたのです?」【怜奈】 「お腹は空いてるけど、少しだけだよ。でもこの子は食べないと死んじゃうから……あたしのお母さんも道端で倒れたことがあって、通りすがりの人が助けてくれたの。でなきゃ、お母さんは生きてなかったし、あたしを生むこともできなかった。もしかしたら、今日、迷子になったのも、この子を助けるためだったりして?」【アマテラス】 「そう……ですか……では、次はどちらへ?」前方に二つの妖怪島が現れた。一つは赤舌がいて、もう一つは寄生魂がいる。【怜奈】 「そうだった!来る途中、暗いとこからたくさんの目があたしを見つめて、それで怖くなって走ったら、道を間違えちゃったんだ。どっちも怖い……どうしよう?」アマテラスが壇上の妖怪を倒した。【怜奈】 「お姉ちゃんすごい!あたし、お姉ちゃんのように化け物をやっつけて、自分で帰り道を見つけられる大人になりたい!」【アマテラス】 「ふふふ、行きましょうか。」【怜奈】 「どっちの道とも、あたしの家に通じているはず。」二人は一台の水車の前に来た。【怜奈】 「お父さんがね、これがあれば、畑仕事がやりやすくなるって!」【アマテラス】 「これは自分で創ったのですか?」【怜奈】 「そうだよ、お父さんと村のおじさんたちと一緒に作ったの。」【アマテラス】 「形なき水に、このような使い道があったとは……なんて不思議な創造力、そしてなんと素晴らしい自然の使い方でしょう。」【怜奈】 「もうすぐ家みたい!次はどの道を行くの?」二人は畑の前に来た。【怜奈】 「昔、この近くでかくれんぼするのが好きだったんだぁ。でも前に、うっかり作物を踏んじゃって、お父さんに怒られちゃった。」【アマテラス】 「この世の四季は、混沌から秩序への移り変わりだけだと考えていましたが……人間がこの抽象的な概念から実りを得るとは、思いもしませんでした。」【怜奈】 「お姉ちゃん、果樹はこれだけじゃないよ。いろんな果樹があるんだぁ~。あとでお姉ちゃんにも見せてあげるね。」【アマテラス】 「あなた達は、他にも果樹の種類を知っているのですか?」【怜奈】 「うん!食べられるもの、食べられないもの、みんなぜ~んぶ見分けられるよ。」【アマテラス】 「私より、あなた達のほうがこの世界に詳しいようですね。」二人は壁画の前に来た。【怜奈】 「お姉ちゃん、この絵の中の人に似てるね!」【アマテラス】 「この壁画は……?」【怜奈】 「みんなが神様に感謝をしているんだよ。神様が大地を作って、みんなに食べ物をくれたから。心を込めて祈ると、神様はお願いを聞いてくれて、助けに来てくれるの。だから、感謝の気持を込めて……」【アマテラス】 「(私への感謝、ですか……?)行きましょう。」日が暮れて夜の帳が降りた。【アマテラス】 「震えているようですが、まだ怖いのですか?」【怜奈】 「ううん、ただ、夜だから、ちょっと寒くて……」【アマテラス】 「寒い……?ならば、これでどうでしょう?」アマテラスは壇上の篝火を灯す。【怜奈】 「わあ、あったかい!お姉ちゃんもこっち来て!」【アマテラス】 「楽しそうですね。」【怜奈】 「うん!昔、寒い時は、お兄ちゃんやお姉ちゃんと一緒に抱き合って寝てたことを思い出すの。どんなに寒くても、みんなで抱き合えば、ぽかぽかになる……いいなあ……これを家に持って帰れたらいいのに。お兄ちゃんやお姉ちゃん、そしてお父さんお母さんも温めてあげたいなぁ~。」【アマテラス】 「この篝火が好きなのですか?」【怜奈】 「うん!大好き!お姉ちゃん、もう寒くないから行こ?」二人は怜奈の家の門前まで来た。【怜奈】 「お父さん!お母さん!」【怜奈の母】 「怜奈!」【怜奈の父】 「怜奈!」【怜奈の母】 「どこへ行ってたの!?ずっと戻ってこないから、お父さんが森へ探しに行くところだったのよ!」【怜奈】 「今日はちょっと遠回りして、それで迷子になっちゃって……でもね、このやさしいお姉ちゃんが助けてくれたよ。神様にそっくりでしょ、家まで連れてきてくれたの!」【怜奈の母】 「なんてお礼を言ったらいいか……!お嬢さんがいなかったら、この子は今頃……」【怜奈の父】 「きちんとお礼をしたいので、ぜひ我が家にいらしてください。」【怜奈の母】 「ええ、粗末なものしかありませんが、よかったら。」【アマテラス】 「お構いなく。あまり長居はできないので、ここで失礼します。」【怜奈の母】 「それは残念です……では今度、またいらしてください。待っていますから。」【アマテラス】 「また、来てもよろしいのですか?」【怜奈の母】 「はい、ぜひ!」【アマテラス】 「<思わず笑みを浮かべる>……ありがとう。」【怜奈】 「お姉ちゃん、もう行っちゃうの?はい、これあげるっ!」【アマテラス】 「これは大事なお人形なのでしょう。あなたが持っていなさい。またあなたと子猫に会いに来ますから。」【怜奈】 「うん!あたし、もう迷子にならない!ちゃんとお家でお姉ちゃんを待ってるね!」アマテラスが最初の島に戻った【イザナギ】 「「体験」したようだね。」【アマテラス】 「あなたは一体、誰なのです?」【イザナギ】 「私が何者であるかは関係ない。どうした?混乱しているようだが。」【アマテラス】 「私は世界を創りました。しかし、自分が創ったものをよく知りませんでした。創造物が互いに惹かれ合い、影響し合い、単調な世界を豊かに、色鮮やかにしました。世界を美しく輝かせたのは、彼らです。私はこの世界を創造しましたが、主ではありません。そこに生きる命こそが、世界の主だと気づきました。ですが、私は落ち込んでなどいません。むしろ……なにか……新しい感情が芽生えようとしています……」【イザナギ】 「アマテラスよ、己の「責任」を考えるべき時が来たのだ……」 |
第三章
第三章ストーリー |
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今までと違って、瘴気が空間全体に充満し、雷鳴と稲妻が交じり合っている。空にはイザナミの声が響き渡る。【イザナミ】 「世界よ、私を迎え入れなさい。虚無の海より戻った、この私を!あなた達のために、最高の贈り物を用意したわ!猛烈な破壊と、万物の哀歌。<失笑から高笑いへ「うふふふ…… あはははははは!」>」怜奈の家が瘴気に包まれ、彼女の両親が地に倒れ、彼女は無力にも泣いている。【怜奈】 「お父さん……お母さん……」【怜奈の母】 「怜奈……逃げて、はやく……」【怜奈】 「お母さん!お母さん!お願い!起きって! うううぅ……どうしよう、こわいよぉ……ううぅ……、そうだ、お姉ちゃん、お姉ちゃんを探さないと……お姉ちゃんなら、きっと……」怜奈が子猫の住処に行って、子猫を連れて行く。【怜奈】 「猫ちゃん、行くよ!こっち!」怜奈は水車の方まで走ると、そこの井戸から赤黒い瘴気が湧き出し、蛇が現れた。【怜奈】 「蛇がお父さんたちの水車を壊した……もう、作物を踏んでも、怒ってくれる人はいない……つかれた……でも、ここで止まっちゃだめ……猫ちゃん、頑張って、もうすぐだよ……もうすぐ着くから。」怜奈はようやくあの日の篝火の所にたどり着いた。その篝火はまだわずかに燃えている。【怜奈】 「あの時、お姉ちゃんが残した火だ!どうしよう、消えちゃう!でも大丈夫、また灯せばいいんだ。」怜奈の手によって再び火が灯く。【怜奈】 「やった!ついた!」怜奈が優しく子猫を撫でる。【怜奈】 「猫ちゃん、火は暖かいだけじゃなくて、闇を照らすこともできるんだよ。蛇たち、火が怖くて逃げてったみたい。もう大丈夫。」【子猫】 「にゃ~。」【怜奈】 「大丈夫、こわくないよ。あたしが守ってあげるから。お姉ちゃんを見つけたら、きっと助かる、だって、お姉ちゃんはすごいんだもん。」突然、空からイザナミの声が聞こえ、怜奈は困惑して周りを見渡す。【イザナミ】 「この世界を、私の降臨の最初の足がかりとしましょう。ふふふ、イザナギよ、いくら私の行く手を阻もうとしても、無駄よ。私は破壊に永久不滅の執着を持つ! それがあなたとの違いよ!あなたが大事にするもの、守りたいもの、そのすべてを私が破壊し尽くしてみせましょう。」周りの瘴気が篝火に流れ込み、一瞬にして、火がより大きく、派手に燃え上がった。【火の神】 「滅びよ……アハハハ……滅びよ!」【怜奈】 「ひ、火が化け物に!」【火の神】 「滅びよ……アハハハ……滅びよ!」炎が怜奈を襲う。【怜奈】 「きゃー!」【子猫】 「にゃぁー!」子猫が怜奈の前に飛び出して炎の攻撃から彼女を守り、そして倒れた。【怜奈】 「いやーっ!猫ちゃん!」【火の神】 「アハハハ!燃えろ燃えろ!何もかも燃え尽きろ!お前も灰にしてやる!走れ!走れ!死ぬ気で走れ!」プレイヤーが女の子を操作して逃げ、長い道を駆け抜ける。炎に追われる女の子が逃げ出した先に、アマテラスの姿が現れる【怜奈】 「<走る時の息切れするような呼吸音+怖がる泣き声>お姉ちゃーーん!」【アマテラス】 「(呪文を唱える声)」周囲が赤黒い瘴気に覆われ、枯渇し、崩壊していく。アマテラスは阻止するために懸命に駆け回っている。【アマテラス】 「怜奈!?くっ!」【怜奈】 「お姉ちゃん、助けて……」【アマテラス】 「(呪文を唱える声)」【怜奈】 「えっ……?」【アマテラス】 「大丈夫、もう大丈夫ですよ。私が怜奈を守ります。」【怜奈】 「うん!」火の神の攻撃が怜奈にあたった。【怜奈】 「ぐっ……ううっ!」【アマテラス】 「そ……そんな!怜奈!大丈夫、方法はある。怜奈を助ける方法が……きっと……」【怜奈】 「おねえ、ちゃん……みつけた……これ……やっぱり、あげるね…………」【アマテラス】 「怜奈……!」プレイヤーはアマテラスを操作して敵を倒しながら徐々にイザナミに近づく。アマテラスはイザナミがいる壇上に到着した。イザナミは宙に浮かび、島は瘴気に包まれている。【アマテラス】 「私は一日にして世界を創り、無数の日々を費やし、磨き上げてきました……なのに、破壊するのは、ほんの一瞬なのですね……私が今までしてきたことには、なんの意味があったのでしょうか? 私の責任とは、一体なんなのですか!?まだ天地が混沌としていた時、山と河、風、雨と雪の誕生に、私は確かに喜びを感じましたが……生命の種が大地に蒔かれ、荒廃した山々や、形のない雨風に、人の命に宿る心と情が満ちていき、この世界に意味を与えていった。そのおかげで、私は今、真の喜びを知りました!イザナミ様、私に世界の概念を教えて、一歩ずつ私を導いてくれたのは、あなたです。最後にもう一つだけ聞かせてください。どうして、このようなことをするのですか?世界が完璧ではないからですか?私が手抜かりをしたからですか?それとも、私に教えなかった真実が故ですか!?」【イザナミ】 「アマテラス、天地開闢の折に約束したでしょう。決して私を裏切らないと。なのに、あなたは自分が何を言っているのか、わかっているの!?結局、あなたも彼の味方なのね……アマテラス、創造の先にあるのものが何か、知っている?――破滅なのよ。私は悠久よりも古き存在、永遠よりも不滅の象徴。破滅の女神とは、このイザナミのことよ。」【アマテラス】 「でしたら、私は何なのですか。」【イザナミ】 「私が破壊を続けるために、あなたは生まれた。世界を創るあなたを、私が創った。」【アマテラス】 「そんな……」【イザナミ】 「アマテラス、もう一度問うわ。私たちは、かつて共に創世の舞を踊った。――そして今、共に破滅の舞を踊るつもりはある?」【アマテラス】 「あなたのことを師匠として仰ぎ、道標だと思っていました。しかし、すでに最後の問いを終えた私に、もう師匠などいません。」【イザナミ】 「あなたも、約束を破るのね……ならば、己の運命を受け入れ、その肉体を私に捧げなさい。この世界における私の器となれ!」イザナミはアマテラスを攻撃。アマテラスの足場が崩され、闇の中へ落ちた。 |
第四章
第四章ストーリー |
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アマテラスが空中に浮かぶ小さな浮遊島で目を覚ました。近くに怜奈のわら人形が浮いており、アマテラスがそれを拾った。【アマテラス】 「怜奈……守れなくて、ごめんなさい。あなたがどこに行こうとも、温かな光が、あなたと、この大災害で亡くなったすべての生命を照らし続けることを願っています。さようなら、怜奈……」アマテラスの体から小さな光の粒が放出される。アマテラスは立ち上がり、荒んだ世界を眺める。家々、死体、木々、すべてが砕け散ってしまった。一番近いところに壁画の石碑が浮かび上がった。アマテラスは石碑の方へ歩いた。人間たちによって描かれた自分の壁画を見て、アマテラスは怜奈の言葉を思い出した。【アマテラス】 「世界はほぼ破壊され、命の気配もほとんど消え去りました……イザナミ様は……世界を滅ぼすために私を生み出し、そして、私の運命は彼女の器になることだと言いました。彼女が力をすべて取り戻せば、きっと、私の体は容易く乗っ取られてしまうでしょう。結局、私という存在を一番理解していなかったのは、他ならぬ私だったのですね……私は……イザナミ様には敵わないかもしれません。しかし、まだできることはあるはずです。彼女がすべてを滅ぼすのなら、私がすべてを元に戻しましょう。」アマテラスは前へ進み、体から光が放たれる。その光が差すほうに、小さな浮遊島が浮かび上がった。そこには、怜奈と一緒に見てきたものがあった。【アマテラス】 「世界が生まれ、幾星霜……私はこの世界のすべてに身命を投げ打ち、なによりも大切に、大切に見守ってきました……たとえ不十分なところがあっても、幾度となく修復し続けて……そうして、世界のために全身全霊を捧げてきたと勝手に思い込んで……それが創造主の傲慢であることに、気づきもしませんでした……」アマテラスは島にかがり火を灯し、たちまちこの島が修復された。【アマテラス】 「この傲慢さゆえに、「世界」を漠然とした概念でしか見ていなくて、形だけの「作品」にしてしまったのです……」アマテラスが次の島へ行く。 イザナミの幻影が現れ、冷たい視線を向けてくる。【イザナミ】 「まだ、この世界を元に戻そうとしているの?世界は確実に崩壊していく。あなたひとりの力では、覆すなど到底無理よ。」【アマテラス】 「イザナミ様、かつて私に何を見ているのかと聞きましたね。長きにわたる創世の日々の中で、私は常に万物を見つめ、彼らの誕生、成長、消滅を観察していました。」アマテラスは島にある壁画に触れ、たちまち島が修復された。【アマテラス】 「私は、巨石を突き破って芽吹いた草を見ました。生きるために尾を切る、一匹の守宮(やもり)を見ました。極寒の雪原で獲物と戦う狼たちや、森の中でさえずる鳥たちを見ました。洪水に襲われようと、手を取り合って、大きな津波を乗り越える人間たちを見ました。」アマテラスは歩を進め、次の島へ行く。 力を使いすぎたか、歩みが遅くなってきた。【アマテラス】 「でも……世界のあらゆる物を見てきたというのに、私自身はそれらに触れようともせず、その意味を真に理解しようとしませんでした。「形だけを知り、その意味を知らない」……あの声の言う通り、これが創造主たる私の罪……私は「物」を創造することに専念していましたが、実際にこの世界を彩り、繋いでくれたのは、無数の命が持つ信念、欲望、そして感情です。」アマテラスが果樹に触れ、たちまち果樹の森が修復された。そして、アマテラスの輝きが一層暗くなった。【アマテラス】 「物事に秩序はあっても、感情にはありません。今になってやっと気づいたこともまた、創造主としての私の罪です。」【イザナミ】 「あなたが見た景色を私も見てきた。何度も何度も。それら全部、陳腐で、中身のない腐ったものばかりよ。でもそうね、あなたが私に背いた理由はよくわかったわ。私が虚無の海に戻っている間、隙をついて、いらぬことを吹き込んだ者がいたようね。うふふ、イザナギ……あなたは本当に、どこにでも入り込むのね。うふふ、本当に、どこにでも入り込むのね。アマテラス、どうして、あなたが万物に向ける目を、私にだけ向けることができないの?」アマテラスは前へ進める。ただ、歩みが大分遅くなり、顔に汗が出ている。【イザナミ】 「かつて、私たち二人しかいなかった日々を思い返してみなさい。未熟なあなたを辛抱強く導いたのは誰?妖怪に傷付けられたあなたを守ったのは?あなたが雲に向かって微笑んだ時、その喜びを分かち合ったのは?あなたが寂しい時、そばにいたのは?天地が分かれて以来、私のあなたへの思いは、風がすべて知っているわ。あなたにはわからないでしょうけど、世界には終焉があるの。私はただ、その摂理を守っているだけ。それが私の運命よ。」イザナミの表情に一瞬、悲しみが過った。【アマテラス】 「イザナミ様……」アマテラスが島一面の畑を修復した。そのせいで、アマテラスの輝きがまた暗くなった。歩みはもちろん、顔の汗がはっきりと見える程度になる。【アマテラス】 「イザナミ様が私にしてくださったことは、決して忘れません。あなたは多くのことを教えてくれました。そして、多くのことを私に隠してきました。私はあなたに純粋な敬意を抱いていたのに、あなたは、本当に私を見ていましたか?あなたにとって私は、仲間でも、アマテラスでもなく、ただの道具に過ぎないのではありませんか?<ため息>イザナミ様、私の苦しみは……この世界のためだけでなく、あなたのためでもあります。」アマテラスが力を行使し、水車を直した。【アマテラス】 「あなたの行為によって、私は愛する師匠を失い、心血を注いだ世界を失い、いまやこの魂でさえも、いつまで持つか……」アマテラスが最後の浮遊島に入る。輝きが完全に消え失せ、とても衰弱しているように見えた。アマテラスの真っ正面に、イザナミが姿を現した。【イザナミ】 「もうやめなさい、アマテラス。あなたは世界の修復と再生で力を使い続け、もう限界でしょう。これ以上、力を酷使すると、世界が滅びる前に、あなたが先に滅びる。」【アマテラス】 「<軽く笑う> あなたの器になることに、支障をきたしますか?」【イザナミ】 「全くないわ。間もなく世界全体が崩壊するでしょう。あなたが何をしようと、意味のないことだと伝えたいだけ。」【アマテラス】 「イザナミ様には、多くを教えてもらいました。しかし、私が創った物からも、私は教えられたのです。運命に屈しない、自由こそが最も尊いものだと――この世界が教えてくれたのです。」アマテラスはイザナミの言葉に耳を貸さず、術を発動して、大地一面に花を咲かせた。イザナミも意地になり、術を発動し、すぐさま島の造物を壊した。【イザナミ】 「聞き分けのない子ね!」【アマテラス】 「それも、あなた譲りでしょう!」アマテラスが再度、一面に花を咲かせた。体から輝きが漲り、ますます強く放出されていく。イザナミも術を発動し、島の造物を壊した。【イザナミ】 「これ以上は、持たないわよ!」【アマテラス】 「あなた様が何度壊しても、私が元に戻してみせます。」【イザナミ】 「<おかしくて笑う> 笑わせないで!」アマテラスが術を発動しようとした瞬間に、イザナミが先に動いた。イザナミは大技を使い、アマテラスが倒れた。【イザナミ】 「そこで見ていなさい、アマテラス。いずれ私が正しいと分かる時がくる。」イザナミが踵を返し、虚空に消える。アマテラスだけが荒んだ浮遊島に横たわる。【アマテラス】 「この最後の力で……世界を元に戻したい……この身に代えても……破滅を、食い止めてみせます……」アマテラスは目を閉じ、彼女を中心に島全体にひまわりが生え、一面に広がっていく。そして彼女のそばに、血まみれたわら人形が静かに横たわっている。 |
第5章
第5章ストーリー |
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虚無の海の中、アマテラスは浮遊島に横たわっている。その時、虚空から聞き覚えのある声が聞こえてきた。【イザナギ】 「アマテラス……アマテラス……」アマテラスが目を覚ます。【アマテラス】 「ここは……どこですか?」【イザナギ】 「虚無の海、君の誕生の地。そして……イザナミの……本体がいる場所。」【アマテラス】 「姿こそ見えませんが、いつも声で導いてくれました。あなた様は……イザナギ様ですね? 姿こそ見えませんが、いつも声で導いてくれました。あなた様はっ……」【イザナギ】 「希望は……過去の痕跡の中にある……隠された言葉を、見つけよ……心の灯火を……照らすのだ。取り返しのつかなくなる前に……」【アマテラス】 「隠された言葉?」【イザナギ】 「――さあ、目覚めの時だ。」今度こそ、本当に目を覚ますアマテラス。起きると、群生のひまわりに囲まれていたと気づく。アマテラスは立ち上がり、再度歩み出す。【アマテラス】 「今のは……夢?それとも私の意識がどこかに飛ばされていました?「希望は過去の痕跡の中にあり、隠された言葉を見つけよ」と、イザナギ様はおっしゃいました。「希望は過去の痕跡の中にあり、隠された言葉を見つけよ」と、あの方はおっしゃいました。過去の痕跡、隠された言葉……過去のわずかな痕跡の中に、きっとまだ何か、手がかりが隠されているに違いありません。イザナミ様に体を乗っ取られる前に――彼女が隠していた真実を見つけなくては。」前方の浮遊島に入り、回想シーンに入る。 回想シーン①(第1章)【アマテラス】 「長い時間、眠っていたの?大事なことをたくさん忘れてしまったような……」【イザナミ】 「<軽い笑み>確かに、ここまでたどり着くのは容易ではなかったわ。でももう大丈夫。彼との戦の中で、私があなたを救ったのよ。さて、過ぎたことより、周りをよ~く見なさい。」手がかり「イザナミがアマテラスを助けた」に気づく。【アマテラス】 「これは過去を探求する上で、一つの鍵となるはずです。」何かを見落としているはずです。もう少し考えましょう。 回想シーン②(第2章)【アマテラス】 「しかし時々、あなた様は儚くて遠い存在のように感じます。近くにいるのに、とても遠い。なぜそう思えるのでしょうか? もし私に手抜かりがあって、完璧ではない世界を創ってしまったら?」【イザナミ】 「完璧でないと、存在する意味がない。彼が私を裏切り、彼らも私から引き離された。アマテラス、あなただけが私のものなの。だから、あなたは私と同じであるべきなのよ。」【アマテラス】 「よく、わかりません……」手がかり「誰かがかつて、イザナミ様を裏切った」に気づく。【アマテラス】 「もしや、これがあの戦争の発端?鍵となる手がかりは、もう一つあります。」何かを見落としているはずです。もう少し考えましょう。手がかり「アマテラスはイザナミと様同じであるべき?」に気づく。【アマテラス】 「どうしてイザナミ様は、あのような言葉を?私はイザナミ様と……同じ?」何かを見落としているはずです。もう少し考えましょう。 回想シーン③(第2章)【イザナミ】 「この体はもう限界を迎える、私はしばらくこの世界から離れるわ。」【アマテラス】 「イザナミ様、どちらへ?」【イザナミ】 「遠く離れた場所、私たちの始まりの地。」イザナミがアマテラスを抱き寄せる。【イザナミ】 「約束して。もう二度と、私をあの場所へ行かせないで。これで最後にして。」【アマテラス】 「イザナミ様……?」手がかり「この世界のイザナミは、本体ではない」に気づく。【アマテラス】 「この世界を離れて体を安定させる必要があるのは、おそらく……私と共にいたのが、彼女の分身だったから……!」何かを見落としているはずです。もう少し考えましょう。 回想シーン④(第3章)【アマテラス】 「でしたら、私は何なのですか。」【イザナミ】 「私が破壊を続けるために、あなたは生まれた。世界を創るあなたを、私が創った。」【アマテラス】 「そんな……」【アマテラス】 「イザナミ様が最初に言った「私を救った」ことに関係があるに違いありません。」何かを見落としているはずです。もう少し考えましょう。すべての手がかりを結びつけると、アマテラスは肝心な問題点を見出した。【アマテラス】 「手がかりは明白だというのに、まだ靄がかかっているような、何か重要な鍵を見落としている気がします……とても小さくて、その中に隠されている何かがあるはずです。イザナミ様がおしゃっていた「彼」とは、イザナギ様のことでしょう。当時、イザナギ様との戦いで、私はイザナミ様から何か助力を得ていたのでしょうか……それが、私の誕生とどう関係しているのでしょう?さらに、どうして私の体を使って降臨できるとおしゃったのでしょうか?イザナミ様があえて曖昧にしたこの部分に、きっと希望があるはずです!」最終推理のパズルプレイに入る。【アマテラス】 「イザナミ様とイザナギ様はかつて共に世界を創り、その後、すれ違いが生じ……そしてイザナミ様の本体は封印されました。そのことを彼女は、イザナギ様の裏切りだと思い込んでいます……また幾月もの日々が過ぎ、あの二人の間で再び戦争が起き……イザナギ様が勝利を手にする直前、イザナミ様は一か八かの状況で、「創造」の力を現世(うつしよ)に持ち込むという驚くべき行動を取りました……イザナギ様に匹敵する行動……私を「救った」……私の誕生につながった……?イザナミ様と……私……」アマテラスが出した最後の答えは――【アマテラス】 「イザナミ様が私の体を使って降臨できるのは……それは――私が彼女で、彼女が私だから……!?」幻想シーンに入る。イザナミがラスボスらしく邪悪そうに話し、その高笑いする。【イザナミ】 「うふふ、アマテラス、あなたは私と同じよ!」【アマテラス】 「<次第に高笑いする「ふふふ、はははは」>」【イザナミ】 「<次第に高笑いする「ふふふ、はははは」>」アマテラスの考察が終わる。アマテラスが浮遊島に立ち尽くし、過去の温かい思い出を思い出しつつ、反抗の決意を表明する。【アマテラス】 「私を「救った」というのは、私の体に彼女の神格を植え付けた、ということ……これがイザナミ様が私の体に隠した切り札。ただし――これはイザナミ様にとっても諸刃の剣。私に、逆転の一手を選びとるだけの勇気があれば、この手で主導権を握れるはずです!形だけを知り、その意味を知らず、――役目だけを果たし、責任を負わなかった私を、どうかお許しください。私がこの世界に犯したすべての罪を、お許しください。私はこの破滅に、この宿命に抗うと誓います!この身を以て、世界を、命を守り抜きましょう!」回想シーンが終わり、現実に戻る。アマテラスが自らの悪を分離し始める。イザナミが現れ、アマテラスを阻止する。【イザナミ】 「やめなさい!神格に何をするつもり!?」アマテラスの周りに防壁が張られ、イザナミの攻撃を防ぐ。【イザナミ】 「自分を傷つけてまで、私に歯向かうというの?私は裏切りを許さない、決して!」ボス戦に入る。 アマテラスとイザナミが戦う。戦闘の最中、悪は次々と分離されていく。戦闘の最中、イザナミは言った。【イザナミ】 「なぜ、私とひとつになることを拒む?ひとつになった暁には、摂理の外へ踏み出し、真理に触れることさえできるのに。なぜなの、アマテラス……もっと遠くへ行きたくないの。どうして殻に閉じこもって前へ進もうとしない!?」ボス戦終了。イザナミが倒された。イザナミ・アマテラスともに負傷し、衰弱状態にある。【イザナミ】 「アマテラス……神格を引き剝がしてまで……共に滅びるつもりね……生きたまま神格を引き剥がす痛みに耐えられる者など、いない。あなた……狂っているわ!」【アマテラス】 「あなた様が勝つために神格を賭けたように、私も……すべてはあなた様に倣ったまでです。私は自身の七つの罪を裁き、七つの悪を引き剥がすことで、神格を破壊しました。これで、あなた様も私も、完全な神格を持たない同士。私の体を乗っ取ることは、もう不可能です。」【イザナミ】 「もう二度と、私をあの場所へ行かせないと約束したのにっ!」【アマテラス】 「イザナミ様……あなた様は私と一緒だった時の中で、ひとときでも破滅を忘れ、ただ純粋に楽しんだことがありますか?」【イザナミ】 「アマテラスよ、より高い視点、より長い目で、より深く考えて行動すべきだと、最初に教えたはずよ?なのに今、私にそんな馬鹿げた質問をするの?」イザナミの体が消え始める。【イザナミ】 「アマテラス、破滅が潰えることはない。あなたが引き剝がした七つの悪のように。感情と欲望こそ最も計り知れないものよ。少しでも油断したら、たちまち悪へと変貌する。そして、あなたの悪も消えることはない。別の形で世に現れるだけなのだ。その時が来れば、私は降臨する。あなたは永遠に運命の枷から解放されることはないわ。あなたが創った世界はいずれ、この私が滅する!」【アマテラス】 「ですが、それまでは、あなたの教えに学ぶつもりです――「より高い視点、より長い目で、より深く考えて行動する」ことを身につけます。今日勝った経験を生かし、いずれ訪れる明日に備えておきます。」【イザナミ】 「ふふふ、あはははは!待っていなさい、アマテラス。あなたの——運命を!」イザナミが完全に消えた。アマテラスの前方に、怜奈と子猫で遊んでいる幻影が見える。怜奈がアマテラスに気づき、楽しそうに手を振る。【怜奈】 「お姉ちゃん!お姉ちゃーーん!」【アマテラス】 「れい……」名前を呼び切らないうちに、怜奈と子猫が消え失せた。【アマテラス】 「世界を元に戻しても、かつて生きていた命は、もう帰ってきません……」アマテラスは涙を流した。【アマテラス】 「この痛みや寂しさは一体、どの感情から生まれたのでしょう……?」一粒の涙が地面に落ちる。アマテラスが地面からゆっくりと空へ飛んだ。【アマテラス】 「火の神よ、私に平伏しなさい。この光をもって、そなたを苦しめる闇を清めましょう。」燃え盛る炎が消え、荒廃した大地が広がる。【アマテラス】 「神々よ、今一度、ここに姿を見せよ。ともに世界を元に戻し、生気を与えましょう。そして、この世に生きる命とともに、私はもう一つのものを創造します。この感情に名をつけ、意味を与え、拠り所を創ります。これからの世界に、『愛』というものを、創るのです!」アマテラスの体から光が放たれ、空間全体が明るく照らされた。アマテラスの輝きの下、それぞれの丘の上に花や草木、ひまわりが生い茂る。 |
第6章
第6章ストーリー |
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時間は現在(第1章)に戻り、アマテラスが六悪神を取り込むための式場へ向かっている。途中で、昔見てきた神々の会話が脳裏に思い出される。少年荒が海辺の岩礁に立っている。【少年荒】 「人々よ、私は予言の力で、お前たちを災いから守ろう。お前たちの中には、運命に抗おうとする者が大勢いるだろう。私の予言に耳を傾けよ。これこそが、運命のお導き。笑顔を絶やさぬために、私はこの力を使おう。」荒とツクヨミが向かい合って立っている。【ツクヨミ】 「そうだ。これが、「嘘」というものの力だ。嘘から始まり、嘘で終わるのが、この私の人生――時には私が嘘をつき、時には他人が嘘をつく。嘘はよく悪だと言われているが――「願い」と呼ばれる時もある。」【荒】 「あなたは自ら、私を育てることを選び、自身の運命を選んだ……」【ツクヨミ】 「そうかもしれないね……あるいは、私はただ許せなかっただけかもしれない。……数千年前の高天原で、月の影や星々の輝きすらなかった夜空の下――あの寂しい月海に独りで生まれた自分のことを……」鈴彦姫が祭壇の上で踊る。【思金神】 「心が乱れておる。己を律するのだ。己の務めを忘れるな、鈴彦姫。」【鈴彦姫】 「でも吹雪はやまない。神もこれだ!この壇上には、本当のものなんてひとつもないあたしは聖女だから、自分の感情をずっと抑えてきた。ご神火に焼かれる痛みにも耐えてきた。結局、このありさまだならば、いっそのこと、心を捨てて、暴れまくって炎に心をゆだねてしまいたい。そうよ、心が灰になれば、あたしを縛れるものはきっと、なくなる。」スサノオが審判場で喉を突き破る。【須佐之男】 「俺は彼らを、この世界を愛している。だから守り抜く。最期の、一瞬まで……俺はこれより、千年後の未来に八岐大蛇の討伐に向かう。そして高天原に戻って審判を遂げ……その後、命果てよう。」【神楽】 「あなたを待つ結末が変えられなくても……戦うの……?」【須佐之男】 「ああ、君たちが迎える結末を、変えられるなら。生きるとは、悲しい結末を知ってなお、運命に抗い続けること。」【神楽】 「スサノオ。彼こそが、真の守護者――」縁結びの神がおばあさんとおじいさんの縁を結ぶ。【縁結神】 「たとえきえることになろうとも、このふたりのえにしをむすんでみせる。これでおぬしらはうんめいによってむすばれたぞ。」稲荷御饌津が神楽の鈴を少年荒に渡す。【稲荷御饌津】 「えへ」【少年荒】 「あ、ありがとうございます。」回想シーン、終了。 アマテラスが式場にたどり着いた。この時、六悪神はアマテラスの前に立つ。【悪神たち】 「アマテラスよ……」【アマテラス】 「ついにこの日が来ました。ここ数日、私は天羽々斬に封印された悪神の神格を抽出しました。六柱の悪神で一柱足りませんが、時間が惜しい。神格の補完はこれで足りるでしょう。光は闇に呑まれることなく、あまねく降り注ぎます。イザナミ様、もう二度と、私の愛する世界を滅ぼさせはしません!悪神たち、私から産まれた――神格の欠片たちよ。再び、私とひとつになるのです!」 |
第7章
第7章ストーリー |
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アマテラスは六悪神と融合し、覚醒した姿でイザナミと対峙する。【アマテラス】 「破滅の女神よ。すべてを清算する時です。」六悪神と融合したアマテラスを見て、イザナミは思わず皮肉めいた笑みを見せた。【イザナミ】 「うふふ、アマテラス。私に抗うために、まさか完全な神格を取り戻す勇気があるとはね。」【アマテラス】 「この程度、恐るるに足りません。」アマテラスとイザナミの攻防が始まる。数回攻防のすえ、優位に立つのはイザナミのほうだ。1回戦が終わり、再度会話に入る。【イザナミ】 「完全な神格を取り戻したところで、無駄だったようね。あなたを太陽から目覚めさせたのも、あなたの力が回復していない時に降臨を選んだのも――少しずつ、少しずつ、あなたを……神格を融合せざるを得なくするためよ。あなたが希望だと思っていたその道は、終焉へと繋がっていたのよ!そして、本体が囚われていない今の私は、もう以前とは違う。私の体と神格が一つになる時、あなた達のちっぽけな希望も、水の泡になる。結局、あなたは私の物になるわ、アマテラス。」【アマテラス】 「ふふふ。あなた様が、私をそう仕向けたと?私に逆手を取られたとは思わなくて?」【荒】 「アマテラス様、天羽々斬による審判儀式の準備が整いました。」【アマテラス】 「荒、スサノオ。今より、審判を始めます!」【スサノオ】 「御意!」【荒】 「御意!」地上にある六本の天羽々斬は輝き出し、空に向かって六本の光の柱を映し出した。イザナミの笑い声が空を響く。【イザナミ】 「<高笑い>」【アマテラス】 「イザナミ様、もしこれが私の運命だとしても――抗わずに受け入れることなど、決してしません!」【イザナミ】 「ふっ、こんな小さな結界で私を囚えられると?」【アマテラス】 「貴女を囚えらようなどとは、思っていません。なぜなら――私のための審判なのですから!」アマテラスを中心に斬神場の結界が広がる。罪人を縛る鎖が四方から飛び出し、アマテラスを捉える。【イザナミ】 「なにをっ!」【荒】 「アマテラス様……最初からイザナミを審判するおつもりは、なかったのですね……」【スサノオ】 「アマテラス様っ!」【アマテラス】 「スサノオ、荒。そなたたちならば、この行動の意味を理解してくれるでしょう。イザナミの周到な計画によって、私は確かに、悪神と融合するよりほかはありません。彼女の言う通り、私たちの勝ち目は薄いでしょう。しかし、希望は小さいほど――闇を切り裂く一筋の光が、よりくっきりと見えるのです。私たちを勝利に導く切り札は、イザナミの神格――すなわち、私の神格です!私の決意を知った今こそ、審判の遂行に手を貸してほしい!この破滅に、共に抗いましょう!」【スサノオ】 「アマテラス様……ご覚悟、感服いたしました。このスサノオ、必ずや使命を全うします! 荒とともにイザナミの妨害を排し、審判を最後まで守り通します。」【アマテラス】 「<優しく笑う>――遠い未来で、またそなたたちと会える日が来ることを、願っています。スサノオ、荒、ありがとう。」【イザナミ】 「アマテラス、この世界とともに滅びるがいい!」【アマテラス】 「イザナミ様!私と共に、裁きを受ける時です!」最終ボス戦に入る |
第8章
第8章ストーリー |
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ボス戦で決着が付いたのち、下記のシナリオは映像の形で流れます。そのため、尺合わせが必要です。7章のボス戦を経て、イザナミとアマテラスはともに大ダメージを負い、二人とも瀕死の状態にある。そして、アマテラスの命により、最初の天羽々斬の光がイザナミの体を貫いた。自身を犠牲にしてまで自分を葬ろうとするアマテラスの決意を見て動揺するイザナミ。最後の力を振り絞ってアマテラスを阻止しに動く。【アマテラス】 「これが私の運命ならば――破滅しか知らないのもまた、あなた様の運命でしょう!」【イザナミ】 「ぐっ……」【アマテラス】 「<天羽々斬に貫かれ、痛みに耐える>」【イザナミ】 「<同様に天羽々斬に貫かれ、痛がる>やめなさい!」【アマテラス】 「<再度天羽々斬に貫かれ、痛みに耐える>」【イザナミ】 「<同様に天羽々斬に貫かれ、痛がる>」【アマテラス】 「<立ち上がろうとする>」【イザナミ】 「<荒々しい息>決して、許さない——!」【アマテラス】 「<イザナミの力に懸命に耐える。顔に切り傷ができ、痛がる。>」【スサノオ】 「<イザナミの力に懸命に耐える>」【荒】 「<イザナミの力に懸命に耐える>」【晴明】 「<イザナミの力に懸命に耐える>」【神楽】 「<イザナミの力に懸命に耐える>」【アマテラス】 「私は光を司る太陽の女神・アマテラス。最後の裁きを、謹んで受け入れましょう!」アマテラスは六つの天羽羽斬の審判の光を受け、神格が破滅し、体が壊滅した。そして光が大地を照らし、世界の隅々を浄化した【イザナミ】 「な…ぜ…狂っているわ……なぜ、そこまで……」【アマテラス】 「狂ってなどいません……これが、私の、世界への――愛、なのです……<微笑む>」光はたんぽぽに降り注いだ。そのたんぽぽは風に乗って、白狼の手に落ちた。【白狼】 「<タンポポを見て散っていった蛍草を想う「ん……」>」傷ついた土地は、光に包まれて生気を取り戻していく。人々は破滅の女神と落ちてくるアマテラスを見上げる。【晴明】 「太陽の意志を宿した光よ。人間は必ず、この勇気を受け継ぎ、そして――戦い続ける!」 |
渺念の旅ストーリー
第一章
第一章ストーリー |
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蛍草が真っ白な空間に立っている【蛍草】 「風を感じる……あれ、ここはどこだっけ?おかしいなぁ……確かさっきまでは……」七角山で起きてた出来事が思い出される。虚無に侵食された蔓が蛍草を襲い掛かり、白狼は蛍草をかばった。【白狼】 「危ないっ!」白狼は蔓に傷づけられ、倒れた。【蛍草】 「白狼さん!ひどい怪我……すぐに一目連様のところに連れていきますから! 」二人は七角山にたどり着いた。しかし、ここの侵食もだいぶ進んでいた。【蛍草】 「七角山……一体どうしちゃったの……?」蛍草は癒しの力を使い、森を回復しようとする。【蛍草】 「春のタンポポよ、みんなに命の息吹を……そうだった……白狼さんが怪我をして、七角山ごと侵食されちゃったから、私は癒しの力を使おうとして……それで、意識を失っちゃって……起きたら、ここ……これは夢?でもこんな夢、見たことない……うぅっ……早くここから出ないと、白狼さんが私を待ってるんだから。とりあえず、風が吹く方へ行こう。」蛍草が歩いていると、風の中から白狼の声が聞こえてくる。【白狼】 「蛍草……」蛍草は驚いて立ち止まった。この先に、半透明の白狼が現れ、その白狼が弓を引いている。【白狼】 「……修行は始まったばかりです。気を抜いてはいけません。なにをぼーっとしているのですか?こちらに来てください。」【蛍草】 「聞き覚えのある言葉……まるで、あの日に戻ったみたい。」【白狼】 「今日あなたに教えるのは……」【蛍草】 「弓道の……初歩……ですよね?」【白狼】 「その通りです。」【蛍草】 「夢の中だってわかっているけど、出会ったばかりの頃……懐かしいな……」任務:弓道の修行——「一歩一凝」【白狼】 「弓道は、会、離れ、残心など、射法八節だけを体得すればいいわけではありません。一番重要なのは、三道を体得することです。まず第一道は、「一歩一凝」。弓、足踏み、呼吸、いずれも疎かにしてはいけません。もっとこちら来て、私をよく見て、やってみてください。」蛍草が白狼に近づいていく。すると、白狼が微笑みを浮かべる。【白狼】 「体は小さいですが、軸がしっかりしていますね。私が想像していた以上に才能があると思います。」【蛍草】 「うわわ……この時、はじめて白狼さんとこんな至近距離になったんだ。緊張するなぁ……あっ、白狼さんが消えた!そうか、この夢は弓道を習った時のことを再現しているのね。」任務:弓道の修行——「一弓一夕」【白狼】 「第二道、「一弓一夕」。弦を引いて弓を開くのは簡単そうに見えますが、何千回も練習しなければ会得できません。蛍草、やってみてください。」蛍草が弓を引き、矢を射る。でも力加減をうまく制御できず的を穿ってしまった。【白狼】 「なんて力…………ちょっと強すぎたかもしれませんね……」【蛍草】 「えっ!?そんなつもりはなかったんですが……」白狼が再度消える。蛍草は前へ進む。【蛍草】 「弓道の修行もこれで、残るは最後の一道。あの時の白狼さんは、最後の一道を習得したら、私にご褒美をくれるって……とっても大事な物だって言ってた……白狼さん……どこ?あっ、いた!」でも、現れたのはボロボロになった白狼だった。【蛍草】 「白狼さん……えっ!?どうしたんですか?」【白狼】 「さよう……なら……」【蛍草】 「白狼さん……服がぼろぼろ、何があったんですか?」【白狼】 「さよう……なら……」【蛍草】 「それに……怪我まで!……泣いて……ます?」白狼の体がますます透けていく。その時、タンポポの花が白狼の体をすり抜けて、白狼が完全に消えた。【蛍草】 「白狼さん……待って、どこに行くのですか?行かないでください……まだ聞きたいことがあります。さっきから……どうしてずっと…………さよならを、言うんですか。」夢シーン終了。 場所は七角山に移る。【シシオ】 「蛍草……蛍草?」蛍草が目を覚める。【蛍草】 「……シシオさん?」【シシオ】 「蛍草、やっと目が覚めたか。七角山に戻って、もう何日も経った。何度も呼んだけど、ずっと眠ったままだったんだよ。」【蛍草】 「白狼さんは? 私が倒れる前にそばにいたはず……白狼さんは目を覚ましましたか?」【シシオ】 「蛍草、その……白狼は……眠っている間、いろんなことが起きたんだ……とりあえずついてきて。」一目連、山風、小松丸、蟲師、古籠火が集まり、天に届く天羽々斬を見上げている。日が沈み、辺りが闇に包まれている中、大地にそびえ立つ天羽々斬だけが光を放っている。それによって開かれた結界が、蔓延る瘴気に抗おうとしている。一触即発の今、天羽々斬は高天原が人の世を守るために残した庇護。各地の鬼の王もそれぞれの領土に鎮座し、仲間と故郷を守っている。天羽々斬の庇護により、七角山はまだ平和を保っている。【蛍草】 「うぐぅっ……そうなんだ……戦いはもう、すぐそこまで来てるんですね……癒しの力を使おうと思ったのですが……ごめんなさい、力になれなくて……」【シシオ】 「蛍草、君のせいじゃないよ。僕たちは晴明様の依頼で、この地を守る天羽々斬の結界を強化しているんだ。」【蛍草】 「それで……さっき私に、何かを言おうとしてませんでしたか?」七角山の妖怪たちは互いに顔を見合わせる。【シシオ】 「蛍草……実は、ぼくたちが戻ってきた時、白狼はすでに行方不明になっていたんだ……」【蛍草】 「えっ!」【シシオ】 「君が目を覚めしてから白狼の居場所を聞こうと思ってたんだけど……どうやら、君が気絶している間にどこかへ行ってしまったようだ……」【蛍草】 「でも、白狼さんは怪我をしてました……」【シシオ】 「それは、まずいな……でも幸いなことに、ここ数日の間に、僕たちは白狼の手がかりを見つけた。白狼の矢がいろんなところに散らばっていたんだ。蛍草も、見に行ってくれないか?」【選択肢が現る】 A.白狼さんのために…… B.すぐ行く!【蛍草】 「足跡……白狼さんの?あそこにあるのは……!」任務:鳥居の前の矢を調べる。【蛍草】 「私の知ってる白狼さんは、弓矢をとっても大切にしていた。こんなふうに矢を地面に捨てるはずがない。」蛍草は鳥居を見上げる。【蛍草】 「そうだ、思い出した……「一歩一凝」だ。ここは白狼さんと修行した時、はじめて会う約束をした場所。白狼さん……白狼さんと約束した場所はもうひとつある……!」任務:崖下の矢を調べる。【蛍草】 「「崖の下は風が吹かず、崖の上には鳥の群れがよく飛んでいる。弓道の練習には最適だ」と。そう白狼さんが言ってた……「一弓一夕」……私たち、よくここで練習してた……私が練習してる間に、白狼さんはいつも崖の壁際で瞑想してた……瞑想と言うけれど、絶対居眠りしてるよね~。とはいっても、私の照準が少しでもずれると、白狼さんはすぐに目を開けちゃうの。だから、あんなにも弓矢を大切にしていて、真面目な白狼さんが……こんなたくさんの矢をここに捨てるはずがないよ!ううぅ……矢は見つかったのに、弓はどこに行ったんだろう?きらきらしてる、白狼さんの大好きなあの弓……」この時、侵食された天邪鬼黃と赤などの悪鬼が通りすがる。【蛍草】 「いやぁー!悲しんでるときに、人の目に光を当てるのはひどいよ!誰なの……!?えっ、そこの悪鬼が持ってるのって……!白狼の弓を盗んだの、あなた達?!」侵食された天邪鬼黄&赤が蛍草に向かっていく。【蛍草】 「様子がおかしい……ひいぃぃっ!こっち来ないで……」助けてと叫びながら逆にタンポポを振り回して攻め入った蛍草。【蛍草】 「怖い怖い……誰か助けて……」天邪鬼たちが逆に怖がる。【天邪鬼赤】 「<ゴリラみたいな怪物語を喋る>」【天邪鬼黄】 「<ゴリラみたいな怪物語を喋る>」天邪鬼たちが蛍草に殴られて、意識を取り戻す。【天邪鬼赤】 「あっ!」【天邪鬼黄】 「いたっ!」混乱した蛍草は再度攻撃しようとした時に。【天邪鬼赤】 「蛍草様ぁ!」【天邪鬼黄】 「おやめくださいぃ!」蛍草はとにかくタンポポを振りかざして、何も聞こえなかったようだ。【天邪鬼赤】 「蛍草様!蛍草様!」【天邪鬼黄】 「俺たちっすよ!長い付き合いじゃないっすか!おやめください、蛍草様ぁ!」【蛍草】 「あっ、なんだあなた達なの……どうして白狼さんの弓を盗ったんですか?」【天邪鬼黄】 「盗んだんじゃないんスよ!蛍草様の代わりに、保管してるだけっす……」A.どう見ても保管してくれているようには見えない…… B.あなた達、そんなに優しかったの……?【天邪鬼黄】 「このあいだ、ここで白狼様に出会ったんスけど、白狼様は気が狂ったみたいに弓も矢も全部捨てて、どっかに走っていったんスよ。この弓もその時。でも七角山の妖怪たちはみんな知ってるんス。これは白狼様の大事な弓で、蛍草様への贈り物だったってことを。」【天邪鬼赤】 「だから急いで拾ったんス……でもその後、虚無にやられて、俺たちまで正気じゃなくなったんスよ……だけど、蛍草様のことは自分らのことのように思ってるんで、ずっと弓を持って走り回ってた。でも狂ってしまっていたから、人を傷つけてしまったかも……」【天邪鬼黄】 「どアホ、蛍草様が治してくれてんだ、いいから早く礼を言わんか!」【蛍草】 「え、私、あなたたちを助けることができたんですか……危機一髪で、ようやく侵された妖に、癒しの力が使えたってこと……?じゃあ、同じように侵された白狼さんも治せるってことですよね!ねえ、白狼さんはどこへ行ったのか知りませんか?」【天邪鬼赤】 「南!」【天邪鬼黄】 「南!」【蛍草】 「はやく行かないと、白狼さんがどんどん、虚無に侵食されちゃう……みんなに知らせている暇はありません……代わりにあなたたちにお願いしてもいいですか?」【天邪鬼赤】 「もっちろんっす!蛍草様のことは俺たちのこと同然っスから!」【天邪鬼黄】 「もっちろんっす!蛍草様のことは俺たちのこと同然っスから!」【蛍草】 「ありがと、それじゃあ、私はさきに……」蛍草は急に目眩がする。画面が揺らぐ。【蛍草】 「(今なんか……頭がくらくらして……まだ完全に回復していないのかな? それとも怖かったから……?)——じゃあ私、さきに行ってきます!」蛍草は一人で遠くへ向かって走っていく。手に持っているたんぽぽから種が飛んできて、白いたんぽぽが空を舞う。 【証の品:白狼の弓、獲得】【天邪鬼赤】 「なあ、蛍草様、変わったと思わないか?」【天邪鬼黄】 「どこが?」【天邪鬼赤】 「一人で遠くまで行っちゃうし。」【天邪鬼赤】 「いつもだと、「うわわこわい」とか、「一人は怖すぎ」とか、「いやだいやだ」とか、叫んでたじゃん?」【天邪鬼黄】 「おい、蛍草様の真似はすんな!」【天邪鬼赤】 「違うって、俺は喜ばしく思ってるだけだ。天災がもうすぐ来ちゃうだろう。蛍草様もなんか……一瞬で大人になったようだなあって。もしかしたら、蛍草様にとって、白狼様はそれ程までにかけがえのない存在なんだろうなぁ。俺たちも、一度でいいから、大切な仲間のために勇敢になれたら……って、おい!頭を叩くな!」【天邪鬼黄】 「どアホ、感動的な言葉もテメエのその顔で言われるとなんか違うんだよ。さっさと一目連様やシシオに知らせるぞ。蛍草様の言いつけをおろそかにしてはならん!」 |
第二章
第二章ストーリー |
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【黒晴明】 「そろそろ日が沈む…… おい、全員に夜の外出を控えさせろ。(そういえば、天羽々斬が各地にそびえ立つようになって以来、晴明のやつは鬼王たちを各地に退避させておきながら、自分だけは都に留まっている……高天原の神々は都の上空に陣地を築いているとは言え、あそこは今や最も虚無の濃い場所だ。いつ滅びてもおかしくない。晴明のやつ、大丈夫だろうな……)」【兵俑】 「黒晴明様!黒夜山に侵入する者が!先頭に立つのは、弓矢を背負っている小妖怪です!」【黒晴明】 「小妖怪?」考え込む黒晴明……時間は少し前に遡り、蛍草が独りで歩いている。【蛍草】 「南の方……最南端の黒夜山に行ったら、白狼さんの手がかりを掴めるかなぁ?この辺は、静かで寒くて、みんなどこかへ行ったの?だれか状況のわかる妖怪いないかな……え、あそこにいるのは……噂によく聞く鉄鼠さん?噂通りなら、いつもにこやかな顔をしているはずだけど、今はすごく苦しそうな表情を浮かべてる。もしかしたら、虚無に侵食されているのかも!?かわいそう……ううぅ、鉄鼠さん……」任務:侵食された鉄鼠を治す。【鉄鼠】 「<頭がわふわふして、「ほわほわ」とつぶやく>」蛍草は癒しの力で鉄鼠を治した。【鉄鼠】 「どちら様がワイを……?おっと!こんな小さい妖怪に癒しの力があるんか!すごいんやな!でも、こないなご時世に、なんでこの黒夜山に?」【蛍草】 「私、蛍草といいます!人を探しに来ました。矢筒を背負った白狼の少女を見かけませんでしたか?」【鉄鼠】 「見たこと……ないなぁ。」【蛍草】 「ううぅ……とても大事な人なんです……」【鉄鼠】 「あわわ、蛍草様、そない焦らんでも、人探しは難しいことやない。ただ、天羽々斬が降りてから、この黒夜山には人々を守る結界が張られとってな。侵食された妖怪はみんな、結界の外に追い出されてもうた。修繕中のワイのちっさい寺もそん中にあってな、ワイが結界の近くをうろちょろしとるんはただ、それを一目見たかっただけなんや。蛍草様のお力になりたい気持ちはやまやまなんやけど……」【蛍草】 「つまり、侵食れた妖怪は中に入れなくて、鉄鼠さんのように、外でさまよっている者もいるのですか。」【鉄鼠】 「そうやな……煙々羅姉弟がおるって聞いてんけど、どこにおるかは誰も知らんねんな。」【蛍草】 「ここの長は誰ですか。みんなをほうっておくなんてひどいです。わ、わたし、話し合ってきます!」【鉄鼠】 「えっと……黒晴明様や。」時間は今に戻る。黒晴明、雪女、大天狗。三人は蛍草と相対している。そして、黒晴明が先に口を開いた。【黒晴明】 「お前が夜に乗じて結界に侵入しようとした小妖怪か……七角山の蛍草と言ったか?」【蛍草】 「侵入なんて大層なことはしてません。……ただ、聞きたいことがあって来ました。」【黒晴明】 「ここまでの道中で、侵食されていないか。」【蛍草】 「はい、それは大丈夫です……」【黒晴明】 「そうか、いいだろう。風神に免じて、今回は結界に入ることを許可しよう。ついてこい。」【蛍草】 「待ってください。まだ話が!あなたはここの長なのに、どうして侵食された妖怪を外に締め出したままにするんですか!私は彼らを助けられます!侵食された妖怪の名前を教えてくれれば、一人ずつ治しますから。」【黒晴明】 「ほう、お前にその力があるとどう証明する?」【蛍草】 「後ろにいる鉄鼠さんは、私が治しました!早くお家に帰らせてあげて!」【黒晴明】 「雪女は清き氷雪の地に生まれ、不浄なものには鋭い。近づけばすぐに異変を察知できるだろう。雪女、鉄鼠を見てやれ。」雪女が鉄鼠に近づく。【黒晴明】 「確かに治ってるようだな。蛍草、どうやったんだ?」蛍草が癒しの力を披露し、黒晴明はそれを見て考え込んだ。【蛍草】 「侵食された煙々羅さんと髪喰いさんはどこにいますか?まだ、どこかを彷徨っているって聞きました……」【黒晴明】 「君の力は確かに見事だ。しかし、二人の行方を教えることはできない……」【蛍草】 「っ!……あぁもう、教えてくれないなら、自分で探します!」【黒晴明】 「……待て。そこまで言うなら、頼みたい事が一つある。が、その前に……鉄鼠、もう大丈夫なら、結界内に戻って家に帰るといい。」【鉄鼠】 「蛍草様、黒晴明様!ほんまにありがとうございます!」鉄鼠が数歩踏み出して、振り返って蛍草を見る。【鉄鼠】 「蛍草様にご恩を返すため、「白狼探し」の件、全力を尽くすで!」【黒晴明】 「白狼探し……?」任務:黒晴明の依頼を完成する(上)。【蛍草】 「洞窟にお弁当を届けに行くのが依頼だなんて。しかも、「聞かず、入らず、置いたらすぐ去れ」ってわざわざ注意までされて……侵食された妖怪と関係があるのかな? 洞窟の中には誰が住んでるの……」道中、蛍草は山道の観察をする。【蛍草】 「煙の跡がある……どうしてこんな寂れた場所に住んでいるのかな……?」蛍草は洞窟の前までたどり着いた。【蛍草】 「この先が洞窟だ……どうしよう?」【選択肢が現れる】 A.お弁当を置いて、黙って帰る。 B.お弁当を置いて、「誰かいますかー!」と大声で聞く。 Aを選択した場合。【煙々羅】 「また来たの……帰ってちょうだい、情けはいらないわ!」Bを選択した場合。【髪喰い】 「ああー!入って来るなっ!」【蛍草】 「甲高い声だけど、どこか切なさそう……」蛍草は洞窟を去った…… 任務:黒晴明の依頼を完成する(下) 翌日――蛍草はまた洞窟を訪れた。【蛍草】 「今日も昨日と同じように、あの洞窟にお弁当を届けに行くのか……洞窟ならこの先だけど……待って、誰かが入り口にいる……え、悪鬼!?」【選択肢が現れる】 A.聞かず、入らず……、悪鬼だろうとちゃんと守る! B.なにはともあれ……洞窟の中の人を傷つけさせちゃだめだよ! 任務:発狂の悪鬼を倒す。 悪鬼との戦闘中に、洞窟から声が聴こえた。【蛍草】 「洞窟から唸り声が聴こえる……中に住む人は、きっと大変だったんだろうな……」蛍草は悪鬼を倒した。【蛍草】 「ふぅ……やっと倒せた。お弁当は昨日と同じ場所に置けばいいよね。 |
」蛍草はお弁当を置いて、黙って帰ろうとしたその時に—— 洞窟の中から声が聞こえる。【煙々羅】 「また食べ物を届けに来たの?もう一ヶ月よ。私たちのために、この洞窟まで守って……どうして助けようとするの!?私たちは、ものを無駄にしたくないだけなのに……だから、入りなさい……」【蛍草】 「(えっ、一ヶ月?私、2回しか来てないけど……?)」蛍草は洞窟の中に入った。歩きながら洞窟の中を観察する。洞窟の壁には髪喰いの日記が刻まれている。【髪喰い】 「姉さんに愛されたい。人々に愛されたい。でも、こんなに醜くなった僕は……顔を合わせることなんて……<泣く>」【蛍草】 「怖いよ…こんな真っ暗で重苦しい場所で暮らしているなんて……」【髪喰い】 「この体が侵食されきる前に、どこかに隠れてしまいたい。姉さん、ずっと黙ってたけど。実は、僕……僕……とても痛いんだ——!」【蛍草】 「ひっ!これは、血がついた……髪の毛!?」【髪喰い】 「僕はきっとおかしくなる。怪物になる。姉さん、死にたい。美しいまま死にたいよ…… いっそ、姉さんの手で死にたい……」【蛍草】 「ひどい血の匂い……この洞窟で妖怪の身に、何があったんだろう?」煙々羅が現れ、蛍草に背中を向けながら話す。【煙々羅】 「黒晴明様の使いで来たんでしょう。」【蛍草】 「(ん?顔を見せてくれない……)」【煙々羅】 「もう一度言うわ、集落には行かない。」【蛍草】 「集落?」【煙々羅】 「黒晴明様から教わらなかったの?虚無がはびこる今、侵食されていない者たちが結界の内に留まったでしょ。そうでない者たちは集落に連れて行かれて、雪女と大天狗が守っている。悪鬼の侵入に対抗するために外出まで禁止して……鬼王のいないこの黒夜山で、人間にしてはよくやっているわ。」【蛍草】 「(そんな……私、黒晴明様のことを誤解してしまっていた……)」【煙々羅】 「そのうえ、私たち姉弟の心配までして……でももう、その必要はないわ……私、決めたから。黒晴明様に伝えてちょうだい。お弁当も、護衛も、何もかも、もう不要だと。」【蛍草】 「どうして……?」【煙々羅】 「どうしてって?本当に理由が知りたいの!?」髪喰いが遠くないところに現れ、煙々羅と蛍草が足を止める。耳を刺さるような髪喰いの悲鳴が届く。」【髪喰い】 「お前ら、誰だ!?来るな!僕を見るな!」【煙々羅】 「わかった?弟は、もう誰も覚えていないからよ……虚無に侵食された後、わずかな意識が残った私は、煙の目くらましを使って弟を黒夜山まで連れ戻した。でも、私たちはもう悪鬼同然なのよ……あんなに気高かった弟が今や……<ため息をつく> だから私たちはこの日の当たらない洞窟に身を隠し、最後の時を待っているの。それでも、侵食はとまらない……いずれ、私たちの手足も腐ってしまうでしょう。今や弟は理性を失い、他人を傷つけ始めている……私が傷つくのは構わないけど、血の匂いで次々と悪鬼が寄ってくる。……この絶望の日々、いつ終わるのかしら……?――私たちの心はもう、とっくに腐ってるのよ。この顔のように!」煙々羅と髪喰いが同時に振り向き、腐敗した顔を見せる。【蛍草】 「煙々羅さん、髪喰いさん……」【煙々羅】 「もうわかったでしょう。これ以上話しても無駄よ。出ていって。」【蛍草】 「す、すみません。実は、私は黒晴明様の部下じゃないんです……名前は、蛍草といいます。あなたたちを治すために、ここに来ました。」【煙々羅】 「治す?気休めなんて言わないで。私たちはあまりに侵食されすぎた。あんただって近づいたら、驚き泣き喚いて、逃げ出すのが関の山よ!」【蛍草】 「それがどうしたと言うんですか……!だからこそ、「癒し」を覚えました。腐ったものを綺麗に治すことが、私の生きる意味です。だから、どうか……一度だけでいいから、私を信じてくれませんか?」【髪喰い】 「いや……いやー!来るな!あああ、顔が……僕の顔が!」髪喰いが蛍草に襲い掛かり、煙々羅は蛍草をかばいに前に出た。【煙々羅】 「危ない――駄目っ!この子を傷つけないで!」【蛍草】 「大丈夫です……」髪喰いとの戦闘突入に突入する。【蛍草】 「髪喰いさん、大丈夫……煙々羅さんも、髪喰いさんも、きっと元の綺麗な姿に戻ります。」【髪喰い】 「お前は……誰? 姉さんも元に戻れるのか?僕、姉さんに会いたい……昔の姉さんに会いたい!」戦闘終了 戦闘後、蛍草が癒しの力で二人を治癒した。【髪喰い】 「姉さん……姉さん……」【煙々羅】 「ここにいるわ。私の顔を見て。もう大丈夫、大丈夫よ……!私たちを怖がる人はもういないわ。一緒に外に出ましょう、ね?」【髪喰い】 「う、うん……」一日後―― 黒晴明、髪喰い、煙々羅が天羽々斬の下に立っている。蛍草は彼らの方に近づく。【髪喰い】 「蛍草……僕と姉さんを助けてくれて、ありがとう!」【煙々羅】 「洞窟から戻ってきてからずっと休んでいるって聞いているわ。体、大丈夫?」【蛍草】 「(癒しの力を何回も使っているうちに、へとへとになって体の動きも鈍くなったかも……でも、今はそんなこと気にしてる場合じゃない!)大丈夫です、疲れただけなので……!それより、白狼さんは見つかりましたか?」蛍草は鉄鼠と黒晴明の方を見る【鉄鼠】 「蛍草様。ワイは寺の信者名簿をひっくり返して探して、参拝者にも尋ねて回ったんやけど、手がかりがまったく見つからへん……その後、黒晴明様も手伝いに来てくれはったけど……」【黒晴明】 「黒夜山全体を捜索しても、白狼の行方は掴めなかった。」【髪喰い】 「白狼……?すらりとした体つきで、容姿端麗な狼族の少女のことか?」【蛍草】 「はい!そうです!」【髪喰い】 「そういえば、侵食された時、霧みたいなものに、未知の地へいざなわれたじゃない?意識はぼんやりしていたけど、ある日、目を開けると、ちょうど狼族の少女が通りすがったんだ。そのとき、美貌に目を奪われてね……実は彼女も、同じ方向に向かっていたんだ。」【蛍草】 「そんな……未知の地、ですか……手がかりが途切れちゃった……」【煙々羅】 「ちょっと待って。ここに戻ってくるまでの道を辿れば、分かるんじゃないかしら?えーっと、そうね……そう、荒川!荒川を通ったわ!」【蛍草】 「よかった……皆さん、ありがとうございます!私、すぐに旅立ちます!」 |
第三章
第三章ストーリー |
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濃い霧が荒川周辺を覆っている。そんな中、小さな蛍草は濡れたたんぽぽを持って、浮き台へと上がった。【蛍草】 「<くしゃみ> ここが、荒川……?どうして、水の底に誰もいないのかな? 荒川のみんな、どこに行っちゃったんだろう……?でも、天羽々斬の方向に歩けば大丈夫のはず。あっ、誰か来た!」河童が遠くない場所から歩いてくる。【河童】 「水玉を……もっと……えっ?」【蛍草】 「あっ、こんにちは!私、七角山から来ました……」【河童】 「<恐れる>」河童が慌てて画面の外へ走っていく。【蛍草】 「蛍草です……え、そんなに私の顔が怖かったの……?それともいま私、なにかまずいことでも聞いちゃったの……?<理解できないため息>」荒川の妖怪たちと話す。蛍草は荒川の妖怪たち(河童、鯉の精、恵比寿)に近づく。【河童】 「<軽い咳> みんな見て!本当に、荒川にお客人が来たのです!」【蛍草】 「お邪魔します。七角山から来ました、蛍草と言います。」【河童】 「あっ、ごめんなさい。<軽い咳>さっき、逃げてしまって、本当に失礼しました。」【鯉の精】 「七角山からここまで来て、疲れたでしょう。」【蛍草】 「お気遣いありがとうございます。私は人を探すためにここに来ました。矢筒を背負った、白狼の少女を見かけませんでしたか?」【河童】 「<軽い咳>」【鯉の精】 「えーっと……ない……みたいだね。」【蛍草】 「<うなだれる> でも、黒夜山でここを通ったって聞いて……」蛍草は、黒夜山でのこととそこで得た手がかりを荒川の妖怪たちに伝えた。【恵比寿】 「霧に連れて行かれた、か……そうじゃのぅ、白狼という少女は確かに荒川を通ったやもしれんなあ。しかし、それは荒川の故地で、この浮き台ではないぞ。その時は、逃げるのに必死で、急いでおったから、見知らぬ顔にはあまり気にかけていなかったがなぁ。ワシらの中で唯一、残って戦って、「白狼」という者に会った可能性のある者が、いるにはいるが……ただ……もう何日も寝込んでおってのぅ……」鯉の精に案内され、蛍草は金魚姫のところに来た。【鯉の精】 「この荒川を守ってくれたのが彼女、金魚姫さん。」【河童】 「金魚姫さんは立派な人です!荒川が侵食されて以来、僕たちを上流へ逃がしたのも、一人で蛇と戦ったのも彼女でした。そのおかげで、みんな無事にこの地にたどり着けました!<軽い咳>」【鯉の精】 「蛇の群れから逃げたからもう大丈夫だって思ってたけど、金魚姫は私たちよりも遥かに、先のことまで見据えてた。神軍の兵士も、天羽々斬の結界も、大地しか守れない。私たちは水の妖怪だから、陸に上がっても毎日、「水玉」の中で休まないと駄目なんだ。けど、水は流れ続けるものだよ……」【河童】 「でも、ここの水はきれいなままです!金魚姫さんは力を振り絞って、水流を止めてくれました。僕たち、助けられてばかりですから、今こそ僕たちが彼女を、荒川を守る番ですっ!<軽い咳>」【蛍草】 「河童さん、一気にしゃべりすぎですよ、大丈夫ですか?」【河童】 「だ、大丈夫……です……」【蛍草】 「金魚姫さんは、とても立派なお方なんですね。私の癒しの力で、目を覚ませることができるかもしれません。河童さん、荒川の皆さん、私は皆さんのことも癒したいです!」金魚姫を治す蛍草。【蛍草】 「あれ……反応がない?」【鯉の精】 「あぁ、やっぱりか……でも、金魚姫さんの呼吸がずいぶん穏やかになったよ。力の消耗が激しかったから、目覚めるにはまだ時間が必要かも……彼女の面倒は私が見るから、これでも十分だよ……ありがとうね、蛍草。」【蛍草】 「(なんでだろう?鯉の精さんの言い方、まるで何かを覚悟していたみたいに聞こえる……)」金魚姫を助けてくれたお礼に、荒川のみんなは手分けして、蛍草のために白狼の踪跡を探すことにした。河童と鯉の精に手がかりを聞く。河童と鯉の精は海を眺めている。【蛍草】 「遠くからお二人の声が聞こえましたが……何か見つかりましたか?」【河童】 「蛍草さん、いま僕たちは、陸に上がった時のことを思い返しています。」【鯉の精】 「その時は、多くの船が岸に着いて、上陸した妖怪たちは逃げ散ったり、侵食されて狂ってしまったりして……発狂した妖怪でも、たまに正気を取り戻す時があるの。やさしい者は頑張って小舟を出して、ここを離れようとしたりしたけど……」【河童】 「あの時、矢筒を背負った誰かが、船に乗り込む姿を見たような……<軽い咳>」【蛍草】 「<気づき>その人は、どこへ向かったのですか?」【河童】 「当時は混乱していたので、あまり覚えていません。でも、恵比寿おじいさんなら、妖怪たちに道を教えたりするから、知っているかも……」【蛍草】 「よかった、その方に尋ねてきます!……でも、その前にお二人に聞きたいことがあります。」蛍草は二人の顔の微かな変化を見逃さなかった。二人とも少し侵食された痕跡があったのだ。 A.河童さんはいつも咳き込んでいるよね…… B.鯉の精さんの顔色も真っ青だね……【蛍草】 「もし、お体の具合が悪いなら、私……」【河童】 「大丈夫です。」【鯉の精】 「大丈夫だよ。」【河童】 「蛍草さん……ありがとうございます……」【蛍草】 「(なにか……隠しているような……)」恵比寿に手がかりを聞く。恵比寿は市場の屋代付近にいる。蛍草は先程聞いた手がかりを恵比寿に伝えた。【恵比寿】 「船の方向か……そうじゃのぅ、大江山の結界はここよりずいぶん丈夫なもんじゃから、みんな、そこに行こうとするはずじゃが……」【蛍草】 「そうですか……でも、確実ではないですもんね……」蛍草は恵比寿の手の微かな変化を見逃さなかった。少し侵食された痕跡があったのだ。【蛍草】 「あの……恵比寿おじいさん、何をしているんですか?」【恵比寿】 「こんな世の中じゃからのぅ、ワシも皆のために何かがしたいのじゃ……まあ、そのうち分かるじゃろうて。」萤草は考え込んだ。彼女は恵比寿の周りに霊力が漂っているのを見た。【蛍草】 「<考える>」日が暮れ、夕食の時間になった—— 荒川のみんなが集まって蛍草のために小さな歓迎会を開いた。【恵比寿】 「遠路はるばるようこそ。料理は以前のように豊富ではないが、荒川のみんなで蛍草のお嬢ちゃんを精一杯もてなそう。」【河童】 「さあ、座って食べましょう。」【恵比寿】 「まてまて。いつものアレを忘れちゃ困る。今日用意したのは、平安の御守じゃ。ワシの好運が、いつものように荒川の諸君を守れるように、な。」【鯉の精】 「ぴかぴかだぁ~!恵比寿おじいさんの手作りの御守をもらうのが、私の毎週の楽しみなんだ。幸せだな~。」【恵比寿】 「もちろん、蛍草の嬢ちゃんにも用意してあるぞ、旅の順調を祈る御守じゃ。」【蛍草】 「私にも……ありがとうございます、恵比寿おじいさん!」御守を手に握ると、蛍草は少しばかり違和感を覚えた。ピカピカの御守の中に入っているのは、本当に金貨なのか?それとも……蛍草は先ほど見た恵比寿の異変を思い出した。恵比寿は優しい笑みを浮かべて困惑している蛍草を見る。【恵比寿】 「御守は、絶対に開けてはならんぞ。福が逃げてしまうからな。」【蛍草】 「(河童さんに、鯉の精さん、そして恵比寿おじいさんも……みんな、なにかを隠している気がする……荒川のみんな、無理に強がっているみたい。どうしてだろう? 天羽々斬の結界がまだ生きているのに……)」【証の品:恵比寿の御守、獲得】 夕食後、憂いを拭えなかった蛍草は散歩し、あたりを見渡す。【蛍草】 「あれ?河童さんは?」回想シーンが流れる。【河童】 「水玉を……もっと……えっ?」回想終了。【蛍草】 「まさか……あそこ?」河童を探す 蛍草は河童と最初に出会った場所に戻った。【蛍草】 「(夜風に嫌な匂いが混じってる……虚無なのかな?そんな、まさか……)」遠くないところに、河童は水辺で蛇に襲われている。河童の周りには水玉をいくつか置いてある。【河童】 「わああ、誰か、助けてください!」【蛍草】 「蛇の妖魔だ!河童さん——!」蛇との戦闘に入る。【河童】 「<ひどく連続した咳>水玉を……守らなきゃ……」戦闘終了後—— 河童は意識を失った。周りに水玉をいくつか置いてある。【河童】 「<連続した咳>水玉を……」【蛍草】 「河童さん、とても疲れているみたい……どれだけ呼んでも、目を覚ましてくれない。こうなったら、しばらく休ませてあげよう。それに、私わかったよ。河童さんの、独り言の意味を。河童さんも、こっそり荒川を守っているんだ。」蛍草は水玉に視線を向ける。 回想シーンが流れる。【河童】 「水玉を……もっと……えっ?」回想終了。【蛍草】 「荒川のみんなのために水玉を準備していたんだね。陸の上にいるみんなが、水玉の中で休めるように。ただ、蛇の妖魔は思ったよりも早くここを嗅ぎ付けちゃった……天羽々斬は今もこの大地を守っているけど、水中までは届かない――つまり、「水流」が抜け穴になってるの。金魚姫さんが止めていた水流が、また流れ始めたんだ……潮の満ち引きがある限り、風と霧の中には微かながらも虚無が漂ってしまう……だから金魚姫さんはずっと昏睡したままで、河童さんも侵蝕された……なのに、河童さんは、みんなのために「きれいな水玉」を作り出し続けてる……」蛍草は波立つ水面を見る。【蛍草】 「荒川のみんなは何も言わないけど、実はこっそりお互いのために尽くしているんだ。これで、ほかのみんなことも説明がつく。鯉の精さんは自分をおいて他人を世話し続けて……恵比寿おじいさんは、御守に自分の霊力を込めて、密かに私たちを守ってくれている。あの金魚姫さんも。実際に話したことはないけど……彼女の気持ち、なんとなくわかる……私、この水域を浄化したい。癒しの力をたくさん使うだろうけど、ここで出会った人たちのために、やるべきだと思う。私、やってみたい!金魚姫さんはきっと、荒川の主の意志を継いだから、役目を果たしているだけじゃない。もっと大事な、みんなの想いを守るため――絶望が少しずつ迫ってきても、誠実に生活と向き合っている荒川のみんなを、私も守りたい!」蛍草は水面に対して癒しの力を放出する。【蛍草】 「そうだ……戻ったら、やることがもう一つある……ずっと一緒にいてくれたこのたんぽぽで、荒川のみんなに祝福を届けよう……」蛍草は完全に倒れた。幸いなことに、鯉の精が駆け付けた。【鯉の精】 「あっちだよ……はやく……河童さんも蛍草さんも、あっちにいるよ……」翌日—— 沈没船の前に鯉の精、河童、恵比寿が立っている。そして、河童の叫び声が聞こえてくる。【河童】 「蛍草さーん、白狼さんの手がかり!見つけましたよ!船の横に、矢を見つけたのです!」【蛍草】 「間違いありません……白狼さんの矢です!皆さん、一日中一緒に探し続けてくれて、本当にありがとうございます!私は、この船に乗って行きます。白狼さんは、この先にいるかもしれません。」【鯉の精】 「よかったぁー、力になれて。なんだかごめんね、餞別の品までもらっちゃって。」【恵比寿】 「可愛らしい、たんぽぽの御守じゃの。」【蛍草】 「私が持っているこのたんぽぽは、生まれた時からずっと一緒なんです。そしてある時、白狼さんが教えてくれたんです。「たんぽぽは勇気と自由の象徴」だって!どうか皆さんも、これから自由に暮らしていけますように。」蛍草は恵比寿の方を見る。時間は少し前に遡る。 蛍草は恵比寿にこっそり話をしている。【蛍草】 「恵比寿おじいさん。もう霊力をこっそり御守に入れるのはやめにしてください……いつか、お体を壊してしまいますよ。私のたんぽぽで、試してみてください。種に癒しの力が宿っていて、みんなを密かに守ってくれますから。このことは、二人だけの秘密ですよ。」時間は今に戻る。【蛍草】 「皆さんと出会えて、本当に嬉しかったです。とても寂しいけど、私……旅立ちます。」【河童】 「うう……もう行ってしまうのですね。寂しいです……」【鯉の精】 「またいつでも、荒川に遊びに来てね!」少し戸惑いの表情を見せたが、すぐさま大きな笑顔を返す蛍草。【蛍草】 「はい!」 |
第四章
第四章ストーリー |
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道端の妖怪と話す。激しい風が大江山を吹き抜け、山頂で燃え盛る鬼火は、空まで燃え上がっているように見えた。ゆらゆらと揺れる鬼火の間で、蛍草は額の汗を拭いながら、凶悪な顔つきで巡回する妖怪を呼び止めようとしていた。【蛍草】 「こ、こんにちは……人…人を探しているんです。(この人、凶暴そうで……話すのが怖いなぁ……)」【山童】 「うん?何者だ?誰を探してんの?」【蛍草】 「私……蛍草と言います。「白狼」という、矢筒を背負った、凛とした少女を探しています……彼女がここに来たはずと、人から聞いたんです。」【山童】 「白狼か……聞いたことはねぇな……というか、今、名前は……何草って言った?」【蛍草】 「ほ、蛍草です。」【山童】 「(まさか、あの噂に聞いた怪力、蛍草?悪霊を震え上がらせる蛍草なのか?……こんなに小さくて、どうもそうは見えねぇな。もし偽者だったら……こんなご時世に、大江山にまで欺きに来るか?……ひとつ、試してみるか。)こうしよう、山に入りては山に従えという。だから、俺と勝負しよう。お前が勝てば、「白狼」を一緒に探してやる……どうだ?」【選択肢】 A.勝負なんて苦手なのに…… B.ちょっと試してみてもいいかな……【山童】 「言っとくけど、この山童は手加減しねぇぞ!」山童との戦闘に入る。戦闘開始前に蛍草は言った。【蛍草】 「あの……私の力はもう、すっかり弱ってしまってるんです……お手柔らかにお願いします……」蛍草の予想外の強さに、山童は慄いた。【山童】 「ななな、なんと! この動き、この強さ……しまった、こいつは本物の蛍草だったんだ!」【蛍草】 「どうしよう、負けたらどうしよう……」さらに戦闘が続くと、完全に蛍草が優位に立つ。【山童】 「うっ……蛍草様、もうダメだ……蛍草様!」【蛍草】 「え……え!?」戦闘終了。【山童】 「コホン、男に二言はない。一時辰後、必ず「白狼」の跡を見つけて報告する!」【蛍草】 「ありがとう、山童さん!」【山童】 「ただ……ひとつお願いがある。ははは、実に痛快な戦いだった。この山童が負けるとはな……蛍草様のその怪力をどうやって身につけたのか、教えてくれねぇか?」A.練習したことは、ないです…… B.私はずっとこんな感じです……【山童】 「……そうか、生まれつきの怪力か!さすが伝説の蛍草様!すぐに白狼を探しに行こう。けれど、さっきの戦いは派手に目立ちすぎた。大江山の妖怪が、たくさん集まってきちまったみたいだ。」ほかの妖怪も集まってきた。【山童】 「こいつらに「白狼」についての手がかりを聞いてもいいが……勝負は避けられねぇかもな……蛍草様、頑張れよ!」ほかの妖怪は蛍草に手を振った。【蛍草】 「勝負するのなら、一人ずつでお願いします……」一時辰後――【蛍草】 「きりがないです!休憩、休憩させてくださぁい!」山童が戻ってきた。【山童】 「すまねぇ、蛍草様!ここの妖怪たち、どいつもこいつも酔っぱらってるみたいで……ろくに話を聞けやしねぇ。」【蛍草】 「一人ずつ倒して話を聞くというやり方も、ちょっと大変です……」【山童】 「もっと多くの妖怪を引き寄せて、助けてもらう方法はねぇのか?」A.より多くの妖怪を引き寄せる……? B.より多くの妖怪たちに助けてもらう……?【山童】 「そうだ!蛍草様が怪力を振るえば大江山も震えてしまうだろう。それくらいすごいことを、全ての妖怪に見せつければいいさ!」【蛍草】 「……今、ある人のことを思い出しました。彼女も同じように、励ましの言葉を贈ってくれたんです。」【山童】 「蛍草様が探してる「白狼」のことか?」【蛍草】 「そう!私が落ち込んでいると、彼女はいつも、「蛍草の力なら、鬼王に匹敵するかもしれないよ。」と言ってくれたんです。」【蛍草】 「勝負のとき、この言葉が頭の中でずっと響き続けて……あ、そうだ。思いついた!山童さん、首領の酒呑童子さんに会わせてくれませんか?」二人は酒吞童子のところを訪れた。【山童】 「鬼王様は、普段は親しみやすいが……そんな目的だったら、どうなるか分からねぇぞ。」【蛍草】 「でも、うまくいったら……白狼さんは私がここにいると聞きつけて、必ず私を探しに来ます!」【山童】 「王座はもうすぐだ、準備はいいか?」【蛍草】 「うわわ……足が少し震えるけど……うまくいけば、願いが叶うはず……元気出さなきゃ!ただ……白狼さんにもこの戦いを見守っててほしかったなあ……」酒吞童子は王座に鎮座しており、彼と話をする。【酒吞童子】 「お前が、他の奴らと勝負して山を騒がせているという、蛍草か?」【蛍草】 「はい……」【酒吞童子】 「いったい、何のために大江山に来たんだ?この乱世の中で大江山は庇護されてるとはいえ、考えなしに遊ぶ場所じゃねぇ。」【蛍草】 「鬼王様、私は大切な人を探すためにやってきました。彼女も晴明様の式神です……」【酒吞童子】 「晴明の式神、か……なら、あいつに免じて手を貸してやる。探してるやつの名前を言ってみろ。手下に似顔絵を作らせて、小妖怪に配らせてやろう。それで万事解決だ。そしてお前は、こんなご時世だ、他のやつに護衛して送らせるから、元居たところに戻れ。わかったか?」【蛍草】 「でも……大江山の妖怪たちは強者にしか従いません。私みたいな小妖怪を素直に助けてくれるのでしょうか……なので、ひとつだけお願いがあります……」【酒吞童子】 「ん?聞かせてみろ。」【蛍草】 「(白狼さんが私を見つける良い方法だし、白狼さんの長年の期待にも応えられる……だからいま、勇気を振り絞らなきゃ!)あなたに挑戦したいです――大江山の鬼王、酒呑童子!」【酒吞童子】 「……は?」【蛍草】 「どどど、どうか、受けて立ってください!」【酒吞童子】 「へぇ……威勢はいいがお前、震えてるぜ?」【蛍草】 「私……私は恐れてなんかいません!」【酒吞童子】 「それじゃあ、今一度、考える機会をやろう。言葉は、よく考えてから口にするんだな。」蛍草は再度勇気を振り絞る。【蛍草】 「何がなんでも、あなたに挑戦したいんです――大江山の鬼王、酒呑童子さんに!」【酒吞童子】 「ほう。(こいつ、大江山の鬼王を倒して、皆に注目してもらいたいのか)ふん。噂通りの怪力持ちか、それともただの自信過剰か……?……ちょっとは期待していいかもしれねぇ。」戦いを前に、蛍草は寝食を忘れて練習に励んでいた……彼女は、そばに傍観者がいることに気付きもしなかった。【茨木童子】 「我が友に挑みたいのは、お前か?」【蛍草】 「うわ!びっくりした……」【茨木童子】 「お前が、生まれながらにして怪力を持つ者――蛍草か?しばらくここで見ていたが、見たところ、お前は確かに怪力を持ってる……しかし、残念だが――それでもお前は。わが友にはかなわないだろう。」【蛍草】 「お兄さん……親友の肩ばかり持つのはずるいですよ……」【茨木童子】 「私はどちらにも肩入れしない。さっきからずっと、息が乱れてることに気づいていないのか?」【蛍草】 「それは……大江山に来てから何度も勝負したからです。」【茨木童子】 「勝負については、お前より私のほうが遥かに詳しい。お前は繰り返される勝負に疲れきっているのではなく……衰えているのではないか?最近、何かしらで体を壊したのではないか?もしくは、生まれつきの持病か?」A.どちらでも…… B.ちょっと休めば……【茨木童子】 「隠そうとするな!このままでは不味いことになるぞ……それほどまでに勝負に執着するのなら――私が普段飲んでいるこの「安神丹」をあげよう。少なくとも、ここ数日の疲れは取り除けるはずだ。」【蛍草】 「そんな……お兄さん、ありがとうございます!……あなたの、お名前は?」【茨木童子】 「……茨木童子だ。」茨木童子がこの場を去った。【茨木童子】 「(私も手合わせしたかったが……やはり、まずはこの妖怪の状況を伝えねば。わが友は、正々堂々と勝たなくてはならないからな。それにしても、安神丹は一袋で足りるだろうか……本当に心配だ。この妖怪はどれほど自身を顧みず、戦い続けているんだ……)」酒吞童子と勝負する。 戦闘前。【酒吞童子】 「逃げ出さなかったのは、褒めてやるぜ。……聞き忘れたが、なぜ俺様に挑戦する?」【蛍草】 「……実は、ある人が私に、こう言ったんです……成長したいなら、成長の限界がどこにあるのかを見極め、そして――それを突き破れ、と。私は、皆に自信が足りないと言われていて……私自身、ずっと一歩を踏み出すことができていませんでした。でも、ずっと側にいてくれた人が、去ってしまいました。私もいよいよ――踏み出す時が来たんです。」戦闘開始。 酒吞童子がわざと手を抜く。でも、やっぱり蛍草の調子はよくないようだ。【蛍草】 「鬼王様の攻撃は思ってたよりも強烈じゃない……でも力がちょっと……入らない……!」【酒吞童子】 「馬鹿力だけじゃ、負けちまうぞ!何を背負ってるか、忘れたわけじゃねぇよな?」【蛍草】 「<気づき「え!」>この言葉……」昔、白狼と修行した時の回想シーンに入る。【白狼】 「力技の一辺倒だけでは、いつまでも私に勝てませんよ。あなたに何を教えたか、覚えていますか?「一歩一凝……」「一弓一夕……」そして……最後の一道――」回想シーン終了。【蛍草】 「それは今までずっと、身につけられなかった……最後の一道……」【白狼】 「蛍草……私が側にいなくても、あなたが一人になっても……忘れないで……——「すべての矢を、人生最後の一矢のように扱うこと」」【蛍草】 「白狼が最後に教えてくれたのは……「一矢一生」。」蛍草は大技を繰り出し、酒吞童子を倒した。 戦闘終了。 酒吞童子が蛍草の頭をぽんぽんと軽く叩いた。【酒吞童子】 「お前の度胸と気概、気に入った。……何より、最後の一撃は格好よかったぜ。俺様は卑怯な真似は絶対にしねぇ。だから素直に、認めるぜ――蛍草、お前の勝ちだ。」【茨木童子】 「(私だったら、誰にも悟られずに勝ちを譲られただろうか……さすがは、わが友!)」【酒吞童子】 「妖怪たちよ、我が命に従え――山の総力を集めて、蛍草の友人「白狼」を探せ。痕跡があれば、いつでも報告しろ、褒美を出すぞ!」蛍草は観客席に目を向ける。でも、白狼はそこにいない。【蛍草】 「(私、初めて――自分の限界を打ち破った。白狼さん。あなたにも、見ていてほしかったな……)」一日後—【酒吞童子】 「蛍草、来たか。昨日、俺様の部下が山中を捜索したが――お前が探している「白狼」は、見つからなかった。しかし、そいつが残したと思われる血染めの矢を発見した。そして、ある手がかりを……手に入れた。」蛍草は少しがっかりした表情を見せた。【酒吞童子】 「……落ち込んでるのか?」【蛍草】 「白狼さんが心配です……もし彼女も虚無に侵食されたら、このままだと……だから、手遅れになる前に……早く……彼女に追いつきたいです。」酒吞童子は疲れた蛍草の顔を見つめている。【酒吞童子】 「かなり疲れてるように見えるが、この手がかりでお前を元気づけられるといいが……妖怪が侵食されると、他の妖怪たちの後を追って、無意識に……未知の場所へ向かうという。今、逢魔が原の玉藻前も、侵食された百目鬼の件を調べている。あいつに会えば、何かがわかるはずだ。あいつに手紙を書いた。そして、お前にも護衛をつけるのはどうだ?」【蛍草】 「鬼王様……ありがとうございます。善は急げです。すぐに、出発します。」蛍草の後ろ姿を見て、酒吞童子は思った。【酒吞童子】 「これから先の道もしっかりしろよ、蛍草。」 |
第5章
第5章ストーリー |
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無限の荒野は静寂に支配されており、まるで時が止まったかのようだった。天羽々斬の庇護がこの地を包み込んでいるはずなのだが、それでも地表には生命の躍動のひとつも見られない。風の音も植物の葉鳴りも聞こえてこない逢魔が原で耳に届くのは、かわいらしい妖怪の小さなため息のみであった。蛍草は今、酒呑蛙と茨木蛙の前に立っている。【蛍草】 「<ため息をつく> 歩き始めてだいぶ経ったのに、ずっとこんな景色が続くなんて……。」目の前に、微動だにしない蛙がいる。 A.酒呑蛙に挨拶 B.茨木蛙に挨拶 Aを選んだ場合。【酒吞蛙】 「俺様の酒瓢箪ばかり見てんじゃねえケロ。」Bを選んだ場合。【茨木蛙】 「吾のかっこいい鬼手ばかり見てるんじゃないケロ。」【蛍草】 「えっと……もう一回話かけてみよう!」A.酒呑蛙に挨拶 B.茨木蛙に挨拶【酒吞蛙】 「俺様の酒瓢箪ばかり見てんじゃねえケロ。」【茨木蛙】 「吾のかっこいい鬼手ばかり見てるんじゃないケロ。」【蛍草】 「<どうしようと言わんばかりの「むむむむ」>おかしいなぁ。鬼王様に教えていただいた通りに歩いてきたはずなのに……まるで偽物の「逢魔の原」にいるような気分……」蛍草は歩き続ける。道中、同じ言葉しか言わない蛙と出会う。かぐや姫蛙に出会った。 A.かぐや姫蛙に挨拶 B.前へ進む【かぐや姫蛙】 「私の綺麗な竹筒をジロジロ見ないでケロ。」【蛍草】 「かぐや姫蛙も偽物なんだね……」閻魔蛙に出会った。【閻魔蛙】 「私の秘密の閻魔帳をジロジロ見るなケロ。」【蛍草】 「閻魔蛙ですら虚無の侵食から逃げられなかったのね。」玉藻前に出会った。【蛍草】 「やっと蛙じゃない妖怪が……玉藻前様……かな?」玉藻前に挨拶する蛍草。【蛍草】 「蛙たちと違って、なにもお返事をしてくれない……」たんぽぽで玉藻前にすりすりする。【蛍草】 「効かないみたいね…」玉藻前が意識を取り戻した。【玉藻前】 「お前は……」【蛍草】 「喋った!……じゃ、じゃなくて!あの、あなたは……本物の「玉藻前様」……なのでしょうか?」蛍草は玉藻前に自分のことと来た目的を説明した……【玉藻前】 「たいへんだったのでしょう、蛍草。すまないね、私もここに戻った早々、この怪しげな地に迷い込んだのです。だから、酒吞童子の手紙は受け取っていないわ。しかしまさか、お前まで巻き込まれていたとは。お前も薄々感づいている通り、この逢魔が原は偽りのものです。ここにはどのようにして辿り着いたの?」【蛍草】 「ええっと、途中までは使いの方が送ってくれたのですが、その後は私ひとりで、鬼王様の教えてくれた通りに歩いていたんです。その道中では、特におかしなことはなかったかと……いえ、そういえばあのとき!私のたんぽぽが強い風で飛ばされてしまいました。ですが、本当に強い風だったのにもかかわらず、綿毛は遠くへ飛びませんでした。まるで見えない壁に当たったみたいに目の前に落ちてしまったんです。そのまま先へ進んでいったら、周りから音が消えて、生命の気配がまったく感じられなくなってしまいました。」【玉藻前】 「たんぽぽ、か……。お前は先ほど、そのたんぽぽで私を呼び起こしたの?」【蛍草】 「はい!甘く見てはいけませんよ。癒しの力を持ったタンポポなんです!」【玉藻前】 「癒しの力、か…… もしかしたら、百目鬼はこのタンポポの霊力に気づいたから、お前をこの地にいざなったかもしれません。つまりこれは、百目鬼なりに助けを求めているということです。」A.……侵食された百目鬼? B.……助けを求める?【玉藻前】 「私の考えが正しければ、私たちは今、百目鬼の「瞳」の中にいます。言うなればここは、死の間際にある彼女が紡ぎ出した記憶の幻影です。百目鬼には捨てきれない執念があるのでしょう。ゆえに最後の力を振り絞り、この「瞳」だけでもと守り通したのです。しかし「瞳」も徐々に侵食されていき、最後に残されたのがこの記憶です。この場所でもし、百目鬼の「最後の執念」を見つけることができれば、私たちはうつつに戻れるかもしれません。」【蛍草】 「それに、もし百目鬼さんの「瞳」を見つければ、私が治すこともできますね!」【玉藻前】 「「瞳」が完全に侵食されるのが先か、私たちが「執念」を見つけるのが先か。間に合わなければ百目鬼は死に、そして私たちも永久にこの世界から――」【玉藻前】 「出られることはないでしょう。」突如、二人はスタート地点に戻された。蛍草と燼天玉藻前が驚いて周りを見る。【蛍草】 「玉藻前様……今起こったことはいったい?どうして私たちはここに帰ってきたのでしょう?」【玉藻前】 「百目鬼の感情が揺れたのでしょう……彼女がひどく情緒不安定になると、この世界には変化が起きます。」【蛍草】 「先ほどのお話の、ええっと……「最後の執念」のせいでしょうか。妖怪の命は尊くそして永いもの。百目鬼さんの一番大切にしている記憶とは、どんなものだったのでしょうか。」【玉藻前】 「そのことは、私もずっと考えていました……これだけ情緒の動きが激しいということは……幸せの記憶か、それとも悲しみの記憶か。ここに飛ばされたということには、何かしらの意味があるのでしょう。しかし、目の前にいる二匹の蛙からは、なにも読み取れませんね……」【蛍草】 「わたしは先ほど、この蛙たちと会ったんです。もう一回、様子を見てきますね。ええっと……あっ!」A.蛙の表情が変わっています! B.蛙の動きが変わっています!【蛍草】 「動いた……蛙たちが動き出しました!」【酒吞蛙】 「我々は京都を、(滅ぼすために来たケロ!)」【茨木蛙】 「(我々は京都を)、滅ぼすために来たケロ!」【蛍草】 「<驚く「ひっ!」>」蛙たちとの戦闘に突入する。 戦闘終了。【玉藻前】 「今私たちがいるのは、蛙たちが大暴れをした祭りの日の記憶です!なるほど。百目鬼にとっての幸せは……あの祭りの日にあったのですね。平安京ではめったにない盛大な祭りでした。私が晴明に面白い土産を贈ろうと決めたのもあの時です。」【蛍草】 「お祭り……蛙……思い出しました!あのお祭りは、わたしも白狼さんと一緒に行きました!私は遠くから見ているだけでしたけど、蛙たちの鳴き声は本当にすごくて、まるで戦争が起こったようでした。」【玉藻前】 「主役は蛙たちだが、私も逢魔が原の小妖怪を連れて行きましたよ。祭りの花火が空に咲いた時、人の群れに姿を隠していた百目鬼が嬉しそうに微笑んでいたのを、私は今でも忘れていません。」当時の回想シーンが流れる。【百目鬼】 「玉藻前様……みんなの瞳に、花火のきらめきが映っています。みんなの幸せが、私にまで届いているんです。花火は儚いですよね、きらめきは一瞬だけ。だけどみんなの幸せはもう少しだけ永くあってほしい……玉藻前様。このような素敵な花火を、私たちはまたいつか見ることは出来るのでしょうか。」【玉藻前】 「ああ、もちろん。そしてそれだけではありません。百目鬼、みんなではなくお前自身にも、お前だけの幸せが必ずやってくるのです。」回想シーン終了。【玉藻前】 「百目鬼は静かな子でした。彼女は他人が胸に秘めた苦しみを感じ取り、それを自分のことのように苦しみます。あの花火はほんの一瞬のきらめきでしかなかったが、彼女はその一瞬を幸せな出来事として、しっかりと記憶に刻み込んだのでしょう。」玉藻前は遠方へ眺める。【玉藻前】 「百目鬼よ、お前は私と逢魔が原に来てから、心からの幸せを感じたことはあるのでしょうか……」また空間が揺れる。目の前にいるはずの蛙たちが全員消えてしまった。【蛍草】 「こんなに感情の起伏が激しいなんて……百目鬼さんは玉藻前様を肯定しているんですよ。彼女に光を与えたのはあの時の花火ではなく、一緒にいた玉藻前様、あなただったんです!「君自身にも、君だけの幸せが必ずやってくる」玉藻前様はきっと、百目鬼さんにとって一番の憧れの人ですよ……でも、一番幸せなこの時でさえ、「最後の執念」ではなかったようですね。それに、蛙たちも消えました……」【玉藻前】 「先へ進もう。百目鬼が残してくれた新たな手がかりがきっとこの先にあります。」雪童子に近づく。【蛍草】 「そこにいるのは……雪童子さん!」【玉藻前】 「ああ、情緒が更に激しく動いている。これが最も悲しい記憶なのでしょう。」雪童子に挨拶する。【雪童子】 「どうか私の代わりに、この刀を玉藻前様に届けてください。」【蛍草】 「どうしてこの場面が悲しい記憶に……?」【玉藻前】 「それは、百目鬼が己を犠牲にすると決意した瞬間だからでしょう。」回想シーンが流れる。【雪童子】 「どうか私の代わりに、この刀を玉藻前様に届けてください。」【百目鬼】 「……ふん。届けるなら自分で届けて。蛙たち、刀を持ってこの子を玉藻前様の元へ連れて行きなさい。」【一目連蛙】 「ケロ!」百目鬼が侵食され、倒れる。【百目鬼】 「この瞳は映り込んだものをすべて記憶するの……。記憶されたものがみんな素敵な思い出だったらいいのにね……」回想シーン終了。【蛍草】 「百目鬼さん……」【玉藻前】 「あの時、私が逢魔が原を離れていなければこんなことには……」空間が揺れる。雪童子が消えた。【蛍草】 「さっきの記憶も「最後の執念」ではないの?雪童子さんが私たちに伝えたかったのは一体……」二人は再度歩き始める。今度は、もう一人の玉藻前が立ちふさがった。【玉藻前】 「あそこにいるのは……私自身か!」もう一人の玉藻前に挨拶する。【玉藻前】 「……」【蛍草】 「なにも喋りませんね……」たんぽぽで玉藻前にすりすりする。【玉藻前】 「<目覚める「あ……」>お前は……」【蛍草】 「あっ、目覚めました!だけどこの光景、さっきも見たような……<気づき「あ!」>」回想シーンが流れる。【蛍草】 「効かないみたいね…」玉藻前が意識を取り戻した。【玉藻前】 「お前は……」【蛍草】 「喋った!……じゃ、じゃなくて!あの、あなたは……本物の「玉藻前様」……なのでしょうか?」回想シーン終了。 蛍草は後ろにいる玉藻前に振り返った。【蛍草】 「わかりました……あなたの正体は……」A.偽物の玉藻前様ですね B.本物の玉藻前様ですね Aが正解。Bを選んだ場合は一行の文字を表示:ううん、違う。百目鬼さんはそんなことしないもの。【蛍草】 「あなたは偽物……ですよね。やっと気付きました。百目鬼さんの記憶に迷い込んでしまったのは、わたしだけ……そして玉藻前様は、百目鬼さんが一番憧れている方ですから。百目鬼さんが自分の死を覚悟した瞬間に、心に想っていた人はあなたに他なりません。そんな百目鬼さんが玉藻前様を巻き込んで、こんなところに閉じ込めようだなんて、するはずがありません。」偽玉藻前が消え、画面には本物の玉藻前だけが残された。そして、蛍草は本物に振り返った。【蛍草】 「ですが、百目鬼さんの一番幸せな時と一番悲しい時……あなたも一緒にいましたよね?」【玉藻前】 「ええ、その通りです。うつつにいる私は百目鬼の瞳に触れ、この記憶を覗き込んだに過ぎません。そして私は待っているのです。すべてが終わり、彼女が「最後の執念」を果たす時を。」【蛍草】 「もう分かっているはずですよね……百目鬼さんの「最後の執念」は、彼女の生き様を見届けたあなたにお別れを告げることなんです……」【玉藻前】 「本当に……馬鹿な子よ……百目鬼と知り合ったきっかけは、彼女が私の娘の瞳に触れ、妻と娘の記憶を見たことでした。娘は最期の瞬間まで、誰をも恨まなかったと百目鬼が教えてくれました。私が娘のことを愛していたからだとも言ってくれたのです。ああ、なんと可哀そうな子だと、泣きそうな百目鬼を見て思いました。」【蛍草】 「玉藻前様はその後、百目鬼さんにたくさんの愛情を注いだのでしょう……だから、あなたへの執念がこんなにも深くなったのですね……百目鬼さんはあなたに「玉藻前様、今までありがとう」って言いたかっただけなんだと思います。」【百目鬼】 「玉藻前様、今まで私のことを、実の娘のように愛してくれて……本当にありがとう」空間が揺れる。二人は「瞳」の場所に転移された。【玉藻前】 「私たちは百目鬼の記憶を抜け出し、うつつに戻りました。そして逢魔が原を何日も探し回って、ようやくここにたどり着いたのです。百目鬼の瞳は侵食を受け、大きく膨らんでいました。しかしそれでも必死に持ちこたえています……」【蛍草】 「この瞳、私なら治せます……」【玉藻前】 「蛍草……お前の疲労は限界に近い。それに、癒しの光は本当にそのたんぽぽから発したのかしら?」【蛍草】 「<何を言えばいいかわからない>……そうです、玉藻前様。百目鬼さんのことをよく知りませんが、あなたと一緒に彼女の大切な想い出を見てきました。こう言うとおこがましいかも知れませんが、百目鬼さんの幸せや悲しみ、わたしにも分かるような気がするんです。だから……やらせてください!」目玉に近づく。空間が再度揺れる。そして一瞬、百目鬼が都で大暴れしているシーンっが目の前に過る。【蛍草】 「この記憶は……大暴れしている百目鬼さん!彼女の身体は今、都にいます!えっ……白狼さん!?白狼さんも都に……!」【玉藻前】 「侵食された妖怪は皆、同じ場所に導かれると聞きます。朦朧とした意識で、あの滅亡の女神にすべてを捧げる……と。」【蛍草】 「その場所が、都ですね……」二人はうつつに戻った。【玉藻前】 「蛍草、さっそく都に向かわなければ。さあ、朧車に乗りなさい。酒呑童子の手紙は読みました。必ずお前を守ると約束しましょう。……蛍草?」蛍草は気を失った。【玉藻前】 「疲れて……寝てしまいましたか。これまでちゃんと休めなかったのでしょう。私の側にいる間は、安心して眠りなさい。目が覚めたときには、お前が困難を乗り越えて会いたがっているあの者に、会えるでしょう……」 |
第6章
第6章ストーリー |
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真っ白な空間の中で、一緒に座って話す白狼と蛍草。【白狼】 「蛍草、この修行が終わったら、あなたはどうするつもりですか?」【蛍草】 「あの……ずっと、白狼さんの側にいてもいいですか。」【白狼】 「<優しく微笑む> 私はいつか、いなくなるかも知れませんよ……?」【蛍草】 「<うなだれる>」風が吹き、タンポポの綿毛が飛ぶ。【白狼】 「風が吹いた……私の言葉を覚えていますか?」【蛍草】 「風が吹いたら、手の中にあるタンポポも遠くへ旅立つ……」【白狼】 「ええ。だから、別れを悲しまないでください。あなたも、タンポポのように……勇気を持って……自由に空を飛んでください。蛍草……どんな時も……他人のために、自分の気持ちを殺さないでね。」平安京―― 白狼は独りで歩いている。【白狼】 「<咳>侵食されてから何日経ったのでしょうか。結局、匿ってくれた晴明様からも逃げ出してしまいました。<疼き>」【白狼】 「晴明様は今でも空にある結界を維持し続けています……今の私はそれを手伝うどころか、足手まといに過ぎません……<息切れ>」真正面に覚が現れる。【覚】 「白狼……もうやめな……!」覚との戦闘に入る。【白狼】 「「一歩一凝」……そんな……なぜ私はこの技を……この手で、この弓を……あぁ——」覚を倒す。【白狼】 「やめて——!」戦闘終了。 白狼は歩みを再開した。【白狼】 「どうして……弓道は正しき者にのみ許された技。化け物の私には、その資格などっ!人々を襲う、蛇の妖魔……奴らと同じようになってしまうのなら……大切な者へ弓を引いてしまうのなら……いっそのこと……」真正面に妖刀姫が現れる。【妖刀姫】 「白狼、諦めないで!蛍草があなたを待っているよ!」妖刀姫との戦闘に入る。【白狼】 「なん、だと……?「一弓一夕」……ごめんなさい……」妖刀姫を倒す。【白狼】 「ごめんなさい……」戦闘終了。 白狼は歩みを再開した。【白狼】 「ああ……蛍草よ……命が尽きる前に、もう一度蛍草に会いたいな……でも、これで良かったのです……ほたる……ぐさ……許して……ください……「一矢一生」を教えたことを許してください。この瞬間に、私の人生における矢が最後の一本しか残されていないとしたら……私は……――それを自分に向ける。蛍草……」白狼は足を止める。【白狼】 「さようなら……」白狼は弓矢を持ち上げるが、体力が尽きたため、町中の突き当りで倒れた。一輪のタンポポが降りてくる。一輪のタンポポの綿毛が飛んで、 白い光が画面いっぱいに広がる。時を同じくして、都の町中で、蛍草は独りで歩いている。【白狼】 「ほたる……ぐさ……」【蛍草】 「微かだけど、白狼さんの声が聴こえる!白狼さん、あなたが私を呼んでいるのですか……!今すぐ行きますからねっ!」真正面に発狂する覚に遭遇、蛍草止まる。蛍草は発狂した覚を治し、また歩き出す。【蛍草】 「急がなくちゃ……だけどもう、間に合わないかも……わたし、もっとたくさんの妖怪たちを助けたかったのに……本当はね、わたしの身体、もう限界なんだ……嘘ついて、ごめんなさい……私の旅も……終わりが近づいてきたみたい……いつからだっけ、自分も侵食されてることに気付いたのは……腐った草木から産まれた私には、癒しの力が宿っているけれど……その力を使えば使うほど、この身体を保てなくなって腐っていくの……」真正面に発狂する妖刀姫が現れ、蛍草止まる。【蛍草】 「腐った蛍草に戻ること、本来の姿に戻ることが……わたしに与えられた結末なんだと思う。」発狂した妖刀姫を治す。蛍草が引き続き前へ、足取りが段々重く、声が弱くなっていく。【蛍草】 「だけど、後悔はしてないよ……一度だってね……短かった命だけれど、この世に生まれてきて、みんなに会えて、私は満足なんだ。」蛍草はだんだんと歩けなくなり、声も弱々しくなり、最後には足を止める。【蛍草】 「白狼さん……わたしに聞いたよね……」回想シーンに入る。【白狼】 「蛍草、この修行が終わったら、あなたはどうするつもりですか?」【蛍草】 「今、やっと自分の答えがわかった気がする。命が終わる最期の瞬間まで、この世界を見ていたい。そう、最期の瞬間まで。この世界に、短い命でも立派に生きていたのよって証明するためにね。」蛍草が空を見上げる。玉藻前と平安京に戻る道中の回想シーンが流れる。【玉藻前】 「蛍草……何をこっそり書いていたのですか?」【蛍草】 「秘密です。」【玉藻前】 「手紙?それとも日記?」【蛍草】 「そうですね……願いと言った方が正しいかも知れません。わたしの胸の中でずっと大切にしていた願いです……振り返ってみれば、もうこんなにたくさんの願いが叶いました。最初の願いは……——じゃあ私、先に行ってきます!それから……あなたたちを治すために、ここに来ました。だから、どうか……一度だけでいいから、私を信じてくれませんか?いっぱい、叶ったね……」荒川、大江山、逢魔が原での思い出が次々と思い起こされていく。【蛍草】 「最後の願い……最も叶えたい願いは……白狼さん……命が尽きる前に――――もう一度、あなたに会いたいです。」回想シーン終了、今に戻る。 そして、蛍草の前に白狼が現れる。白狼に近づく。【蛍草】 「<反応強めの気づき>白狼さん……やっと会えました……遅くなって……ごめんなさい、白狼さん……」【白狼】 「ほたる……ぐさ……」【蛍草】 「ひどい侵食……でも安心してください。わたしが絶対治しますから……」【白狼】 「私のことはいい……早く立ち去りなさい……」【蛍草】 「ねぇ、白狼さん……白狼さんと約束してたこと、私全部できましたよ。白狼さんを見つけるために、私、すごく頑張りました……!初めての人助け……それから鬼王との対決……ほんとうに……たいへんでした……」【白狼】 「私は……多くの人を、傷つけてしまいました……私を、助けるな……」手を緩めず、執拗に白狼を助ける蛍草。【蛍草】 「白狼さんのバカ。私は、蛍草なんだからね!あなたのことも、みんなのことも助けるの!わたし、侵食されたたくさんの小妖怪を見てきました。みんな、誰かに愛されていて、誰かを愛していて……だからわたし、みんなを助けたいです!もう一度、頑張ってみたいんです!今度は——頑張ってる私を、白狼さんもちゃんと見ていてください!小さな私でも、大きな力を出してみせますから。」映像に入る。蛍草が最後の力を振り絞り、世界全体を癒していく。【蛍草】 「私なら、きっとできる……<穏やかな寝息を立てる>」映像終了。 白狼は真っ白な空間を歩く。前方には背を向けた渺念蛍草がいる。一回り小さくなったけれど、蛍草で間違いない。【蛍草】 「白狼さん……もう大丈夫ですよ。迎えに来ました……一緒におうちへ帰りましょう。」 |
後日談
後日談ストーリー |
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数日後——【白狼】 「どこですか?あなたは一回り小さくなったのですよ。もう……この子ったらまたどこに行ったのでしょう……蛍草、おうちに帰りましょう!日が暮れますよ!ほたる……ぐさ……?」【渺念蛍草】 「えへへ、えへへ」【白狼】 「<軽いため息> 笑い声が聴こえていますよ。もうこれ以上待ちません!三つ数えるまでに出てきてください! 」【渺念蛍草】 「ええええ」【白狼】 「二!」【渺念蛍草】 「もう、白狼さんのバカ……」【白狼】 「一!」 蛍草が茂みから楽しく飛び出して、白狼に抱きつくという微笑ましいシーンで、物語は終わる。【渺念蛍草】 「ここだよ!」 |
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