【陰陽師】うさぎ忍法帖イベント攻略まとめ
- 最終更新日
記事の更新を停止しています |
---|
現在、こちらのページは更新を停止しております。情報が古い可能性がございますので、ご注意ください。 |
『陰陽師』のうさぎ忍法帖イベント攻略情報をまとめて記載。各任務や進め方、報酬も一覧で記載しているので参考にどうぞ。
©1997-2022 NetEase, Inc.All Rights Reserved
イベント概要
期間 | 2/23(水)メンテ後~3/15(火)23:59 |
条件 | 陰陽師レベル15以上 |
任務達成で夢尋山兎を無料獲得
うさぎ忍法帖イベントは、任務を達成しにんじん飴を集めるイベント。一定数のにんじん飴を集めると報酬がアンロックされ、120個入手すると、SP夢尋山兎を無料獲得可能。
庭院紙人形からイベントページへ入る
うさぎ忍法帖イベントは、庭院右側の紙人形または庭院左側の地蔵のイベントバナーから入ることができる。
右上からシェアして勾玉を獲得
イベント画面右上からシェアすることができる。初回シェアで勾玉×20もらえるので忘れずにシェアしておこう。
イベントの進め方
1日おきに新しい夢の世界が開放
イベント期間中、1日おきに新しい夢の世界が開放される。各夢の世界には、それぞれ4つの世界任務がある。
世界任務は毎日2つずつアンロックされ、任務をクリアするとイベントアイテム「にんじん飴」を獲得できる。
アイテム | 説明/獲得方法 |
---|---|
にんじん飴 |
【説明】 にんじんの形をした飴。食べ過ぎると虫歯になる。【獲得方法】 うさぎ忍法帖イベントで獲得 |
ダンジョン任務は30分以内にクリア
世界任務のうち「ダンジョン任務」には挑戦時間が存在し、30分以内に完了できなかった場合は戦闘失敗となるので注意。ダンジョン任務は特に獲得数が多いので必ずクリアしよう(失敗しても無消費で何度でも挑戦可能)。
イベント任務と報酬一覧
※任務は時間経過で開放されていく
夢心の地
任務 | にんじん飴 | |
---|---|---|
「夢心の地」をクリア |
×20 |
|
世界チャンネルで「夢尋山兎」と送る |
×5 |
|
石距ダンジョンを1回クリア |
×5 |
優しい見守り
任務 | にんじん飴 | |
---|---|---|
「優しい見守り」をクリア |
×20 |
|
覚醒ダンジョンを3回クリア |
×5 |
|
年獣ダンジョンを1回クリア |
×5 |
孤独の境
任務 | にんじん飴 | |
---|---|---|
「孤独の境」をクリア |
×20 |
|
御魂ダンジョンを5回クリア |
×5 |
|
御魂を1回レベルアップする |
×5 |
初心探し
任務 | にんじん飴 | |
---|---|---|
「初心探し」をクリア |
×20 |
|
花合戦Ptが60に到達する |
×5 |
|
任意の探索ダンジョンを1回クリア |
×5 |
強さの問答
任務 | にんじん飴 | |
---|---|---|
「強さの問答」をクリア |
×10 |
|
封印懸賞を2回完了 |
×5 |
|
百鬼夜行を3回完了 |
×5 |
目覚めの時
任務 | にんじん飴 | |
---|---|---|
「目覚めの時」をクリア |
×10 |
|
逢魔が時で4回探索 |
×5 |
|
結界突破で3回勝利する |
×5 |
イベント成就と報酬一覧
任務 | 報酬 | |
---|---|---|
花合戦経験値が累計100に到達 |
夢心の地 (挿絵) ×5 |
|
花合戦経験値が累計200に到達 |
優しい見守り (挿絵) ×5 |
|
花合戦経験値が累計300に到達 |
孤独の境 (挿絵) ×5 |
|
花合戦経験値が累計400に到達 |
初心探し (挿絵) ×5 |
|
花合戦経験値が累計500に到達 |
強さの問答 (挿絵) 目覚めの時 (挿絵) |
夢心の地(挿絵)
優しい見守り(挿絵)
孤独の境(挿絵)
初心探し(挿絵)
強さの問答(挿絵)
目覚めの時(挿絵)
にんじん飴の累計獲得報酬一覧
累計にんじん飴数 | 報酬 |
---|---|
20 | 勾玉×50 |
40 | 経験値手札・中×2 |
60 | 銭貨×200,000 |
80 | スタミナ×200 |
100 | 夢心の旅アイコン枠 |
120 | SP夢尋山兎 |
140 | 御行ダルマ(欠片)×5 |
160 | ★6よだれ蛙 |
180 | ★5奉為ダルマ |
SP夢尋山兎
イベントストーリー
夢心の地
夢心の地ストーリー |
---|
最近、平安京の各地は次第に賑やかになっていく。平安京の人々は祭りの到来を祝っている。郊外では、山蛙の上に座っている山兎が気怠そうにぼうっとしている。人々は忙しそうにしているが、山兎だけは違う。【山兔】 「蛙さん、退屈だよう……みんなきりきり舞いだけど、私は暇なの。ねえねえ……蛙さん?寝ちゃったの?寒くなると、蛙さんはいつも眠たそうだね。もう少し寒くなると雪が降るよね!えへへ、もし雪が降ったら、みんなと雪合戦できるね。冬が過ぎたら、みんなを花見に誘うの!それでそれで……え?あれは……」山兎の願いが叶ったかのように、周りの枯れ木に芽が生え、あっという間に桜が満開になった。【山兔】 「本当に花が咲いた!すごい!孟婆ちゃんも一緒だったら最高なのに……」そう口にした途端、懐かしい人影が駆けてきた。彼女が絶対に見間違えないあの姿。【孟婆】 「忙しい!!働きたくない?!休みはまだ?!もっと早く、もっと早く……」【山兔】 「孟婆ちゃん?!今日は店番するんじゃなかったの?おーい!孟婆ちゃーん……ちょっと待って……うわあああ!」山兎は無意識に山蛙の頭に生える花を掴み、山蛙に追わせようとしたが、つまずいて落ちてしまった。山蛙の傍、平らな草地だったところに突然穴が開いた。山兎はそのまま、穴の中に落ちてしまった。【山兔】 「わあああああ……」目の前には虚空が広がり、ただ微かな音だけが聞こえる。まるで覚めることのできない甘い夢に落ちたようだ。闇が消えると生い茂る森が目に映った。草むらの中に潜む妖怪たちが囁き声で、空き地の唯一の「生き物」の話をしている。見知らぬ忍者の少女が地面に座り込み、周囲を見渡している。彼女の顔には何となく見覚えがあるが、記憶の中のものとはまた違っている。【忍者の少女】 「痛い痛い……ここどこ?おかしい……違う、ちょっと待って、私は誰?」【夢尋山兎】 「何も思い出せない……え?どういうこと?私、まさか、記憶を失ったの?!記憶を失っただけじゃなくて、頭までおかしくなったの?!幻聴が聞こえる……え?本当に声がしてるのね。ごほん、冷静に、冷静に……こ、こんにちは?」【忍者の少女】 「あなたの声が聞こえる、どこに隠れてるの?早く出てきてよ、からかうのはやめて!陰陽師……声は聞こえるけど、どこにいるか分からないよ。でも、あなたの声は悪い人の声じゃなさそうね。ここがどこなのか知ってる?知らないみたいね。ここに閉じ込められた迷子同士、仲良くしましょう。気がついたら、もうこの森にいたの。何も思い出せないけど、この森は……えっと、穏やかなところじゃないみたいね。」少女が周囲を見渡すと、背後の草むらからざわざわと音が聞こえた。どうやら何者かがこっちの様子を覗いているようだ。突然草むらの中から黒い影が飛び出した。忍者の少女はすでに気づいていたようで、繰り出した拳が見事に命中し、黒い影をふっ飛ばした。【忍者の少女】 「ふん、私に不意打ちなんか通用しないよ……ああ、この殴った感触……」【変な球】 「痛い痛い……」【夢尋山兎】 「私たち、知り合い?……うう、頭が痛い!!ごめんなさい!急に現れたからびっくりした!蛙さん、大丈夫?!えっ、蛙……さん?蛙さんっていうの?おかしいな、会ったことあったっけ?」【魔蛙球】 「ふう、どれだけびっくりしても、人を殴るのはだめだ。会ったことがあるかどうかはともかく。これだけ覚えていろ、ここを出たければついてきなさい。」【忍者の少女】 「出る!どうすればここを出られるの?ここはどこ?どうして私は記憶を失ったの?」【魔蛙球】 「頼むから、俺様の体を揺らすな。ゆっくり説明するから。ここは「夢心地」と呼ばれている、現実と夢の狭間に存在する世界、つまり夢の集合体だ。夢を見ていると思えばいい。痛っ!夢かどうか確認したいなら、他人じゃなくて、自分の頬をつねりなさい。」【忍者の少女】 「えへへ……」【魔蛙球】 「俺様の推測が正しければ、お前と、この声しか聞こえない陰陽師は、道に迷ってここに迷い込んだはずだ。記憶を失った理由に関しては……夢の世界に入る時に、急ぎすぎたのかもしれない。ここは夢の集合体、いくつもの世界によって構成されている。そしてそれぞれの世界には、それぞれ支配者がいる。元の世界に戻りたければ、全ての支配者を打ちのめし、その世界で次の世界に通じる入り口を見つけねばならない。」【忍者の少女】 「例え入り口を見つけて次の世界に辿りついたとしても、私がいた元の世界に帰れなかったらどうするの?」【魔蛙球】 「それなら、帰れるまで探し続けるしかない。」【忍者の少女】 「……(無言で魔蛙球の体を揺らし始めた。)」【魔蛙球】 「うわあ……それは俺様のせいじゃない!!人の夢は全部抽象的で混乱していて、法則なんかないんだから!仕方ないから出たとこ勝負だ。でも安心しろ、俺様が案内人として、必ず最後まで付き合ってやる。」【忍者の少女】 「分かった。全然理解できないけど、そうするしかないね。蛙さんはちっちゃいから、きっとまともに戦えないよね。心配しないで、私が守ってあげる!さて、出発だ……待って!陰陽師、あなたももちろん私たちと一緒に行くよね?!今は記憶を失ってるけど、頼もしくて、勇猛果敢な忍者様が、あなたの帰り道もついてに見つけてあげる。でも、このままだと呼びにくいかも……私の名前は何にしよう?陰陽師、私に名前をつけてくれない?何かいい案はない?夢で出会った、懐かしい人?それでそれで?……わざと私をからかってるんじゃないなら、あなたは名前を考えるのが下手ね。」【魔蛙球】 「本当に名前をつけるなら、「夢」はいいかもな。」【忍者の少女】 「「夢」?ちょっと考えさせて……夢尋?なんだか「ヒュッ」と人知れず夢と現実を走り抜ける英雄の名前みたい。素敵!」【夢尋山兎】 「うん、これからそう呼んで!」【忍者の少女】 「じゃあ、陰陽師、夢の中で始まりを見つける旅、よろしくね!」【魔蛙球】 「よろしく。」【夢尋山兎】 「えへへ、仲間たちと大冒険に出るって感じね!出発!!」森の中に潜んでいた妖怪たちは少女の声に驚き、草木の中に姿を隠しながら近寄ってきた。【魔蛙球】 「しっ!これは、まんまと囲まれてしまった……」【忍者の少女】 「ただの妖怪でしょ?全員まとめてやっつける!」【夢尋山兎】 「……えっと、その、ちょっと多すぎない?この数は、やっつけられないかも……」【魔蛙球】 「魂は出られなくなり、永遠にここを彷徨う……」【夢尋山兎】 「もっと早く言ってよ!押し寄せてきた、早く逃げよう!」夢尋山兎はすぐさま中に浮いている魔蛙球を掴み、絶え間なく手裏剣や爆弾を投げて妖怪たちの包囲網を突破しながら、森の外へと逃げていく。【魔蛙球】 「この気配は……見つけた!次の世界への出口はこの先だ!早く……」【夢尋山兎】 「どこに出口があるの?!う、うわああ!これは……」夢尋山兎はうっかり足を踏み外し、小さい兎穴に落ちた。彼女の叫びが遠のくのにつれ、世界は再び闇の中に戻った。夢心の地での旅は一段落ついた、おやすみなさい。 |
優しい見守り
優しい見守りストーリー |
---|
【魔蛙球】 「うむ……」【夢尋山兎】 「すやすや……すや……」【魔蛙球】 「これじゃだめだ!おい、起きろ、早く目を覚ませ。」【夢尋山兎】 「うわあ!び、びっくりした。蛙さん、どうして急に大声で叫ぶの?私が素早く反応しなかったら、木の枝から落ちるところだったよ。」【魔蛙球】 「動きの素早い忍者様に聞きたいことがある。我々は一体何のためにこの世界に滞在している?それは次の世界への入り口を探すためだ!」【夢尋山兎】 「私たちはもう色んな世界に行ったでしょ。心配しないで、ちゃんと記録してるよ。蛙さんが言ったんだよ、訪れた世界の中に、手掛かりが隠されてるって。これを見て……」少女は背後から大きな巻物を取り出し、ゆっくりとそれを広げた。巻物にはいくつもの模様と、少し汚い字がたくさん並んでいる。【夢尋山兎】 「最初に夢心の地で目覚めてから、もう五つか六つの世界に行って、何十回も戦ったよ。はあ、振り返ると本当に大変だった……いつも悪者の巣窟に落ちるから、時には逃げなきゃいけない、時にはこっちから攻撃を仕掛けなきゃいけない。やっと平和な世界を見つけたんだもん、少し長めに留まってもいいよね?」【魔蛙球】 「ふむ、見つけた、ここからがこの世界に入ってからの日記か。 「十八日目、新しい世界に辿りついた。ここには悪い妖怪がいない、喧嘩しなくてもいい、最高!」 「十九日目、たくさんの人がここに住んでいる。そして気が済むまで休んでいいと許可をもらった。最高!」 「二十日目、休み。」 「二十一日目、休み。」 「二十二日目、休み、昼寝にぴったりのいい場所を見つけた。」 「二十三日目、頑張れ!このままじゃだめだ、早く次の世界への出口を見つけなきゃ!」 「二十四日目、休み。」 ……本当にすごい日記だ。」【夢尋山兎】 「えへへ……せっかくここは平和なんだし、英気を養わせてよ。それに陰陽師と一緒にあちこち行って、世界の支配者について聞いてみたよ。あの支配者は元からここの住民だったわけじゃなくて、他のところから来たんだって。彼女は己の力を使ってこの桃源郷を作ったんだよ、ちゃんと休まなきゃもったいないじゃない。」【魔蛙球】 「……はあ、まあいい。本人がこう言ってるんだ、ただの案内人にすぎない俺様にとやかく言う資格はない。いや待て、それが本当だったら、一体どうやって世界の支配者を倒すんだ?お前の言う通りなら、ここの支配者は皆のためにこの世界を作った。それじゃ……」【夢尋山兎】 「え?ふえ?私、何か言ったっけ?あはは……あんまり覚えてない、寝ぼけたかな。」【魔蛙球】 「…………我々の目的は世界の支配者を倒し、次の世界への道を見つけ出すこと。そして我々がここを出るということは…………そういうことか。確かにお前の言う通り、ここは綺麗で平和な場所だ。この麗らかな春景色こそが「夢心地」で一番甘い夢かもしれない。ならここに留まらないか?」【夢尋山兎】 「私は……」【魔蛙球】 「案内人である俺様の不手際で、お前を追い詰めることになった。すまない。」【夢尋山兎】 「えええ?蛙さんのせいじゃないよ!もし、もし蛙さんが何も言わなくても、私はもう決めてるよ。何があっても、私は失った記憶を取り戻して、元の世界に戻るつもりだよ。だって、誰かが私を待ってるかもしれないもん。もちろん、ここまで付き合ってくれた陰陽師も、帰らせてあげなきゃ。実は、近いうちに世界の支配者と直接話そうと思ってたの。まだ蛙さんには言ってなかったけど……」忍者の少女が説明していると、真っ白の変わった見た目の兎が、花のついた枝を咥えながら木の上に飛び上がった。兎から花のついた枝を受け取った瞬間、その枝はただの絵だったことに気づいた。絵の中の枝は無限に広がり、一本の道を作った。【夢尋山兎】 「ついにこの瞬間が来たのかな?行こっか、蛙さん、陰陽師。この世界の支配者に会いに行くの。」墨に染まった小道を進むと、魔蛙球を抱えた忍者の少女は、林の中に佇む小屋の前に出た。森の麗らかな春色は色褪せ、小屋の近くには永久の夜色が広がる。空に星々と月が同時にかかり、巡り続けながら、難解な運命の軌跡を描き出す。【夢尋山兎】 「あなたが、あなたたちが、この世界の支配者?」【魔蛙球】 「なるほど、この桃源郷を作った支配者は、一人だけじゃなかったのか。」【筆を持つ者】 「ようこそいらっしゃいました。」【月を抱く者】 「夢を探す人よ、あなたたちがこの世界に足を踏み入れた時から、ずっとこの夜色を見せたいと思っていました。この世界を、どう思いますか?」【夢尋山兎】 「私は……私は好き。ここはとても優しい世界。記憶を失って目覚めてから、私はいつも不安だった。傍に蛙さんと陰陽師がいてくれるけど……何もかも忘れてしまうということは、すごく怖い。まるで世間との繋がりを悉く失ったようで、次の瞬間には消えてしまう気がする。でもここにいる時だけは、見えない未来に怯えなくてよかった。一時だけかもしれないけど、「自分が全てを忘れた」ことさえ忘れることができた。」【月を抱く者】 「分かります。」【夢尋山兎】 「だから……ごめんなさい。ここは好きだけど、出て行かなくちゃいけない。私がいるべき世界を、探しに行くの。」【筆を持つ者】 「大丈夫ですよ、謝らなくても。この一瞬の夢を絵に例えるなら、わたくしたちは絵の中の変わらない景色で、あなたは……あなたたちはきっと、まだ絵になっていない、墨ですね。」【魔蛙球】 「やはり戦うのか?」【夢尋山兎】 「もしあなたたちを倒したら、この世界、そしてここで暮らす人々は、みんな……」【月を抱く者】 「この世には、勝利と敗北以外の結果も存在します。世界があなたに与える試練は、必ずしも戦闘であるとは限りません。」【夢尋山兎】 「それでも、私は自分を証明しなくちゃ。そうでしょう?うう、やっぱり戦うしかないよね。綺麗で優しいお姉さんたちと戦いたくはないけど……陰陽師、あなたって人は……そうだね、ここを出るためにも、本当の帰るべき場所を見つけ出すためにも、結果は重要じゃないけど、それでも戦わなきゃいけない。蛙さんと陰陽師も、手伝ってくれるよね?」【魔蛙球】 「ああ、一緒に頑張ろう。」【夢尋山兎】 「ふう……何だか手加減してもらったような気がする。それでも、私の勝ちだね!」【筆を持つ者】 「ふふ、喜んでいただけたなら何よりです。」【月を抱く者】 「今すぐここを出ますか?」【夢尋山兎】 「うん。道を教えて。あ……私も聞きたかったのに、先を越された。綺麗なお姉さんたち、何か知ってるなら、教えてほしい。」【月を抱く者】 「その案内人の言う通り、ここは夢の世界です。私たちは夢の世界の住民ではありません。ただ自分たちの力で、夢の中で彷徨う魂が休むことのできる世界を作っただけです。」【筆を持つ者】 「この世界で、あなたたちのような旅人にも、この地に留まる人々にも出会いました。この夢見の絵巻は、泡沫のように、一瞬で消え去ります。でも夢に迷い込む人がいる限り、わたくしたちはずっとここにいます。そして人々に甘い夢を見せます。」【月を抱く者】 「異世界の陰陽師、あなたはどうですか?私たちが作った夢の世界を、どう思いますか?」【夢尋山兎】 「すごく好きだよ!!あれれ、なんで急に感傷的になっちゃったのかな?お姉さんたち、さようなら。夢の世界の外でも会えますように……うっ!」【魔蛙球】 「おい!大丈夫か?」【夢尋山兎】 「……う、うん。私、何か思い出したみたい。絵巻……花枝……月……何でもない、行こう。」筆を持つ者は袖をまくり、筆を執る。墨の雫が地に落ちた瞬間、流れる銀河が生まれた。月を抱える者が空を掲げると、星々の輝きは地上の銀河にこぼれ、月が浮かび上がり、世界を出る鍵となった。【夢尋山兎】 「さようなら、花鳥風月、かぐや姫!」【筆を持つ者】 「さようなら。」【月を抱く者】 「さようなら、山兎ちゃん。」忍者の少女は地面を流れる銀河に足を踏み入れ、優しい月に身を任せ、寂しい夜に入った。優しい見守りの邂逅が終わった、おやすみなさい。」 |
孤独の境
孤独の境ストーリー |
---|
目に映るのは果てのない白。忍者の少女は魔蛙球を抱えたまま、積もる雪の中に落ちた。【夢尋山兎】 「寒い!はっくしょん……」【魔蛙球】 「寒い!はっくしょん…………」【夢尋山兎】 「雪の中に落ちたのは私と蛙さんなのに、どうしてあなたも寒がってるの?!はぁ、ここの雪すごく硬いね……」【魔蛙球】 「さっきの別れはどういうことだ?彼女たちのことを知っているのか?」【夢尋山兎】 「よく分からない……自然と、名前が口から出たの。私は彼女たちのことを知ってるのかな……?」【魔蛙球】 「あるいは我々の訪れた世界には、お前の記憶が散らかっているのかもしれない。もっと色んな世界に行けば、お前は全て思い出せるんじゃないか?」【夢尋山兎】 「そうだったらいいな!そしたら早く帰れる!そういえば……この世界はどういうこと?暖かい春から急に寒い冬になるなんて、変化が大きすぎるよ!」【魔蛙球】 「はっくしょん!わ、分かった。この世界のことは知っている。夢の世界では、有名な場所だ。さっきの世界と違い、ここの支配者は一人だけだ。しかし支配者は、原因不明の眠りについてしまった。そして時間が経ち、この世界を我が物にしようとする者が現れた。」【夢尋山兎】 「つまり、はっくしょん!この雪原は、その支配者の仕業なの?それなら、寒さが苦手な人たちと正義のために、必ずそいつを倒してみせる!」【魔蛙球】 「はっくしょん……違うんだ。噂によれば、この世界の支配者たる「赤華女王」は人々の知らない地の底で、巨大な守護者に守られながら眠りについた。ここの雪は彼女が眠りについた後に現れたものだ。人々は吹雪を呼ぶ者を「氷結の者」と呼んでいる。」【夢尋山兎】 「陰陽師がつける名前もそれほど悪くないって思えるくらい、ひどい名前ね。じゃあこの世界では、何とか女王と何とかの者が争ってるの?」【魔蛙球】 「噂では、この世界で支配者になれる者は三人いるようだが、三人目に会った者はいないらしい。時折、この夢の世界に迷い込んだ者は、そこでからかわれた話をする。その者は白衣を身にまとい、神出鬼没で、誰もその顔を知らない。「空相の者」と呼ばれている。眠る女王と目に見える吹雪よりも、神出鬼没の三人目に気をつけたほうが良さそうだ。そして……ん?」【夢尋山兎】 「……うんうん。あ、そうだよ、あそこにいる丸いのは蛙さんで……」【魔蛙球】 「?誰と話してるんだ?」【夢尋山兎】 「さっきから私たちの傍にいる女の子だよ、彼女に挨拶してるの。大丈夫だよ、蛙さん、ちゃんと聞いてるから。さっきはこう言ってたでしょ、神出鬼没の三人目が一番危険で……えええ!!!!」【空相の者】 「ふふ、それって私のこと?」【魔蛙球】 「出た!」【夢尋山兎】 「……あああなた!私たちがこの世界の支配者を倒そうとしてると知って、待ち伏せしてたの?私はすごく強いんだよ、取り入ろうとしても、はっくしょん、無駄だからね。」【空相の者】 「そんなつもりじゃない。せっかく新しいお客さんが来たから、もてらそうと思っただけ。」【夢尋山兎】 「これから大事な戦いが控えてるの、手伝ってくれないなら、あっちに行って!」【空相の者】 「ふふ、面白そうだね、手伝ってあげる。」【夢尋山兎】 「ひっ……」【空相の者】 「かくれんぼしましょう。遊びに付き合ってくれたら、吹雪に対抗できる力を分けてあげる。夢を渡る旅人よ、この遊びはあなたに与えられた挑戦と試練なのだと思いなさい。」【夢尋山兎】 「本当?いいよ……あっ!待って、その手には乗らないよ!物語でよくあるやつだ。主人公たちが、いい話を持ってくる悪者に出会って、最後は必ず主人公たちが負けるんだよ!」【空相の者】 「そんなことない、ただの遊びだ。もしあなたたちが負けても、お仕置きなんかしない。」【夢尋山兎】 「分かった、じゃあこういう手口ね……遊びに同意した時点で結果はもう決まっている。主人公たちは閉じ込められて脱出できずに、ずっと悪者の遊びに付き合わされるの!えへへ、冗談だよ。ただのかくれんぼだし、この忍者様が挑戦を受けてあげる。この雪原でかくれんぼするの?」【空相の者】 「……」【夢尋山兎】 「え?どうしてそんな顔するの?へえ?それで……本当にそう思ってるの?えええ……」【魔蛙球】 「自分から言い出したのに、今更怖気づいたか。」【空相の者】 「この雪原でかくれんぼしましょう。捕まえられたら負け……もちろん、結果がどうなっても、ご褒美をあげる。遊びの間……時間を数えるのは、声しか聞こえない陰陽師に任せよう。」【夢尋山兎】 「わかった!陰陽師、見てて、忍者様の格好いい姿を!」遊びが始まると、忍者の少女は吹雪の中に消えた。白衣の少女はその場に留まり、ゆっくりと小唄を唄う。しかし自信満々の夢尋山兎の予想とは裏腹に、彼女は最初の二回はすぐに負けてしまった。【空相の者】 「これが最後の遊び。」【夢尋山兎】 「あなた……もう!自信あったのに。ちゃんと足跡と気配を隠してるし、前回なんかわざわざ……すぐに見つかる理由なんて、一つもないはずなのに。この雪原で行動する時は、いつも変な感じがする。まるで、たくさんの人に見られているような。」【魔蛙球】 「大丈夫か?もうやめたらどうだ?このまま続けたら、絶対によくないことが起きるぞ……」【空相の者】 「あら、もうやめるの?もう一回だけ付き合って。」【夢尋山兎】 「やめないもん!これが最後だよ。」忍者の少女の姿は、再び吹雪の中に消えた。残された白衣の「狩人」は、ゆっくりと数を数え始めた。【空相の者】 「どうして何も言わないの?私がずるしてると思う?私はただ、もっとたくさんの人に遊びに付き合ってもらえるようにしてるだけ。それはずるではないでしょう。私が勝った後、彼女がここに残ってくれるように、一緒に説得してみない?私は好き、こういう無邪気な子が……可愛くて、思わず「ぎゅっ」と握りつぶしたくなるでしょう?ふふふ、楽しみね。」数を数え終えると、少女は雪原で捜索を始めた。今までと違い、地面にははっきりとした足跡が残っている。まるで誰かを待ち構える罠のようだ。【空相の者】 「わざと罠を仕掛けたのか?しかし今更こんな手を使うなんて、少し遅すぎないか……遊びを盛り上げるためだ、ここはひとつ騙されてやろう。」少女が足跡を辿って進んでいくと、突然縄が引っ張られる音が聞こえた……放たれた手裏剣が、突如現れた渦巻きに呑み込まれる。【夢尋山兎】 「防がれた?じゃあこれでも喰らえ……へへ、捕まらない限り、負けたことにはならないよね!」【空相の者】 「ふふふ、その通り。でも一体どこに逃げるつもり?」忍者の少女の声がした場所に無数の赤い紐が現れ、雪原に衝突し目標を縛ろうとしたが、捕まったのは……丸い魔蛙球だけだった。【魔蛙球】 「た、す、け、て、捕、ま、っ、た…」【空相の者】 「ちっ……」時折、手裏剣や爆弾が白衣の少女に向かって飛んでいく。周囲から声は聞こえるが、いつまで経っても、狩人の少女は声の主を見つけられずにいる。突然、白衣の少女の前の雪が盛り上がり、そこから腕が現れ、彼女の足を掴もうとした。【夢尋山兎】 「もらった!!」【空相の者】 「本当に?」【夢尋山兎】 「え?」少女の掴まれた足がひび割れ、木屑のように砕けてしまった。彼女が身につけていた白衣は、いつの間にか真っ黒になっていた。赤い紐が飛び出し、盛り上がった雪の中から目標を引きずり出したあと、空高く吊り上げた。【空相の者】 「三回目も私の勝ちだ。」【夢尋山兎】 「えへへ、やっともう一人のあなたに会えた……つまり、警戒している方向に、もう一人のあなたがいる……そこか!!」魔蛙球が彼女の動きに合わせて空に飛び上がった。忍者の少女は魔蛙球を踏み台にして高く飛び上がり、そしてまた落ちてきた。手に持った苦無を、空を引き裂くかのように振った。荒ぶ吹雪は止み、空の上に、巨大な人影が浮かび上がった。人影は駒を触るように、夢尋山兎に手を伸ばした。そして彼女に触れた瞬間、縮み……元の白衣の少女の姿に戻った。【空相の者】 「あなたはどうやって、私たちを見つけたの?」【夢尋山兎】 「当てずっぽうだよ!」【空相の者】 「…………」【夢尋山兎】 「この世界に入った時から、ずっと誰かに見られているような、不自然な感じがしていたの。最初の二回のかくれんぼで、こっそり周りを調べたけど……誰かがいた痕跡はなかった。つまり、空からの視線としか考えられない。空がおかしいと気づいて、もう一度調べたら、簡単に見つけることができた……ここは本当の雪原じゃない、細部までよく仕込まれた舞台。私たちは全員操り人形みたいに、演目を演じているだけ。」【空相の者】 「そういうことか。ふふふ、真相を見抜ける者など、滅多に現れない。これほど面白いおもちゃには、ずっとここに残ってほしいね。」【夢尋山兎】 「忍者の鋭い観察力を見くびらないで!それに、私も蛙さんも、おもちゃじゃないもん!陰陽師ってば、時々ひどいことを言うんだから……」【魔蛙球】 「約束したはずだ、勝ったら吹雪に対抗できる力をくれると。まさか反故にはしないよな?」【空相の者】 「もちろんだ。力は、ここにある……」白衣の少女が手を振ると、目の前に広がっていた雪原は、一瞬で縮んでなくなった。世界は歪み、皆意識を失った。再び目覚めた時、一行はある洞窟の中で立っていた。洞窟の中はとても寒く、外には先程の雪原以上の吹雪が猛威を振るっている。【夢尋山兎】 「これは、巨大な氷……?待って、中に人がいる?」【魔蛙球】 「これは氷の棺だ。中で眠っているのは、伝説の「氷結の者」か?」【空相の者】 「そうだ。先に言っておくが、彼女を閉じ込めている氷を作ったのは、私ではない。もし彼女が中から出てくることができれば、遊び相手が増えるし、一人で雪原で退屈しながら、遊んでくれる人を探さなくて済む。」【魔蛙球】 「外の吹雪は、洞窟の中にいる彼女を守っているのか?」【空相の者】 「誰かに傷つけられないかと恐れているのだろう……その気持ちは、私にも理解できる。氷のような冷たい存在にも、必ず弱みがある。精々頑張れ。私は失礼する。」【夢尋山兎】 「え?彼女を呼び覚ます方法を一緒に考えてくれるんじゃなかったの?私たちはもう友……」【空相の者】 「「あなたは悪い人だけど、一度戦ったから、互いの気持ちを理解し合い、友人になることができた」などと言うつもりか?」【夢尋山兎】 「…………ふん、そんなに簡単に忍者様の仲間になれると思わないで!早く行けば?私たちの邪魔しないで。あ!もう一人のあなたによろしく伝えてね。「自分」と仲良くしなきゃだめだよ!」【空相の者】 「……まずは自分のことをちゃんとしたら?兎ちゃん。」白衣の少女は振り返ることなく洞窟を出て、あっという間に吹雪の中に消えた。気がつくと、夢尋山兎の手の中には一枚のお面があった。【夢尋山兎】 「これは……彼女に認めてもらえたってこと?うう、また頭が痛くなってきた。」【魔蛙球】 「大丈夫か?また何か思い出したのか?もう一人の自分って、何の話だ?ますますわけのわからない展開になってきた。本当に俺様に案内人役が務まるのか?それはさておき、まずは目の前のことに集中しないと。氷の棺は、どうやって壊すんだ?ここに使えるような火種はあるか?」【夢尋山兎】 「よくぞ言ってくれました!蛙さん、見てて……兎忍法その九、氷があれば爆発させる。」【魔蛙球】 「待て待て!!忍法って何だよ、それに、洞窟の中で爆弾を使うなんて、どう考えても危険すぎるだろ!」【夢尋山兎】 「大丈夫、私を信じて。よい……しょ!」突然起きた爆発音が、洞窟の中で響き続ける。忍者の少女が投げた爆弾のおかげで、巨大な氷の棺に本当にひびが入った。【魔蛙球】 「無茶し過ぎだ!」【夢尋山兎】 「大丈夫、だってさっき……多分また一部の記憶を取り戻したから、自信があるの。だから一番効果的な方法を使おうと思って。障害物があったら、外側から……こじ開ける!」夢尋山兎がひびの中に手を入れた瞬間、腕が霜だらけになった。彼女は苦しそうに氷の中で何かを探し続けていたが、次の瞬間……【夢尋山兎】 「出て……こい!」【魔蛙球】 「もうこじ開けるの範疇を超えてるぞ……うわ!手が!本当に大丈夫か?凍傷になっちまうぞ……」【氷結の者】 「……誰?」【夢尋山兎】 「寝ぼけたの?馬、鹿!」【氷結の者】 「…………」【夢尋山兎】 「おはよう、雪女。」【氷結の者】 「雪女?それが私の名前?あなたたちは誰?ここはどこ?」【夢尋山兎】 「聞かれたことには、答えてあげるのが忍者様の情けだからね!私たちは夢を旅する忍者。あなたを呼び覚まし、氷の中から助けるためにここに来た!」【魔蛙球】 「そうだったのか?知らなかったぞ。」【夢尋山兎】 「蛙さんってば、うるさいな……さっき、直感的に理解したの。私はきっと、あなたのことを知ってる。知ってるだけじゃくて、多分、一緒に戦ったこともある。ここでじゃなくて……多分他の、夢の外の世界で。だから私が、あなたをここから連れ出してあげる!」【魔蛙球】 「何がどうなってるんだ!お前は「氷結の者」と呼ばれているが、自分がなぜここにいるのか知ってるか?」【氷結の者】 「目が覚めたらここにいた……ここは静かで、誰にも邪魔されない。日の光に焼かれることもない。そして気がついたら、氷の中に閉じ込められていた。最近、よくあの双子の笑い声が聞こえる。雪原は何もない寂しいところなのに、どうしてあんなに楽しそうに笑えるの?」【夢尋山兎】 「気になるなら、私たちと一緒にここを出て、彼女たちと遊びに行くのはどう?」【氷結の者】 「出る……」【夢尋山兎】 「彼女たちも、あなたが出てくるのを待ってるんじゃない?一緒にこの夢の世界で暮らしてるんだもん、仲良くしたらいいんだよ。」【氷結の者】 「私は、ここから出てもいいの?」【夢尋山兎】 「あなたの氷の棺だって、簡単に壊れたでしょ?案外、春は思ってたよりも早く訪れるのかもね。どうせ私たち、今は夢の中にいるんだもん。やりたいことは、やってみたほうがいいよ!んん?今すごくかっこいいこと言わなかった?さすが私!」【氷結の者】 「以前にも、誰かがそう言ってくれた気がする。薄暗くて寒い洞窟の中から、外の世界に私を連れ出してくれた。」無色の氷の少女は地面に散らばる氷の屑を一瞥すると、氷の棺に手を伸ばした。【氷結の者】 「中から見ているとすごく硬そうな氷に見えたけど、こんなに簡単に砕けるのね……声が聞こえる、一体どこに……」【夢尋山兎】 「私と同じように、夢の世界を旅する陰陽師の声だよ。けっこう頼れる仲間……もちろん、この私には敵わないけど。さあ、一緒に外に出よう?」【氷結の者】 「うん。」二人の少女が肩を並べて洞窟の外に出ると、吹き荒れる吹雪はすでに収まっていた。彼女たちは雪が融けていき、花が咲き誇る光景を見届けた。【氷結の者】 「これが「春」なの?ああ…昔似た景色を見たことがある、だから夢に出てきたのね。」【夢尋山兎】 「きっと、夢の外の世界で見たんだよ。」【氷結の者】 「…………あなたたちはここから出て行くの?」【夢尋山兎】 「分かっちゃった?ここは、私たちの旅の終着点じゃないから。私は、大切なものを失ったみたいなんだけど、何を失ったかすら思い出せないの。でも私は信じてる。それはきっと夢の外に存在する何か、外に出て確かめなきゃいけない。だから私たちは、まだ立ち止まるわけにはいかないの。夢の外にも、きっとあなたを氷の中から助け出してくれる人がいるよ。雪女、じゃあ行くね……」孤独から生まれた雪原は春の色に染まり、氷結の少女は異世界の旅人が花の海に沿って世界の奥へと進んでいく光景を見届けた。」【魔蛙球】 「お前は案外、人を慰めるのが上手なんだな。さっきはかっこよかったぞ!」【夢尋山兎】 「えへへ……あ!今は喜んでる場合じゃないや。蛙さん、これからどうするの?」【魔蛙球】 「次はあの「赤華女王」を倒す。目の前のこれは、彼女から生まれた花の海だろう。花の海に沿って行けば、彼女を見つけることができるかもしれない。しかし噂によれば、彼女は巨大な守護者に守られているそうだ……だが彼女がまだ眠っているなら、不意を突くことができる!」【赤華女王】 「あら、あなたたちが派手に暴れてくれたおかげで、惰眠を貪ることができなくなったけど?」【夢尋山兎】 「うわあああ!!」【赤華女王】 「どうして驚くの?わたくしに会いに来たのではないのかしら?」【夢尋山兎】 「は、はい!(ひええ、なぜか分からないけど、彼女を見た途端恐怖を感じた。)私はあなたを倒しに来た!大人しく次の世界への出口を教えなさい!」【赤華女王】 「いいわよ。」【夢尋山兎】 「見くびらないで、忍者様はどんな戦いも………決して恐れない。は?あなた、悪い人じゃなかったの?」【赤華女王】 「ひどいことを言うのね。もちろん悪い人なんかじゃないわ。この夢の世界の支配者でありながら、安眠することもできなかった……空にはいつも双子の笑い声が響き渡っていて、吹雪はわたくしの花の海を凍らせてしまう。彼女たちを倒してくれたあなたには、ご褒美をあげてもいいくらいよ。」【魔蛙球】 「本当か?平和に解決できるならそれが何よりだが。うっ……なんで花の藤が絡みついてくるんだ?言ってることとやってることが逆じゃねえか!!」【夢尋山兎】 「蛙さん!!!!」無数の彼岸花が夢尋山兎の手足を縛り付ける。動きが取れない彼女は、魔蛙球が花泥の中に引きずり込まれるのを、ただ見ていることしかできなかった。【夢尋山兎】 「蛙さん!!!」【赤華女王】 「うふふ、心配しないで。あなたのことも、ちゃんともてなしてあげるわ。」極寒の中、目の前が真っ暗になった。赤い花の海も、それに囚われた忍者の少女も、大地を見下ろす女王も、全て消え去った。一番恐ろしい夢に落ちたかの如く、世界との繋がりが消えていく。最後に、泣き声の混ざった呟きがかすかに聞こえた……」【夢尋山兎】 「蛙さん?陰陽師……?」【赤華女王】 「今まで、勝手にこの世界に入ってきた者たちは、全員首を切ってやった。でも兎ちゃんは、その可愛さに免じて、特別に許してあげるわ。わたくしは、あなたを次の世界に送り出す。これはあなたへのご褒美。……そして、この世界があなたに与える試練でもある。夢を探す者よ、孤独という絶体絶命の境地に落ち、孤独の意味を探しなさい。」【夢尋山兎】 「あなたは……」【赤華女王】 「……そして、夢の外で、わたくしにその答えを教えなさい。」忍者の少女は霜を携え、お面を握り締めたまま、たった一人で花の海に呑み込まれた。孤独の境の旅路はしばしの終わりを告げる、おやすみなさい。」 |
初心探し
初心探しストーリー |
---|
懐かしい暗闇が徐々に消えていくにつれて、町ならではの賑やかな声が聞こえてきた。以前の寒く寂しい世界に留まったままの記憶とは裏腹に、目の前には繁華街の光景が広がる。町の中の人々が急に騒ぎ出した。騒がしい方に目を向けると、懐かしい丸い球が転がっている。【魔蛙球】 「おい……なんでこんなことになった?もう夢の世界から出られたのか?ここはどう見ても……早く彼女を見つけないと!彼女を一人にしちまったが、泣いたりしてないよな?あっちの方にも行ってみよう。失礼、通してくれ……この声は?!陰陽師、お前か?よかった、少なくとも仲間を一人見つけた。てっきりここに来たのは俺様だけだと思ってた。どうやってここに来たか分かるか?急に湧いた花の海に呑み込まれたところまでは覚えているが、次の瞬間目を開けたら、もうこの町にいたんだ。わ……分からない。俺様は自らお前たちの案内人になったが、実のところ、この世界のことに詳しいわけじゃないんだ。最初に目覚めた時、俺様は異世界から迷い込んだ者を探し出し、その者たちを別の世界に導かなければならない、ということだけ覚えていた。すまない……いや!今は落ち込んでいる場合じゃない。噂が確かなら、あの世界の支配者たる「赤華女王」は人をからかうのが好きだが、自分なりの流儀があるはずだ。急に現世に送り返された可能性よりも、まだ夢の中にいる可能性の方が大きい。だとすれば、ここは平安京じゃない。ただ限りなく平安京に似ている……夢だ。早くしないと……早く彼女を見つけないと。」【夢尋山兎】 「…………え?どういうこと?ここは……どこ?」忍者の少女は人々が行き来する町の中で佇み、懐かしい町の様子を眺めている。前の世界の霜や傷がまだ彼女の体に残っているが、周囲の人々は意に介する様子もなく、まるで彼女を普通の少女だと思っているようだ。【夢尋山兎】 「ここは……うっ、また頭痛が。平……平安京、ここは平安京だ。私はもともと、ここで暮らしていた気がする。つまり……夢の世界から出られたの?!どうして?さっきのお姉さんは、そんなにいい人だったの?ええ?本当に戻ってきたの?あ、ありえない。」忍者の少女は笠を深くかぶり、傍らの屋根の上に飛び乗ると、平安京を見下ろした。【夢尋山兎】 「似てる、でも違う。……私はまだ、夢の世界の中に閉じ込められている。この世界の支配者を見つけ出し、その人を倒さないと、次の世界に通じる出口は現れない。あれ。私、どうしてそのことを知ってるの?私の頭の中は、一体どうなってるの?!どうして何も思い出せないの?!しかも全部重要なことなのに!自分が何を忘れたのかすら覚えてないなんて!も、もうやだ……うええん!!」興奮した少女は屋根の瓦に躓き、落ちてしまった。危うく道端の露店の上に落ちるところだった。【夢尋山兎】 「どうして……蛙さん、瓦ですら私のことをいじめるよう!蛙、さん?…………」瞬く間に、魔蛙球と不思議な声と共に、多くの世界を渡った記憶が彼女の頭をよぎった。【夢尋山兎】 「「孤独の試練」、「答え」……私がこの世界に現れた理由は、何とか女王に与えられた試練のせい?ううん、そんなことどうでもいい。今一番重要なのは、蛙さんと陰陽師を見つけ出すこと。でも、もし私たちが送られた世界が違っていたらどうしよう?うう、まさか世界を一つ、また一つと渡り続けなきゃいけないの?」【道端の店主】 「あの……」【夢尋山兎】 「やっぱりこの世界から探そう。この世界の支配者を見つけて、ぶちのめしたら……」【道端の店主】 「ちょっと……」【夢尋山兎】 「忍者様は真面目に考え語としてるの、ちょっと待ってもらえる?」【道端の店主】 「はあ、お前がすごい剣幕でここに立っているから、お客さんが帰ってしまった。」【夢尋山兎】 「え?あわわ!すみません!!!」【道端の店主】 「いいよいいよ。それより、お前は他のところから来た旅人かい?ずいぶん長い旅だったようだな。もしよければ、何か食べていかないか?」【夢尋山兎】 「ありがとう、でも急いでるの。失礼します……」【道端の店主】 「待って……ああ、行ってしまった。俺に手伝えることはないか聞きたかったけど……やっぱり、彼女自身で見つけるべきだろう。これだから、せっかちな人は苦手だ。やめろ、蹴るな、お前のことを言ってるんじゃないから……」【夢尋山兎】 「すみません……こういう緑色の丸い球を見ませんでしたか?そうそう、このくらいの大きさで……すみません、最近変な声を聞きませんでしたか?え?宗教勧誘?いいえいいえ、違います!こんにちは、「異世界の旅人」の話、知らない?「支配者」と名乗る人について、聞いたことはない?ひゃっ、勘違いです、おばあさん、この子を攫うつもりじゃ……違うの、痛っ、杖で叩かないで……」目の前の平安京は、彼女の朧な記憶の中の平安京とほぼ同じだが、それでも、彼女は何となくここは夢だと察した。夢尋山兎は夢の中の平安京を巡り、あちこちで仲間たちと世界に関する手掛かりを探している。だが収穫は一つもなかった。【夢尋山兎】 「そうそう、これは私が作った張り紙なの。おじいさんは似た……あっ、すみません、ここを見てください。おじいさんの持っているのとは、違いますよ。……やっぱり手掛かりはない?はい、分かりました。え?私は誰かって?あはは、出会ったのは運命の導きです。私は旅の途中の、名も無き忍者でございます。はあ……平気平気、忍者様の心は、簡単に折れたりしない。平安京は広いし、時間がかかるのは仕方ないよ。」彼女は道端に張り紙を貼ったり、平安京の一番高いところで叫んだり、陰陽寮に助けを求めたりした。だが収穫は一つもなかった。空から聞こえるあの声も、変な魔蛙球も、全部忍者の少女の空想にだけ存在する仲間のようだった。 夢の中の平安京に滞在して七日目、彼女はここを出ようとした。しかし町を離れた瞬間、彼女はいつも意識を失う。再び目を覚ますと、いつもの平安京の町が、いつもの懐かしい、延々と繰り返す喧騒が現れる。雑踏に紛れる彼女は、これ以上なく孤独だ。【夢尋山兎】 「今は……何日目だっけ?二十、六?今日はどこに行こう……そうだ、もう一回外に出られないかやってみよう。今回は北から行こう、うん、あの道に沿って………………だめだよ。もう試したもん。はあ……だめだめ、忍者様はそう簡単に諦めたりしない。蛙さんも陰陽師も、そして夢の世界の支配者も、まだ見つけてないんだから……元の世界に戻ること、諦めちゃだめだよ…………はあ。蛙さん、私はどうしたらいいかな……」ここの人々は魔蛙球と陰陽師について何も知らないことを確認すると、忍者の少女は様々な方法でここを出ようと試みた。しかし全て失敗に終わった。この夢の世界の範囲は、平安京の町だ。ここで生活しているのは、町の住民だけ。取り乱した後に落ち着きを取り戻すと、忍者の少女はここの他の住民が世界の異常を感じていないことに気がついた。彼女だけが、この永遠に賑やかで、狭苦しい平安京に囚われている「変わり者」のようだ。【夢尋山兎】 「この世界の住民は、ずっとお祭りの準備をしながら、永遠に訪れない祝日を待ち続けている……私だけが、こんなに惨め……なんでなの!いっそこのまま、ここで暮らそうかな?もしかしたら、今まで経験したことは全部夢だったのかも?これが、世界の本来の姿……夢が覚めたから、蛙さんも、陰陽師さんもいなかった……それはそうだよね、私にはみんなを引き留めることなんかできないもん。」気が動転した少女はおでんの香りに惹かれ、道端の屋台までぼんやりと歩いていった。【夢尋山兎】 「あ、ここは確か……」【道端の店主】 「いらっしゃい!!ん?お前、こないだ屋台にぶつかりそうだったお客さんじゃないか!」【道端の店主】 「用事はもう済んだのか?何が食べたい?」【夢尋山兎】 「………………柔らかく煮込んだ大根とお豆腐が食べたい。」【道端の店主】 「わかった、ちょっと待ってな!好きな所に座ってくれ。はあ、最近ますます寒くなってきたな。」【夢尋山兎】 「うん。」【道端の店主】 「この間はお前が用事があるって言って慌てて行っちゃったから、呼び止められなかった。何があっても、まずはちゃんと食事をしないと。」【夢尋山兎】 「……うん。」【道端の店主】 「お前みたいな旅人は沢山見てきた。あらかじめ食べ物を用意するのは野暮だって言って旅立つけど、いざ露宿することになると後悔する……食べられる時にちゃんと食べること。腹が空いたら気分まで落ち込んでしまう。あとは……」若い店主の言葉を聞くともなく聞きながら、夢尋山兎はぶくぶくしている鍋を眺めながら、旅の出来事を思い出していた。【魔蛙球】 「料理の一つや二つ、覚えたほうがいいぞ!旅の役に立つ。俺様が苦労して採ってきた果物、全部食べたのか!はあ、まあいいや。お前も大変だからな。陰陽師は声しか聞こえないが、飯はちゃんと食べてるのか?そんなに急いで食べなくても……ほら、噎せたじゃないか。言わんこっちゃない……ほら、水だ。陰陽師も言ってやってくれ。こいつはいつもそそっかしくて、これじゃ一人旅させることなんかできやしない。」【夢尋山兎】 「(蛙さん、陰陽師、どこに行っちゃったの?一人旅は嫌だよ……)うう……」【道端の店主】 「お待ち!特製おでんだ、召し上がれ!ああ、しかし今日は本当に寒い。熱々の料理を出すと湯気がすごくて、何も見えないな……」【夢尋山兎】 「うんうん。」食べ物から立ち昇る白い湯気の後ろで、少女は涙をこぼした。彼女は気を取り直そうと、涙を強く拭った。【夢尋山兎】 「ごちそうさま!店主さん、美味しいおでんをありがとう!」【道端の店主】 「満足してくれれば何よりだ。どうだ、少しあったかくなったか?」【夢尋山兎】 「うん。」【道端の店主】 「いつも町中走り回っているみたいだけど、誰か探してるのか?」【夢尋山兎】 「うん。大切な仲間たちとはぐれちゃって。ずっと探してるんだけど、見つからなくて……自分でもよく分からなくなっちゃった。一緒に旅していたのは、話せる丸い爆弾と、声しか聞こえない陰陽師……店主さん、あれは全部、私の幻覚だったのかな?こんな記憶、自分でも嘘みたいに感じるよ……」【道端の店主】 「それはどうかな?俺なんか、腹が減ると紙人形になる神様を見たことがあるよ。というか、お前が彼らの存在を信じてさえいれば、きっと存在する。」【夢尋山兎】 「私が……?」【道端の店主】 「そうだ。例えば……あ、そんなことより、この特別な味付けの昆布とつみれを食べてみてくれ。」【夢尋山兎】 「うーん、美味しい!独特な味付けのおかげで、つみれがますます美味しくなってる。」【道端の店主】 「実はなこれは今の大根と同じ鍋で調理したんだ。」【夢尋山兎】 「え?」【道端の店主】 「料理人は、料理を作る前に、手にしている包丁と自分の味付けで、お客さんを笑顔にできると信じなければならない。そしてその信念を貫くために、努力を積み重ねるんだ。こういうのはちょっとずるいけど、今の味、少し特別だと思っただろう?」【夢尋山兎】 「……信じる?」【道端の店主】 「百歩譲って、この全てがお前の幻覚だったとしても。この世界、目の前の俺、全部夢だったとしても……お前が俺の店の前で転んで、俺の料理を食べた……これは全部確かに起きたことだ。たとえ夢が覚めたとしても、それはお前の記憶になるし、誰にも奪われたりしない。夢は無数の出会いを可能にする。夢はそのために存在する。そう思わないか?」【夢尋山兎】 「じゃあ、私はどうすればいいの?」【道端の店主】 「そうだな……迷子になった時は、振り出しに戻ってみるのはどうかな?やっぱり料理で例えてみよう。俺は料理の素材や味付けで行き詰まったら、もう一度おにぎりからやり直してみる。おにぎりを何度もにぎりながら、今自分が持っているものは何か、何ができるのか考える……」【夢尋山兎】 「振り出しに戻る?私は何をしたいのか、何を持っているのか……」忍者の少女が背中から人参状の大きな巻物を取り出す。この夢の世界に自分一人だけが囚われていると分かってから、彼女は何も書かなくなった。最後の一行は、この世界に降り立った時に書いたものだった……「仲間とはぐれちゃって大変!だが忍者たるもの、決してくじけない!早く蛙さんと陰陽師と合流して、旅を続けるぞ!」」【道端の店主】 「旅行日記か?」【夢尋山兎】 「うん。夢の中はぼんやりしてるから、忘れちゃうかもと思って、色々書いてたの。旅の思い出でいっぱい。私がしたいこと。蛙さんと、陰陽師と一緒に旅をしたい。失った記憶を取り戻して、元の世界に戻りたい。それからたくさんのところに行って、沢山の人と出会いたい。忍者の使命は、人々を守ること。でも今思えば、いつも蛙さんと陰陽師に守られてばかりだった。私も……みんなを守りたい。いや、守ってみせる!たとえ私しかいなくても、たとえ全てが夢だとしても、私の気持ちは本物だから。」【道端の店主】 「本当に?じゃあ、彼らを探し続けるか?」【夢尋山兎】 「もちろん!!」【道端の店主】 「ははは。よく言った。そう来なくちゃ!それなら、旅の先に明るい未来がありますように……夢の中でも、現世でも。」突然、忍者の少女の視界がぼやけた。周りのぼんやりとした世界がはっきりしていくにつれ、賑やかな町もいつもとどこか違う雰囲気になった。騒がしい町の中で、彼女は懐かしい声を聞いた。【魔蛙球】 「やっと見つけた!」【夢尋山兎】 「蛙さん!陰陽師!」【魔蛙球】 「いったいどういうことだ?俺様たちはあの「赤華女王」にこの世界に飛ばされてしまった。都と似ているが、細かいところが微妙に違う……俺と陰陽師は、お前をずっと探してたんだ。幸い、奇妙な女の子と出会って、彼女の案内でここまで来た。店の中でしばらく待っていたら、お前がどこからともなく現れたんだ!今、前の世界から出て来たのか?」【夢尋山兎】 「私は……うん、そうだよ!待たせちゃった?いやあ、あのお姉さんは本当に凄かった。逃げながら出口を探して、やっとここまで来られたよ。この世界に来た後、ちょうどこのお店の前を通りかかったから、ここで待ってたの。そしたら、二人が来てくれた!へへ、蛙さん、おでん食べる?とっても美味しいよ!そう?あはは、大丈夫だよ!二人と再会できて、本当に本当に嬉しい!そんなことより、ここの店主さんはほかほかのおでんを作ってくれるから、注文し……あれ、店主さんは?」【魔蛙球】 「そういえば、俺様たちを連れてきた少女もいないな……変だな。もしかして、お前の言う店主と俺様たちが会った少女は知り合いなのか?もしそうだとしたら……わあ!!」【夢尋山兎】 「え???蛙さん、びっくりさせないでよ!」【魔蛙球】 「すまんすまん……今、出口が作られているのを感知したんだ!次の世界に行けるぞ!なんだか、いくつかのとんでもなく強い力が出口の方から伝わってくる……次こそが正念場かもしれない。」【夢尋山兎】 「あははは、大丈夫、蛙さんと陰陽師がいるんだもん、この忍者様が必ず勝ってみせる!行こう!早く早く……」忍者の少女はお椀を置き、魔蛙球を掴んで飛び出したが、何かを思い出したかのように振り向いて、誰もいない店内に向かって手を振った。【夢尋山兎】 「店主さん、ありがとう!もう行くね!」【道端の店主】 「次の世界に行くんだな。さて、これで俺たちの任務は完了だな。やれやれ、いきなり「世界の支配者」になって、試練を与えるなんて、変な気分だ……そのわりにはちゃんとできたじゃない。吾輩の賞賛に値する!でもなんで最後は姿を消して、私たちの正体を教えないことにしたの?究極の料理人とは、お客さんにその存在を気づいてもらえないものだ。美食を思う存分楽しんでもらえれば、それで十分だ。俺は、あくまで裏方だ……「初心」について語った時は、少々恥ずかしかったが。彼女たちが前の支配者が残した試練を乗り越えて、お互いを見つけることができて、本当に良かった。そっか、なるほど……ぐう……あ、やっぱり……寝たか?彼らは夢の世界の裏と表で、孤独の試練に立ち向かった。相手を探し続けても、いつになっても見つからなかった。本来交わるはずのない二つの夢の世界を一つにするために、力を使い切ったんだろう。お前もお疲れ。彼女の旅行日記に、たくさんの素敵な思い出が記されることを願って……おやすみなさい。」忍者の少女は人波の中から大切な仲間を取り戻し、再び旅路に出た。彼女たちは、まるで約束したかのように「試練」のことには触れずに、互いを探す過程で経験した寂しさをそっと隠した。初心を探す旅はこれで終わり、おやすみなさい。」 |
強さの問答
強さの問答ストーリー |
---|
【夢尋山兎】 「うわあ……なんというか、まだ距離があるのに、この先にある威圧感がひしひしと伝わってくるね。」【魔蛙球】 「ああ。しかも強い力は一つだけじゃない。俺様はこの世界を知ってる。俺様の推測が正しければ、ここが夢の世界の果てだ。」【夢尋山兎】 「本当?てことは、これから戦うのは、今までよりも強い敵なの?ふふふ、ぞくぞくするね。そういえば、陰陽師はいつも私と蛙さんに戦い方を教えてくれるよね。陰陽師同士の手合わせはなんて言うんだっけ……と、闘技?陰陽師はきっと闘技が得意なんでしょ!参考までに聞くけど、陰陽師には相手したくない敵とかいる?私と蛙さんで何か準備できるかもしれない。某燈?何それ?名前はかっこいいけど。陰陽師が敵に回したくないなんて、どんな燈なんだろう。某切?それは何?刀の名前みたいだけど……なんで刀が怖いの?え?うんうん……分かったような、分からないような。と、とにかく、私がいるからね。今度その敵に会ったら、私の名前を思いっきり呼んで。この忍者様が、全員やっつけてあげるね!」【魔蛙球】 「未知の敵を倒すことより、目先のことを考えよう……あの強い力の源に、かなり近づいてるぞ。」【夢尋山兎】 「いつでもかかってこい!」目の前は戦火に焼かれた荒野。忍者の少女は魔蛙球とともに荒野を進み、高く聳える塔にたどり着いた。【夢尋山兎】 「ここが敵の本陣だな!蛙さん、行こう!忍者様のお通りだ……わあ、何でいきなり引っ張るの?!」【魔蛙球】 「偵察もしないで、いきなり殴りこむのか???」【夢尋山兎】 「……でも、ここから出るには、やつらを倒す以外、方法はないんでしょ。相手が私たちより強かったらいくら偵察しても無駄だし、弱かったら、一気にやっつければいい!」【魔蛙球】 「一理……あるのか?」【遊戯の者】 「おやおや、饒舌な兎ちゃんだね。」【夢尋山兎】 「ひえ……」【遊戯の者】 「話はもう終わりか?」【夢尋山兎】 「出た!最後の大悪党だ!」【遊戯の者】 「その通り。私こそが、そなたが倒さなければならない大悪党だ。でも、大悪党はあと二人いるよ。」【冠の者】 「……」【光に従う者】 「ふっ。」【魔蛙球】 「…………」【夢尋山兎】 「えっと、あはは、この忍者様でも、さすがにこんなに大人数だと、歯が立たないかも……陰陽師!こういう肝心な時こそ、あなたの出番だよ!あなたの秘密兵器を使う時がきたよ!???陰陽師、そんなにすぐに諦めないで……こほん、えっと、あなたたちがこの世界の支配者ね?あなたたちを倒せば、私たちはここから出られるの?」【遊戯の者】 「そう思ってくれていい。ただ「倒す」についてだが……普通なら、戦いによって私たちを倒さなければいけない。だがせっかく「世界の支配者」になったのに、大人しく掟を守るなんてつまらない。それに、我儘で掟を翻弄してこそ、いい悪党というものだろう?」【魔蛙球】 「悪党だからいいも悪いもねえだろう……」【遊戯の者】 「残りの二人はどうか分からないけれど、私は暴力を好まない。だから、もっと簡単で面白い方法で、「勝負」を決めようじゃないか。」【夢尋山兎】 「どんな方法なの?」【遊戯の者】 「そうだね……長旅でさぞ疲れただろうから、一緒に楽しい遊びでもしようか……」【夢尋山兎】 「断る!」【魔蛙球】 「断る!」【遊戯の者】 「やれやれ、戦いを避けるためにも、喜んで遊びを選ぶだろう普通。」【冠の者】 「こんな状況で、いきなり善良さと親切さを示しても、何か企んでいるようにしか見えないよ。それに、少し話し過ぎでは?」【光に従う者】 「既に互いに敵対している以上、いくら話しても無駄だ。」【遊戯の者】 「おかしい。どうして二人に私が責められているのだろう。記憶違いでなければ、我々三人が仲間のはずだ。」【冠の者】 「たまたま同じ世界にいるだけだ。あなたを仲間だと思ったことは、一度もない。」【光に従う者】 「ふん。」【遊戯の者】 「ふふふ。」【夢尋山兎】 「(小声)なんだか、気まずくない?蛙さん、どうしよう?」【魔蛙球】 「(小声)俺様に聞かれてもな。このまま戦っても勝ち目はなさそうだから、とりあえずあの笑顔のやつと話してみよう。確かに怪しいが、他の二人よりは優しそうに見える。」【夢尋山兎】 「(小声)彼の周りで蝙蝠がたくさん飛んでるけど、蛙さん本当に大丈夫?」【魔蛙球】 「(小声)俺様は普通の蛙じゃないから、蝙蝠に喰われたりしない…………えっと、見ての通り、俺様たちは夢の世界を転々と旅している旅人だ。ここから出て、現世に戻りたい。戦わなければならない状況じゃない限り、お前たちとの戦闘を避けたい。だから……」【夢尋山兎】 「だから、俺様たちを見逃してはもらえないか?」【遊戯の者】 「理由は?」【夢尋山兎】 「見れば分かるでしょ。私はか弱いし、あなたたちに敵いっこない。」【遊戯の者】 「……はは。こほん、失礼。実に純粋で正直な答えだね。」【夢尋山兎】 「(小声)今笑ったよね。でも交渉がうまくいってるのかも。純粋で正直って褒められたし。」【魔蛙球】 「(小声)それは……馬鹿だって言ってるんだよ。」【夢尋山兎】 「(小声)その割には礼儀正しいじゃない。」【遊戯の者】 「…………」【冠の者】 「戦闘は、強さを計るための最も手っ取り早い方法だ。あなたが己の弱さを認めた以上、あなたを認め、ここから出す理由がどこにある?弱いあなたに、我々と対等に渡り合う資格があるのだろうか?」【夢尋山兎】 「私は……喧嘩では、確かにあなたたちに敵わない。でも、だからって私が弱いわけじゃない。ここは夢の世界だもん。ここでの戦闘には、そもそも意味がない……」【冠の者】 「なぜだ?」【夢尋山兎】 「夢の中では何でもあり、夢の中では誰にでもなれる……誰にでもなれるなら、戦闘での強さも関係なくなる。」【冠の者】 「ならば、何がきっかけで、「あなた」は今の「あなた」になったのだろう?」【夢尋山兎】 「それは……夢そのもの。私の夢が、私が私であることを決めた。それはつまり……もしある人がどんな願いも叶えることのできる力を持っているとすれば、最初に願ったことこそが、その人が最も切望していることを映し出す…………そしてその人が誰であるかを決める!もしある人が自由に世界を造れるとすれば、きっと己の全ての美しい願いが込められた世界を造るでしょう。その人が選んだ世界の姿が分かれば、その人の正体もおのずと分かる。」【冠の者】 「「選ぶ」。それがあなたの答えか?分かった。夢の世界ではあえて戦わずとも、一問一答で相手のことを見極めることができる。その答えによっては、この世界を離れることを許そう。私からの質問は以上だ。」【夢尋山兎】 「……え?」【魔蛙球】 「お前いいこと言うな。それに思ったより話が通じる。」【夢尋山兎】 「えへへへ、綺麗ごとを並べただけだよ……」【遊戯の者】 「それで試練の方法を仲良く決めたのか?まあいいだろう、そのほうが面白そうだ。では、私からの質問だ……異世界の旅人であるそなたが、ここから出られるとしたら、出ることを選ぶのか?」【夢尋山兎】 「え?その質問は何?もちろん出ていくよ!」【遊戯の者】 「最後まで聞いてくれ。そなたは何の記憶もなく、突然この世界に現れ、様々な冒険をしてきた。人々が大好きな御伽噺のごとく、弱かった主人公が数々の困難を乗り越え、敵を倒して成長していく……物語の場合、いつも喜ばしい結末で終了し、敵に勝った後の主人公の話をする人はほとんどいない。」【夢尋山兎】 「勝った後の話?」【遊戯の者】 「真実を教えてあげよう。ここは単なる夢の世界なんかじゃない。あの丸いやつが、そなたを騙したんだ。ここは臨終の幻夢、亡者のまだ消え切っていない記憶なんだ。」【夢尋山兎】 「……え?」【遊戯の者】 「そなたの記憶の中の都は、もう存在しない。ここは間もなく他界する死者のために用意された、最後の浄土だ。そなたにとって、「現」も「夢」も同じことだ。ここがそなたの現実なんだ……そなたはここでしか生きられないのだから。ここから出ることは、残酷な結末を目にすることを意味する……出たが最後、そなたはここから出るべきじゃなかったと後悔するに違いない。それよりも、何も知らないふりをして、夢を現と見なして、皆が喜ぶ結末に留まる方が、よっぽどいいと思わないか?」【夢尋山兎】 「嘘だ。それに私だけじゃない。蛙さんは?陰陽師は?二人は……」【遊戯の者】 「丸いやつだって、自分がどこから来たのか分かっていない。なぜならば、彼はそなたのために生まれた、そなたをこの世界に留めるための「案内役」だからだ。彼が現れた時のことを思い出してみたまえ。彼のことを知っているような気がしただろう……それは当然なんだ。彼はそなたの意識から誕生し、そなたに仕えるための存在だからな。それだけでなく、そなたがこの世界の真実に気づかないように、監視する役割もあるんだ。」【夢尋山兎】 「蛙さん……?」【魔蛙球】 「違う!俺様は……俺様はそんなことは初耳だ。証拠はないが……俺様はやつの言うことを信じない。ここは夢だ。お前が暮らしていた現世は、必ず存在する。」【夢尋山兎】 「そうだよ!それに、陰陽師もいる。彼のことはどう説明するの?」【遊戯の者】 「残念だが、この方の存在は私にも理解できない。だが……もしかすると、この声しか聞こえない陰陽師は予てから世界の真実を知っているけれど、そなたに教えていないだけかもしれないね?」【夢尋山兎】 「真実って、どんな真実?」【遊戯の者】 「それはもちろん「そなたのいる世界が偽りの夢」であることだ。」【夢尋山兎】 「……おかしいよ。どう考えてもありえない。あなたは嘘をついてる!」【遊戯の者】 「そうは言っても、私の話をを否定できるだけの証拠はないだろう?」動揺し始めた忍者の少女は、塔の上に佇む三人を見た。その強さは、彼女が一生かけても及ばないものだろう。戦闘の力だけではない。彼女は心底戸惑っていた。今の話は抜け穴だらけだと分かっていても、その僅かな可能性を想像しないではいられなかった。自分の存在、この世界の存在……そして「夢」。しんとした中で、よく知っている声が静寂を破った。【夢尋山兎】 「陰陽師……」「たとえ夢が覚めたとしても、それは自分の記憶になるし、誰にも奪われたりしない。夢は無数の出会いを可能にする。夢はそのために存在する。そう思わないか?」【夢尋山兎】 「……そうよね!たとえあなたの言っていることが本当だとしても、私はこの目で確かめたい!」忍者の少女は背中から大きな巻物を取り、敵の前で広げ、その上の文字や絵を懐かしそうになぞった。【夢尋山兎】 「始めは森の中で目覚めて、蛙さんと陰陽師に出会った……その後私は、自分のやるべきことを知って、名前も決まった。陰陽師がつけてくれたの。「夢尋」と名付けてもらった以上、夢の世界をしっかり探検しなきゃ。だから、私の物語がどうやって終わるかは、私が決める。目覚めが怖いからって、夢を見ることを諦めたりなんかしない!!」【遊戯の者】 「では、そなたの答えは……?」【夢尋山兎】 「だから、私の答えは……ここから出る。」【遊戯の者】 「ほう、いい答えだ。まあまあ、そう興奮するな。今の話は、全て冗談だ。臨終の幻夢など存在しない。ここは単なる夢の世界だ。」【夢尋山兎】 「やっぱり!この悪党め!」【遊戯の者】 「ここから出たら、そなたは現世で目を覚ます。その奇妙な陰陽師様がどうなるかは、知りようがないけどね。私からの質問は以上だ。そこの無口なお兄さん、そなたの番だ。」【光に従う者】 「…………お前はどんな人になりたい?」「どんな人になりたい?」【山兔】 「大きくなったら、どんな人になりたい?うーん……それはもちろん……」【夢尋山兎】 「……もちろん、最高に強くて、大切な人を守れる大英雄になりたい!あ、できれば、陰でこっそり守りたい。皆を守ることが私の願いだけど、皆に知られたら、逆に心配かけちゃうかもしれない。それに、闇の中で素早く行動する忍者様は、超かっこいいんだから!」【光に従う者】 「……行け。」【夢尋山兎】 「え?」【魔蛙球】 「てことは……この世界の試練も、乗り越えられたのか?」【夢尋山兎】 「本当?やった!!!陰陽師、ここから出られるよ……」塔の上に立っていた敵は、いつの間にか姿を消した。荒野の空に罅が入り、差し込んでくる日の光が暗闇を追い払い、世界を照らした。大興奮だった忍者の少女はふと何かを思い出したかのように立ちすくみ、空をぼうっと眺めた。【夢尋山兎】 「陰陽師……あ、あなたは?あなたはどうなるの?私と一緒に帰るよね。ね?今までずっと一緒に旅してきたし、目的地はきっと同じだよね……蛙さんもそうでしょう?」【魔蛙球】 「……すまん、俺様はここから出られないんだ。」【夢尋山兎】 「え?」【魔蛙球】 「さっきのやつの話は嘘ばっかりだったが、一つだけ正しかった。俺様は……もともと夢の世界の住民だったんだろう。お前が脱出できるように、案内しているだけだ。だから、ここから出ることはできない。でも大丈夫だ!夢は現実から誕生したものだから、現世にも、きっと俺様がいる……だから、だから……そんな顔、やめてくれ。のほほんとした笑顔の方がお前には似合ってる。」【夢尋山兎】 「うん、分かった……陰陽師は?うん!!ああ、空の光がこの世界の全てを呑み込んだら、私も目覚めるのかな?じゃあ、蛙さん、陰陽師……さよなら?夢の外の世界で、また会おうね!大丈夫、この忍者様は必ず約束を守るよ。あなたが危険にさらされたら、どこにいたって、必ず助けに来るから!行ってくる!うん、陰陽師、おはよう!(うん、陰陽師、さよなら!)」世界がまた静かになった。うるさい少女が消えると、奇妙な球もこの世界とともに細かな砂と化して、消えた。目の前がいつもの暗闇になった。今までの夢は暗闇で終わったが、今回は違った。空から紙切れがひらひらと落ちてきた。忍者の少女の巻物から千切られたものらしい。そこにはくねくねした筆跡で短い詩が綴られている。何回も書き直した痕跡から、作者が頭を掻きながら知恵を絞る姿を想像させる。「夢の旅路は、春に始まる。雪くぐり、幻郷渡る。未来へ続く。」この世界が儚い欠片や、数字や線になっても、待っている人や、信じる人がいれば、旅に出る人はきっとまた現れるだろう……そうなれば、世界はずっと存在する。夢見る人と共に笑い、悲しみ、成長する……その人が目覚める時に、再び眠りにつく。強さの問答は終わった。夢尋山兎、そして夢に現れる陰陽師よ、おやすみなさい。 |
目覚めの時
目覚めの時ストーリー |
---|
【山兔】 「ぐう……ぐう……」【孟婆】 「山!兎!」【山兔】 「うわああ……あれ、孟婆ちゃん!びっくりさせないでよ。ええ?もう朝なの?」【孟婆】 「そうだよ!今日一緒に出かけるって約束したのに、寝坊するなんて!何へらへら笑ってるの?夢でも見たの?」【山兔】 「えへへへへ……」【孟婆】 「誤魔化せると思わないで。」【山兔】 「寝坊してごめん。孟婆ちゃんを待ってたら、すっごく不思議な夢を見たんだ……それに、孟婆ちゃんも回復したばかりだから、もっと休んだほうがいいよ。」【孟婆】 「ふん、私はとっくに全快だよ。」【山兔】 「それで人食いたちはどんな風に捕まったの?まだその話を教えてもらってないよ。」【孟婆】 「別に人に聞かせるほどのことじゃない。それに、臆病者のあなたが聞いたら、悪夢を見るかもしれない。」【山兔】 「見ないよ!」【孟婆】 「実は……私もはっきり覚えていないんだ。詳しいことは閻魔様から聞いたの。」【山兔】 「うん、うん。」【孟婆】 「最近都の陰陽師の一族は、皆調査かなにかで忙しいらしい。そのせいで、この辺りの防御が薄くなっていた。そしたら、得体のしれない妖怪たちに、隙を突かれてしまった。」【山兔】 「うわ……」【孟婆】 「その妖怪は「魘妖」と言って、人の夢を自由に出入りすることができる。しかも触ることも見ることもできない。誰もやつらの存在に気づかなかった。やつらはその力を使って、人間を捉えて……食べていた!」【山兔】 「うわあ……孟婆ちゃん語り手の才能があるかも!」【孟婆】 「う、うるさい!とにかく、やつらは密かにたくさんの悪事を働いた。人の魂を夢の中から盗んで食らうから、被害者の見た目にほとんど異常はなかった。そのせいで、誰も気づかなかった。そして沢山の人が、知らないうちにやられてしまった。」【山兔】 「例えばそそっかしい孟婆ちゃんとか……いたたた、耳をつねらないで!」【孟婆】 「一瞬うっかりしただけだよ!今はもう大丈夫なんだから!でも、魘妖から私たちを助けてくれたのは誰だろう?全然思い出せない……ぼんやり覚えているのは、その人が笠を被っていたこと。その人が変な道具を沢山投げたら、周りがどんどん爆発して、それで……うっ!」【山兔】 「大丈夫?頭痛い?無理に思い出さなくてもいいよ、その人が誰だっていいじゃない。結局、ぼんやりとは覚えてるけど、妖怪は見つけられなかったね。もしかすると、みんな同じ悪夢を見たのかもしれない。」【孟婆】 「うん……そういえば、山兎ちゃんは大丈夫?「魘妖」が侵入してきた数日間、私が店のことで忙しかったから、山兎ちゃんはよく一人で走ってたでしょ。」【山兔】 「私は大丈夫だよ!ふふん、孟婆ちゃんみたいに悪者に捕まったりなんかしないよ。あの日、あの数日は、たしか蛙さんと遊びに行ったんだと思う。」【孟婆】 「ほんと?最近寒くなってきたから、蛙さんはずっと寝てたんじゃないの?」【山兔】 「あははは、そうだったっけ?」【孟婆】 「怪しい……」【山兔】 「そんなことより!無事に帰ってきたし、お店もお休みだし、これからまた一緒に遊べるから、それでいいじゃない!」【孟婆】 「別にどうしてもあなたと遊びたいわけじゃないよ。ただ、どうせ暇だから……あ!もうこんな時間!山兎ちゃんがぐずぐずしてるからだよ。神社はきっと混んでるよ!早く行かないと……」【山兔】 「は~い!こんなにぎやかなときは、みんな願い事がいっぱいあるんだろうね。孟婆ちゃんはどんな願い事をするの?」【孟婆】 「そうだね……山兎ちゃんは?山兎ちゃんはどんな人になりたい?」【山兔】 「私?それはもちろん……」都の夜、謎の忍者の噂が囁かれている。夢と現を自在に行き来する忍者で、暗闇に潜み、悪を退治し、弱者を守る。朝になり、人々が眠りから目覚めると、彼女は姿を消して、夜の冒険もまるで夢のごとく消えていく。この忍者は果たして実在の人物か、人々が見た同じ夢か?奇想天外な試練は、ある小兎が想像したものかもしれない。小兎が、夢の中で兎穴に落ちた。絶え間ない努力を続け、大英雄となり、数々の冒険を経験した。しかし、目が覚めると、兎はまだ小兎のままなのだろうか?さあ、目覚める時だ。おはよう。 |