【陰陽師】「鬼王の宴」ストーリーまとめ【ネタバレ注意】
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『陰陽師』の「鬼王の宴」のストーリー(シナリオ)をまとめて紹介。
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鬼王の宴「暁の出陣・逢魔の原」
物語一
物語一 |
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【大天狗】 「お前の深刻な表情は初めて見るな。」【燼天玉藻前】 「全ては陰謀かも知れぬと思い至っただけさ。」【大天狗】 「というと?」【燼天玉藻前】 「海国の戦の最中、神器雲外鏡を取り出すべく、私は鬼域にある試練の地へと赴いた。雲外鏡を封ずる試練の地は四つ、その一つが餓鬼道だ。此度は生きて戻れまいと覚悟していたが、いざ着くと、地脈の霊力は消え失せた。私は餓鬼道の鬼族どもを撃退し、雲外鏡を手に入れた。鈴鹿山の霊力が消えた謎も、同じ者の手による仕業かも知れぬ。」【大天狗】 「以前試練の地の力を以て、この欠片を徹底的に破壊すると言っていたな。しかしその様子だと、我らは無駄足を踏むのではないか?」【燼天玉藻前】 「私たちは今から試練の地へ向かう。あそこの法陣に頼るためではなく、とある神を探しに行くためだ。」【大天狗】 「神?煉獄を渡る神か?鬼域は危険極まりない、己の命が惜しい小さな神は置いて行こう。」【燼天玉藻前】 「彼女が反論しないとは、珍しいな。日頃は神の力を出し惜しむケチな節もあるが、あのお方を探すために彼女の助けは欠かせない。安心しろ、彼女の実力に関しては心配無用だ。」 |
物語二
物語二 |
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【大天狗】 「今日はやけに冷静だな、何があった?」【縁結神】 「我は……我は少々口下手かもしれぬと思い、発言を控えていたのじゃ。今までは、周りの皆が緊張に飲まれぬよう、冗談を言ってくつろがせているつもりだった。一言も発さないのは寂しいが、周りの人達が我のせいで気分を害すのはもっといやじゃ、それなら口数を減らすほうがよっぽど耐えられる。」【大天狗】 「最近おかしいぞ、何故なんの前触れもなくこうも過敏になったのだ、お前らしくない。お前に悪意を持たない者は、何が起ころうとお前の言葉を反芻し曲解するような真似はしない。」【縁結神】 「ありがとう、大天狗。」【燼天玉藻前】 「悩み事か。あの狂った子供と関係があるのか?」【縁結神】 「最近、ふとしたきっかけで彼の過去を知り、昔放った言葉が彼を傷付けていないかと気が咎めているのじゃ。」【燼天玉藻前】 「どうりでいつも命を恐れるお前が、突然鬼域へ向かったというわけか。」【縁結神】 「理由は道中で話そう、大狐、一つ頼み事をしても良いか?」【燼天玉藻前】 「今に始まった事じゃないだろう?宮中にいる間、何度も珍味を持ってくるよう私に頼み込んだこと、忘れてはいないだろうな?」【縁結神】 「勿論忘れてなどおらぬ!なぜそんなにハッキリと覚えているのじゃ……試練の地には手強い鬼族がごまんとおる、彼もそこで殺戮を楽しんでいるに違いない。彼との争いはなるべく避けられぬか?もしおぬしらに怪我をさせたら、我はずっと気に病む。もし我の信者が怪我をしたら、我はとても悲しい。」【燼天玉藻前】 「本当に身勝手な神だ、彼がおまえの信者だと言い切れるのか?」【縁結神】 「言い切れる!」【燼天玉藻前】 「修羅鬼は血に抗えない、いずれ感情も、恐怖も、過去も失った純血種の修羅鬼へと成り果てるさ。その暁には、一匹狼に最も近い獲物が最初に仕留められる、この常識は聞かずとも分かっているだろう。鬼域で真の深淵を見ていないお前には、そこで代々受け継がれる血統がどれほど忌々しいものか知る由もない、深入りすればするほど、逃げ出せなくなるぞ。縁結びの神よ、うん千年と生き延びて、最も長寿な神になるのではなかったのか?若いうちは自我を保っていられるが、彼はいずれ血に従う運命、血を嗜む狂人となり、死ぬまで殺し合いに明け暮れるだろう。そしてあの子供の年齢からすると、恐らく……問題から目を背けていても何の解決にもならぬ、私は友として忠告しているのだ、早めに縁を切るのが賢明なやり方さ。」【縁結神】 「いや、我は恐れない、ましてや逃げるなど以ての外じゃ。我は……我は強くなりたい。我が頑張って強くなれば、神としての責務を果たし、大切な信者を守る事ができるのじゃ。じゃが彼には知られたくない、神とは信者を守る壁であって鎖ではない、彼には自分らしく、自由に生きてほしい。」【燼天玉藻前】 「お前の信者になる者は随分と幸せだな……」【縁結神】 「ははは当たり前じゃ!かつて誓ったのだ、我が行く先々で、二度と悲劇は繰り返させぬと。彼が純血の修羅鬼になったとしても、神は決して信者を見放さぬ。希少な修羅鬼と、世界を破壊できる力を持つ我が手を組めば、向かう所敵なしと言っても過言ではない。無論、我が神の力が最も頼りじゃがな。」【大天狗】 「なんの話だ?」【燼天玉藻前】 「知る必要はないさ。」【大天狗】 「?立ち直りも早いのだな、面倒事に出くわしたら構わず言うがいい、あまり抱え込むと髪が抜け落ちるぞ。」【縁結神】 「おでこが広いだけじゃ!我のふさふさの頭髪を見よ!」【燼天玉藻前】 「確かに他の神々と比べて、縁結びの神はこれ以上ないほどに普通の容姿をしているな。」【縁結神】 「あああ事実を突きつけるな!」【燼天玉藻前】 「(ようやくいつもの活力を少し取り戻したようだな。)」【縁結神】 「出発する前に、一つ聞きたい事がある、試練の地に……金目のモノはあるか?我の神社は現在千草に託しておるが、お供えの果物や絵馬などは自ら金を出さねばならぬのじゃ。」【大天狗】 「お供えの果物さえ自腹とは、惨めな神だな。」【縁結神】 「笑うがよい、神社の再建さえも我が秘話の冊子を売り、貯めた金で何とかやり繰りしたのじゃ。」【燼天玉藻前】 「占い、手相、男に扮して引っ越しの手伝い……彼女の金を稼ぐ術は数え切れぬぞ。」【大天狗】 「占い……手相……」【縁結神】 「コホン、たとえ神であろうと、一時の面子の為に……金を諦めるわけにはいかんじゃろう?」【大天狗】 「また始まったのか?それより、宴が終わって以来、黒晴明様の姿を久しく見ていない。」【燼天玉藻前】 「他に「客人」がいるようだ。」 |
物語三
物語三 |
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【雪女】 「黒晴明様、あたりに冷たい妖気が。手に持っていらっしゃる、その鬼面は?」【黒晴明】 「遥々やって来た友人からの手土産だ。今思えば、彼がお面を贈りたい相手は私ではなく、お前だったのだろう。」【雪女】 「こんな危険な奴とはあまり関わらないでください。」【黒晴明】 「雪女、雲外鏡の欠片の危機を乗り越えようとしている晴明に、私が協力すると申し出た一件について、おかしいと思わないのか?」【雪女】 「……(不安気な表情。)」【黒晴明】 「他に目的があるのだ。新しい計画を始めようとしている、だが計画を実現するには、強力な組織を立ち上げねばならん。欠片を解決する道中で、図らずも新たな仲間を麾下に加えることができる。この鬼面はその「新たな仲間」からの手土産だ。見返しとして、更なる怨恨の力を与えると約束をしている。時が満ちたら、組織を立ち上げた理由を教えてやろう。」【雪女】 「黒晴明様の計画の一部とあらば、この雪女、必ず全力で補助致します。同時に、二度とお怪我させぬことをここに誓います。」【黒晴明】 「いいだろう、期待している。玉藻前の朧車が着いたぞ、共に行こうではないか。」 |
物語四
物語四 |
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【燼天玉藻前】 「皆の衆、出発に備えよ。」【縁結神】 「大狐、おぬし……」【燼天玉藻前】 「どうした?」【縁結神】 「おぬしのは朧車は本当に立派だ!移動式の建物としても使えるし、いい値段が付きそうじゃ!」【燼天玉藻前】 「お前たち、怠け者の貧乏神に拐われ売られないように用心しておけ。」【荒蛙】 「し、承知致しましたケロ。」【燼天玉藻前】 「大天狗の奴、また一人で車の屋根に座っている、上は風が強いぞ。」【縁結神】 「それがかっこいいと思っておるのじゃろうな。我が車引きとなり道案内をしよう!」【燼天玉藻前】 「構わないが、道は知っているのか?」【縁結神】 「それは……占えば分かる。」【黒晴明】 「貴様の道案内だと、十年たっても鬼域に辿り着けまい。」【燼天玉藻前】 「さすが黒晴明、先程のいじりを受けて、倍返ししてきたな。」【黒晴明】 「それほどでもない、さあ、いざ鬼域へ出発しよう。」 |
CG
鬼王の宴「暁の出陣・大江山」
物語一
物語一 |
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――大江山【煉獄茨木童子】 「う、鬼手…熱い…クソ…燃やされた痛みが…また始まるのか…」【星熊童子】 「茨木童子、大丈夫?」【煉獄茨木童子】 「近づくな。この新しい鎖なら、私を縛ってくれよう、これでお前達を傷つけることもない。」【星熊童子】 「…」【煉獄茨木童子】 「離れてくれ、星熊童子。」【星熊童子】 「…茨木童子、いい酒を持ってきたよ。酒呑童子が戻ったら、一緒に飲もう。ゆっくり休んで、それで見張っている。」【煉獄茨木童子】 「……まだ覚えっている、すべての始まりは、私が大江山に来る前に…山の中で、強大な悪鬼を倒した。あの悪鬼の体は虫のように膨らんでいた、もう本来の様子が分からない。そいつを倒した時、拳にやつの血が付いた、どう洗っても取れなかった。その後、私の鬼手が言うことを聞かなくなった。時には、意識も飛ぶ。目が覚めたら、鬼手が周囲を全滅させた。ある陰陽師がこの鬼手を抑えてくれるまで。だが、私が強くなるに連れ、鬼手も強くなっていく、終わらない戦いのように。その後、私が大江山に来た、陰陽師の封印も弱くなり、鬼手も暴走し始め、来られるまでは。そして今…この悪夢のような敵がまた現れた…」【???】 「主人がお前を必要としている」【煉獄茨木童子】 「やはり…あの声…」【???】 「来い、我もとに。いつまでも、待っているよ。帰ってこい、私の――」【煉獄茨木童子】 「退け!!主人は私自身だ!もう操らせないぞ!うあ――!!!!くそ、させないぞ!」【???】 「帰ってこい…故郷降臨の地で待っている…」茨木童子の鬼手が青紫の炎を帯びて、一振りだけで、山を揺るがした。【煉獄茨木童子】 「うあああ――!!!」 |
物語二
物語二 |
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――大江山【鬼王酒呑童子】 「俺様が戻った。茨木童子はどうだ?」【星熊童子】 「鬼手と戦って、妖力を消耗している、先また気を失った。」【鬼王酒呑童子】 「ますます、悪くなっているな、あいつ…鬼王の宴での雲外鏡の未来予知、そして茨木童子の状況。鬼域に行くしかない。晴明のやつ、俺様にこの欠片をくれた。」【星熊童子】 「これは、雲外鏡の欠片?」【鬼王酒呑童子】 「気を付けろ、こいつは人に幻境を見せる。俺は鬼域の奥に行って、この欠片を処理してくる。霊力の源を見るには、鬼域では何か異変が起きた。」【星熊童子】 「酒呑童子、茨木童子の鬼手はどうするつもりだ?」【鬼王酒呑童子】 「彼の状況を見て、鬼域と関係ある過去を思い出した。あの鬼手は、何かに操られている。その原因が鬼手の血の中にあるはず。」【星熊童子】 「どんな物だ?聞いたことがない。」【鬼王酒呑童子】 「あれは天人の力、なんとか霊体というやつ、彼らの魂であり、武器でもある。俺は、以前鬼域の奥地まで行って、天人に操られた鬼族と戦った。その鬼族は今の茨木童子のように、自我を失い、天人に操られていた。暴走した鬼手の問題を解決するには、鬼域で手がかりを探すしかない。だから、俺の目的地は、鬼域の奥にある天人の領地――天域。しかし、天人が異界の忉利天から鬼域に落ち、その後突然消えた。今の所在はそう簡単に見つからないだろう。」【星熊童子】 「仮に見つかったとして、どうやって戦う?」【鬼王酒呑童子】 「天神の能力が一番危険な物、あれは生き物の五感を超える、しかも能力はそれぞれ違う。さらに、天神一族の王はその頂点に存在する。話によると、あの王は千万の敵と仲間の死を代償に、親友を裏切り、王座を手に入れた。いくら鬼族が弱肉強食とはいえ、あのやり方は賛同できん。鬼族の運命と大江山、俺は絶対、負けてはならない。」【星熊童子】 「安心しろ、酒呑童子、大江山も、茨木童子もオイラが面倒を見てやる。」【鬼王酒呑童子】 「俺はしばらく離れる。星熊童子、すべてを頼む。」 |
物語三
物語三 |
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――大江山【煉獄茨木童子】 「酒呑童子、どこにいく?」【鬼王酒呑童子】 「起きたか。」【煉獄茨木童子】 「とっくに起きた、星熊童子との話も聞いた。鬼域に行くのか?私もいく。」【鬼王酒呑童子】 「お前に状態では、無理だ。おとなしく、大江山で待ってろ。一ヶ月で戻る。」【煉獄茨木童子】 「…だからこそ、一人で行かせるわけには行かない。鬼王の宴での予言を鬼族の未来が関わっているだろう。友よ、雲外鏡欠片の危険は分かっている。」【鬼王酒呑童子】 「俺が一番弱っていたあの時、お前が3日間妖力を燃やし続けてくれた。今回は俺の番だ。」【煉獄茨木童子】 「酒呑童子、以前言ったよな、「言うことを聞かないやつには、力で従え」と、それなら、覚悟して、一回勝負だ。今回は負けない、この鬼手にも!」【鬼王酒呑童子】 「茨木童子…」【煉獄茨木童子】 「迷うな、この使えない鬼手でも、ここを煉獄にできる。こい――!!」 |
物語四
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【煉獄茨木童子】 「私は…どこにいる?目の前の人は……酒天童子?私が酒天童子と…戦っている?」【鬼王酒呑童子】 「うん…」茨木童子の鬼手が暴走し、酒天童子に向っていく。 酒天童子が高く飛び、鬼手を避ける。 茨木童子は叫び、鬼手が地面に刺す。【煉獄茨木童子】 「危ない…友よ、避けろ!」【鬼王酒呑童子】 「…」【煉獄茨木童子】 「……違う…これは…これは…!う……ゴホゴホ……」酒天童子が数回鬼手の攻撃を避け、茨木童子に接近し、全身の一撃を放つ。一瞬、血が飛び散る。【煉獄茨木童子】 「友…よ…お前…」【鬼王酒呑童子】 「悪く思うな、茨木童子。すべては、鬼族の未来のためだ。」【煉獄茨木童子】 「(これが死の感覚か…?)(まあ、友のためなら、命は惜しくない…)」 |
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鬼王の宴「暁の出陣・鈴鹿山」
物語一
物語一 |
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……鬼王の宴が始まる前、都から離れた島で【鈴鹿御前】 「言え、これはどういうことだ?大嶽丸はどうして死んだのだ!」【海鳴】 「うぅ……わしが、すべてはわしのせいなのです!」【久次良】 「いきなり入ってきて……き、貴様は一体?」【海鳴】 「わしが話そう。」海鳴は鈴鹿御前にすべて話した。鈴鹿山の汚染、都への侵入、そして大嶽丸の死。【海鳴】 「……という経緯だ。あなた様がわしを信じて若を託してくださったのに、わしが……あなた様に顔向けができません!」【鈴鹿御前】 「(身近な一刀で、島は巨大な溝に分かれた)くっ……海鳴、お前!」【海鳴】 「(地面に倒れる)ああ、でもよかった…あなた様が三途川から戻ってくる日を迎えることができて!あなた様がいれば、海国の復興も望めるでしょう……わしも安心して逝けます……」【鈴鹿御前】 「海鳴……」【海鳴】 「鈴鹿山の旧主よ、わしにはもうこの世に生きる面目はございませぬ!どうか、わしの命を断ってください。わしの命で、若を弔ってください……」【蟹姫】 「なにするつもりなの!若はみんな生きろって言ったよ!」【蠍女】 「ちっ、動くな。」【蟹姫】 「サソリめ、離して!」【鈴鹿御前】 「弔いだと?お前には彼を「若」と呼ぶ資格などとっくにない!」鈴鹿御前は倒れた海鳴を見て、昔は自分の後ろに立っていた人だと思い出した。そして刀を振り下ろした。海鳴は驚いた顔で頭を上げた、なぜなら鈴鹿御前は彼の片手だけを切り落としたからだ。【海鳴】 「これは一体……」【鈴鹿御前】 「簡単に死ねると思うな。」【蟹姫】 「なんてことを!!」【鈴鹿御前】 「蠍女、彼女を放せ。蟹、海鳴の手当てをしろ、死なせるな。あなたは久次良だな?私についてこい。」【久次良】 「その方向は……」【鈴鹿御前】 「都の奴らに、聞きたいことがある。」 |
物語二
物語二 |
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……鬼王の宴の後、海国の鬼船で【蠍女】 「主人、海鳴は死を望んでいました。なぜ殺さなかったのですか?片手だけじゃ甘すぎます。表で手を下したくなければ、裏での処理はお任せください。痕跡は絶対に残しません。」【鈴鹿御前】 「彼にとっては、「死んだ」ほうが楽だ。そうしたところで、失われた命を取り戻すことはできない……彼は取り返しのつかない過ちを犯した。そして死ぬつもりだと?ならば生かしてやる。すべての罪を償うまで、一生自責と罪の中で生き続ける…………それが彼に与えた罰だ。」【蠍女】 「はい。仰せのままに。」【鈴鹿御前】 「この話を、あの子に会ったら、もう一度しなければいけないのか……私のいない間、あなたはずっと私を探していたのか?」【蠍女】 「……二百年の間、海でずっとあなたを探していました。」【鈴鹿御前】 「水が苦手なのに、さぞ苦労しただろう。」【蠍女】 「……そんなことはありません。主人の安否に比べれば、私のことなどどうでもよいのです。」【風狸】 「おい、鈴鹿御前!来たぞ!」【蠍女】 「(小声で)ちっ、空気読めないやつ。」【風狸】 「蠍ちゃん、なんか言ったか?」【鈴鹿御前】 「ちょうどいいところに来た、風狸。都では海国の仲間は行動しづらい。人に知られていない蠍女と、人に雇われる刺客の風狸……あなた達なら容易に行動できるはず。」【風狸】 「なあ、俺たちって何百年も会ってないよな?でも恩を返すために、俺は全力を尽くすぜ!それで、俺たちは何をすればいい?」【鈴鹿御前】 「鬼王の宴で、あの晴明という陰陽師が神器を打ち砕いた。あれは……なに鏡といった?」【蠍女】 「雲外鏡です、主人。」【鈴鹿御前】 「そう!雲外鏡……あの神器の欠片を探してくれ。(神器が粉砕される前に、私は幻境に引きずり込まれた。あの時に見たのは一体……)(晴明が手を出した後、場の雰囲気は明らかにおかしかった。他の人達も私のように何かを見たに違いない。)それと、他の鬼王の動向を探ってくれ。きっと何か動きがあるはずだ。任務が終わったら戻って集合し、海に出る。」【風狸】 「神器と鬼王か、少し危険かもしれないが、俺たちに任せてくれ!」【蠍女】 「主人の期待は裏切りません。」【鈴鹿御前】 「次は、あの人に会いに行かなければ。」 |
物語三
物語三 |
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……夜、晴明の庭院にて【晴明】 「出て来るがいい。こそこそ隠れるのは性分に合わないだろう。」【鈴鹿御前】 「どうやら私が来ることがわかっていたようだな。」【晴明】 「鬼王の宴の後、雲外鏡の欠片が消えた。私のところに来たのはお前だけじゃない。」【鈴鹿御前】 「なるほど。神器探しと鬼王の調査は同じことだったようだな。」【晴明】 「何のことだ?」【鈴鹿御前】 「何でもない。今日来たのは……何者だ!」【八百比丘尼】 「あら?失礼しました。お邪魔でしたか?」【鈴鹿御前】 「これは……人魚の肉を食べた人間か?」【晴明】 「八百比丘尼?お前……」【八百比丘尼】 「私のことはお気になさらず。今夜は月が騒がしく、占いをしてみようと思ったのですが、まさか……」【鈴鹿御前】 「ふん、占い師にも「まさか」があるのか?」【八百比丘尼】 「えっと?もしかしてこちらの人魚さんに嫌われてしまいました?ではお二人の邪魔にならないよう、私はもう一度寝ることにしましょう。おやすみなさい。」【鈴鹿御前】 「話を続けよう。私が持っている神器の欠片を浄化する手伝いをしてもいい。そのかわり、「陰陽師晴明」に約束してほしい。賠償、服役……海国は都の付近に留まり、できるだけ罪を償う。だが島にいる海国の老人弱輩の安全を保証してくれないか。」【晴明】 「ああ……わかった。」【鈴鹿御前】 「そして海国の旧主ではなく、鈴鹿御前として、調査を頼みたい。」【晴明】 「なんだ?」【鈴鹿御前】 「都はあなたの縄張りだろう。私のような海の妖怪よりも詳しいはずだ。」【晴明】 「縄張り?私は決して……まあいい、頼みとはなんだ?」【鈴鹿御前】 「三途の川には、「賽の河原」という場所がある。私は都に来る前、二百年以上、あそこに閉じ込められていた。あそこの時空はゆがんでいて、実際は三日しか経過していない。」【晴明】 「どうしてそんな話を?」【鈴鹿御前】 「鈴鹿山は私が築き上げた場所だ。そこには私と繋がる法陣があり、何か変化が起きると、私はそれを感じることができる。だが「賽の河原」にいた三日間は、鈴鹿山のことを何も感じなかった。それだけではない。変な力につかまって、時空の歪みの深みへと引き込まれた。」【晴明】 「鈴鹿山との繋がりが断たれ、「賽の河原」の深みに引き込まれたのもヤマタノオロチの仕業だと?鈴鹿山は、一体いつから汚染されはじめたのだ?」【鈴鹿御前】 「海鳴の話によると、百年前からだ。私が鈴鹿山を去って間もなく、気候の異常が生じ始めた。大嶽丸が都に侵入したのは事実。これは私や大嶽丸のための言い訳ではないが……数百年前私は三途川に赴き、鈴鹿山は汚染され……どう考えてもおかしい!」【晴明】 「お前が言ったように、鈴鹿山が百年前から「汚染」されていたとしたら、多分他にも……これが鈴鹿山の旧主の訪問の本当の目的か?」【鈴鹿御前】 「鈴鹿山だけではなく、他にも鈴鹿山のようなところがあるかもしれない。これは取引ではない。故郷を失い、弟を失った妖怪の、「陰陽師晴明」への頼みだ。」【晴明】 「わかった。ヤマタノオロチがどうやって鈴鹿山を汚染したのか、他にも鈴鹿山みたいなところがあるか、全力で調べよう。」【鈴鹿御前】 「さすがは晴明、話がはやい。安心しろ、あのなんとか鏡の欠片の浄化は任せてくれ。」【晴明】 「目的地に心当たりはあるのか?」【鈴鹿御前】 「ああ、行くあてはある。話はまとまった。では私はこれで。陰陽師、達者でな。」【晴明】 「また一つ、雲外鏡の欠片の行方がわかった。二百年前……ヤマタノオロチはその頃から計画を始めたのか?では鈴鹿山以外にも……恐らくこれから我々が向き合わねばならないのは……八百比丘尼、ずっと見ていただろう。」【八百比丘尼】 「あら、晴明さんにはかないませんね。でも安心してくだい、晴明さん。私は、あなたの敵ではありません。」 |
物語四
物語四 |
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……都の結界の外の島で【鈴鹿御前】 「戻ったのか?」【蠍女】 「はい、他の勢力の動向を掴みました。」【風狸】 「一部の欠片は鬼王たちに手にあるが、一部はどこかへ消えた。」【鈴鹿御前】 「大妖怪が去ったら、少しは安心できる。もう一つ、やることがある……海国の同胞たちよ!(こうして見渡すと、私の知っている家族も残り少ない。他の者は……)」【七人岬・桑】 「ま……まさか……」【蟹姫】 「何が同胞だ!この魚の尻尾の悪者め!」【蠍女】 「カニめ!黙って主人の話を聞きなさい!」【鈴鹿御前】 「我が名は鈴鹿御前、鈴鹿山の先代の主、そして死んだ鈴鹿山の若、大嶽丸の……姉だ。わけあって数百年間三途の川に閉じ込められていた。そのせいで故人と死別し、鈴鹿山が汚染された時に皆と一緒にいられなかった。……大嶽丸の死も見届けられなかった。海国の首領を気取るつもりはない。あなた達の首領はいまでも大嶽丸だ!だが首領を失ったことは言い訳にはならない!私の知っている海国の住民は、決して軟弱者ではない!自分が犯した罪は、自分で償うのだ!手足があれば仕事はできる!まだ死んでいない者はしっかり生きろ!罪を完全に償うまで、犯した過ちを忘れるな!都の人は私たちに居場所をくれた。不満があって悪さをしようとする者は……鈴鹿山の名を汚す者は、この鈴鹿御前が一人たりとも見逃さない!以上だ!解散してくれ。」【海鳴】 「鈴鹿御前様、今後どうなさるおつもりでしょうか?」【鈴鹿御前】 「ああ、海鳴か。私は鈴鹿山に帰るさ。」【海鳴】 「ええ?!し、しかし……あそこはもう……」【鈴鹿御前】 「あそこがどうであれ、私が決めることだ。もときた場所に、帰るのは当前だ。それに……(鬼王の宴で、幻の中で見た廃墟の鈴鹿山、そこには大嶽丸がいた)(もし、あの白黒の神器が本当に未来を見せていたとしたら、多分あそこに……)」【蟹姫】 「それになに?まだ何か企んでるの?」【鈴鹿御前】 「それに、私はもう一度大嶽丸に会わなければいけない。」【蠍女】 「主人、やはりあなたは……」【海鳴】 「お気に障るかもしれませんが……若がお亡くなりになった後、わしはいろんな方法を試しました。ですが、若は、確かにもう……」【鈴鹿御前】 「それ以上言わなくていい。」【蟹姫】 「若を復活できる方法があるのか?も、もしそれが本当なら……一時的にあなたを主として認めてあげる。いや、若の次の二番目の主……とにかく、あなたの言うことを聞いてあげる!」【久次良】 「蟹姫……」【蟹姫】 「もう一度若に会いたいの!!」【久次良】 「我が主は大嶽丸のみ。だがしばしの間あなたに従おう。同行させてくれ。」【蠍女】 「ちっ、面倒なのが増えた。私と主人だけで十分なのに。」【風狸】 「そう言うなよ、蠍ちゃん。仲間は多いに越したことはないぜ。」【海鳴】 「……わしも行かせてくれぬか。」【鈴鹿御前】 「海鳴、お前……ちっ、死ぬぞ。」【海鳴】 「わしに残された時間は少ない。あなた様がおっしゃった通り、もと来た場所に帰らなければ。あなた様や若にお仕えしていた頃も、今も……わしの帰る場所は鈴鹿山しかないのです。」【鈴鹿御前】 「よかろう。明日出発する。我々は……鈴鹿山に帰るぞ!」【蠍女】 「彼らは鬼船に連れて行きました。」【鈴鹿御前】 「ご苦労。あなたも休んでくれ。」【蠍女】 「はい。」鈴鹿御前は夜の穏やかな海を眺めている。しかしいくら遠くを眺めても、あの遠い海域の小島を見ることはできない。鈴鹿山の若が亡くなる前にも、このように海を眺めていたのかもしれない。もう帰れぬ里をもう一度見たかっただろうか。【鈴鹿御前】 「(手に持っている勾玉を見つめる)こんな仲間ができて、いい若になったな。バカモノめ、私のいない所で勝手に死ぬなんて。おまけにこんな面倒なことを残して。次会う時には、一発殴らねばならない。……知らなかったな。都の占い師も隠匿の術を好むのか?」【八百比丘尼】 「あら、もう見つかってしまいましたか?あなたも鬼王の宴で預言をご覧になったでしょう。預言が示した通りに、鈴鹿山に向かうのですか?」【鈴鹿御前】 「我々がどこに向かおうが、関係ないだろう?」【八百比丘尼】 「そう警戒しないでくだい。ご自分の出身、この旅の本当の目的地……あなたは仲間にたくさん秘密がある、そうですね?」【鈴鹿御前】 「なんだと!」【八百比丘尼】 「緊張しないでください、敵意はありません。あなたの鬼船に乗せてくだい。」【鈴鹿御前】 「何が目的だ?!」【八百比丘尼】 「私も同じ場所を目指しているのです。或いは、私を「永生の海」に連れて行けるのはあなただけなのです。」【鈴鹿御前】 「……いいだろう。ふん、すこし面倒な旅になりそうだ。」太陽はゆっくりと昇り、波は岩礁を打つ。生と死、憎しみと愛が、穏やかに見える水面の下で、ゆっくりと流れてゆく。 |
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鬼王の宴「暁の出陣・源氏」
物語一
物語一 |
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――数ヶ月前、鬼域の奥地【源氏の陰陽師】 「頼光様、この前が目的地です。鬼兵部によると、あそこは土蜘蛛一族が消えた場所です。この前、土蜘蛛は茨木童子の鬼手の中にある血の主に関する情報を秘密にしていた。鬼兵部の働きで、その秘密を手に入れた。」【源頼光】 「おう?」【源氏の陰陽師】 「しかし、その土蜘蛛が秘密を提供した後、行方不明になった…鬼兵部はなんの跡も見つからず、土蜘蛛一族が消えたかのように。」【鬼兵部】 「……」【源頼光】 「土蜘蛛が最後残した情報は?」【源氏の陰陽師】 「悪鬼の血によって、鬼手が暴走する原因に関する物です。あの血の中に何かがあると、それがしが宿主をコントロールしていると。茨木童子は最初の宿主ではなく、その前にそれがしが、鬼域にある他の悪鬼体内に寄生しているようです。他の悪鬼から、血液を通して、茨木童子の鬼手に移った可能性があります。」【源頼光】 「鬼切があの鬼手を得た時、私が異常を感じだ。その時、血の契約力が寄生体抑え込んだ。強大な精神力がなければ、寄生体は宿主をコントロールし、殺戮し続け、その力を奪う。」【源氏の陰陽師】 「頼光様、土蜘蛛の最後の情報では、大事なことがあります。鬼手に寄生しているのは――「霊神体」の欠片とのこと。霊神体はなんですか?精神的な物に聞こえますが。」【源頼光】 「……数年前、私は大江山の奥にある鬼域の調査を計画していた。その後、源家の蔵書の中で、先祖が百年前に鬼域に行ったことを知った。その中に、霊神体のことも触れた。」【源氏の陰陽師】 「まさか…!」【源頼光】 「その記載によれば、霊神体は「天人」という異族に関係している。天人は元々異界「忉利天」に存在している、ある事で鬼域に落ちた。鬼域では、天人が鬼族と百年に渡る戦争をしていた。最終的に、天人は霊神体で鬼族を抑えた。」【源氏の陰陽師】 「一体どんな力でしょう?鬼域の万鬼を抑えるなんて。」【源頼光】 「あれは、五感を超える一種の精神力で、天人はそれを武器化することが可能と記載されている。しかし、ある日突然、天人一族が鬼域から消えた。まるで、存在すらしなかったのように。関連する伝説も減っていた。」【源氏の陰陽師】 「なぜ、そのようなことが…?」【源頼光】 「衰退ではなく、力が頂点に達した時に消えた、何か陰謀があるかもしれない。」【源氏の陰陽師】 「これは…」【源頼光】 「今こそ、すべてを確かめる時だ。捜索を開始せよ。」【源氏の陰陽師】 「頼光様、本当に見つかりますか?ここまで調べて来て、逆に遠くに壮大な建物が見えます。あれは、目くらましの蜃気楼ですか?」【源頼光】 「ここで全面捜査をしよう。しかし、鬼兵部は待機だ。源家の陰陽師に方違えの術で探してもらおう。」【源氏の陰陽師】 「方違え?」【源頼光】 「目に見える物は真実とは限らない。ここを始点とし、半径1里に結界術を貼り、その後始点に戻れ。地形を利用して、方違えを繰り返せば、何か見つかるかもしれない。」【源氏の陰陽師】 「まさか…?」【源頼光】 「きついと思うが、きっと真実は見つかる。開始せよ!」【源氏の陰陽師】 「はい、頼光様!」 |
物語二
物語二 |
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――源家宅【源頼光】 「晴明の動きが予想外だ。鬼王の宴で雲外鏡を砕けなければ、鬼王達はそのまま、心魔に捕らわれていたかもしれない。」【源氏の陰陽師】 「神器を砕ける決断力は感服です。」【源頼光】 「全員を集め、果断に雲外鏡を砕くことで、オロチの陰謀を暴く同時、鬼王達を自ら浄化に向かわせた。どうやら、以前の甘い考え方を捨てたようだ。しかし、心の悪に直面できなければ、すべては無駄になる。」【源氏の陰陽師】 「頼光様、晴明様が依頼したこの欠片はどうなさいますか?」【源頼光】 「処理場所探しはそう簡単じゃない。」【源氏の武士】 「頼光様!速報!」【源頼光】 「何事?」【源氏の武士】 「申し訳ございません。失礼しました。方違えの術によって、土蜘蛛の失踪地付近で、異変を察知しました。とある奇妙な区間を見つけました。どんな陰陽術も通れませんでした。何か、見えない壁で陰陽術が阻まれていたようです。しかし、人間は影響を受けないです。」【源氏の陰陽師】 「もしかしたら、誰かが膨大な結果を敷き、何かを隠そうとしている?」【源頼光】 「空間を隠す結界か。」【源氏の武士】 「頼光様の命令に従って、あの付近の霊力の波動を探索しました、無尽蔵な霊力があそこに向っているようです。一部の霊力は京方向から来ています。」【源頼光】 「間違いない。あれこそ、天人の地への入り口だ。」【源氏の陰陽師】 「天人の地?」【源頼光】 「そうだ、だれも思わないだろう。忉利天から落ちた天人が、未だに鬼域にいるなんて。五芒星の陣を構築し、地脈で霊力を吸い取っているのは、オロチだ。天人との間で何か計画でもあるのか。」【源氏の陰陽師】 「しかし、頼光様、もし異族に関係するなら…」【源頼光】 「すでに、欠片を処理する場所は見つけた。」【天剣刃心鬼切】 「源頼光、今回は俺も一緒にいく。」【源頼光】 「やっと、現れたか、いつまで盗み聞きしているかと思ったところよ。」【天剣刃心鬼切】 「……この件が解決した時、お前との決戦の時だと思え。俺の力もそろそろ、回復する。準備は出来ているだろう。それとも、今試して見るか!」【源頼光】 「面白い。」【天剣刃心鬼切】 「は――!一丁!」【源氏の武士】 「源頼光様!」【源氏の陰陽師】 「お前は下がれ、結界を貼る!」【天剣刃心鬼切】 「う――お前、欠片浄化のことを隠したな、なにを企んでいる?」【源頼光】 「以前より素早くなったな。しかし、それでも私に勝てない。もしずっと、私についてくれれば、きっと今よりもっと強くなったいるだろう。」【天剣刃心鬼切】 「クソ野郎!」【源頼光】 「おう?私に匹敵するぐらいになったか。なにで、力が増した?」鬼切の刃が源頼光の刀を両断した。しかし、それと同時に、源頼光がもう一振りの刀を抜き、鬼切の喉の位置に止まった。【天剣刃心鬼切】 「ふ。」【源頼光】 「最初から私の刀を狙っていたのか。」【天剣刃心鬼切】 「以前にも言った、悪事を行うなら、お前の刀をすべて両断してやる。」【源頼光】 「いいぞ。今回は共に行こう、鬼切。」【天剣刃心鬼切】 「刃は危険なもの、気をつけるとよい。源頼光。」 |
物語三
物語三 |
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――夜、黄泉の塔【源氏の武士】 「源頼光様、前哨部隊は今夜に発った、鬼兵部は整列中、翌朝にでも出発できます。」【源頼光】 「分かった、下がってよい。」【源氏の武士】 「は!」【天剣刃心鬼切】 「源頼光、数年前に俺たちもここで偵察したことがある。当時の調査も、この件に関わっている?」【源頼光】 「鬼域の中に、京を脅かす力が沢山潜んでいる。危機感がなければ、人間は生き延びれないだろう。」【天剣刃心鬼切】 「だから、三大家族が京の結界を構築したのか?」【源頼光】 「結界に囚われたのは、ただの子羊さ、この壁の外こそが、人間の出発地点だ。」【天剣刃心鬼切】 「以前にも同じことを言ったな。」【源頼光】 「今は計画の第一歩だ。敵が以前と違うけどね。お前は大江山と鬼域周辺に居たことがあるから、分かるだろう。」【天剣刃心鬼切】 「鬼域の奥は確かに、懐かしく感じる。」【源頼光】 「鬼域は無秩序で、弱肉強食の地だ。かつて、天人は鬼域の頂点に立って、その時に消えた。以外なことに、天人の手がかりはあの鬼手から見つかるとは。」【天剣刃心鬼切】 「あの鬼手……以前私が使う時は普通だった。」【源頼光】 「血の契の力だけでなく、お前自身とも関係あるはずだ。だが、鬼域の悪鬼より、天人はさらなる未知な存在だ。」【天剣刃心鬼切】 「彼らはなぜ、急に消えた。」【源頼光】 「オロチが計画していた災難に関係しているかもしれない。準備はいいか?鬼切。」【天剣刃心鬼切】 「敵は倒す、だが私にとって、帰った後、お前との決斗こそが一番重要だ。」【源頼光】 「……」【天剣刃心鬼切】 「どうした?」【源頼光】 「いえ、付き合うぞ。」【天剣刃心鬼切】 「源頼光、敵の手に殺しさせはしない。お前は、俺の手で倒す。」【源頼光】 「その時もこの自信満々なら。」 |
物語四
物語四 |
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【鬼切】 「……俺…俺はどこに…?一帯に妖怪の死体だらけ、遠くの山々は刃のように見える。この地獄の景色は、まさか…鬼域の奥地?……私はここでなにしている?」【???】 「は。」黒い影が鬼切を襲いかかる、鬼切は刃でぎりぎり防ぎ、危機一髪だった。【鬼切】 「う…俺が戦っている?」【???】 「以前から教えた。お前のその躊躇いは、弱点になる。」【鬼切】 「源…頼光」【源頼光】 「…魂の欠片に未練はない。操り人形如き、消されていないだけで幸運だと思え、ここで霊神体を消耗しても、意味がない。」【鬼切】 「ゴホ…クソ…こいつ!」【源頼光】 「平伏せ。」【鬼切】 「うあ…クソ…野郎!ゴホ…はあ――!はあ――!お前を許さない!源頼光!悪しき人間!」鬼切が狂ったように笑い、目の前にいる人に切り続ける、倒れた屍を見て、さらに発狂した。【鬼切】 「死ね――!はあ…」【源頼光】 「愚かな」【鬼切】 「!ありえない!?」「もう一人」の源頼光が現れ、陰陽術で鬼切を縛った。そして、一差しで鬼切の体を貫いた。【源頼光】 「気分はどうだ。痛いのが好きだろう?」【天剣刃心鬼切】 「クソ!殺してやる!源頼光!!」【源頼光】 「血の契の新の力を見せてやる。」【天剣刃心鬼切】 「クソ!なぜ体が…言うことを聞かない!」【源頼光】 「教えてやる、お前の主人は永遠に私だ。」【天剣刃心鬼切】 「な、なに…!……………………………う……先のは…夢か?」 |
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鬼王の宴「暁の出陣・七角山」
物語一
物語一 |
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…一ヶ月前【山風】 「……」【黒無常】 「……」【閻魔】 「この長年静かな閻魔殿、こんなに賑やかになるのは、珍しいわ。ただ、誰でもできることではない。汝らはどう思う?」【蒼風一目連】 「お許しください。お尋ねしたいのだ…」【閻魔】 「冥界に入り込んで、好き放題をし、そしてわらわの閻魔殿をこの様にした。「お許し」だって、滑稽な。」【蒼風一目連】 「申し訳ない、こうなったのは、私達の本意ではない。」【山風】 「無駄口はもういい。薫はどこだ?」【判官】 「無礼者!」【蒼風一目連】 「山風!」【山風】 「単刀直入する。お前達が薫を拐った。返してくれ!」【蒼風一目連】 「山風、落ち着け! |
私から説明しよう。(蟲師によると、冥界はかなり昔、七角山で薫を探していた、当時は彼女が庇った。)もう隠しても無駄だし、閻魔様はすでに蟲師が嘘ついたことを察しただろう。」【白無常】 「蟲師?その薫というのは、まさか……」【蒼風一目連】 「七角山にいる妖怪薫、元は人間だった。彼女の死後、山風が禁術によって、彼女を妖怪に転生させた。無常兄弟は七角山で彼女を探していた、当時は蟲師が庇ったから、その後はそのままとなった。」【白無常】 「確かにそうです。私達が冥界に戻ったあと、閻魔様は捜査停止を命じた。」【黒無常】 「何年前のことか、今更喧嘩を売るのか?」【山風】 「こっちのセリフだ。海国が京を攻めた時、七角山で白無常を見た妖怪がいる、その後薫が消えた。」【白無常】 「私?いいえ、私はありえない…」【黒無常】 「は?冗談じゃない!あの時、冥界はめちゃくちゃだ。弟がそんな遠い七角山まで行って、小娘を捕まえる暇はない!しかも、そもそもお前が人間を妖怪にしたせいで、生死のバランスに影響を与えた、冥府に連れ戻しだって、文句ないだろう。」【山風】 「(抜刀)」【蒼風一目連】 「山風、落ち着け!では、白無常の話からすると、閻魔様はもう薫のことを把握しているようだ。連れ出そうと思えばいつでも可能だ。私達が冥界に来たのは、揉め事をするためではない。」【山風】 「ち。」【黒無常】 「これは揉め事を起こす態度だろうが?」【閻魔】 「無駄な争いはやめ。汝ら、探し求める女の子は冥界にあらず。」【蒼風一目連】 「(発言しようとした山風を抑えて)閻魔様はこのことに嘘を付く必要はないだろう。私達が冥界に来た目的、一つは薫を探すためで、もうひとつは…」【山風】 「ち。七角山と京の周辺を全部探した、薫の跡もない。冥界の主なら、すべてを見通しで、貴方なら薫の所在を知っているだろう。」【蒼風一目連】 「当時海国が侵入してきて、万が一のため、私は風の護符を皆に渡した。私の妖力が入っている護符を感じることができる。薫の護符だけが消えたかのように、なにも感じない。」【山風】 「薫は絶対そんなことをしない、きっと誰かが…」【蒼風一目連】 「だから、ここに来て、閻魔様の助けをお願いしたい。」【閻魔】 「わらわの助け?汝は残れ、他の者は下がってよい。」【山風】 「貴様…」【判官】 「しかし、閻魔様、万が一…」【閻魔】 「よい、私の黙認でなければ、彼らはこの閻魔殿に入れなかったわ。」【黒無常】 「ここはババァの縄張りだ、心配ないさ。」【白無常】 「貴方は風神一目連さまですね?閻魔様がおしゃった以上、私達はそれに従います。」【閻魔】 「汝のその顔、まるで獣のようだわ。世間万物、森羅万象、汝はどこまで抗えるかしら?」【山風】 「ち。」 |
物語二
物語二 |
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――鬼王の宴後、晴明の庭院【蒼風一目連】 「その後、閻魔様は左右を下がらせ、山風のみと話をした。しばらくすると、山風は飛び出し「薫を探しにいく」とだけ言い残した…私もこれ以上、閻魔様に聞くのをやめ、七角山に戻った。」【晴明】 「その後、京に異変が生じ、七角山まで波及した。この間、山風の消息はないのか?」【蒼風一目連】 「はい、今思えば、もしかして閻魔様は既に京で起こることを予見していたかと、ただ…」【晴明】 「状況は理解した、冥界の主は自分の考えがあるだろう。現状、雲外鏡が砕き、京のことだけでも、手一杯だ。」【蒼風一目連】 「鬼王の宴の件は急だったので、何もできなかったが、雲外鏡の欠片を浄化する件は、力を貸そう。」【晴明】 「助かる。鬼王の宴後、各勢力の鬼王達は各自の計画があるようで、それぞれの目的地がある。風神の助けがあれば、雲外鏡欠片浄化の件はやりやすくなるだろう。」【蒼風一目連】 「各自の計画…雲外鏡が見せてくれた予言に関係する?」【晴明】 「そうだ。雲外鏡が鬼王の宴で「未来の景色」を皆に見せた。その後、誰も見た物について、話さない。きっと衝撃的な「予言」を見ただろう。」【蒼風一目連】 「「予言」……(雲外鏡が現れた時、私はその宴の場に居なかった、しかし、幻境を見た。あの時に見た物は本当の未来か?)(燃え上がる山々、殺し合う同族…そして、立ち尽くしてなにもできなかった自分。)(あれが本当なら、何としても避ける)」【晴明】 「一目連?大丈夫?」【蒼風一目連】 「あ、大丈夫。いろいろと急だったので、驚いてただけ。それで、雲外鏡の欠片の浄化に手伝うが、どこに行けばいいのか?」【晴明】 「それに関して、提案がある…」【小白】 「セイメイ様!客人です!」【晴明】 「来たか?」【黒無常】 「おい、晴明!晴明はいるか!」【小白】 「この声。いろいろ経験してきて、あの御方のセリフだけは変わらないですね。」【黒無常】 「おい、なんか言った!」【晴明】 「閻魔様からお使いか。」【白無常】 「そうだ、邪魔する。」【蒼風一目連】 「なぜ、閻魔様が…?」【黒無常】 「あのババァが何考えているのかわからん。晴明に会いに行けってだけ。そもそもこの忙しい時期に、やっと手が空いたというのに。また何か大事件に関わったじゃないよな?」【白無常】 「黒無常!閻魔様はお考えがあるでしょう、私達は晴明殿に協力すればよいです。」【蒼風一目連】 「「閻魔の目」の力か?」【晴明】 「冥界の主には、全てがお見通しだろう。封印結界を構築するための霊気旺盛な場所探しは簡単なこと。白無常、閻魔様からは何か手がかりでも?」【白無常】 「はい、出発時に、閻魔様から「八雷山」という場所を示された。しかし、それ以外はなにも。」【晴明】 「「八雷山」……」【蒼風一目連】 「それでは、私が無常兄弟と一緒に行こう。」【白無常】 「一目連様?これは一体……」【蒼風一目連】 「雲外鏡と鬼王の宴について、道中で話しよう。」【晴明】 「うん、では目的地は決まった。一目連と無常兄弟で「八雷山」に行き、雲外鏡の欠片の浄化を頼む。」【白無常】 「一目連殿、では明日に出発しましょう。」【黒無常】 「冥界の道案内がいるから、安心しな。おれらはプロの道案内だ!」【小白】 「なんか変な感じしますが…まあ、出発前ですし、よしとしましょう。」【蒼風一目連】 「では、よろしくお願いする。」 |
物語三
物語三 |
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――閻魔殿【白無常】 「閻魔様、晴明殿と話が付きました。明日一目連殿と一緒に「八雷山」にいきます。」【黒無常】 「や、結構遠出だから、冥界の方は手数足りてるか?」【閻魔】 「心配ない、白黒童子がいる。」【黒無常】 「なんだ、悪鬼退治したばかりというのに、怪我している部下にそんな遠くまで出張させるなんで。冥界の「いいボス」だな」【判官】 「無礼者!」【白無常】 「悪鬼に操られて、お前を怪我させたのは私です。黒無常、貴方は残って休養するといいです、今回は私と一目連殿でいきましょう。閻魔様、明日朝出発します。それでは。」【黒無常】 「ま…待って!あなたのせいにしたいじゃなくて!そうじゃなくって…そんなに走るなよ!弟よ、話を聞いてくれ…」【閻魔】 「ふ。」【判官】 「……」【閻魔】 「何かいいたいこと。」【判官】 「閻魔様、なぜ今回手を出すことにしたか、困惑しております。現世の事には、冥界が手出し無用のはず。なぜ…」【閻魔】 「この事はもう「現世の事」ではない。」【判官】 「なんと?!」【閻魔】 「これは警告なのだ。本来中立でいる審判の地「冥界」から、あの御方への。「汝の行いは、すべてわらわの眼中」同時に、京と陰陽師晴明に恩を売っておいたわ。」【判官】 「しかし、「八雷山」に行かせるのは大丈夫ですか?あそこは…」【閻魔】 「心配するな、いずれ分かることだ。」――晴明庭院【晴明】 「これでもう一つの雲外鏡欠片の行き先が決まった。鬼王の宴後、平穏に潜む危険が現れた。波及を受けた「七角山」、消えた薫、一人で去った山風、道案内の無常兄弟、それに「八雷山」…すべてが出来すぎている?そして、冥界勢力の干渉もおかしい。なぜ今回、冥界の主が現世の事に手を出すのか?もし、薫の失踪と今の冥界の動きに関係があるとすれば…もう一個気になること、「なぜ薫なのか」。山風を引き寄せるため?雲外鏡欠片の浄化、そう簡単にはいかないかもしれない。」――七角山【蒼風一目連】 「……事情は以上だ。明日出発するので、後は頼んだ。」【シシオ】 「鬼王の宴後、七角山周辺の状況がよくなった。私も頑張る!」【蟲師】 「一目連様、どうか気を付けてください!」【古籠火】 「もういいだろう、一目連様に休ませて。」【蒼風一目連】 「うん、皆安心して。雲外鏡の欠片、冥界、「八雷山」……こんな多くの出来事があるとは。京周辺の風からは依然、不吉な予感がする。風の護符で山風の位置を把握できるが、薫は…は、すべてうまくいくといいが。」 |
物語四
物語四 |
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暗闇の中から、声が聞こえる。その声は過去の記憶からなのか、遠く未来からなのか、分からない。【山風】 「……あなたが助けてくれた?任せてくれ。あなたの名誉を受け継ぎ、その責任も背負うとしよう。復讐…終わった。ここを離れよう……ここは「七角山」?普通の名前だが、いい森が広がっている。人違いだ、俺はお前の兄貴じゃない。付いてくるな。大丈夫、薫は元人間だ。俺が守る。ち、また来たか、海国の妖怪め。俺は瘴気の源を探す、人間を助けたければ行けばいい。消えた…薫はどこだ、彼女を視線から離れさせたことはなかった。」【声】 「誰にも守れない。」【山風】 「彼女はどこだ!」【閻魔】 「「起源の地に戻れば、会いたい人に会える」」【声】 「おや?あなたは恐れている。自分のせいで彼女をもう一度死なせることに。あなたは未来を知りたい?では、お見せしよう…」【蟲師】 「う…一目連様…」【古籠火】 「蟲師!うあ!…あなた――」【シシオ】 「火…七角山…燃えている…僕…僕はまた仲間を失うのか?多分、皆と一緒に死ねば…寂しい思いをしなくて住むのか…」【人間の女の子】 「助けて、お父さん!お母さん!いやよ――」【黒無常】 「弟?起きてくれ…冗談は辞めよう、おい!」【小白】 「……セイメイ様?セイメイ様!!!」【蒼風一目連】 「「風神」?彼は死んだ。」【声】 「見えたか?未来を。」【山風】 「俺…俺はなにをした?これ、フクロの羽…?」【薫】 「山風、起きて、一緒に帰ろう。」【山風】 「薫?!どこにいく――ゴ、ゴホゴホ…」【薫】 「痛い?痛いよね!刀が貫いただけだ。私の時はもっと痛いよ。大丈夫よ、怖くない。今回は私がやってあげる――――あなたのすべてを奪い去る。」【山風】 「薫!!!ゴホゴホ、ゆ…夢か?悪い夢だった。まあいい、余計なことを考えるな、もっと大事なことがある。」この時、京、鬼王の宴にて、雲外鏡が砕き。その欠片に映し出した物、幻境か、記憶か、それとも… |
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鬼王の宴「暁の出陣・藤原氏」
物語一
物語一 |
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【藤原家武士】 「おい、小僧。家主様から預かった今月分の銀銭だ、ちゃんと仕舞っておけ。」【少年道綱】 「うーん……少ない。」【藤原家武士】 「はあ!??なんだと?」【少年道綱】 「……」【藤原家武士】 「ふん、クソガキが。都にお前ら母子の居場所はもうどこにもない。お前と母親が厳島での暮らしを続けていられるのは、全て家主様が恩恵を与えてやったからだ。せっかくの好意を踏みにじるな、少ないなどと文句を言える身分か?」【少年道綱】 「(ボソボソ)お前らが盗ったくせに。」【藤原家武士】 「おい、何をブツブツ言っている!?」【少年道綱】 「……」【藤原家武士】 「チッ。まあいい、よくもお前みたいなクソガキが我が藤原家の顔に泥を塗ってくれたものだ。聞いたぞ、親父に見捨てられた父無し子として、毎日他のガキにいじめられてるんだって。どうしても解せぬのだ、賢明なる家主様がなぜ貴様のような軟弱者を禁忌の地で飼っているのか。やられたらやり返せ!」【少年道綱】 「……」【藤原家武士】 「はぁ、今日はこの辺にしておいてやる!早く銀銭を持って母親の所へ行け。」【少年道綱】 「はい。藤原……もしも僕の苗字が藤原じゃなかったら……誰も僕を、母上を、見下すことはない…………全部「藤原」のせいだ。」 |
物語二
物語二 |
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【藤原道綱の母】 「人知れず、山野に鴬鳴が響く。」【少年道綱】 「母上。ただいま。」【藤原道綱の母】 「……道綱、ここへ来て見せてごらんなさい。体中に傷が……また近所の子にいじめられたの?次はちゃんと反抗するのよ。けほっ……ごほっごほっ……」【少年道綱】 「反抗しても無駄だ。誰も僕たちを気にも留めない。母上は、早く休んで。」【藤原道綱の母】 「いいえ。他の人が私たちをどう思うかなんて関係ないの。親族の奴らに認められなくたっていい。あなただけは、決して自分の心に縛られないで。月日を袖に捧げ……道綱、揺るがず信じなさい、あなたには厳島の女神のご加護がある。」【少年道綱】 「(小声で)……また女神。」【藤原道綱の母】 「え?」【少年道綱】 「みんなが口を揃えて厳島に女神はいないと言う、信じているのは母上だけだ。母上が信じるものは、どこにも存在しない。」【藤原道綱の母】 「ぷっ……」【少年道綱】 「なにが可笑しい?」【藤原道綱の母】 「女神は本当にいるのよ、いつかきっと会えるわ。そして、あなたは藤原家で最も偉大な……最も偉大な陰陽師になるのよ……」【藤原道綱】 「!!ふぅ……また夢か……母上……」【藤原の陰陽師】 「道綱、どうした?顔色が悪いぞ。おっと違うな、今は「道綱様」とお呼びするべきですね。道綱は藤原家の有名人ですから。」【藤原道綱】 「からかうのはよしてくれ、先程鬼王の宴の調査に取り掛かっていて、うっかり眠ってしまった所だ。」【藤原の陰陽師】 「連日ご苦労様です、しかし生憎、鬼族の王は我々を待ってはくれません。では早速、現在の情報を整理しよう。」 |
物語三
物語三 |
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【藤原道綱】 「五大勢力が平安京に集結し、海国からも一人とんでもない奴が加勢した。妖怪が人間以上に物好きだったとは、大人しく家に居てほしいのに……源家の動向は?」【藤原の陰陽師】 「戦いに備えて、兵士や装備などを配置しております。」【藤原道綱】 「源頼光は本当に勤労な家主だ、彼はいつ休息を取っているのだろう?はぁ、その迫力なくして、あれほど強力な「兵士」は鍛えられないという訳か。もはや普通の手段では、彼に指一本さえ触れられない。」【藤原の陰陽師】 「手強い源頼光を相手にどう出るか、策をすでに思い付いているようですね。家主様の言った通り、あなたは磨けば光る藤原家の原石です。」【藤原道綱】 「原石?冗談を。御三家を団結させて、見事海国の侵略から都の平和を守り。同時に有意義な情報を活用し、一族の損失を最小に抑え、戦の後に源家と賀茂家を牽制する余力を残した。また何年も使えなかった百鬼図の修復を成し遂げ、藤原家が宴に誘われずとも、百鬼夜行と鬼王の宴を知り尽くした。家主殿の考えが私に及ばぬはずがない、彼の代わりに私が実行しただけのこと。」【藤原の陰陽師】 「だとしても、そのような恐ろしい任務をこなせるのはあなたしかいませんよ……話は変わりますが、あなたは日輪の城にも行かれたことがあると聞きますが?」【藤原道綱】 「ああ、神器の状況を確認しに行った。神器の力は想像を遥かに上回る、歪んだ輪廻に危うく囚われるところだった。わ、私が弱過ぎるせいでは決してない!」【藤原の陰陽師】 「誰も弱いとは言っておりませんが……」【藤原道綱】 「とにかく……今や鬼王の宴に藤原家が入り込む余地はない。厳島に向かう申請書、家主殿の許可はもう降りたのか?」【藤原の陰陽師】 「ええ、それならここに。あなたの「故郷」に戻って、封印された宝を探し出し、家主様へ捧げるのですね?」【藤原道綱】 「ああ……茶柱が立った。」【従僕】 「道綱様!源博雅様が突然乗り込んできて……」【藤原道綱】 「封印を解く鍵は「知音」……か。皆下がりなさい、私は博雅殿と……ひと芝居打つとしよう。」 |
物語四
物語四 |
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……鬼王の宴の後、晴明の庭院にて【源博雅】 「晴明、さっきは鬼王の宴で、一体どうしちまったんだ?ヤマタノオロチの陰謀を止めるためだとしても、お前らしくねえ……!」【晴明】 「今日はやらなければならないことが山積みでお前たちをもてなすことができない、先に帰ってくれ。」【源博雅】 「……雲外鏡の欠片をよこせ。」【晴明】 「ん?なんだって?」【源博雅】 「だから、雲外鏡の欠片をよこせっつったんだ。俺が処理する。」【神楽】 「お兄ちゃん……」【晴明】 「並大抵の任務ではないが、本当に受けるのか?」【源博雅】 「霊力が強い場所ならば、神器の力を鎮められるだろう。目星ならついている、良いから俺によこせ。」【晴明】 「失敗したらどうなるか、分かっているのか?欠片が膨大な霊力に耐え切れず、爆発を巻き起こし、あたり一面が廃墟と化すんだろ。」【源博雅】 「……前に言った言葉、まだ覚えてるか?俺はいつか、この地を去る。天才陰陽師の助けがなくとも、俺は都の民を守る。今日がその旅立ちの日だ。」【晴明】 「ふ……なら証明してみせろ、博雅。」【源博雅】 「神楽、本当について来なくていいんだぜ。これは俺の任務だ、俺が一人で成し遂げる。」【神楽】 「どうしても心配なの。お兄ちゃん一人だとへまをしそうだから。」【源博雅】 「お、おい……お前から見て、俺はそんなに頼りないのか……」【神楽】 「どこで雲外鏡の欠片を鎮めるの?」【源博雅】 「ああ、それはな。藤原家の領地に属する厳島、そこには強い霊力があると聞いている。苗字が藤原の奴以外、あの神秘的な島に近づくことさえ許されていないがな。」【神楽】 「それじゃあ、私たちは今から藤原道綱を探しにいくんだね。」【源博雅】 「ああ。」【神楽】 「…………晴明、どうしちゃったんだろう。」【源博雅】 「あいつは俺たちに隠し事をしている。だが、あいつにはあいつなりの考えがあると思う。」【神楽】 「お兄ちゃんは晴明が何を考えているのか分かる?」【源博雅】 「いや。俺は何も聞かされてねえ、あいつが誰を用心してるのかさえ知らない。単なる「直観」、あるいは……「信頼」かな。」【神楽】 「何の根拠もなしに、ただ晴明を信じて……お兄ちゃんと晴明は、すごく仲良しだね。」【源博雅】 「はあ?そ、それとこれとは別だろ!よし……準備が整ったぜ。神楽、行くぞ!今度は俺が都を守る番だ!」【神楽】 「うん、行こう!」【源博雅】 「よう!また会ったな!」【藤原道綱】 「博雅殿?」【源博雅】 「ああ、久しぶりだな。」【神楽】 「お久しぶり、道綱お兄ちゃん。」【藤原道綱】 「神楽さんもいらっしゃったのですか。」【神楽】 「うん。」【藤原道綱】 「今日お二人が藤原家を訪れるなんて、召使いの者から一切聞かされておりませんが。」【源博雅】 「はっ、俺たちは仲間だろ、会いに来るのにそんな手間が必要か?まさか……俺らに見られたら困る、隠し事でもあるのか?」【藤原道綱】 「博雅殿、またまたご冗談を。私は藤原家のしがない陰陽師の一人、隠すような事などありません。それとも、お二人のお目当ては家主殿だったのでしょうか?」【源博雅】 「……あ、いや。」【神楽】 「お兄ちゃん……」【源博雅】 「(小声で)手強いな。隠し事がねえなら、じっくり話そうじゃねえか。今時間はあるか?」【藤原道綱】 「博雅殿のお望みとあらば、お断りするわけには参りません。お茶を淹れて参ります、どうぞお掛けになって、ゆっくりお話し致しましょう。」 |
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