【陰陽師】「風立ちの森」ストーリーまとめ【初翎山風超鬼王襲来】
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『陰陽師』の初翎山風超鬼王襲来「風立ちの森」のストーリー(シナリオ)をまとめて紹介。
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風立ちの森ストーリー
1日目
1日目ストーリー |
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八雷山の森の中……【山風】 「……着いた。閻魔が言っていた「始まりの地」は、きっとここだな。あの時、閻魔はこう言った……」【閻魔】 「始まりの地に戻れ、汝の会いたい人はそこにいる。」【山風】 「ここに戻るのは久しぶりだ、森の雰囲気も変わったな。森の中に、不愉快な妖気が漂っている。俺をここに来させるために、薫を連れて行ったのか?俺のせいで、薫が巻き添えに……ちっ!」【オオカミ】 「ガウウウウ……」【山風】 「……また出てきやがったな。ここを去る前に、俺は狼を一匹残らず殺したはずだ。」【オオカミ】 「ガウ!!!」【山風】 「取り囲むつもりか?無駄だ。一、二匹殺したところで群れの攻撃には影響しない……はぁ、相変わらずしつこいな。昔一度皆殺しにしたんだ、今もう一度殺してやる。死ね!」【???】 「……」【山風】 「……何者だ?!」【???】 「邪魔だ!どけ!!あれは俺の獲物だ!!!」【山風】 「……お前……!!!」【???】 「ちっ、逃げられた。おい!そこのお前!お前がぼんやりするから、奴らを逃しちまった。」【山風】 「お前のその姿……」【???】 「どこか懐かしい気がする……八雷山の狼はすべて俺の獲物だ。この森はよそ者は歓迎しない、さっさと行け。(あいつが頭に被っている毛皮、どう見ても……)面倒だ、どうでもいい。さっさと失せろ。」【山風】 「待て。お前は誰だ?」【???】 「俺が誰であろうと、お前に関係ないだろう?」【山風】 「……ちっ。」【???】 「!!!!」【山風】 「防いだのか……?ちっ。」【???】 「てめぇ!!!」【山風】 「(こいつ何者だ?戦う時の癖が、俺と同じだ……)」【???】 「(こいつ何者だ?俺はこいつの戦い方を知っている……)随分「友好的な」挨拶だな。」【山風】 「問答無用!」【???】 「……ふん。」【山風】 「お前の負けだ。言え、お前は何者だ?」【黒い影】 「ぐううう……」【山風】 「うっ……なんだ!」【???】 「迅風、よくやった!このままとどめを刺せ……うん?」【迅風】 「ぐぐぐ!!!(嬉しそうな声)」【山風】 「おい!俺にくっつくな!!翼を叩くな……」【???】 「迅風……どうしてこいつとそんなに親しくするんだ?!」【山風】 「ケホケホ、翼を叩いたり羽根を落としたりする癖は何とかならないのか……(こいつも迅風も、反応を見ている限り操り人形ではなさそうだ。本当に「過去の俺」なのか?)お前……いきなり攻撃したのは悪かった。俺は、女の子を探しにここに来た。お前は森のことをよく知っている、一緒に行動させてもらう。」【???】 「はぁ?なんでお前と一緒に……おい!迅風!もうあいつにくっつくな!!」【迅風】 「ぐうう。(少し残念そうな声)ぐう……(ねだるような瞳)」【???】 「わかった。迅風が親しくするということは、悪者ではなさそうだ。俺の唯一の目的は、森にいる狼を狩ることだ。俺の邪魔さえしなければ、どこに行ってもいい。」【初翎山風】 「俺は山風だ、覚えとけ。」【山風】 「俺は……」【初翎山風】 「お前に興味はない。迅風、行くぞ!」【山風】 「…………「山風」……こいつは確かに「俺」だ。八雷山はどうなっている?俺は過去に戻っているのか、それとも過去の幻境に囚われているのか?これが、薫を連れ去ったやつが俺に見せたいものなのか?あの「俺」はどこから出てきたんだ?……薫を見つけるためにも、しばらくはこいつと一緒に行動して、森を探索することにしよう。「昔の俺」、信じていいのか……」【初翎山風】 「…………この森に他所者はそうそう来ない、あいつはどこから来たんだ?それに、懐かしい感じがする。あいつ、信用していいのか……」【迅風】 「ぐぐぐぐ!(嬉しい!)」閻魔の導きの下、一目連、黒無常、白無常と晴明は八雷山の周りにある森にやって来た。【黒無常】 「おいおい、都から遠すぎだろ、人使いが荒いババアだぜ。」【白無常】 「黒無常、閻魔様をそんな風に呼んではいけません。」【黒無常】 「弟よ、大丈夫だ。ここは閻魔殿から遠く離れてる、俺をどうにもできねえよ。」【蒼風一目連】 「この山を越えれば、その先は八雷山の森だろう。まだ冬は来ていないのに、森はすでに索漠としている。本当に山の奥深くに、雲外鏡の欠片を浄化できる霊地があるのか?」【黒無常】 「行ってみりゃわかるさ、どうせババアの指示に従うしかねえんだ。」【蒼風一目連】 「それもそうだな。」【晴明】 「森の風がまるで悲鳴のようだ、それに山の霊力の流れもおかしい。何事もなければいいが。」【白無常】 「森の奥に着きました。閻魔様の指示はここまでです。さて……」【オオカミ】 「ああううう……!!」【蒼風一目連】 「またか。この森にはどれだけ狼がいるんだ?」【黒無常】 「めんどくせぇ、俺たちは何もしてねえのに、邪魔ばかりしやがって。」【白無常】 「どうやらこの森は奴らの縄張りのようですね。縄張りに入り込んだ者は襲われる……ふん。」【黒無常】 「不意打ちか?死ね!」【蒼風一目連】 「我も手を貸そう……」【白無常】 「大丈夫です、彼に任せましょう。この程度の妖怪は、彼に傷一つつけられません。この前までずっと旅をしていたせいで、退屈だったのでしょう。せっかく戦えるのですから、彼に気晴らしさせてあげましょう。」【黒無常】 「へへ、よくわかってるな。弟もそう言っているんだ、ますますお前らを見逃すわけにはいかねえ!!くたばれ!!」【オオカミ】 「あううう!!!」【晴明】 「彼らは私たちを攻撃しようとしているのではなく、こっちに逃げて来ているのか?ん……?あそこに倒れているのは……」【旅人】 「ゲホゲホ……」【蒼風一目連】 「大丈夫か?」【旅人】 「大丈夫じゃありません……」【黒無常】 「普通「大丈夫」で返すところだろうが。」【白無常】 「その傷は……狼によるものですね。一目連様……」【蒼風一目連】 「風符で止血しておいた。古傷も多いが、大したことはないだろう。」【旅人】 「これはこれは、まさかこんな所で優しい方々に逢えるなんて、本当に助かりました。あなたたちがいなければ、拙者は今頃狼に殺されていました。怖い、怖い……」【晴明】 「「私たちがいなければ、狼は一匹残さず君に殺されていた。」の間違いではないのか。」【蒼風一目連】 「(彼が持っている杖に血が……いや、あれは刃なのか?)」【旅人】 「そんなまさか、拙者は森に隠居するつもりだったのですが、迷子になってしまったのです。あんな怖い妖怪と戦えませんよ。」【黒無常】 「おい、お前怪しいな。目的はなんだ?」【白無常】 「黒無常、やめてください。一応怪我人ですよ。「迷子」と言いましたね、どこに行くつもりですか?怪我をしていますし、送ってあげましょう。」【黒無常】 「おい、弟よ、俺たちは……おい、なんで睨むんだ!」【旅人】 「あなたたちと同行できれば、狼に襲われる心配もなくなります。拙者は山の向こうの村に住んでいました。しかしこの数年間、なにが起こっているのか知りませんが、樹木が枯れたり、動物が病んで死んだりして、我々は引っ越すしかなくなりました。ここは木々が生い茂っているし、暮らせるではないかと思ったのですが、まさか狼の縄張りだったとは。太刀打ちできないので、荷物を捨てて逃げ回りました。」【晴明】 「君はこの辺に住める場所があると知って引っ越してきた、違うか?」【旅人】 「ああ、それは……拙者は八雷山の奥に住んでいる一族がいると知り、そこに身を寄せるつもりです。おそらく……あっちです。」【蒼風一目連】 「では、その村まで送ってあげよう。」【旅人】 「おお、それは本当に有り難いです!」【黒無常】 「……ふん。」【白無常】 「黒無常、何故私の袖を引っ張るのですか?何か言いたいことでも?」【黒無常】 「弟よ、お前は優しいのは知ってるが、こいつは明らかに怪しい。どうして同行するんだ?万が一これが罠だったら……雲外鏡の欠片の浄化だけじゃなくて、ババアからの任務もあることを忘れんなよ。」【白無常】 「閻魔様の指示は八雷山で途切れてしまいました。近くの村に行くことができれば、情報を集めることができます。それに……」【旅人】 「そこのお二方、こそこそ話は後にしましょう。もうすぐ日が落ちて、森はもっと危険になります。」【白無常】 「……それに、下手な嘘をついて、疑われていることくらいは自覚しているでしょう。それでも私たちに近づこうとしている。彼は、我々がどんな「手掛り」も逃さないということを理解しています。」【黒無常】 「わかった、お前の言う通りにするさ。」【蒼風一目連】 「我は白無常と同意見だ。一旦彼の話に乗ってみよう、一体どこに連れて行ってくれるのか。さっき傷を治療した時、彼の妖力を感知した。我々の脅威にはならないだろう。」【旅人】 「着きました!まさか本当に山奥に村があるなんて。」【白無常】 「では、我々も村を調査しましょう。」 |
2日目
2日目ストーリー |
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八雷山の森の中……【初翎山風】 「…………」【山風】 「…………」【迅風】 「ぐぐぐ~(楽しんでいるようだ)」【山風】 「お前……(まずはこの「俺」が、どこまで覚えているのか確かめるとしよう。)なぜ森で狼を狩っている?」【初翎山風】 「なぜって。あいつらは俺の敵、俺の獲物、「皆殺しにする」ことだけが俺の目的だ。」【山風】 「……」【初翎山風】 「仲間はいないか、聞かないのか?」【山風】 「いなさそうに見える。」【初翎山風】 「ふん。」【山風】 「仲間じゃない誰か、例えば同族の者なんかはいないのか?この森に暮らしている村人がいるだろう。」【初翎山風】 「あいつらか?ただの臆病者だ。戦いを恐れてるから、冬は難攻不落の谷に引きこもってる。」【山風】 「お前は一人で出てきたのか?」【初翎山風】 「まあな。お前に話すことはない、狩りの時は静かにしたほうがいい。」【山風】 「お前が俺に質問させたんだろう。」【初翎山風】 「……ちっ。」【迅風】 「ぐぐぐぐぐ!(楽しんでいるようだ)」【山風】 「(あの冬だ、一人で森を徘徊して狼を狩っていた。あの時、俺は……)(認めたくないが、この性格は……確かに昔の俺だ。)過去に戻った……のか?ずっとこの辺で活動してるのか?他の場所に行ったことはあるか?」【初翎山風】 「狼はこの山の森にしかいない。なぜ他の場所に行く必要がある?」【山風】 「(俺には「誰かと一緒に狼を狩った」記憶はない。過去に戻っているはずがない……)」【初翎山風】 「おい、人を探してるなら、村で聞いてみるといい。女の子がこの森で生きていられるわけがない。」【山風】 「村……お前は戻ったことはないのか?」【初翎山風】 「ふん。」【山風】 「ないみたいだな。(そこは俺の記憶と一致する。)俺はお前と一緒に行動する。村の近くに着くまでは。」【初翎山風】 「俺は村がどこにあるか教えてない。なぜ村がこのあたりにはないと知っている?」【山風】 「……」【初翎山風】 「お前はこの辺のことを知っている。お前はやみくもに人を探しているわけじゃない、彼女が八雷山にいることを確信している。」【山風】 「その通りだ。」【初翎山風】 「言ったはずだ、俺はお前に興味がない、だからわざわざ隠さなくてもいい。」【山風】 「弱肉強食の森で生き抜くために、頼れるのは自分だけだろう。お前はどうして……」【初翎山風】 「うるさい……」【迅風】 「ぐぐぐぐ……(慰めているようだ)」【山風】 「お前の主人は気難しいな。」【迅風】 「ぐぐぐ~(同意する)」【山風】 「でも、俺も人のこと言えないな。何れにせよ、今は彼を敵扱いしなくてもいいだろう。薫を連れ去った目的が俺なら、八雷山でこんなことをする敵は恐らく……まずは彼と一緒に、狼の集まる場所に行く。」谷の近くの村……【蒼風一目連】 「山奥にこんな村があるとは。」【晴明】 「家が森の中に分散している、絶妙な隠れ場所だな。」【蒼風一目連】 「ああ、この方の案内がなければ、辿り着けなかっただろう。「山に隠遁する村があると聞いた」と言ったな、なぜ具体的な位置を知っているんだ?」【旅人】 「ははは、森で暮らす者として、それなりのの心得はあります。」【黒無常】 「怪しい。」【白無常】 「とにかく、まずは村の人に状況を尋ねてみましょう。」【蒼風一目連】 「う……」【白無常】 「一目連様?どうかなさいましたか?!」【蒼風一目連】 「いや……この周りの風は滞っていて、何らかの力によって村に流されている……普通の村に見えるのに。」【晴明】 「確かに。村に近づくほど、歪んだ力が強くなっている。」【白無常】 「外から村の家々を見ている限りでは、暮らしている人々は影響を受けていないようです。」【村の少年】 「……」【黒無常】 「おい!そこの覗き野郎!」【白無常】 「黒無常、失礼ですよ。」【村の少年】 「……」【白無常】 「どうも、私たちは他所からやって来ました。このあたりについてお尋ねしたい……」【村の少年】 「(武器を構える)」【黒無常】 「何だその態度は!!」【村の少年】 「お前ら、森の外から来たのか?」【晴明】 「我々は都からやって来た。この八雷山で、とある場所を探している。」【村の少年】 「都?知らないな。ここはよそ者は歓迎しない、さっさと帰れ!」【白無常】 「悪意はありません、ただここの状況を知りたいだけです。それに、負傷者が二人います。しばらく休ませていただけないでしょうか。」【旅人】 「「しばらく」じゃありません!お兄さん、この村良い場所にありますな、拙者もここに住まわせてください。」【村の少年】 「冬が近づいている、異族人を収容する余裕はない、他を当たれ。」【晴明】 「「異族人」?」【旅人】 「そんな……」【村の少年】 「村に一歩でも踏み入れてみろ、我々への宣戦布告だと見なす。」【黒無常】 「やんのか、誰が……」【白無常】 「黒無常、静かにしてください。」【蒼風一目連】 「我々はここから去る、邪魔したな。」【旅人】 「じゃあ拙者は……ひっ、睨まないでくれ、拙者も去ります、これでいいでしょう。」【黒無常】 「うう離せ……弟よ、遠慮する必要はない、そのまま突っ込めばいいんだ。」【白無常】 「私たちがここに来た目的を知っている人は、できるだけ少ないほうが良いのです。なるべくいざこざを起こさないようにしましょう。」【晴明】 「さっき彼が言っていた「異族人」が気になる。あの村に住んでいるのは、普通の人間ではないのかもしれない。もしそうなら、気をつけたほうがいい。」【黒無常】 「わかった、言うとおりにしよう。で、これからどうする?」【蒼風一目連】 「白無常の意見には賛同するが、この付近にはあの村しかない。そう簡単に諦めるべきではない。我々は人数が多い故、目立つ。二手に分かれ、それぞれ村の付近と森の中で手掛りを探したほうがよいだろう。」【晴明】 「ああ、一目連の言う通りだ。それに、村人全員がよそ者に抵抗があるとは限らない。」【旅人】 「あ、あの……」【黒無常】 「じゃあそれでいくぞ!森のほうは俺と弟で、ついでに狼を……」【白無常】 「いいえ、黒無常、私たちは別行動です。」【黒無常】 「あ?!な……なんでだ?!」【旅人】 「あなたたち……」【白無常】 「私たちは、晴明殿や一目連様とは違ったものを感知できますゆえ、ここは別々に行動するのがいいかと。なぜでしょうか、ここは冥府と少し似た感じがします……」【黒無常】 「だが……だが……」【晴明】 「一目連、君は村に近づいてから、謎の影響を受けているようだ。黒無常と近くの森で手掛りを探してくれ。」【蒼風一目連】 「わかった。迷惑をかけてすまない。」【旅人】 「それで、拙者は……」【白無常】 「それでは、私は晴明殿と村の周辺に残ります。黒無常、森のほうは頼みましたよ。」【黒無常】 「お前がそう言うなら……はぁ、わかったよ。」【晴明】 「では夕方にここで集合し……」【旅人】 「ちょっと!!!拙者のことを無視しないでくださいよ!」【黒無常】 「お前、まだいたのか?村を見つけられてよかったな、それじゃ……」【旅人】 「拙者を置いてかないでください、これもなにかのご縁じゃないですか。」【黒無常】 「お前の言動は怪しすぎる、これ以上同行するのは御免だ。」【白無常】 「旅人の方には、私と村の周辺に来てもらいましょう。」【黒無常】 「…………」【蒼風一目連】 「はあ、此度の旅は本当に大丈夫か?」黒無常と蒼風一目連は、八雷山の森を探索し始めた。【黒無常】 「……だからさ、あんなこと言われたら、俺はどうしようもねえだろう?!どうしようもねえ!」【蒼風一目連】 「そうだな、どうしようもないな。(さっきの少年によると、彼らの一族は冬の準備をしているらしい。一体……)」【黒無常】 「それにな!出発を決めた時、あいつは、こともあろうに!!何て言ったと思う?」【蒼風一目連】 「何て言ったんだ?(樹木が生い茂っていて、周りに冬の気配はない。ここの天気は七角山のように、何らかの力に影響されているのか?)」【黒無常】 「自分のせいで俺に怪我させたって言ったんだ、全部自分のせいだと!そんなわけねえだろ!それに、あのババアも……」【蒼風一目連】 「(狼とさっきの村以外にも、この森に他に生活している者がいるのか?それはなさそうだ……)あのババ、ゴホン……閻魔様がどうした?」【黒無常】 「あのババアは助けてくれねえ、俺たちがあんなに苦労したのによ……はぁ。」【蒼風一目連】 「二人とは知り合って短いが、二人の間の絆を感じられる。白無常もきっとお前のことを気にかけている。ただはっきり言わないだけだ。」【黒無常】 「そういう性格なのは知ってる。俺のことを全部思い出してほしいとも思わねえ。でもやっぱりもう一度……」【女の子】 「兄さんって呼んでほしい!!!」【黒無常】 「そう、「兄さん」、一度でいいから「兄さん」って呼んでほしいんだ。一目連よ、風神ってのは伊達じゃないな、よく俺のことを理解してくれる……うん?」【蒼風一目連】 「静かに、今の音は?あっちから……」【オオカミ】 「ガウウウ……」【女の子】 「ううう、お兄ちゃん助けて!!!」【黒無常】 「お……女の子?てめえらどきやがれ!!」【オオカミ】 「ウウウ……ガウ。」【蒼風一目連】 「……逃げ足の早い。よしよし、もう安全だ、もう泣くな。」【女の子】 「うううう……お兄ちゃんはどこ?」【黒無常】 「もう大丈夫、大丈夫、お兄ちゃんはここだ。」【蒼風一目連】 「子供をあやすのが上手だな……待て、その顔は……薫?!お前なのか?!」【女の子】 「薫?」【蒼風一目連】 「いや、薫はこんな小さい子供ではないはずだ……お嬢さん、名前は?どこから来たんだ?」【女の子】 「わ……わからない。うう……目覚めたらここにいたの。お兄ちゃんがいることしか覚えてない、お兄ちゃんは私を守ってくれる。狼……大きい狼が追ってきて、私は転んじゃった……」【黒無常】 「よしよし、もう怖くねえ、狼は兄ちゃんたちが追っ払ったぞ。眠れ、怖くねえから……(小声)さっきは怖かったんだろう、今は眠ってる。こんなところになぜ人間の女の子が?それに、薫にそっくりだ。」【蒼風一目連】 「(小声)わからない……ここに来る途中に、人が通った形跡はなかったはずだ。」【黒無常】 「(小声)どうする?まずは俺の弟を探したほうが、つまり、村に戻ったほうがいいんじゃねえか。」【蒼風一目連】 「(小声)身なりから見て、彼女はあの村の人間ではなさそうだ。しかし彼女を連れてこれ以上進むのは危険だ、一旦戻るとしよう。」その頃、村の近くでは……【白無常】 「地面の痕跡はここで途切れています、やはり私の推測通りです。さっきあの少年は、一族は冬の準備をしていると言っていました。しかしここ最近、彼らは村の外に出ていません。」【晴明】 「森にいる狼を恐れているのか?狩りには慣れているように見えたが。」【旅人】 「もしかして…村を離れられないのでしょうか?」【白無常】 「その可能性もあります。ここのすべてが、私たちの知っている森とは違います。もっと村人と話すことができればいいのですが。」【旅人】 「家に籠もって出ようとしない、明らかに警戒していますよ。拙者は似たような村を何度か見たことがあります。自給自足で、よその人を頼らずに暮らしています。巣に引っ込む兎のようで、へっ、いつか狩られ、食べられてしまいます。このような村の人は、攻撃を仕掛けてこないだけありがたい、自ら接触しに来る奴なんていませんよ……」【村の少年】 「おい……そこにいるよそ者、こっち、こっち!!」【旅人】 「???」【村の少年】 「暇そうだから、ちょっと手伝ってくれないか?」【旅人】 「……いましたね。」【村の少年】 「大したことじゃないんだ、手紙を届けてくれない?」森から遠く離れた崖の上、狼の集まる場所……【???】 「そうか?彼女を連れて来れなかったか。」【オオカミ】 「ガウ……」【???】 「下がれ。ようやく、会えるぞ……ははは、楽しみだな、「山風」。」 |
3日目
3日目ストーリー |
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八雷山の森の奥……【山風】 「…………」【初翎山風】 「…………」【迅風】 「ぐぐぐ~ぐぐ~」【初翎山風】 「…………」【山風】 「…………」【初翎山風】 「……口数の少ないやつだ。おい、いつまでついてくる気だ?」【山風】 「それは俺の勝手だろう?」【初翎山風】 「聞いてみただけだ。やはり誰かと同行するのは慣れない。」【迅風】 「ぐぐ!」【初翎山風】 「迅風?なんだ……嬉しいだと?あんなやつと一緒で何が嬉しいんだ……ちっ!」【オオカミ】 「ガウウ……」【山風】 「少なくとも、お前の周りに潜み、襲って来ようとする狼を片付けることはできる。」【初翎山風】 「俺もあいつに気づいていた、お前が手を出さなくても、俺一人でなんとかできた!俺は臆病なやつらとは違うんだ。」【山風】 「「臆病なやつら」、お前の仲間たちか?」【初翎山風】 「仲間じゃない。昔俺は奴らの首領に助けられ、そして一緒に暮らしていた。今となっては、俺があそこに残る理由はない。」【山風】 「……「理由」ってのは、ずっと変わらないものじゃない。」【初翎山風】 「何のことだ?」【山風】 「べつに。」【迅風】 「ぐぐぐぐ!ぐぐ!(何か見つけたようだ)」【初翎山風】 「うん?ああ……確かに、そんな匂いがする。」【山風】 「天候が変わる。」【初翎山風】 「お前にもわかるのか。そうだ、じきに大雪が降る。狼の巣に忍び込むいい機会だ。」【山風】 「一人で狼の群れを相手にするのか?得策じゃないな。」【初翎山風】 「俺の唯一の目的は、狼を皆殺しにすることだ。この機会を逃すわけ無いだろう?」【山風】 「(あの時、俺は何をした?確か……雪!あの冬は、ずっと粉雪が降っていた。俺は狼の王と直接対決できなかった。何か変わったのか?それとも、彼は「昔の俺」とは違うのか?)……俺も一緒に行こう。」【初翎山風】 「ん?女の子を探すんじゃないのか?」【山風】 「……彼女の居場所を知らないんだ。ずっと探していた、唯一わかったのは八雷山に連れ去られたということだけだ。狼のところにいるかもしれない。」【初翎山風】 「お前の行動は理解しかねる。なぜ他人のために犠牲を払う?見返りでもあるのか?」【山風】 「……」【初翎山風】 「おかしな話じゃないか?その人たちは、お前にとってはただの足手まといにすぎない。それなのに、どうして……」【山風】 「黙れ。いずれわかる。」【初翎山風】 「懐かしくて気に入らない言い方だな。昔、首領によくそう言われていた。やらないとやられる世界で生きるためには、余計なことを考える必要はない。本能に従えば十分だ。弱者は死ぬ、強者は生きる。」【山風】 「……」【迅風】 「ぐぐぐ!!!(怒っているようだ)」【初翎山風】 「どうして彼に味方するんだ?わかった、俺が言い過ぎた。ちっ、調子が狂う。お前なら、俺のことを理解できるはずだと思っただけだ。今のは忘れてくれ。」【山風】 「先に進もう。」【オオカミ】 「ガウ……ガウウ……」【初翎山風】 「死ね!!!」【山風】 「……(昔の殺戮に夢中だった俺は、こんな有様だったのか。)待て、こいつに聞きたいことがある。」【初翎山風】 「は?」【山風】 「これくらいの背丈の女の子を見たことはないか?紫色の髪で、梟が側にいるはずだ。」【初翎山風】 「梟?」【オオカミ】 「ガウ!!スッ……アアアア……」【山風】 「こいつの反応をみるに、やはり薫の失踪は狼と関係しているようだ。行こう、狼の巣へ……」【初翎山風】 「ふん。」黒無常は森で出会った女の子を連れて村付近に戻り、白無常たちと合流した。【白無常】 「……それで、彼女を連れて戻ったのですか?謎が深まる一方ですね。」【旅人】 「子供を拾うなんて!こんな小娘、狼の餌にも足りないくらいですよ。」【蒼風一目連】 「コホン……一先ず状況を整理しよう。先ずは八雷山だ。雲……とある目的のために、我々は閻魔様の導きによりここに辿り着いた。そして相次いで遭遇したのは……森を徘徊する狼、よそ者を避ける村、そしてさっき森で出会った……薫によく似ている女の子だ。薫は失踪し、山風は彼女の行方を探している。山風も八雷山と関係あるのか?」【晴明】 「これについては、お前たち無常が答えてくれ。」【白無常】 「……すみません、この件はあなた方に伝えていませんでした。その通りです、閻魔様が山風に示した目的地も、この八雷山でした。でも解せません、山風と「我々の目的」に何の関係があるのか。閻魔様の判断ですので、間違いはないと思いますが。」【蒼風一目連】 「偶然か?それとも……前から薄々気づいていたが、我々が八雷山に来るまでの道程は、何らかの形で操られていたようだ。」【晴明】 「私だったら、二手に分かれた人たちを同じ場所に誘導する必要があり、さらにそれを悟られたくない場合、それぞれにかけ離れた目的を与える。そして二つの目的を同じ手がかりに繋げ、それを「偶然」だと思い込ませる。」【蒼風一目連】 「とにかく、「山風の行方」も「薫の所在」も我々が解明しなければならない」【黒無常】 「何がどうなってるんだ。」【旅人】 「お兄さん、あなたは彼らと一緒に来たのに、どうして拙者と同じ、よくわからないといった顔をしているのですか?」【村の少年】 「おーい……ちょっとこっちにもかまってくれない?まだ木の上にいるんだけど!そんなに離れなくても、盗み聞きはしないから!」【黒無常】 「静かにしろ!!」【蒼風一目連】 「黒無常、声が大きいぞ……」【女の子】 「うう……お兄ちゃん……?」【黒無常】 「起きたか?」【女の子】 「うう、ここはどこ……?あなたたちは誰?」【黒無常】 「俺たちは悪い人じゃないから、怖くねえよ。さあ、お兄ちゃんに教えてくれ、どこから来たのか覚えてるか?」【女の子】 「……覚えてない。」【黒無常】 「じゃあ名前も……とりあえず「薫ちゃん」って呼んでいいか〜?」【薫ちゃん】 「うん。」【蒼風一目連】 「薫ちゃん、我々に出会うまで、ずっと森にいたのか?」【薫ちゃん】 「わからない……起きたら森にいたの。覚えてるのは、私は人を探してるってことだけ。私は誰を探して……?お兄ちゃん……」【黒無常】 「うん……あ!」【薫ちゃん】 「私……私はどこに行けばいいの?」【旅人】 「お兄さんが倒れましたが……無事なのでしょうか?」【白無常】 「大丈夫です。」【黒無常】 「問題ない、どこに行こうと、俺たちがお前を守ってやる!!!」【晴明】 「まさか黒無常がこんな顔をするとは。」【白無常】 「…………」【蒼風一目連】 「コホン、これは我の考えだが。我々は八雷山の状況に詳しくない以上。そこにいる村人の少年と接触してみたらどうだ。手紙を送るついでに周辺を探索して、山風の行方を探す。」【白無常】 「そうですね、私は賛成です。」【旅人】 「じゃあ拙者は?」【蒼風一目連】 「さっき戻る時に気づいたが、あっちの森に踏み入れない限り、攻撃されることはないだろう。家探しに協力したいのは山々だが、今の我々にはもっと重要な任務があるんだ。」【旅人】 「そんな……仕方ない、拙者は警戒されているみたいですね。拙者は本当に悪意はなくて、あなたたちについていきたいだけなんです。他にやることはないし、村の人も拙者を受け入れてくれません。拙者も一緒に行かせてください!」【黒無常】 「ニヤニヤしながらこっち来んな!」【蒼風一目連】 「はぁ、では一緒に来るといい。」【旅人】 「絶対に迷惑をかけません。」【黒無常】 「はいはい、こいつのことはこれで決まりだな。あとは……あっちのやつだ……」【村の少年】 「お!ようやく俺の番だ!!あー、よその人が来るのは久しぶりだ。来てくれて助かったよ。この手紙を、森の向こうにある谷の辺りに送ってほしいんだ。友達があの辺に住んでるんだ。森を抜けて、夕方になったら、「松風の手紙だ!」って叫んでくれ。」【晴明】 「「松風」?」【松風】 「俺のことだ、俺は松風。きっと狼がたくさん徘徊してるけど、お兄さんたちは強そうに見えるから、きっと楽勝だ!!」【黒無常】 「お前、遠慮がねえな。俺たちは子供を連れてるんだ!お前を手伝って、何の得がある?」【白無常】 「……黒無常、失礼ですよ。」【松風】 「じゃあ代わりに、俺に手伝えることはないか?遠慮しないで言ってくれ、後悔しないように。」【晴明】 「「後悔しない」?」【松風】 「ああ、なんでもない。」【蒼風一目連】 「我々はここに来たばかりで、この辺りのことはよく知らない。この森とあなたたちの村の話を聞かせてくれないか?」【松風】 「え……村のことは、よそ者に話すのはちょっと、勘弁してくれ!!!」【黒無常】 「ちっ……わかった、弟よ、睨むな。」【松風】 「森のことなら何でも聞いてくれ!俺はすごく詳しいんだ。」【蒼風一目連】 「では、八雷山の周辺に霊力豊かな場所はあるか?」【松風】 「霊力豊か……やっぱり崖にある祭壇かな。」【晴明】 「祭壇?」【松風】 「森を抜けた後、そのまま進むと、谷の端の山に、俺たち一族の聖地がある。聖地といっても、儀式をする祭祀場だけど。森で暮らす者は皆、何らかの習俗を持ってるもんだ。先に崖に行ってみてもいいよ、ついでに手紙を届けてくれれば。」【黒無常】 「ついでに?おい、手紙を届けさせるために、適当に道を教えたわけじゃねえよな?」【松風】 「誤解だ!安心して、そう遠くはないから、一日で行って帰ってこれる。明日同じ時間に、ここで待ってるよ。」【晴明】 「他に選択肢はなさそうだ。」【蒼風一目連】 「そうだな、祭壇のあたりに行ってみるとしよう。」【黒無常】 「おい、ちょっと待てよ!この子はどうするんだ?!戦うことになったら、怖がっちまうぜ。」【薫ちゃん】 「私は大丈夫……私、怖くない。」【蒼風一目連】 「じきに雪が降る、夜は寒くなる。」【白無常】 「しばらく近くで休みますか?或いはもう一度村の人と接触してみるのはどうでしょう?女の子一人なら、そこまで警戒しないかもしれません。遠くから見たのですが、村にも子供はいます。彼女を預けてみるのも一つの手です。」【薫ちゃん】 「置いてかないで……」【黒無常】 「うう……安心しろ、俺たちはずっと一緒にいる!」【蒼風一目連】 「やはり彼女を連れて行こう。彼女が……彼女がこんなに薫と似ているのは、きっと偶然ではない。」【晴明】 「一目連、もしまた狼に遭遇したら、できるだけ風符で彼女を守ってくれ。戦いは我々に任せろ。」【蒼風一目連】 「わかった。」【黒無常】 「よし、寒いから、お前はもうちょっと休んでろ。このお兄ちゃんの竜の背中で寝るのは、どうだ?」皆が眠っている女の子を連れて出発しようとしていると、武器を持った村人が、村の入り口に多く集まっていた。【村の少年】 「何をする気だ?」【蒼風一目連】 「我々はすぐにこの場を離れる、だから警戒しなくてい…ゴホゴホ……」【晴明】 「一目連?どうした……」【蒼風一目連】 「(村に近づくと、我は妖力を失う。他の皆は平気なのか?)平気だ。」【村の少年】 「ふん、さっさと帰れ。」【黒無常】 「……ま、待て!弟よ……薫ちゃんの具合が悪いみてえだ!体が冷たい……眠ってるんじゃなくて、気絶したのか?!」【白無常】 「何?!」【晴明】 「診せてくれ……!!体が氷のように冷たい、虫の息になっている。……彼女は瀕死の状態だ。なぜ急に……陰陽道を使って彼女を守っているが、間に合わない。彼女の命は何かに吸収されているようだ。」【蒼風一目連】 「「吸収」……まさか……」【村の少年】 「…………」森から遠く離れた崖の上、狼の集まる場所……【???】 「まったく野蛮な連中だ、あんな所に集まって暮らすだけで満足なのか?うん?祭壇の後ろに墓が……人を喰い、森で暮らす人々が森全体と繋がっていると信じる。死を利用して森の力を動かし、「森の禁術」とやらを実現する。そんな一族が墓を作るのか?面白い。」少女は古い墓に近づく。墓石には多くの名が刻まれいるが、文字がよく見えない。墓石には刀の痕が残っていて、地面に倒れている。ある石には、「松」という字が刻まれている。 |
4日目
4日目ストーリー |
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村の付近……【村の少年】 「おい、何があった?」【黒無常】 「お前らには関係ねえ!!」【蒼風一目連】 「体が冷たい、もう……」【黒無常】 「薫ちゃん、目を覚ませ!……くそ!一体どういうことだ!!」【白無常】 「……黒無常、頭を冷やしなさい!彼女……彼女は普通じゃありません!」【村の少年】 「あの子に何かあったのか?あの子を俺たちに診せてくれ、我々一族の秘術なら、治せるかもしれない。」【蒼風一目連】 「(彼女の命は絶え間なく失われている、我の状況と似ている……)村に何かあるはずだ。むやみに近づくな!」【村の少年】 「俺たちが代わりに看護するよ。」【黒無常】 「いや、この子は誰にも渡さねえ。」【白無常】 「黒無常……」【黒無常】 「よそ者なら誰でも警戒するお前ら、本当にそんなことするのか?」【村の少年】 「あの子が可哀想だから助けたいだけだ!!ちっ。」【蒼風一目連】 「黒無常、彼女を連れてここから離れるんだ。」【晴明】 「何か方法はあるのか?」【蒼風一目連】 「我に……考えがある。うん……ここなら十分離れている。」【黒無常】 「くそ、どうしてこんなことに……」【晴明】 「……村を離れた後、彼女の容体は少しよくなった……一目連、何か気づいたのか?」【蒼風一目連】 「我はあの村に近づくと、明らかに妖力が失われる。あの村に何かがあるはずだ、周りの霊力を吸収している何かが。八雷山付近の森が枯れ、ここの雰囲気が重苦しくなるわけだ。この状況、まるで……」【晴明】 「鈴鹿山、そして鬼王の宴の前の七角山。これが閻魔がここを示してくれた理由か?」【黒無常】 「あの村にあるものが……この子をこんな目に遭わせたのか?」【白無常】 「待ちなさい、黒無常、どこに行くつもりです?」【蒼風一目連】 「待て。霊力を吸収するものに関して、もう一つ推測がある。推測が正しいかどうかを確認するには、二人の無常の協力が必要だ。」【黒無常】 「…………」【白無常】 「一目連様、話を続けてください。」【蒼風一目連】 「我々の中で、村に近づくと妖力を失うのは我だけ、お前たちに異常はない、そうだな。」【白無常】 「はい、私は影響を受けていません、黒無常もきっと……」【蒼風一目連】 「で、「なぜ我なのか」?私と無常二人との根本的な違いは……我は生きている、ということだ。」【白無常】 「生者しか影響を受けないと言うのですか?でも晴明殿は……」【晴明】 「さすがは風神様だ、「私」の正体を見破ったとは。私は「生きている」わけではない。」【白無常】 「何?」【晴明】 「私は晴明であり、晴明ではない。この体は紙人形霊符によって変化したものだ。だから生きているとは言えない。」【蒼風一目連】 「白無常は言っていたな、八雷山と冥府は似ていると。それに加えて、現世の事には関わらない閻魔様が突然手助けしてくれた、実に変だ。考えられる原因は……二人の無常は冥府の代表として、今回の八雷山の一行に参加している。お前たちには自らの使命と任務がある。目的地である八雷山は冥府と関係があるに違いない。ここで「生と死」は特別な意味を持っている。」【白無常】 「だから「私たちの協力が必要」だと言うのですか?さすがは風神様です。こうなった以上、隠す意味もありません。都決戦の時、現世は戦乱が絶えず、冥界も混沌を極めていました。事が収束した後、誰かが冥界の力の一部を「盗み出した」ことが発覚したのです。」【晴明】 「「盗み出した」?」【白無常】 「正確に言うと、冥界の力の一部が、転生していない魂と共に、現世各所に分散したのです。冥界は生死を司る、その力が勝手に使われたら、大混乱を引き起こします。」【蒼風一目連】 「八雷山に、その失われた力が集まっているということか?」【黒無常】 「あのババアはあやふやなことしか言わねえし、与える任務もはっきりしねえ。ここに来てあの力を回収するってことだけで、具体的にどこで、どうやって回収するかについては、「見ればわかる」としか言わねえ。」【蒼風一目連】 「なるほど。どうやら、我々が探さなければいけない物がまた増えたようだ。」【黒無常】 「ここが冥界と関係あると知ったところで、何の解決にならねえ!霊力を吸収する村、冥界から失われた力、この二つに何の関係がある?」【蒼風一目連】 「もしかすると、この二つは最初から一つだったのかもしれない。誰かが冥界の力を利用して、八雷山に特殊な空間を作り上げた。死者をここで生活させるために。」【白無常】 「!!!」【晴明】 「死者が生活する幻境を維持するためには、周りから霊力を吸収し続けなければならない。」【蒼風一目連】 「これはあくまで私の推測だ、確証はない。」【白無常】 「一番合理的な解釈ですね。だとしたら……」【黒無常】 「誰だ?!」【旅人】 「拙者ですよ、どうしてこんな所にいらしたのですか?」【蒼風一目連】 「すまない、急なことで。」【旅人】 「拙者は伝言を頼まれました。手紙のお兄さんからあなたたちに話があるみたいです、木の上でずっと待ってますよ。あの女の子は大丈夫ですか?」【白無常】 「ご心配おかけしました。私と晴明殿で行きましょう。黒無常と一目連様はここに残ってください。」【蒼風一目連】 「よろしく頼む。」【黒無常】 「……」【蒼風一目連】 「あの旅人も村の影響を受けていない。さっきの推測が正しければ、あの村は幻境の中にあり、周りの霊力を吸収している。影響されない彼は、一体何者だ?一つの村の死者が、ここで生活している。偶然だとは考えにくい……」谷付近の空き地で、山風と初翎山風が休んでいる。【初翎山風】 「…………」【山風】 「…………」【初翎山風】 「雪だ。」【山風】 「そうだな。」【迅風】 「ぐぐぐぐ!!(楽しんでいるようだ)」【初翎山風】 「色んなやつと一緒に戦ってきたが、俺についてこられたのはお前が初めてだ。それにうるさくない。悪くない。」【山風】 「お前が俺についてこれているんだ。」【初翎山風】 「何?!ちっ、それは今の俺がまだ若いからだ。」【迅風】 「ぐぐぐ!(賛同しているようだ)」【初翎山風】 「迅風もそう思う、だろ。俺がお前の年になったら、きっとお前より背も高くなる。待ってろ。」【山風】 「……」【初翎山風】 「お前のその毛皮、どこで手に入れた?」【山風】 「俺に興味はないんじゃないのか?」【初翎山風】 「ふん、興味はない、見覚えがあるだけだ。」【山風】 「見覚えがある?お前……覚えてないのか?」【初翎山風】 「何をだ?お前、一体何を知ってる?!くっ……頭が、ゴホゴホ……」【山風】 「おい!大丈夫か?」【迅風】 「ぐぐぐぐ!!(焦っているようだ)」【初翎山風】 「平気だ、ほっとけ。あ、迅風、お前に言ったわけじゃ……」【山風】 「(「俺」だったら、首領の毛皮のことを忘れるなんてありえない。「俺」の記憶が不完全なのか、それとも……彼は俺じゃないのか?)お前は一人で森で狼を狩っていると言ったな、それはいつからだ?」【初翎山風】 「お前には関係ないだろ?!」【山風】 「……」【初翎山風】 「今年の冬からだ。うん、そうだ、今年……今年の初雪からだ。」【山風】 「他の人と一緒に戦っていたと言ったな、何故一人になった?」【初翎山風】 「……俺……俺にもわからない。いや、違う、俺は知ってるはずだ……うう……戦い……気がつくと俺は谷で戦っていた。そしてずっと狼を狩ってきた。どうして一人になった?それは……俺が……復讐だ、俺は復讐したい。」【山風】 「復讐、それはお前が使命と責任を引き継いだからだ。」【初翎山風】 「そうだ、首領が残してくれた「王の誇り」は、俺が引き継ぐんだ……首領の毛皮を……引き継いだ。」【山風】 「(記憶が戻ってきているのか?彼には昔の記憶はあるが、完全ではない。ひょっとしたら、彼はある時期の俺でしかなくて、すべてを経験したわけではないのか。誰かが「作り出した」虚像なのか?)」【初翎山風】 「…………」【山風】 「何故刀を構える?」【初翎山風】 「お前は一体何者だ?」【山風】 「お前には心当たりがあるんだろう、違うか?」【初翎山風】 「ちっ。似ている戦い方、八雷山に関する知識、迅風がお前を警戒しないこと……それに、お前が被っている毛皮だ。今まで、気づかなかった。お前は……「未来の俺」なのか?そんなのありえない。」【山風】 「俺は山風だ。」【初翎山風】 「…………お前はよそから来たと言った。狼を皆殺しにしたからここを去ったのか?……他の皆は何処に?未来の俺は……女の子を探して奔走するのか?復讐の怒りを捨て、戦いと狩りの生活を捨て、一族への責任を捨て……自ら刃を鈍らせる。」【山風】 「俺はお前より長い時間と、たくさんの出来事を経験してきた。俺の未来はまだ知らないが、「お前」の未来は、この俺だ。」【初翎山風】 「……だから何だ?いきなり自分と全く違うやつが出てきて、未来はすべて決まっていると言う。「お前はこれから、今まで貫いてきたことを全て捨てるんだ」と偉そうに宣言する。お前だったら、それを信じるのか?」【山風】 「信じない。でもそれは事実だ。貫きたいものがあるのはわかる。「仲間」を持ちたくない気持ちも理解できる。お前は仲間の死を、なんとも思わなかった。しかし彼らと馴染むと、お前は怖くなってきた。命は脆いことを知った。「仲間」の死が訪れる時に、自分に何もできないことが怖いんだ。」【初翎山風】 「…………」【山風】 「首領がお前を救った時みたいに、自分が彼らを救うことはできないと思ってる。だから一人で生きることを選び、殺戮の道を歩んで死ぬ。背負うべき「責任」に見向きもせず。まだ間に合ううちに……」【初翎山風】 「甘いのはお前のほうだろう。お前はここに存在する、つまり、既に「間に合わない」。」【山風】 「俺は……」【初翎山風】 「お前はいいやつだと思ってた。でもやはり、俺とお前は全然違う!」【山風】 「……そうだ、俺たちは違う。」【初翎山風】 「迅風、行くぞ。」【迅風】 「ぐぐぐぐ……(困っているようだ)ぐぐぐ!!!!(遠くへ飛ぶ)」【初翎山風】 「最後にもう一つ聞く。迅風……迅風はこれからどうなる?」【山風】 「迅風も死んだ。」【初翎山風】 「「も」死んだ……そうか……くそ。」 |
5日目
5日目ストーリー |
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晴明と白無常は村の近辺に戻り、木の上にいる松風を見つけた。【松風】 「やあ、やっと来たな!待ちくたびれたよ!!」【白無常】 「何かあったのですか?」【松風】 「なんというか……はぁ。初めてここに来た人たちだし、手紙も届けてくれるし、隠し事はあまり気が進まないな……聞いて驚くなよ……実は俺、もう死んでるんだ。」【晴明】 「ああ、それで?」【松風】 「ちょっと、反応おかしくない?」【白無常】 「我々はその可能性を予想していました。心配はいりません、私たちはきっとここの問題を解決し、あなたたちに引導を渡します。」【松風】 「え?引……引導?」【白無常】 「私は亡霊を引導し、輪廻へ導く無常です。」【松風】 「無常?!うわああ……死ぬ、死ぬ!!あ、いや、俺は元々死んでるか。」【晴明】 「言いたいことはそれだけか?族人たちも……」【松風】 「そうだ、俺たちは死んでる。でも再びここで「生活」することになった。死んだ後の自分をはっきり覚えてる。眠っているように、長い間昏睡していた。ある日突然目覚めて、気づいたらここに戻っていた。」【晴明】 「それからずっとここにいたのか?」【松風】 「そう。あ、ちょっと違うか。皆目覚めたばかりの時はぼんやりしていた、記憶は死んだ瞬間で止まっていたから。自分は死んだんじゃなくて、夢を見てたんだって皆思ってる。」【白無常】 「あなたたちは村を出ないのではなく、本当は村から出られないのではないですか?」【松風】 「自分は死んでいないと思ったバカたちがいて、大喜びで村を出たんだ。そしたら一瞬で消えちまった……あれを見た瞬間、全員理解した。俺たちは確かに死んでるんだって。」【晴明】 「何者が冥界の失われた力を利用し、この幻境を創り出して君たちを蘇らせた。」【松風】 「あ、だから無常がいるんだ、冥界が失くした力か。」【白無常】 「……」【松風】 「実際、皆自分は既に死んでいて、村から出られないとわかって、絶望した。我々一族は……あの時、はぁ、なんというか、死んだ時の記憶は辛いからさ。新しい機会がきたと思いきや、何も変わっていない。新たな選択肢がないまま、死んだ時の感覚もまだはっきり覚えてる。命に限りはあるし、どこにも行けない。」【晴明】 「なぜ他所の人をそこまで拒むんだ?」【松風】 「それは俺たちが死んだ時……えっと、悲惨だったから。あの時も……今みたいに冬の準備を済ませて、皆が村に残っていた。そして……えい、とにかく、俺たちには何も変えられない。族人と一緒に、残された時間を過ごすしかいないんだ。皆も次第に諦めた。」【晴明】 「何か方法を探せば、あるいは……」【松風】 「「変化」を期待しなければ、安心して死を受け入れられる。なんといっても、俺たちは一度死んでいたんだ。」【白無常】 「…………」【松風】 「俺は他に求めるものはないが、ちょっとした心残りがある。お前たちは俺たちが死を待っている間の唯一の「不確定要素」だ、だから手紙を届けてくれと頼んだ。受取人は俺のダチだ、いつも谷のほうで休んでる。だから谷に行けば、彼に会えるかもしれないと思ったんだ。まあ、もしかすると彼はまだ……」【晴明】 「何?」【松風】 「ははは、なんでもない、彼は強くて嫌なやつだからさ、俺たちと違って死んでないかもって思っただけだ。せっかくお前たちが現れたんだ、試してみてくれ、本当に彼に会えるかもしれない。とにかく、俺の知ってることは全部話したよ。」【白無常】 「ありがとうございます。」【松風】 「なんでもない。それに、まだ転機はあると思う、だってお前たちが来たからさ。」【晴明】 「君たち一族は、なぜ死んだ?」【松風】 「それは言えない、言いたくないんじゃなくて、い……言えない。」【白無常】 「死者は自分が死んだ時の事を話してはいけません。」【晴明】 「すまない。」【松風】 「気にしないで!じゃ、そういうわけでお別れだ。手紙、忘れんなよ!」【白無常】 「待ってください。受取人の名前をまだ聞いていません。」【松風】 「彼は……」崖付近の森で、初翎山風は徐々に狼の巣へ近づいていく。」【初翎山風】 「ここだ。ちっ、またかよ。静かに……」【オオカミ】 「ガウ……ウウ……」【初翎山風】 「……しろ!血の匂いはやつらの注意を引いてしまう。ふん、俺に斬られないだけ幸運だと思え。あれは……祭壇だ。あいつらここに集まってやがってる。」【迅風】 「ぐ……うう!(声を抑える)」【初翎山風】 「迅風、しー、静かに。あっちだ……石の後ろからのほうが見えやすい。これは祭壇の後ろにある墓地?なぜこんなにボロボロ……」【迅風】 「ぐ!」【初翎山風】 「しーっ…うん、何を見せたい?墓石…………見覚えのある痕跡だ、俺が彫ったのか……?いや、あいつが彫ったんだ。はっ、なるほど。あいつが俺のいる「過去」に戻ったんじゃなくて、俺が……未来に行ったのか?」【迅風】 「ぐぐ……(慰めているようだ)」【初翎山風】 「俺は大丈夫だ。このくらいで動揺したりしない。足音が……あいつらは命令を受けて、四方に移動してる。あいつらに命令しているのが、狼の王だな?(あの「俺」はここで狼の王と決着を付けたわけじゃない。もし俺が先に狼の王を倒すことができたら……)!!!!あれは……女の子?」【山風】 「「これくらいの背丈の女の子を見たことはないか?紫色の髪で、梟が側にいるはずだ。」」【初翎山風】 「彼女……だ……未来の「俺」が探してる女の子が、狼に命令している?……ありえない。俺だったら、あんなやつのために奔走するはずがない!」【迅風】 「ぐう……(悲しんでいるようだ)」【初翎山風】 「躊躇う?なぜ躊躇う?事情があるのか、彼女が操られてるのか、そんなの俺たちには関係ない、だろ。獲物は獲物、姿が違うだけだ。」【迅風】 「ぐぐぐ……(躊躇っているようだ)」【初翎山風】 「お前はあっち……」【???】 「ふふ。」【初翎山風】 「何?彼女は俺の位置に気づいたのか?迅風、落ち着け、待つんだ。」【???】 「もうすぐ、もうすぐ……」【初翎山風】 「今だ!!!」炎を纏った双刃が女の子の首に触れた瞬間、もう一つの双刃が現れ、攻撃を受け止めた。」【山風】 「……」【初翎山風】 「お前、どういうつもりだ?!」【山風】 「こっちのセリフだ、お前は何をしているんだ?【初翎山風】 「俺は獲物を狩ってる、狼を指揮する狼の王を。ちっ。」【山風】 「ちっ。」【初翎山風】 「どけ!!!」【山風】 「どけ!!!」刃と刃の交わる音が響き、迅風の鳴き声と共に遠くへ広がる。」【初翎山風】 「たとえお前が未来の俺だとしても、邪魔するのなら、お前もまとめて斬る!!」【山風】 「絶対に、一歩も近づけさせない。」【初翎山風】 「くそ……お前が未来の俺だなんて、絶対に認めない!!!」【山風】 「お前に認めてもらう必要はない。」【初翎山風】 「迅風!!今だ!!!」【山風】 「?!」山風は、迅風を切るのを一瞬ためらった。この一瞬は、鋭い爪が女の子の首を切るのに十分だ。突然、崖が震え、祭壇の地面にある図形が光った。」【山風】 「何?」【初翎山風】 「どうして祭壇が……?」【迅風】 「ぐぐぐ??(狼狽えているようだ)」【山風】 「薫……?」【???】 「もう少し、待て。あなたたちが陥った密林から離れることができるのは、一人だけ。記憶の密林の中で、迷走するがいい。私に殺される前に、相手を殺せ。そんな「山風」にこそ、私から全てを奪われ、殺される価値がある!」祭壇の地面から放たれる眩しい光が消え、山風と初翎山風も消えた。」【初翎山風】 「……ここは、どこだ?八雷山か?いや、よく知らない森だ。迅風?大丈夫か……」【迅風】 「ぐぐぐ……(弱っているようだ)」【初翎山風】 「まったく知らないわけでもない。どこか懐かしい気が……」【オオカミ】 「ガアアアア!」【初翎山風】 「黙れ!!うん?斬った手応えが違う……ただの虚影か?影ごときが、俺を止めようなど!!……もう来ないのか?ケホケホ、どれくらい経った……今日で……四、五日目くらいか。頭が痛い……頭に流れ込んでる記憶、は……「俺」の記憶。過去の記憶、それに……未来の記憶か?「俺」の記憶じゃない、あいつの記憶だ。どうして俺は一度も、松風たちのことを思い出さなかったんだ?一体俺は……ゴホゴホ……頭が、痛い……」【迅風】 「ぐぐぐ……(とても心配しているようだ)」【初翎山風】 「大丈夫だ、こいつで最後だ……」最後の狼の影が斬られ、消えていく。影が完全に消えると、同じように傷だらけの山風が現れた。」【初翎山風】 「……やっぱり。」【山風】 「最後の敵はお前だ。」【初翎山風】 「あの女の子を守ろうとして、こんなことになってしまった。何だ、彼女はお前が探してる人じゃないのか?」【山風】 「喋る気力があるということは、傷は酷くないようだな。彼女が俺の探してる人がどうか、それを確認するまで、誰にも彼女を傷つけさせない。たとえお前でも。」【初翎山風】 「彼女が誰であろうが、俺にとってはどうでもいいことだ。ここには他に誰もいない、お前だけだ。お前を倒せば、ここから出られるかもしれない。」【山風】 「……俺もそう思ってる。ここから出るのは、俺だ。」【初翎山風】 「お前を殺すのは、俺だ。」【山風】 「……」【初翎山風】 「では……勝負だ!!!」【山風】 「勝負だ!!!」 |
6日目
6日目ストーリー |
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松風と別れた後、晴明たちは崖の祭壇に向かって進み始めた。【蒼風一目連】 「もうすぐ崖に着く。彼女の様子はどうだ?」【白無常】 「体温が戻ってきています。一目連の言った通り、村を離れると回復しました。一体なぜでしょう……」【蒼風一目連】 「それについて、心当たりがある。蟲師から、薫と山風の話を聞いたことがある。薫は人間の子供だったが、死後に山風が森の禁術を使い、彼女を妖怪として復活させた。」【黒無常】 「そのせいで、俺と弟は何回も七角山に行かされた。」【蒼風一目連】 「秘術が何なのかはわからないが、おおよその見当はつく。山風は何らかの方法で、薫の魂を引き留めた。そして、おそらく彼女は……薫の魂だ。」【晴明】 「魂と肉体が分離したのか……?もしそうなら、薫の体は彼女を連れ去った者に操られているかもしれない。」【白無常】 「薫を利用して……狙いは山風でしょうか?」【黒無常】 「話は後にしとけ、もう到着だ……これが祭壇か?」【白無常】 「……確かに神秘的で、威厳のある力を感じますね。これが森の力ですか?」【晴明】 「祭壇の中心……雲外鏡の欠片をここに置いておけば、森の生命力を利用して欠片を浄化できるはずだ。」【白無常】 「晴明殿、危ない!!」【晴明】 「急急如律令!!」【黒無常】 「この数……まずいな。」【白無常】 「囲まれました。」【オオカミ】 「ガウウウ……」【黒無常】 「下がってろ、俺が……」【???】 「焦るな。観客も揃った。」【蒼風一目連】 「薫?」【薫】 「お久しぶりです、風神様。」【蒼風一目連】 「お前は薫ではない。一体誰だ?!」【薫】 「地獄から戻ってきた、山風の知人だ。」【薫ちゃん】 「うう……あ、あなたは……あなたは私が探している人なの?」【薫】 「おや、か弱い魂よ、まだ消えてなかったのか?」【蒼風一目連】 「(手を伸ばし、後ろの薫ちゃんを守る)」【薫】 「そう緊張するな。今の俺の狙いは、お前たちではない。お楽しみはまだ始まっていない、もう少し待っていろ。」【蒼風一目連】 「山風はどこにいる?彼は我々より数ヶ月早く出発している。目的地が八雷山なら、とっくに着いているはずだ。」【薫】 「おそらく彼は、自分の記憶より創られし密林の中で、自分自身と殺し合っている。」【蒼風一目連】 「何?」【薫】 「冥界には「賽の河原」と呼ばれる場所があり、そこの時間の流れは外の世界とは違うらしい。俺は冥界の力を利用し、彼らのために似たような空間を作り上げた。楽しみだ、「どっち」が生き残って、俺の相手をするのか。」【初翎山風】 「ハァハァ……ハァハァ……ゴホゴホ。」【山風】 「はっ……ゴホゴホ……」【迅風】 「ぐぐぐぐ!!(焦っているようだ)」【初翎山風】 「迅風、心配するな。これは俺たち二人の戦いだ。」【山風】 「ゴホゴホ……」【初翎山風】 「お前は最初から怪我してる。でないと、俺と互角なわけがない。」【山風】 「……これくらいの傷、なんてことない。都の決戦で薫が消えてから、俺はずっと彼女を探してる。その途中で負った怪我だろう。」【初翎山風】 「ふん、このままではお前は負けるぞ。」【山風】 「負けないさ。昔の自分がどれだけ頑固で、復讐に執着していたか、俺はよく知ってる。でも俺はお前とは違う、俺には守らなければならない人がいる。俺は絶対に倒れない。」【初翎山風】 「はっ……何が「絶対に倒れない」だ。もう刀もまともに握れないくせに。」【山風】 「お前も同じだ。俺は薫を探すために、再び彼女に会うために戦ってる。答えろ、お前は何のために刀を振る?」【初翎山風】 「…………わからない。お前なら、わかるはずだ。最初は強くなりたかった、生き残るために。首領に救われた命だ、簡単に死ぬわけにはいかない。目の前に敵がいれば殺す。簡単なことだ。」【山風】 「そうか。」【初翎山風】 「戦いの意味は、勝者が決める。」【山風】 「じゃあ今は?俺たちがいた「昔」の八雷山は、お前の時間の中の八雷山だった。「過去に戻った」俺にとって、結果はすべて決まってる。お前もこの森にあふれる、無数の記憶を見ただろう。」【初翎山風】 「ああ。昔の俺、今の俺、未来の俺……すべての記憶が、この密林を形成してる。見たくなくても、記憶が勝手に俺の頭に流れ込んでる。」【山風】 「……記憶を「他人」に見られるのは、気分が悪いな。」【初翎山風】 「ふん、俺が「他人」の記憶をすすんで見たいと思うか?」山風との戦いの前に、初翎山風は密林に潜むすべての狼の影を斬った。斬った狼の影の一つ一つに、隠された記憶があった。【薫】 「お兄ちゃん……?え?野菜が嫌いなの?じゃあ私がご飯を作るね!私が焼いたお肉、食べてみて!何のお肉かって?私が捕った鼠の肉だよ!梟はあなたになついてるね、あなたも彼女のことが好き?どうして笑わないの?自分のことは覚えてないの。昔、お兄ちゃんがいたこと以外は……なんだかあなた、お兄ちゃんに似てる……え?怒ってるの?……私を食べて、そして、生きて。泣かないで……大丈夫、私は痛くないから……今度は私が守ってあげるから……あなたは……誰?」【一目連】 「我はかつては神だったが、今はそうではない。この山で生きる妖怪同士、仲良くしよう。……人間は同類をより信用する。そなたは人間に見える。我は一人に慣れているから、大丈夫だ。山の下の人々からすれば、人間の顔を持つそなたこそ、この山の神にふさわしいだろう。」【蒼風一目連】 「山風、何故お前の刀は躊躇っている?薫のことは心配せずとも、我が守る。自分の信念のために戦う……」【蟲師】 「彼女に何かあったら……どうして自分を追い込むの?山風様、今日は薫を滝に連れて来ないでください。「友達」?いえ、私はただ……」【初翎山風】 「ああ……鬱陶しい、俺は今もお前の記憶を見続けている。だがそれがどうした?俺にとって、これは全て起きていないことだ。俺と関係があり、「仲間」になるのは、あいつらじゃない!俺の記憶は不完全だった、最初はお前が被ってる毛皮すら覚えてなかった。今、全部思い出した。首領が残した毛皮、そしてそれが意味することも。」【山風】 「「王」……」【初翎山風】 「それは「王」の背負うべきすべてを意味する。お前にとって、それは仲間を守ることだ。俺にとって、それは狼を駆逐し、族人がこの森を暮らせるようにすることだ。「今の俺」にとって、守るべき族人たちが待ってる。お前の存在が、未来が決まってる証なのであれば……俺がその「未来」を木っ端微塵に叩き潰す!お前なら、きっとわかるはず……帰る場所がなくても、誰にも認められなくても……「俺」には守るべきものがある!それが今の「俺」の、捨ててはならない誇りだ。」【山風】 「…………どうやら、俺たちは最後まで戦うしかないみたいだ。」【初翎山風】 「他に選択肢などないだろう?来い!山風!!」【山風】 「この道しかない!」【蒼風一目連】 「「自分自身と殺し合う」、お前は何を言って……」【薫】 「来たか。」祭壇の地面にある図形が光り、霧が消え、一人の姿が現れた。【初翎山風】 「……ゴホゴホ。本当に戻ってきた。」【薫】 「ははは……はははは、お前が、お前が勝ったのか。さあ、山風、次は俺を殺せ。未来のお前がやったみたいに、再び刃でこの少女の胸を貫け。お前の復讐を果たせ!」【初翎山風】 「……うるさい。」【蒼風一目連】 「「山風」……?お前は山風なのか?」【黒無常】 「どういうことだ?このガキが山風?」【迅風】 「ぐぐぐ!!!(不満そうな声)」【晴明】 「さっき我々が訪れた村では、過去の死者が暮らしていた。君は山風……「過去の山風」か?」【初翎山風】 「…ちっ、面倒だな。お前らが、未来の「俺」の仲間か?確かにあいつは言った、仲間になれる存在がいると。なんだか……怪しい。特にあの真っ黒のやつ。「俺」はあんなやつと仲間になるのか?」【黒無常】 「このくそガキ何を言ってる!!誰がお前の仲間だ!!」【蒼風一目連】 「山風……と呼ばせてもらおう……もう一人の「お前」は、どこにいる?」【初翎山風】 「…………お前が風神一目連だな?あいつ……もう一人の「俺」が、これをお前に返すとさ。」【蒼風一目連】 「風符……我が七角山で山風に渡した風符……(風符を返すなんて、山風らしくない。風符の存在を強調しているのか?もしかすると……)山風はどこにいる?!」【初翎山風】 「山風?お前の目の前にいるぞ。」【薫】 「ははは、もう一人の「山風」はすでに倒され、永遠に記憶の幻境の中で彷徨い続けるだろう。」【初翎山風】 「…………この野郎、黙れ!」【薫】 「ぐうっ……うう……」【蒼風一目連】 「待て、彼女は!」【初翎山風】 「死ね。」【蒼風一目連】 「お前……」【初翎山風】 「彼女は「薫」なんかじゃない、俺の敵だ。操り人形を倒せば、裏で見てるやつが姿を見せてくれるよな。」【白無常】 「あれは確かに薫の肉体です。肉体が死ねば、彼女の魂は……」【薫ちゃん】 「ゲホ……あああ、痛い、痛い!」【黒無常】 「薫ちゃん!!」【薫】 「思いっきりやってくれるな。この体はもうだめみたいだ。俺の目的は、もうすぐ実現する。」【初翎山風】 「「山風」に殺されてからずっと、あいつを憎んでいるのか?じゃ俺がもう一度殺してやる…狼の王!」【薫】 「ははははゴホゴホ……さあ、すべてを終わりにしよう!」少女は刀を持っている少年にゆっくりと近づき、抱擁するように両手を広げる。そして、刀が彼女の体を貫く。少女は力を失ったかのように倒れた。【蒼風一目連】 「薫!!!」【薫ちゃん】 「ぐう、ゴホゴホ……あ……ああ……」【初翎山風】 「……やはりこうしないと、お前は姿を現さないよな。出て来い、近くにいるはずだ!」【旅人】 「鋭いですね、獣だった拙者ですら感服しますよ。」【黒無常】 「やはり貴様が……」【晴明】 「一目連、薫の体を守ってくれ!」【旅人】 「こんな素晴らしい場面、この目で見届けなければいけませんね。」【白無常】 「……冥界の気配。あなたが冥界の力を利用し、「八雷山」を創ったのですか?」【旅人】 「都から来た客人よ、拙者がある話をしてあげましょう。昔、一匹の狼がいました。彼は狼の群れに生まれ、群れの首領となりました。彼の本能が彼に告げました。狼の王は狼の群れの一員であり、一族のためにすべてを捧げなければならないと。群れの王であり、誰よりも強いが、彼は一族の存続のために死ぬことしかできない。……一族のために囮になり、一族に捨てられたやつに斬り殺されました。」【初翎山風】 「「山風」。」【旅人】 「彼は悔しかった。しかし獣の本能が働き、彼はなぜ悔しいのか考えることができなかった。幸運なことに、彼は冥界から戻ってきました。人間の体を持つことで、彼は本能の束縛から解き放たれ、悔しさの理由を理解した……前世の自分は無数の獲物を狩り、殺していた。でもそれは生きるためだった。今の彼がやりたいことはたった一つ、それは……復讐です。彼を殺したやつを見つけ、やつのすべてを奪ってから、叩きのめす。群れの束縛から解放された二匹の獣を、思う存分戦わせたい。一族とは関係なく、生死とも関係ない。」【蒼風一目連】 「……お前は狂っている。」【旅人】 「風神よ、これこそが獣のやるべきことですよ。彼は手に入れた力を利用し、禁術を施された少女を媒介にし、「昔」の世界を創り上げた……そこに生きていた、自分を殺したやつも。」【初翎山風】 「つまり、「俺」の存在は、お前が……」【旅人】 「そのとおり。拙者はあいつの目の前で、大切な物をすべて奪い、獣が追い詰められる所を目に焼き付けるのです。しかし、昔の敵と戦うだけでは面白くありませんから、余興として観客を集めてきました。」【蒼風一目連】 「あの村の人たちも、お前が……」【旅人】 「「一族の者」、「薫」、どれもが山風が大切にしているものです。そのほうが面白いですからね!」【蒼風一目連】 「だから、お前は「今の山風」を八雷山におびき寄せた。薫を連れ去り、冥界の力を利用して生死の歪んだ幻境を創り、山風を過去の自分と殺し合いをさせる……ただ……彼を追い詰め、「山風」と戦うためだけに?」【旅人】 「「ただ」?獣にとって、これ以上素晴らしいことはありません。殺し合いの末死ぬか生きるか、そんなのはどうでもいい。」【初翎山風】 「……話は終わったか?ならば死ね。「俺」がここに来た経緯などどうでもいい。狼を殺し尽くす。俺の目的はずっと変わらない。」【旅人】 「そうか……?」【狼の王】 「ス……ガウ……」【旅人】 「ほう?これが昔の拙者ですか?一族に縛られ、本能に逆らうことのできない一生。見ていて可哀想です。せっかくの機会ですから、拙者も過去の自分と一緒に戦う気分を味わわせてもらいますよ。」【初翎山風】 「ふん、敵が一人や二人増えたところで、何も変わらない。」【白無常】 「我々も……」【初翎山風】 「お前らは薫の体を見とけ。俺の戦いを邪魔するんじゃない!」【蒼風一目連】 「お前……」【狼の王】 「ガウウ……ウウ……」【黒無常】 「ちっ、狙いはこっちか?近づくんじゃねえ……」【山風】 「邪魔だ!!どけ!!!」【狼の王】 「ガウ……」【旅人】 「あなたは……」 |
7日目
7日目ストーリー |
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山風が突然現れ、狼の群れの中から道を切り開き、初翎山風と共に狼の王に刀を向けている。【旅人】 「はははは、まさか、まさかこんなことが?」【山風】 「…………」【旅人】 「これは……最高だ。」【山風】 「あの密林から出られるのは一人だけ。」【初翎山風】 「俺か、それともあいつか。」【山風】 「だがお前は一つ間違ってる。」【初翎山風】 「俺たちは、元々同じだ!」密林の中、山風と初翎山風が対峙している。【初翎山風】 「…………」【山風】 「…………」【初翎山風】 「なぜ刀を刺さない?あと少しで、俺を殺せるはずだ。」【山風】 「お前はどうだ?今の角度なら、俺の首を斬れたはずだ。なぜ止めた?」【初翎山風山風】 「……」【山風】 「……」【初翎山風】 「認めたくないが、お前は俺だ。もういいだろ、白々しい、さっさと殺せ。お前が俺の未来なのも、そう悪くない。復讐の意味はなくなった。お前の記憶を通して、七角山での生活を見た。こんな未来なら、俺も満足だ。」【山風】 「……それはお前の本音じゃない。」森で殺し合っていた二人は、刀を収めた。【初翎山風】 「むかつくけど、お前の言う通りだ。俺は怖い。森では死はありふれたこと、でも仲間が死ぬのが怖いんだ。だったら、最初から一人でいればいい。首領が残した責任を引き継ぐことや、村を守ることも。敵だけ見て、戦い続けて、後ろにいる人たちさえ見なければ…何かを失うことで苦しまなくてすむ。俺は仲間を信じない。彼らが生き延びられると、信じる勇気がないんだ。……そう、俺の力で彼らを守り抜ける自信がないからだ。最初から最後まで、俺は首領のような「王」にはなれなかった。」【山風】 「……大丈夫だ。共に戦える仲間、守るべき人……彼らがお前の力になる。まだ訪れていない死を恐れるより、彼らのために戦ってやれ。」【初翎山風】 「……ははははは。まさか、「俺」がそんなことを言うなんて。お前を認めてやる。お前が未来の俺であることを認めてやる。存在すべきでない「山風」を殺せ、そうすれば出られる。」【山風】 「……「存在すべきでない」ことはない。お前がいたから、今の俺がいる。お前には仲間もいるしな。」【初翎山風】 「誰だ?」【山風】 「俺だ。「森で頼れるのは自分だけ。」そうだろ。」【初翎山風】 「……そうだな。山風。お前の仲間、お前の帰る場所、お前の未来、俺が全部受け止める!」霧に満ちた森に太陽の光が差し込み、幻境が破れた。「山風」が相手の心臓を刺す。互いのことを認めた彼らは、「山風」だ。【旅人】 「……はぁ、ゴホゴホ……」【狼の王】 「うう……ああああ……」【山風】 「お前らの負けだ。」【初翎山風】 「「山風」の勝利だ。」【旅人】 「これでいい……ははは、このような戦いの後に死ぬことができて、拙者は十分満足です。でも残念ですね、山風。拙者を倒したところで、あなたの大事な存在は、もういません。」【山風】 「薫……」【初翎山風】 「…………」【薫】 「あなたが、彼女を殺した。」【初翎山風】 「大丈夫さ。「山風」はもう一人で戦ってるんじゃない。頼れる仲間がいる。」【蒼風一目連】 「……やれやれ、こんな危ない真似はこれっきりにしてくれ。我がお前の意図を理解していなければ、大変なことになっていたぞ。」【旅人】 「何?」【白無常】 「薫の体で光っているのは……」【晴明】 「風神の風符。」【旅人】 「まさか……」【蒼風一目連】 「かつて都が侵入された時、我は山風たちと共に七角山で海妖を食い止めていた。薫が持っている風符も、あの時我が渡した。これが今の致命的な一撃を防いだ。山風は、「風符を返す」ことで我に気付かせてくれた。あの時我は、山風に言っていた……仲間として、我がいる限り、彼は躊躇なく刀を振るうことができる。薫の安否を心配する必要もないと。」【山風】 「ふん。」【旅人】 「……ははは、なるほど。拙者の負けだ。なかなか楽しい戦いでした。さあ、とどめを刺してくれ。」【山風】 「……」【晴明】 「待て、殺す前に、聞きたいことがある。お前を復活させたのは誰だ?」【白無常】 「!!」【晴明】 「お前も冥界から流出した力の影響で復活したはずだ。それは誰の仕業だ?その者は、冥界の力で何をするつもりだ?」【旅人】 「さあね。」【黒無常】 「何だと……」【旅人】 「拙者の二度目の命、楽しい戦いさえできりゃ、あなたたちの企みなどどうでもいい。どう生きるか、どう死ぬかは、どうでもいい。ゴホゴホゴホ……この体は、やはり脆すぎるのが残念だ。残念だ、俺は死ぬ……俺を殺し、復讐する機会はもうないぞ。」【初翎山風】 「お前をもう一度殺す必要はない。山風の「復讐」は、とっくに終わってる。さっさと消えろ!」狼の王の死と共に、八雷山に満ちた霧が徐々に晴れ、空間が揺れ始めた。【薫ちゃん】 「……?お兄ちゃん……?」【黒無常】 「起きたのか!お前の体……」【薫ちゃん】 「うわ!キラキラしてる、見て見て、私の体が光ってる!ああ、綺麗、温かい……」【黒無常】 「……うん、これでもう寒くねえよ。」【薫ちゃん】 「目が……開かない。私、また寝ちゃうの?私は一体誰を探せばいいの?」【黒無常】 「大丈夫だ、寝ろ。お前が探してた人は、お前を見つけたぞ。」【薫ちゃん】 「……そう?なら、よかった……私、みんなと離れちゃうの?みんな知らない人たちで、何が起きたのかもわからないけど……でも、全部終わったのかな?」【山風】 「……終わったよ。」【薫】 「……?うう……山風?」【山風】 「俺だ。」【薫】 「ここは、どこ?何があったの……?わ……ど、どうしたの?」【山風】 「なんでもない。」【薫】 「あれ?また泣いてるの?」【山風】 「泣いてない。」【初翎山風】 「……情けない。」【迅風】 「ぐぐぐ!(翼で山風の頭を軽く叩いた)」【山風】 「ちっ。」【晴明】 「八雷山を覆っていた幻境が消え始めている。元々ここは八雷山で、幻境は過去を映していたにすぎない。山風、一つ頼みがある。」【山風】 「何?」【初翎山風】 「は?」【晴明】 「この祭壇の下には大量の霊力が宿っている。この森の中心だ。君たち二人なら、雲外鏡の欠片を祭壇に封じ込み、ここの霊力を利用して浄化することができる。」【初翎山風】 「なんで俺がそんなことを……」【山風】 「いいだろう。」【初翎山風】 「何?お前……」【山風】 「彼の助けはいらない、俺一人で十分だ。」【初翎山風】 「ふん、傷だらけでまともに立つこともできないくせに、何強がってるんだ?お前より年下だが、強さはそんなに負けてないからな!!欠片の浄化かなんか知らないが、お前よりうまくやってみせる。」【山風】 「そうか。」【薫】 「かわいい!」【初翎山風】 「なんだと?!」【迅風】 「ぐぐぐ!(賛同する)」【山風】 「うるさい……」二人の山風は祭壇に眠る霊力を呼び起こし、雲外鏡の欠片を地下に封じ込めた。【山風】 「これでいいのか?」【蒼風一目連】 「森に悪い影響をもたらしたりはしないのか?」【晴明】 「問題ない。森では生と死が途切れることなく繰り返され、霊力は雲外鏡の欠片の穢れを浄化する。」【蒼風一目連】 「これで此度の目的は達成したな。」【晴明】 「あの光は……幻境はもうすぐ消える。」【初翎山風】 「ああ、俺も消えるだろう。」【山風】 「帰ろう。」【初翎山風】 「何?……そうだな、帰ってみるか。」【薫】 「ええ!そんなに色んなことがあったの?!私、何も覚えてない……で、あなたが昔の山風なの?結構変わったんだね!髪は短いし、目の色もちょっと違う……」【初翎山風】 「……近寄るな。」【山風】 「薫、彼から離れるんだ。」【薫】 「大丈夫だよ!!」【迅風】 「ぐぐ!(賛同する)」【蒼風一目連】 「「昔の自分と共に戦う」、奇妙な体験だな。」【山風】 「ただの面倒なやつだ。」【初翎山風】 「あいつはただ俺の足を引っ張ってた。」【薫】 「ふっ……あはは、やっぱり山風だね。」【白無常】 「この気配は……間違いありません、冥界から流出した力です。狼の王は死に、この村の存在を維持する力も完全に散り散りになりました。」【初翎山風】 「……」【蒼風一目連】 「我々が行った村は、昔山風が暮らしていた場所なのか?」【山風】 「らしいな。」【蒼風一目連】 「だが彼らはもう……」【山風】 「死んでる。」【初翎山風】 「俺が一人前の「王」になれなかったせいで、首領のように彼らを守ることができなかった。」【山風】 「お前のせいじゃない、「俺」のせいだ。」【初翎山風】 「同じだ。」【黒無常】 「この先に……こ、これは……」皆が森を出ると、村があった場所は、廃墟に戻っていた。【蒼風一目連】 「間に合わなかった。」【山風】 「……」【初翎山風】 「いいんだ。俺はこいつの記憶を通して、彼らの最期を見た。」【山風初翎山風】 「お前にとっては、まだ起きてないことだ。」【初翎山風】 「ふん、もう起きたことかどうかはどうでもいい、どうせ俺はすぐに消える。」【山風】 「少なくとも、今回の「死」に苦痛はなかったはずだ。戻るべき場所に戻っただけのこと。」【薫】 「うう……もう会えないの?」【初翎山風】 「俺は過去から来た影だからさ。」【薫】 「せっかく歳の近い友達ができたのに。もっとお話したいよ。行かないで……それに、あなたのフクロウも、きっと梟と仲良くなれるよ!」【山風】 「?!薫、こいつと話すことはない。梟が七角山で待ってる。こいつは殺戮と復讐しか知らないガキだ。」【初翎山風】 「そうさ、俺は「殺戮と復讐しか知らないガキ」だ。このガキは、将来誰になるんだろうな?」【山風】 「……」【初翎山風】 「……一度も帰っていないだろう。」【山風】 「ああ。」【初翎山風】 「…………」【山風】 「…………」【蒼風一目連】 「幻境は崩壊し続けている。山風、彼……「お前」はもうすぐ消える、別れ告げなくていいのか?」【山風】 「自分に話すことなどない。」【初翎山風】 「俺もだ。」【黒無常】 「ああ!待て!俺はある!」【初翎山風】 「??……お前と話すことなんか。」【黒無常】 「手紙!!村で、ある少年に手紙を渡してほしいって頼まれたんだ!最後まで受取人の名前は聞けなかった。あいつの名前は松風、お前らの知り合いだろ。」【初翎山風】 「あのバカ……」【白無常】 「手紙はここです。」【山風】 「……(手を伸ばす)」【初翎山風】 「……(手を伸ばす)」【山風】 「ちっ。」【初翎山風】 「ちっ。」【山風】 「こんなものに興味はない、お前が読んでくれ。」【初翎山風】 「じゃあなぜ手を伸ばした?」【薫】 「喧·嘩·禁·止!どれどれ……「お前のせいじゃない」って書いてある。どういう意味?」【初翎山風】 「はっ、「俺」のせいじゃないって?「俺」にとっては、まだ起きていないことだ。もう変えることはできない。山風、首領が残したすべて、お前に託す。」【迅風】 「ぐぐぐぐ……(慰めているようだ)」【山風】 「元々俺のものだ。」【薫】 「喧嘩しないで、ちゃんとお別れして。」【山風】 「…………ああ。」【初翎山風】 「ふん、もう話すことはない。今のお前には信頼できる仲間がいる。これからも心配いらないだろう。大事な人を守ってくれ。でないと、俺が「過去」から戻って、お前という「未来」を徹底的に殺すぞ。」【山風】 「やれるもんならやってみろ。」【初翎山風】 「俺の体も消え始めてるな……じゃあな。」【迅風】 「ぐぐぐぐ!(別れを告げる)」【山風】 「ああ。迅風……」【初翎山風】 「お前に逢えて、俺は……ふん、悪くはなかった。またな。」【山風】 「「また」はない。」【初翎山風】 「ふん、そうだな。さらばだ、未来の俺。」「未来の自分」に見送られながら、少年の姿は光となり、消えていく。【薫】 「山風、悲しんでるの?」【山風】 「悲しんでない。あいつのために悲しんだりはしない。」【薫】 「彼は過去のあなたであり、仲間でしょう。仲間と別れるのは、悲しいに決まってる。こんな時くらい、恥ずかしがらなくてもいいんだよ。」【山風】 「……そんなことない。とにかく、お前が無事でよかった。」【薫】 「心配させちゃったね。」【黒無常】 「「心配」ところじゃねえよ!こいつはな、あんたを探すために、直接冥界に乗り込んだんだ。あんなイカれた来客は冥界初だ。こいつはまるで獣みてえだった。」【薫】 「そんなことがあったなんて……山風、心配してくれてありがとう!!」【山風】 「いいんだ。」【黒無常】 「それだけじゃねえ、こいつは都の決戦の時からあんたを探してた、その間に……」【山風】 「(抜刀)」【蒼風一目連】 「そのくらいにしておけ。雲外鏡の欠片は無事浄化できて、薫も見つかった。足を運んだ甲斐があった。」【白無常】 「そうですね。この地にあった冥界の力も回収できました。晴明殿、一目連様、この度はご迷惑をお掛けしました。」【黒無常】 「晴明はべつに何もしてな……おいおい、そう睨むなよ弟。待てよ、さっきから聞きたかったんだが、俺に怒ってねえか?俺、なんかしたか?行くなよ……」【山風】 「……うるさい。」【薫】 「賑やかでいいな。やっぱり、森は賑やかなほうがいい。山風、行こう、家に帰ろう。」【山風】 「ああ。」 |
風立ちの森の主な登場人物
山風 | 初翎山風 | 迅風 |
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蒼風一目連 | 黒無常 | 白無常 |
安倍晴明 | 旅人 | 松風 |
村の少年 | 薫ちゃん(女の子) | 薫(???) |
オオカミ | 狼の王 | |
初翎山風超鬼王襲来「風立ちの森」攻略情報 | ||
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