【陰陽師】海国篇ストーリーまとめ【ネタバレ注意】
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『陰陽師』の海国篇のストーリー(シナリオ)をまとめて紹介。大嶽丸や驍浪荒川の主の追憶絵巻や、イベントのストーリーも記載しているので参考にどうぞ。
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海の旅イベント
序章
【鯉の精】 「う…う…」【小白】 「彼女の妖気、かなり濁っていますね。」【晴明】 「助けを求めるために、この庭院に来たのだろう。まずは瘴気を祓ってあげよう。」【鯉の精】 「ありがとうございます、晴明様。」【晴明】 「気にするな。」【鯉の精】 「私以外にも、たくさんの妖怪たちが瘴気に侵されています…晴明様、どうかみんなを助けてください。」【晴明】 「私をみんなのところに連れて行ってくれ。」【河童】 「だめです…人間にそんなことをしてはいけません…」【小白】 「河童さん、頭の皿の水まで濁っていますよ!」【鯉の精】 「ううう…河童さん…」【晴明】 「暴走するぞ、気をつけろ!少し落ち着いたか。」【河童】 「晴明様…ありがとうございます。」【晴明】 「鯉の精と同じような瘴気に侵されたのは、おそらく偶然ではない。」【河童】 「僕たちが棲んでいる川に変なことが起きているんです。増水する時期だというのに、海水が川に逆流しています。それに、強い怨念が海水とともに流れ込んでいます。そしたら…嫁入りの女子たちの泣き声と、その苦しい涙で苦くなった川が、何度も頭の中で蘇るのです。そして、鯉の精さんが離れていく後ろ姿も…」【鯉の精】 「河童さん、私はどこにも行きません。」【河童】 「でも…鯉の精さん、君はここから離れなければいけません。この瘴気はたぶん海水とともに入ってきんだたと思います。鯉の精さんの安全のためです。この水源から逃げてください。」【晴明】 「私はこの現象が瘴気と繋がっているか調べてみよう。それまで二人はしばらく私の庭院にいるがよい。川には近づくな。川の増水期に逆流する海水か。どこかの均衡が破られたのかもしれない。」【八百比丘尼】 「答えは、海の奥深くにあるかもしれません。」【晴明】 「今度の船出は遊びではない。案内人がいない以上、かなり危険な旅になる。」【八百比丘尼】 「私の占いが、少し役に立つかもしれません。」【小白】 「しかし、それは船が見つかればの話でしょう?小白は泳げませんよ…」【晴明】 「都を離れるほど、妖怪も増えているな。」【八百比丘尼】 「川のほとりで生息しているものだけでなく、陸に生きるものたちもかなり苦しんでるように見えますね。」【晴明】 「ばかにならない瘴気だな。一刻も早くこの騒ぎの原因を突き止めねば。」【博雅】 「広い海に着いたが、船がないと一歩も進めねぇな…」【神楽】 「お兄ちゃん、船。」【石距】 「ううう!ぐおおおお!」【小白】 「石距まで瘴気に影響されているじゃないですか!」【博雅】 「いや…こいつは最初から凶暴だったと思うぜ。」【晴明】 「とにかくこいつを退治しよう。急急如律令!」【八百比丘尼】 「幾度となく石距を退治してきましたが、船を諦めて逃げるのは初めてですね。」【晴明】 「瘴気が心の障害になって、混乱で船を守り切れなくなったのかもしれない。」【博雅】 「俺たちが使うのにちょうどいいな!」【神楽】 「晴明…お兄ちゃん、あんな風に石距をいじめて…大丈夫?」【晴明】 「再会したら、返せばいい。」【神楽】 「うん、わかった。」【博雅】 「なんで俺は「いじめ」で、晴明には「わかった」なんだよ。」【小白】 「それに…本当に返す機会がありますかね…」【晴明】 「さすが貪欲な石距。船の上にはあいつがかき集めてきた金銀財宝が山積みだ。一体どこからこれほどの宝を集めたのか、知りたいぐらいだ。」【八百比丘尼】 「その話、「鈴鹿山」の伝説を思い出させますね。」【博雅】 「深海の果てにある、海のありとあらゆる宝物をかき集めた神山か。」【八百比丘尼】 「でも所詮、伝説の域を出ないでしょう。幾千幾万もある海上の奇談、その真偽は誰にも分かりません。」【博雅】 「つい最近まで、不知火もただの「伝説」だったじゃねぇか。今回また、別の奇談に出会えるかもしれないぜ。」【小白】 「博雅様…我々は瘴気を調査するために…」【晴明】 「せっかく乗り気になった博雅に、これをあげよう。」【博雅】 「晴明、何を見つけたんだ?」【晴明】 「船に散らばっていた海図だ。いろんな海妖や海の伝説が記されている。八百比丘尼、海図に記されているのは、お前の知っているものか。」【八百比丘尼】 「幾つか相違するところもありますけれど、私の占いと同じ方角を示しているようですね。調査のついでに行ってみるのも悪くありません。」【晴明】 「では行こう。」 |
第一章
【晴明】 「海に近づくほど瘴気がどんどん強くなっている。」【八百比丘尼】 「瘴気の中に明らかな殺気はないようですが…その中にある強い怨念に、心が苛つかされますね。」【晴明】 「それだけでも十分に困るものだ」【小白】 「ううう…小白の鼻がダメになりそうです…」【神楽】 「この大きなホタテ貝…どこかで見たことがある。」【八百比丘尼】 「この子、こんなに殻を閉ざしてしまって。」【椒図】 「ううう…い、行かないで…」【晴明】 「瘴気に侵されないように、殻を閉じたのだろう。ここは私に任せろ。急急如律令!」── 戦闘 ──【椒図】 「晴明様!」【晴明】 「穏やかな町を好む君が、なぜ海に戻っているんだ。」【椒図】 「化鯨君を探しに来たんです。海の世界が大変なことになっていると聞いて、少し心配になって。晴明様、彼を見かけませんでしたか?」【晴明】 「すまない…見かけなかった。」【椒図】 「この先の瘴気に入ろうとすると、あまりにも息苦しくて、これ以上は進めません…晴明様、化鯨君に会えたら、どうか漁村んい連れ戻して下さい。」【晴明】 「分かった。」 |
第二章
【鳳凰火】 「あら、陰陽師と…「火種」ではありませんか。」【八百比丘尼】 「鳳凰林に隠居しているあなたが、どうしてここに?」【鳳凰火】 「強い執念に引き付けられたんです。一体どういう人が、私と似た執着を持っているのか見たくなったので。でも、見てみてがっかりしました。私の執着とは、異なるものでした。」【晴明】 「その「執着」の正体はもう突き止めたのか?」【鳳凰火】 「それは、まだです。ただそれは既に「怨み」と「憎しみ」に支配される執念と化していて、私たちの鳳凰様への信仰とはまったく異なるものです。」【晴明】 「では…一体何がお前に似ていると思わせたのだろう?」【鳳凰火】 「たぶん、何かの「執着」だったと思います。まあ、今となっては重要ではありませんが。というより、この怨念のせいで混乱して、なかなか集中できません。やはり鳳凰林のほうが修行に向いてます。でも「あの子」は完全に吸い込まれていました。あの無我夢中な姿、私の信心深さと比べてもほとんど遜色しませんでしたわ。」【晴明】 「「あの子」?」【鳳凰火】 「何でも知っている晴明様なら、いずれ彼に出会うでしょう。ただ、その時彼がまだ「彼」でいるかどうか…急いだほうがいいでしょう。」【夢喰い】 「ぶぶ…ぶぶ…」【神楽】 「夢喰いさん、なんだか苦しそう…」【夢喰い】 「ぶぶ…みんなの夢が、苦しいものばかりになっている。」【晴明】 「これも怨念のせいだろうな…」【夢喰い】 「海の中に行けば行くほど、みんなの夢が苦しくなる。晴明様、この悪夢の主は、きっと誰よりも苦しんでいるね。そして海に向かうあの人は、この悪夢に飲み込まれるんじゃないか?」【晴明】 「「海に向かうあの人」とは誰のことだ?」【夢喰い】 「とても美しい妖怪さ。しかし…彼はまだ「彼」でいるかな。ぶぶ…おいらには分からない…」【八百比丘尼】 「みなさん、奇妙なことを言いますわね。」【晴明】 「まるで、何かに真実を語るのを阻まれているようだ。」【夢喰い】 「ぶぶ…その通りさ、晴明様。暗く重い夢の中でさえも「あちら側」と共鳴する強い執念。絶望に満ちた苦しい夢。それは、誰しも邪魔するのが気遅れする求道の旅さ、晴明様。晴明様、おいらたちと一緒に傍らから見ていようよ。これが「彼」の定めなのさ。」 |
第三章
【晴明】 「八百比丘尼の占いによると、この島がまさに瘴気の起点なのだな。」【博雅】 「社が焼失し、木々が倒れてる。怨念が出ないほうがおかしいぜ…ここが源に違いない。」【八百比丘尼】 「正確な方角を確かめるために、先ほどもう一度占いましたけれど、瘴気の源が消えていました。」【晴明】 「確かに…荒れ果てた島とはいえ、透き通る気配を発している。」【神楽】 「心が静まるくらい。」【晴明】 「しかし、誰かによって祀られていた社だ。このまま放ってはいけない。小白とみんなはこの辺りを見て回るといい。もしかしたら瘴気が消えた手がかりが見つかるかもしれない。」【博雅】 「そこらへんを見物してろっていうのか?」【八百比丘尼】 「力仕事はお二人に及びませんけど、街を施して少し片付けることなら、私達のほうが上手くできる自信がありますわ。そうでしょう、神楽さん?」【神楽】 「うん!」── 戦闘 ──【八百比丘尼】 「晴明さん、これを見てください。」【晴明】 「空になった遺物塚…」【八百比丘尼】 「中にあった物はすべて取られてしまって、もうなにも残っていません。」【晴明】 「怨念はこの中から発していたに違いない。」【八百比丘尼】 「ここには本来誰の遺物が祀られていたのでしょうか。持ち去られた宝物とは…一体何なのでしょうか。」【晴明】 「宝物が持ち去られたか、怨念に動かされ自ら土の中から出てきたか、まだ何とも言えないな。」【神楽】 「晴明、全部片づけたよ。」【小白】 「ふう…やっと終わりました!」【博雅】 「海面にこんなに霧がかかっていると、何か尋常じゃないものを見ちまう気がするぜ。」【神楽】 「この島、住民はいないけど、人間の気配がする。」【小白】 「くんくん…小白は人間の匂いを感じませんけど。」【八百比丘尼】 「人間の「気配」は、匂いだけではありませんよ。」【神楽】 「晴明、こっち」【晴明】 「絵馬掛け…」【八百比丘尼】 「神様に願掛けしたり、加護を求めたりするのは、やはり「人間」のお気に入りの行為ですね。」【晴明】 「これらの絵馬から何かの手がかりが見つかるかもしれない。」【小白】 「くんくん…この絵馬の匂いは他のとちょっと違います。セイメイ様、何が書いてありますか?」【絵馬】 汝に応え 倍返しだ【晴明】 「「念願成就」が消されて、「倍返しする」が刻まれている。他の絵馬もこんなに恨めしいものか?」【神楽】 「ここに書いてあるのは…「和服神様、もう一度蜃気楼を見せてください。」」【博雅】 「これは、「どうかご加護を、和服神様」と、「和服神様、私の願いが叶いますように」だな。」【八百比丘尼】 「「和服神」とは、おそらくここに奉られている神のことでしょう。この島に来た人間は、みなこの和服神に願掛けするために来たようですね。ただ一つ、あの妖気のある絵馬には…「和服神」について一言もありませんでした。」【晴明】 「その恨みの念には心当たりがあり…それにこれは最近刻まれた絵馬だ。」【博雅】 「妖怪どもが噂している、あいつのことじゃないのか?」【晴明】 「私もそう思う。それに、この社の素性も気になる…ここで少し休んで、明日から近くの海域を探索するのはどうだ?(心が怨みに充満された美しいあやかし…答えがもうすぐ見つかる気がする。)」 |
第四章
【博雅】 「この海域には小さな島が散らばっている。手分けして動くほうが早そうだぜ。」【晴明】 「ここは厚い霧がかかっている。未知には危険がつきものだ。暫くは共に行動しよう。」【博雅】 「確かに一理ある。神楽、ちゃんと俺についてこいよ。」【神楽】 「うん!」【晴明】 「これらの島には人が暫く休息した痕跡がある。」【八百比丘尼】 「おかしいですね。あの瘴気、また現れました。」【小白】 「くんくん…あ、あっちにいます!」【般若】 「ねえ、そこの陰陽師。僕と遊びに来たの?」【晴明】 「怨みが纏わりつく美しいあやかし…やはりお前のことだったのか。」【般若】 「陰陽師様は何の話をしてるのかな?」【晴明】 「ここまでの海一面に広がる怨念はお前の仕業なのか。」【般若】 「ああ、怨念ね…実は僕もその怨念をたよりにここまで来たんだ…その気配は僕にとてもよく似合うと思わない?きっと僕と仲良くなれるよ!」【晴明】 「遺物塚から宝物を持ち去ったのはお前だったのか。ではこの怨念の原因もお前が…」【般若】 「教えられないなぁ。友達を裏切っちゃだめだからね。僕と遊ばないなら、さようなら、陰陽師。」【博雅】 「こいつ、逃がすか!」── 戦闘 ──【黒晴明】 「愚かなもう一人の私よ、なぜ海にいる…都はもう大丈夫なのか?」【晴明】 「黒晴明!なぜ私の邪魔をし、般若を逃した!」【黒晴明】 「邪魔をしているのはお前のほうだ、晴明。」【晴明】 「海上の瘴気は既に都の陰陽の均衡を崩している。これは全部お前の計画なのか。」【黒晴明】 「相変わらず融通の利かないやつだな…陰陽崩壊こそ私の望むところ。我らが活躍する好機なんだ。まあ、お前には分からないか。」── 戦闘 ──【晴明】 「すべてが般若の仕業だと思っていたが、まさか黒晴明も関わっているとはな。」【博雅】 「俺らの邪魔をするために、蜃気楼までおびき寄せるなんて…黒晴明もすげえやつだな。」【小白】 「セイメイ様、小白が嗅いだところでは…黒晴明は般若を追って行ってはいません。」【晴明】 「つまり、あの二人は向かう先が違うということか。」【八百比丘尼】 「二人とも気になりますね…晴明さん、これからどうするおつもりですか?」【晴明】 「手分けして行動するしかないようだ。」【神楽】 「般若が隠そうとしてたこと…とても重要な気がする。」【八百比丘尼】 「そして晴明さんは…黒晴明のことを見過ごせないでしょう。」【晴明】 「その通りだ…」【博雅】 「俺は神楽と一緒に般若を追う。晴明、気をつけろ。」【八百比丘尼】 「(博雅さん…やはりまだ私を信用できないんですね。)」 |
第五章
【小白】 「やっと住民がいる島がありました…」【島民】 「おやおや、この島に客人が来るのは何年ぶりでしょう!」【八百比丘尼】 「ですが、この近くの島で旅人が足を止めた形跡を見ました。」【島民】 「その旅人たちは、和服神島の伝説目当てで訪ねたのかもしれませんね。」【小白】 「和服神島…もしかしてあの遺物塚を祀っている小島のことですか?」【島民】 「それです!あなた方はその島で蜃気楼を見ましたか?」【晴明】 「残念だが、そんな絶景は見ていない。」【島民】 「おやおや、それは残念!宝物とは無縁ですな!島を自由に回ってみてください。きっとみんなが和服神のことを喜んで教えますよ。」【島民2】 「島に客人が来たとは聞きましたが、まさか陰陽師様だったとは!陰陽師様はきっと和服島にも行ってこられたでしょう?」【晴明】 「ああ、ただ伝説の蜃気楼を見れなかったのは少し残念だ。」【島民2】 「あれはね、もう何年も前から誰も見ていないんですよ!」【晴明】 「それほど神秘的な景色なのか。」【島民2】 「それはそうですよ!それにあの蜃気楼には、秘宝の手がかりが隠れているという噂があるんです!もし悪意のある人に見つかってしまったら、どうすればいいのか!」【八百比丘尼】 「皆さんが言う和服神というのは、一体どんな神様ですか?」【島民3】 「本当のところ、和服神は実在するものなのか、俺にも分かりません。ただこの海域には昔から伝説があって、あの島の和服神が天下の秘宝の手がかりをつかんでいるというのです。そして和服神に認められた信心深い人には、手がかりを秘めた蜃気楼が見えるのです。しかしその秘宝とやらの正体は何なのか、俺にも分かりませんがね。へへへ。」【晴明】 「では、あの島にある遺物塚の由縁を知っているか?」【島民3】 「それが和服神ですよ!和服神のご神体は遺物塚の中に祀られているんです!陰陽師様、もしかしてご神体を見たんですか?」【晴明】 「島に着いた時、遺物塚は既に破壊されていた。」【島民3】 「和服神の…ご神体が!?」【黒晴明】 「一歩遅れたか。」【晴明】 「黒晴明!お前の目的は「和服神」だったのか。」【黒晴明】 「何が和服神だ。あれは悪霊に落ちぶれた付喪神でしかない。」【晴明】 「悪霊…やはりあれが怨念の源だったのか!」【黒晴明】 「怨念だけでこれほどの影響を及ぼすんだ。もし私の手に入ったら必ず大いに役立つだろう。しかし残念だが、どこに隠されたか今も分からないまま…お前なら私を案内してくれるだろうと期待していたのに、一足先を越されたばかりか、あの小妖に持ち去られちまった。ちっ。」【晴明】 「たとえどんな力であろうが、お前の手に入っていなければ、まだ最悪な結果ではない。」【黒晴明】 「ではあの復讐に血迷った小妖の手に入ったら、いい結果だというのか?まあ、お前はこのまま何もわからなければいい。」【八百比丘尼】 「相変わらず、自分勝手な方ですね。」【小白】 「しかも勝手に消えるし…」【晴明】 「彼が言っていた「悪霊付喪神」は、おそらくまた災いをもたらすだろう。」【八百比丘尼】 「黒晴明も簡単には諦めないでしょう…」【晴明】 「ここに留まるわけにはいかない。追うぞ。」 |
第六章
神楽&博雅ルート
【博雅】 「なんか急に寒くなってきたぞ…それにあそこの船、遭難したみたいだな。」【神楽】 「あそこに誰かいる。」【博雅】 「こんな雪山に、住人がいたのか?」【神楽】 「違う…」【幽霊1】 「俺たちを助けに来てくださったのか?早く陸に連れ戻してください!」【神楽】 「この人たちは…もう…」【博雅】 「心配するな、一通り調べたらここを出る。」【幽霊1】 「きっとあの女だ!あの女が…俺たちに復讐するために…あの船乗りだ…彼が我々を島に連れてきた。ここまで連れてきて、あれを見るように勧められた…蜃気楼やら、秘宝やら、親方がきっとお気に召すと言ったんだ!帰りたい…帰りたいよ…」【神楽】 「ちょっと気になる。怨みの匂いは…ここにもある。」【幽霊2】 「俺たちは島でまるまる3日間待ち続けたけれど、船乗りの言った蜃気楼は一切現れなかった。激怒した親方は船乗りを海流しの刑に処そうとした…ところが、縛られた船乗りを乗せた小舟を海に出したところ…霧が一気に晴れたんだ!やはり船乗りの言った通り、素晴らしい絶景だった。しかし…しかしなぜ親方はあの島を壊したんだ…なぜ島の神様の逆鱗に触れるような真似をするんだ…あんなに美しくて、残酷な神様…」【神楽】 「…美しくて残酷な「神様」?」【首領幽霊】 「あの船乗りが俺にひけらかしたんだ!東の方角には、神秘的な秘宝と幻のような蜃気楼があって、夜になれば海の上に花火と太陽が見えるってな。あいつはあんなに自信たっぷりだったんだ、俺に本物を見せるのが筋だろう!こんなに遠い海域まで連れ出しておいて、三日間も待たされて、日差しに照り付けられ嵐にも見舞われた…腹いせに島を焼き払っても文句はないだろう!」【博雅】 「お前らがあの社と島を壊したのか?あんなことをしなけりゃ…こんなことにはならなかったのに…」【神楽】 「復讐はしたけど、恨みはまだ残ってる。まだ…終わってないのかもしれない。」【博雅】 「あの「和服神」が既に船隊を丸ごと潰したんだぜ。まだ気が済まねえというのか?」【悪鬼首領】 「あの船乗りだ!!あいつだけが逃げ切った…あいつに違いない!妖怪とぐるになって俺たちを殺したんだ!まさか…あの悪妖を俺たちの故郷まで連れて行く気か?いやだ…いやだ!!!」【博雅】 「お前らの故郷はどこにある?」【悪鬼首領】 「海岸線沿いに西の方から来た…どうかあの妖怪を止めてくれ!」 |
晴明&八百比丘尼ルート
【小白】 「神楽様と博雅様!」【博雅】 「晴明、ここでお前らに会うと思ったよ。」【神楽】 「晴明たちの調査はどう?」【晴明】 「社に祀られた神は本物の神ではなく、霊力の強い付喪神だった。しかし、伝説の「蜃気楼」は実在するものなのか、未だに分からないままだ。」【博雅】 「異郷で死んだ船乗りたちが、本物の蜃気楼を見たらしい。」【八百比丘尼】 「蜃気楼を見たのなら、なぜ島が壊されたんでしょう?」【博雅】 「宝物が見つからなかったうえに、和服神に弄ばれたと思ったからだ。あいつらは…腹いせに。」【八百比丘尼】 「だから「和服神」に報復されたわけですね…」【博雅】 「「和服神」は神社を壊され、怒って船隊を転覆させた。だが、案内していた船乗りはこの復讐の海難から逃れた。だからこそ、恨みを完全に晴らせず、船乗りを追って更に西の方へ行ったのかもしれない。」【黒晴明】 「振袖の霊の由縁を知った今でも、まだ般若の手に落ちるのがいいと思うか?」【晴明】 「黒晴明…怨念が突然消えたのも、船隊が覆されたのも…お前ではなく、般若の仕業だったのか。」【黒晴明】 「般若か?それはどうだろう。だが、あの悪霊を般若に奪われては困る。大人しく引っ込んでろ、晴明。本当に使えないやつだな、晴明!」【博雅】 「どっちもどっちじゃねえか…」【???】 「陰陽師さん、遅いよ。」【八百比丘尼】 「般若?あなた、一体どうやってこの大渦を…」【晴明】 「いや、あれはもう「般若」じゃない。」【御怨般若】 「僕は自分に新しい名前を付けたんだ。御怨般若っていうの。どう?包み込まれるのって、なんて心地いいんだろう。所詮人間にはわからないだろう。同類と寄り添い合うこの感覚。うふふ。復讐の意志こそ一番正確な航海図なんだ。そして僕は運命の導きで、永遠に裏切らない仲間を手に入れた。今の僕は、昔よりも美しいだろう?」【黒晴明】 「くそ!振袖の霊があんなに近くにいたのに…」【御怨般若】 「僕の仲間がほしいの?それはだめ。」【晴明】 「逃げられてしまった。」【小白】 「セイメイ様、御怨般若のことはいいから!私たち、もうすぐ大渦に飲み込まれてしまいますよ!」【化鯨】 「晴明様!僕についてきて!」 |
第七章
【晴明】 「黒晴明は海難から抜け出すと、すぐに姿を消してしまった。」【化鯨】 「あの方は晴明様とかなり似ているけど、なんだか畏怖を覚えるのです…同行しないで済んで、ほっとしましたよ!」【八百比丘尼】 「晴明さん、黒晴明の様子が少しおかしかったのに気が付きました?」【晴明】 「以前よりも弱くなっている…俺の半身だが、霊力をかなり失っている。」【八百比丘尼】 「あんなに振袖の霊を欲しがっているのも、もしかすると別の企みがあるのかもしれませんね。」【晴明】 「だが振袖の霊は完全に般若の手中に落ちた。」【神楽】 「怨念が消えたのは、いいこと。」【晴明】 「おそらく般若が振袖の霊の代わりに仇を打ったから、彼女の信頼と力を得ただろう。」【博雅】 「だが俺たちはあの島々に何が起きたのか、それに、あの怨霊と般若が…西の方で何をしやがったのかいまだにわからない…」【晴明】 「もし縁があれば、いずれこの物語の結末を知ることになる。それより今は早く都に戻って、怨念の影響が完全に消えたことを確認せねば。」【化鯨】 「晴明様、それならお任せください!僕が皆さんをお送りすれば、すぐ都に着くと思います。」【神楽】 「化鯨、ありがとう。」【小白】 「今度こそ、一件落着ですかね。」【晴明】 「陸のあやかしたちはみな正気を取り戻している。水妖たちもそれぞれの水域に戻れそうだ。」【博雅】 「御怨般若がまた何か仕掛けてこなきゃ…しばらくは平和に暮らせそうだな。」【晴明】 「そうだといいな。(しかし、大渦を抜け出した瞬間、水底に巣食う暗い影が見えた。脱出に必死だったから、確認する暇もなかったが、今思えばあれも災いの種だ。都の平和を、いつまで維持できるだろうか…)」 |
大嶽丸集結イベント
ストーリー1
【晴明】 「藤原氏の依頼で集めた情報の欠片だが、どうも気になる……」【八百比丘尼】 「手がかりが錯綜していて、真偽を見極めるのは難しい。」【神楽】 「ここから役に立つ情報を取り出すのは、とても難しい。」【源博雅】 「知るか!平安京を脅かすものは、まず俺の弓を喰らいやがれ!」【八百比丘尼】 「たしかお話には鈴鹿山の名が出た。恐らく伝説のあの方のことかと……」【晴明】 「もしかして……」【選択肢3つ】 ①小妖たちが噂する「久次良」? ②情報が言及する「大嶽丸」? ③小妖たちが憧れる「海鳴」?【八百比丘尼】 「というより、情報にあるいくつかの名前はいずれもろくなものではない。占いによれば……これらの名前は、陸地にとてつもない災いをもたらすだろう。とりわけこの大嶽丸が……」【神楽】 「晴明を助けたい、情報がほしい。」【晴明】 「ここで二の足を踏んでいるより、我らが迎え撃ちにいった方がよい。」【八百比丘尼】 「海上の伝説を知っているものに尋ねて、じっくり「話」をしてみよう。」 |
ストーリー2
【源博雅】 「「話をする」と言ったが、こやつは話せないではないか?」【石距】 「うううぅ!オォォ!」【神楽】 「乱暴になった、そして頭がよくなった。」【晴明】 「男子、三日会わざれば括目してみよ。」【石距】 「オマエら!黙レ!ワシは!喰ッテヤル!」【小白】 「私たちはただ聞きたいことがあるだけなのです………」【石距】 「喰ラッテヤル!!!」── 戦闘 ──【石距】 「オマエラ、ナニヲ、スル……」【晴明】 「あなたは鈴鹿山のことを知っているのか?」【石距】 「ワカルゾ、鈴鹿山、ケチ!」【晴明】 「できれば、もう少し落ち着いて話してもらえないか?」【石距】 「オ宝、イッパイダ。大嶽丸、強イ!領主、ケチ。宝ヲ取ッタラ、殴ラレル。」【八百比丘尼】 「これは伝説と一致している。無数の秘宝を守護する鈴鹿山、そして彼らを治める者──海国の主・大嶽丸。」【晴明】 「すでに数えきれぬほどの秘宝を擁しているのに、なぜ陸地を侵すのか?」【玉藻前】 「あなたは近いうちに彼と直々に話す機会を得るだろう。」【晴明】 「玉藻前、君は何を知った?」 |
ストーリー3
【玉藻前】 「数日前、朧車は大嶽丸にボコボコにされてた。彼より前に都へ入るなだと?戯れを。 この傲慢不遜な野郎は、相変わらず面白いの。 もうじきやってくる強敵のことを知りたければ……葛葉に免じて、こい、晴明。 朧車が経験した戦慄を、ありのままあなたに伝えよう。」── 戦闘 ──【小白】 「うわ……小白は腰が抜けましたよ!」【神楽】 「強い。」【晴明】 「行った。」【源博雅】 「おい、晴明!どこに行く?」【晴明】 「都に戻ろう。平安京は私たちを必要としている。」【玉藻前】 「晴明、私の味方になってくれるのかい?この新しい「友」は、あなたに何か新たなひらめきを与えるやもしれぬ。」 |
情報の欠片パズル
序章
【藤原家陰陽師】 「博雅様、晴明様、及びその他のお方たち。」【小白】 「ど、どうして庭院にひとり増えたの?」【源博雅】 「この家紋……あなたたちは藤原家の陰陽師か?」【藤原家陰陽師】 「はい、よくご存じで。」【晴明】 「藤原氏?これはこれは珍しいお客さんだ。」【小白】 「神楽様、藤原氏というのは何者ですか?」【神楽】 「都の三大陰陽家、源家、加茂家、藤原家。その中で最も権力が大きいのはこの藤原氏だ。そのため、彼らは百姓たちがもっとも敬畏する陰陽師だ。」【小白】 「本当ですか?でもなぜ小白は一度も彼らに会ったことがないのですか?」【神楽】 「彼らは大名のためだけに動く。それに神出鬼没なので、彼らを見かけることはめったにないのだ。」【藤原家陰陽師】 「皆様が海からお戻りになられたばかりだろ伺い、それなら、すでに海上の異様をご覧になったのではないかと。」【源博雅】 「海に出たことは誰かに話したのか?」【晴明】 「海上の異様は……確かに見た。」【藤原家陰陽師】 「我々は小さな海妖が乱に乗じて平安京に潜り込んだのを見かけた。退治したら奴らは小さな欠片を落とした。欠片には妖怪が書いたと思われる文字があるようだが、奇妙な妖術に覆われているせいで、我々は解読することができなかった。晴明様は各種の陰陽道に長け、人助けを厭わないと伺ったゆえ、本日はご教授願いたく参った次第。」【晴明】 「ここにいる八百比丘尼は私よりもこの類の術に長けている。欠片はしばらくここに置いておくとよい。」【八百比丘尼】 「解読のことは私に任せてくれ。」【藤原家陰陽師】 「晴明様のご協力に感謝いたす。今後欠片が見つかり次第、届けに参る。」【源博雅】 「待て、この欠片の裏面に……」【藤原家陰陽師】 「さすが源氏の博雅様、あなた様も気づいておられたか?欠片を集めると、裏面の模様で小さな地図を組み立てることができる。今はまだこの地図に秘められた意味がわからないが、文字の意味がわかれば、どんなことが起ころうとしているかおよその見当はつくだろう。」【源博雅】 「なにか不吉な予感がするが……」【藤原家陰陽師】 「仲間のひとりをここに滞在させる。くれぐれもよろしく頼み申す。」 |
欠片ストーリー1
【欠片・壱】 鈴鹿山は我が故郷、遠出の度に若は山から取れた干し実と土を持たせてくれる。 何度もこの故郷の匂いに救われた、今回もきっと乗り越えられる。 都を制圧したら、この地に故郷の果実を植えよう。【欠片・弐】 故郷の地はもう果実が実らない。 私は干し実を見てぼーとする、夜の池に醜い自分の顔を映し出す。【欠片・参】 久次良様のように、若の力になりたい。 大将である以上油断は許されない。 そういえば久次良様は今回、とある忍者に復讐したいとか。【欠片・肆】 百年前、我がまだ小妖の時、海であのお方に出会った。 手合わせしてみたが、まったく歯が立たなかった。 彼は我を殺さなかった。 「我が志は海を征服すること、次会う時は海の終焉について語ろう」と言い残した。【欠片・伍】 都に住む弱きものよ、その実力を見せてくれるといい、海の大軍は必ず都を覆す。【欠片・陸】 最初の相手はあのお方とか……尊敬しているが、我が剣では感情を要らぬ、絶対な忠誠のみでよい。【欠片・漆】 あの歌、海で迷う時、我はいつもあの歌の方向に進む。 ある月明かりの夜、彼女に出会った。 彼女は怯えていた、見知らぬ人を見るとすぐ貝の中に隠れる。 ごめん、もうお前を間持続けるこちは出来ない。【欠片・捌】 海鳴様は鈴鹿山に住む妖怪の師匠的な存在だ、若い妖怪達に伝説を教えていた、鈴鹿山の伝説もそうだ。 しかし、あの事件後、海鳴様も変わった。 伝説の話もしなくなり、近寄らぬオーラを出している。【欠片・玖】 世のルールはなんだ? 鈴鹿山の皆は自分の為に生きる。 今になってわかったよ、それは「弱肉強食」だ。 我らは若に守られていた。 その日もじきに終わる、一族は我が守って見せる、なんとしても。 |
欠片ストーリー2
【欠片・壱】 蟹姫のやついつも大嶽丸様を覗いている。 幼く見えるが、きっと何かを企んでいる。 ほら、あのハサミで大嶽丸様を食べようとするじゃないか。 けど…あのハサミ美味しそうに…【欠片・弐】 子供の頃から、都の地に興味がある、ここの人間はとても美味しいだとか。【欠片・参】 お袋から聞いたことがある、百年前彼女の父は先代の頭とともに、海辺の村にやってきた。 頭は村人とその守護神をすべて飲み込もうとしたが、返り討ちにされた。 噂では、守護神がかなりのイケメンだとか。【欠片・肆】 小さい頃は鈴鹿山の岩陰の下で、お袋の話を聞いていた。 そんな生易しいもんではないぞ、話によれば鈴鹿山の外では、たくさんの危険があって、簡単には生きていけないらしい。 ああ、可愛く生きたいよ。【欠片・伍】 若が顔を映し出せる鏡という宝をくれた。 とても気に入っている、嫌なことがあると、鏡を見て元気を出すの。 その後母が鏡がなくたって可愛いよと言ってくれた。【欠片・陸】 海鳴様の話中で、あの神使の話が一番好き。 神使はなぜ予知に失敗したのか、海鳴様は月の変化が原因と言った。 月にいるあの姫が落ちたからだ。 神使に会いたい、あなたのせいじゃないと言ってあげたい。【欠片・漆】 久次良様はいつも怖い顔をしている。 しかし、手中の鯨骨を撫でる時は優しい顔になる…クジラ肉が好きだとか?【欠片・捌】 出発前、大嶽丸様が言った、鈴鹿山の妖怪はどこよりも強い。【欠片・玖】 母が言った。 鈴鹿山の草木が茂る頃、我らの夢が現実になるのだ。 きっとその日がやってくる、信じている。 |
欠片ストーリー3
【欠片・壱】 煉獄茨木童子って知ってる? あいつ、俺の弟分だ。 昔は九十二日間も戦ったな、肋骨三本が折れ、右膝も砕かれた。 けど、全然恨んでなんかないぞ。【欠片・弐】 言い伝えでは、天狗達は故郷を離れ、黒夜山に移し住んだ。 まるで海島のようだ。 天狗は皆、変なお面を付けているが、その下では、かなりのイケメンらしい。 どうして知っていると?それは内緒。【欠片・参】 別の海峡から聞いた。 「大嶽丸様が都のとある頭とは旧友だ」ということを。 絶対誰にも言うなって言われた。【欠片・肆】 大嶽丸様は鈴鹿山で一番強い妖怪、そして俺は鈴鹿山で一番の頭脳だ。 今回の作戦は俺が計画した物だ、誰が本当のボスかって分かったな。【欠片・伍】 鬼切という刀が、酒に酔うと無差別に切るのだ。 私命を落とすところだった。【欠片・陸】 都に話が好きな妖怪がいる。 彼女の話を聞けば、私を信用するだろう。【欠片・漆】 海族の長老達がよく言う、足りない物で名を付けるって。 西の海で鯨の妖怪が居た。 彼女は小魚丸と名乗った。 昔幼い天狗に出会って、自分は大天狗だと言われたね。【欠片・捌】 大江山の鬼王酒呑童子こそが私が最も尊敬する妖怪だ。 理由って?彼が初めて俺の拳を受け止めた妖怪だぞ。【欠片・玖】 神の容姿は俺等妖怪が及ぶ物じゃない、彼女が最も美しい神だ。 優しく、強く。 彼女の背中を未だに覚えている。 |
終章
【藤原家陰陽師】 「以上がすべての欠片にある文字の内容……感謝いたす。すぐに地図を道綱に届けよう。こちらは藤原家からのささやかな気持ち、どうぞお受け取り下さい。」【晴明】 「……とんでもない。気遣いは不用だ。」【博雅】 「晴明、これは藤原家の流儀なのだ。受け取らないと、彼らは責められるのだぞ。」【藤原家陰陽師】 「左様でござる。晴明様にはぜひともお受け取りを。」【晴明】 「……わかった、受け取ることとしよう。もしこれが他の誰かの役に立つのなら、またその人に贈ろう。」【藤原家陰陽師】 「かたじけない。それでは、失礼する。」【小白】 「あぁ、もう行っちゃいました。だから、この地図と文字は一体どいう意味なの?!」【晴明】 「さっき見たのは、都の地図だ。文字に関しては――様々な情報が混ざりあって、どれがもっとも重要か判断しづらい。」【八百比丘尼】 「でも、私はひそかに記録を取っていました。」【神楽】 「八百比丘尼、頭がいい!」【晴明】 「これで、私たちに真相を探る時間ができた。」【博雅】 「あの藤原家の陰陽師たちは、容易く人に教わるような奴らではない。何かが……起きる……」【晴明】 「わかっている、博雅。今後の危険は、私たちの想像をはるかに超えるかもしれない。」 |
大嶽丸超鬼王襲来
※編集中
大嶽丸追憶絵巻
伝説
宝探したちが陸を離れるとき、財宝と美しい夢を歌う。 風浪を突き進むとき、運も実力のうちと賛美する。 深海に沈んでいくとき、遺言は彼とともに海底に永眠する。 彼らが歌う鈴鹿山は、深海の果てにあり、天下の秘宝が収められ、鬼神たちに守られている。彼女は宝を求める者たちの一生の夢である──それは、往々にして見る者たちの命を奪う。 航海士たちにとって、もっとも危険なのは浪でもなければ、海獣でもない。 もっとも恐ろしいのは荒れ狂う荒波のあとに待ち構えている、鈴鹿山の守護神──大嶽丸である。 異聞によれば、大嶽丸は武力をもって鈴鹿山を支配し、もっとも貴重な宝をわがものにしている。八尺瓊勾玉を手に入れた大嶽丸は、宝探したちを落胆させる恐ろしい怪談となった。 宝を欲する者に、死を。 侵入する者に、死を。 裏切り者に、死を。 しかし、宝の山の伝説は、いまだに大海原の奥底で微かな光を放ち続けている。 たとえ鈴鹿山に向かう海図を描ける者がいなくとも、異聞ひとつだけで船出する宝探したちは後を絶たない── 行くがよい、陸と故郷に背を向けて出発する。 荒々しい浪を越えると、鈴鹿山があなたを待っている。 |
若様
久次良が私を鈴鹿山へ案内したとき、ここにある唯一の掟を教えてくれた──侵入する者に、死を、裏切り者に、死を。 この巨大な鯨は続けてこう補足した。「誰かが離れるものか!若様はとても良いお方だ!さぁ、こい」 ──久次良の言う通り、鈴鹿山は温かい家だ。 そういうのは、私が厚顔無恥なやからだからではない…… 「ここは家だ。」──これが若様が私にくれた命令なのだ、私にはわからないことがある。かつて鈴鹿山の宝を目当てに来たよそ者だった私を、若様はなぜあれほどにも平然と信用してくれたのか? 久次良が肩を持ってくれたからかもしれない。 感謝しないと。 久次良は笑った。大きな笑いが波を起こした。 「それはあんただからさ、若様は受け入れたんだ。若様に聞けばよかそう、怖いお方じゃあるまいし!」 彼は海底に潜り込み、残された私は全身びしょ濡れで何をすればいいのかわからなかった。 待てよ……若様が侵入してくる舩隊を打ち砕く様の、どこが怖くないんだ? 私にそれを聞く時間はなかった。 久次良は死んだ。裏切り者の手によって殺められた。 久次良の死因について、若様は私を疑ったことはなかった。私が離れると言ったときも、若様は私を疑わなかった。鈴鹿山にはこんなことはまだ一度もなかった──誰もここから離れたくないのだ。裏切ってここから無事に逃げられた者もいなかった。 久次良の遺骨を渡されて、私は思った……若様が私にやってほしいことは、復讐だけではない。 我が友の名をもって、我が主に誓う。 「身が滅ばぬ限り、復讐は辞めぬ。」 |
強者
若様のことを聞きたいのか!それはもう超~~すごいんだ! これは一目でわかることじゃないっすか。若様の鬼角は、俺の爪より長いぜ!あ~あ、いつか、俺の爪が若様の武器のように大きくなったら、どれだけすごくなれるんだろう! 海鳴の爺さんはよく私が考えすぎだというけど、白昼夢をみるには妖気も使わないしね。考えているうちに、寝てしまうこともあるの~ そして~夢の中で若様にも会えるのよ! 冗談じゃないってば、私はあの法螺吹きとは違うの、ふふん~ あの日、あの日、私が海辺で寝てしまったあの日!夢の中で若様は私のために石距を焼いてくれたの……でも波が打ってきて、目が覚めたの!でも……どうして海の上にいるの?私、私は泳げない蟹だよ! うわわ、海妖め!くそ海妖、放せ!ううう……若様、助けて! すると、若様は本当に現れたのよ! 若様はなにも話さず、八尺瓊勾玉を出して、八尺瓊玉剣を振って!シュッと!海妖の爪が見る見るうちに真っ二つ!私が前の日に食べた焼きえびよりもきれいに割れたよ…… 若様は本当にすごい、蟹姫は彼に習わないと! 若様は海妖を焼いて食べてるのかと思ったけど、なんと……一緒に鈴鹿山を守らないかと誘ったの。 「鈴鹿山の食いもんは悪くねぇ、そこらの小さな妖怪をさらって食うよりましだ」と。 あぁ、なぜ若様は食べ物で私を誘わないのかしら…… 夢の中で焼いてくれた石距は、とても美味しそうな匂いだったな…… |
期待
鈴鹿山は素晴らしいところじゃ。 よそ者から見たら、鈴鹿山には宝しかないようだ。わしが大切に思うのは、ここに収められている古い書籍、異聞、伝説じゃ。 鈴鹿山そのものも、一つの伝説じゃ。 そして大嶽丸は、わしが期待している未来だ。 この子は強く、理性的で、好奇心に満ち溢れている。無用な情をほんの少し捨てれば、この海最強の……いや、この世で最強の妖怪になれるのじゃ。隅に隠居する愚か者とは違って、彼の目に輝くのは、未来を眺める光じゃ。 わしが彼に古い書籍にある物語を話してやると、彼はよく質問をしてくれた。この話はどこから来たのか、その恩怨はどこに向かうのかと。彼が「陸」について聞き始めるまでは、わしはいつも答えを知っていたのだった。 海に伝わってきたこともない文明は、海よりも奥深いものか? いや!海こそもっと偉大なのじゃ。止まることを知らない流れは我らにすべてをもたらしてくれる。そしてわしの手で、新しい伝説を成就するのじゃ。 旧い主が残した鬼船は、いずれ帆を立てて出港する日を迎えるだろう。 大嶽丸は鈴鹿山を超えて、もう一つの伝説になるのじゃ。 |
お宝
八尺瓊勾玉がわが手に渡った瞬間、吾はこの鈴鹿山でもっとも強き存在となった。 長年この鈴鹿山に眠る宝は、吾の息に同化され、吾の体の一部となった。 実に素晴らしい。我が強ければ、このごちゃごちゃした奴らを守れるのだ。 鈴鹿山を守ることは重大な使命。だから吾は鈴鹿山の住人と約束をした。 吾とともにこの家を守る約束だ。 海妖は従わなければ殺す、住人も裏切ればその場で殺す。 よそ者が残りたいのなら……できなくはない。 本心からここを家だと思って、秘密を守ることを誓い、二度とここを離れないのなら。どうせ、ここの子供たちはやつらが持ってくる外の話が好きだしな。 鈴鹿山の住人は単純だが、愚かではない。彼らはよくわかっている、誰が鈴鹿山を大切に思う仲間なのかを。 大海は鈴鹿山にとって最高の障壁だと海鳴は言う。外界の欲望と我らを隔て、侵入を遠ざけてくれる。 だが私は半信半疑だ。 時々大海も私の質問に答えてくれる。あいつがどこに行ったのかを教えてくれたり、海妖を殺したことを責めたり、または海の怪談を話してくれたりする。 この大海はいつも気まぐれで、私のいうことを一度も聞いてくれなかった。 大海は私と何の約束もしてくれなかった、鈴鹿山の秘密を守る約束もしてくれなかった。 ちっ、それならば、吾が自らそれを解決すればよい。吾は大嶽丸なのだ。 |
討伐
「漆黒の鬼船は月のない夜に出港する」 とうとう、この日がやってきた。 大嶽丸は鈴鹿山の民を率いて鬼船に乗り込んだ。 故郷に別れを告げようと、彼は振り向いたが、視線は海鳴の体に遮られた。 大嶽丸はかつての住居や宝窟、そして彼がもっとも大切に思う宝を見ることができなかった。 蟹姫はもうずいぶんの間笑っていない。彼女はただ……これを長い旅だと思っていた。 「若様、私たちはいつまで旅をするの?そこでエビは食べられるの?私は家を恋しく思うかな……」 「なんでもあるよ。若様の言うことを聞けばね。」海鳴はまるで子供を慰めるように蟹姫に言いながら、視線は大嶽丸からそらさなかった。 大嶽丸は知らないふりをした。 彼は故郷に背を向け、無言で拳を握りしめ、術を発動した。地下に埋もれた鬼船が蘇って、若様の召喚に答え、土を突き破ってゆっくり海に入った。しかし故郷を思う鈴鹿山の主が、簡単に家を捨てられるはずがない…… 彼はこの島が引き裂かれることを許せず、そして鬼船が鈴鹿山の束縛から完全に放たれることも認めなかった。 鬼戦の後半は相変わらず山と楼閣に包まれていた。島を引きずっているようで、きわめて重い姿勢で旅立った──その重さも当然のこと。この鬼船が背負っているのは、彼がもっとも大切に思う領土と民だ。 大嶽丸と海鳴は船首に立っているが、まったく異なる心情のようだ。最先端に立つ若様は故郷への思いを払いきれずにいるが、後ろの老妖の目には野心と欲望の炎が燃えていた。 彼らは同じく視線を遠方に投げかけ、災いが訪れようとしているところを眺めていた。 宝の守護者は故郷を離れるとき、武器と宝物も持ってきた。 彼らが波を切って進むとき、亡霊たちは道を示してくれた。 宝の守護者たちが彼岸に足を踏み入れるとき、大海は新たな伝説を成就するであろう。 |
驍浪荒川の主集結イベント
ストーリー1
【金魚姫】 「その海国の頭とやらは強いのか?」【茨木蛙】 「俺様の左手の力を見たか?俺様の拳を受け止めるなんて、あいつはなかなかのやり手だ。」【金魚姫】 「なんか強そうなやつだね?」【かぐや姫蛙】 「確かに、お兄さんの拳は痛い。」【茨木蛙】 「ゲホゲホ。朧車様に勝ったやつだ。きっと何か怪しい力を持ってるに違いない!」【金魚姫】 「でもいいや。あんたたちの玉藻前様だって私に敵わないんだから。よし決めた!海国を征服する!」 |
ストーリー2
【金魚姫】 「うっ、海ってこんなに広いところだったの?海国って一体どこにあるの?迷子になっちゃった。」【蜃気楼】 「おい雑魚、一人か?」【金魚姫】 「伝説の海国の頭を探してるの。どこにいるか知ってる?」【蜃気楼】 「もう探さなくていい。私の楼閣の中で悪鬼になるがよい!」── 戦闘 ──【金魚姫】 「わ…私の…勝ち?」【蜃気楼】 「お…お前は…」【荒川の主】 「……」【金魚姫】 「逃げよう、この妖怪強すぎる!」 |
ストーリー3
【蜃気楼】 「お前…覚えてるぞ…あの時…」── 戦闘 ──【金魚姫】 「に…逃げた?」【荒川の主】 「ふんじゃ。」【金魚姫】 「どうして?あれは何?」【荒川の主】 「昔我に負けたうちの一人のようだな。」 |
荒川の戦
序章
【村民】 「た、助けて……………」【神楽】 「…晴明!誰か倒れてる!」【晴明】 「傷を負っている。荒川から逃げてきた村人か?」【八百比丘尼】 「できるだけの手当はしました。体力はかなり消耗しているようですが、深い傷ではありません。」【晴明】 「やはり遅かった…」【博雅】 「そう落ち込むな。荒川にはまだあいつらがいることを忘れたか?荒川の主、金魚姫、それに他のあやかしどもだ。少なくとも荒川の主は、その大嶽丸とやらに簡単に負けるとは思えない。」【神楽】 「私たちも急がないと。金魚姫を助けたい。彼らが心配。」【晴明】 「そうだな。村人たちを避難させたらすぐ出発しよう。」 |
赤雲陣地戦
【晴明】 「果てなき山々…」【小白】 「セ、セイメイ様、何をおっしゃっているのですか?な、何かの暗号でしょうか?」【晴明】 「いや、荒川の上空を見ろ——大きな山が宙に浮いている。」【博雅】 「!!何だあれは!」【八百比丘尼】 「幻かしら?それとも…?」【晴明】 「強い気配だ。幻のはずがない。」【小白】 「小白の目がおかしくなったのでしょうか?山が消えかかってるように見えますけど!?」【晴明】 「それは大嶽丸の妖術だ。彼が山を召喚した。」【博雅】 「一体どれだけ強い妖力だ——しかし、わざわざ消しているのはなぜだ?」【晴明】 「噂によると、荒川の周辺には強力な結界が張り巡らされている。それは様々な敵を防ぐために、荒川の主によって施されたものだという。」【博雅】 「まさか——山が消えてるってことは…荒川の結界が既に破られたってことか。」【晴明】 「大妖怪二人の戦いは、既に始まっている。」【神楽】 「戦いと…悲しい泣き声…水面に血なまぐさい匂いが漂ってる…」【晴明】 「荒川はもはや煉獄そのものだ。」【神楽】 「金魚さん、どこに行くの?」【八百比丘尼】 「あそこで半分水に浸かっているのは、金魚姫でしょうか?」【神楽】 「!!金魚姫!しっかりして!」【金魚姫】 「………オ…オオバカ………」【晴明】 「心配するな。もうすぐ治る。」【金魚姫】 「え?傷が…治った。ありがとう、大きな陰陽師…」【晴明】 「金魚姫、お前達を襲ったのは海妖なのか?」【金魚姫】 「うん。その日、島に上がって遊んでいたら、空と海は急に色が変わって。小妖たちはすごく怖かったの。そしたらオオバカが荒川のあやかしを率いて敵と戦って、私も小さな集団に入って戦った。」【晴明】 「だがお前以外には誰も見かけなかった。」【金魚姫】 「一緒に戦ったあやかしたち…みんな…みんな死んだのよ…うう……だめ、まだ泣く時じゃない。」【晴明】 「荒川の主はどこにいる?」【金魚姫】 「はぐれちゃったの。まだどっかで戦ってるかもしれない。あそこに浮いている鬼船は見える?」【小白】 「見えるばかりか、小白は海からの生臭い妖気を感じますよ。」【金魚姫】 「敵の首領はあそこにいるのよ。けど鬼船を攻めようとするたびに、骨を持ったあやかしに打ち返されてしまった。オオバカもあの船を追いかけているはず。あれについていけば必ずオオバカに会えるわ。それに、鬼船は陸からたくさんの凶悪なあやかしを招いて戦わせている。陰陽師、あなたたちは荒川の味方だよね?」【晴明】 「もちろんだ。大嶽丸は海妖の軍団を率いて荒川に上陸しただけでなく、陸のあやかしまで利用している。」 |
海潮ダンジョン「七人岬・雲」
【海妖】 「こいつは仲間を探してるんだ。そこでおめえを推薦した。」【村民】 「か、勘弁してくれえ!!」【七人岬・雲】 「ちっ。」【海妖】 「え?なんで殺しちまったんだよ。おめえら七人岬が、「新しい仲間が必要だ」って騒いでたんじゃねえのか?」【七人岬・雲】 「弱すぎる。こんな奴らが七人岬に入ったら足でまといにしかならない。」【小白】 「あの、あなたたち海妖ですよね?臭い匂いがします。」【七人岬・雲】 「ほら、この犬っころのほうが強いじゃないか。最低でもこれくらいの力がないと仲間に入れられない。」【小白】 「生意気な妖怪ですね!!」【晴明】 「待て、小白。彼らに聞きたいことがある。」【七人岬・雲】 「都の陰陽師、今更来たのか?もう遅いぞ。」【晴明】 「人間だけでなく、陸のあやかしも見逃さないか。なぜこんなに大勢殺した。命を踏みにじるのが楽しいのか?」【七人岬・雲】 「楽しい?甘い、甘い、甘い!戦争は既に始まってるんだぞ?「戦争」ってのは、奪い合うこと、誰かが全てを失うんだ。だから鈴鹿山の宝物をお前らに奪われる前に先手を打った。それはお前の目には「楽しく」見えるのか?」【海妖】 「俺を見るな。ちっぽけな人間ども、いくらでも殺してやる。」【晴明】 「私たちは殺戮ではなく、共存を求めているんだ。」【七人岬・雲】 「「共存」ってのは、憂いのない殿様が口にする言葉だ。さっき死んだやつは「共存」について一度たりとも考えたことがないだろう。陰陽師よ、これだけは言っておこう。敵の息の根は必ず止めることだ。お前のようなやつは、弱いからじゃなく、優しいから怪我をするんだ。」【小白】 「セイメイ様、小白はもう我慢できません。まったく聞き分けのない輩です!」【晴明】 「…戦争の最中に、相手の思いに耳を傾けるのは確かに難しいだろう。だが、だからこそ、敵に信念を奪われてはいけない。「共存」できなければ、ここから引き取ってもらおう。」 |
森台情報戦
【八百比丘尼】 「攻撃を受けた鬼船が徐々に海に退きはじめました。私たちの努力が少し効いたようですね。」【椒図】 「陰陽師様!さっき変な海妖が追いかけてきて、しかも化鯨のような骨を持っていました…まさか化鯨が…」【化鯨】 「椒図さん、大丈夫ですよ。怪我したあやかしたちを、手当を受けられる場所に案内しただけです。」【晴明】 「鯨の骨を持ったあやかしはおそらく大嶽丸の主将だ。やつは今どこにいるか分かるか。」【久次良】 「ここだ。」【晴明】 「!!」【久次良】 「お前らしかいないのか?荒川の主はどっかに引っ込んでるのか?」【金魚姫】 「オオバカはバカだけど、臆病じゃないわ!」【久次良】 「そうだ。荒川のあやかしの屍で山を作ろう。そして一番上に海国の旗印を差し込めば、さぞいい眺めだろう。」【金魚姫】 「なにっ!?」【晴明】 「挑発に乗るな。椒図を追いかけていたのに、挑発ばかりして、手を出さない。明らかに荒川の主をおびき出そうとしている。謀に長ける海妖よ、もう簡単には罠にはまらないぞ。」【久次良】 「お前、名はなんという。」【晴明】 「陰陽師、晴明だ。」【久次良】 「悪あがきはやめろ。さっさと荒川の主を引き渡してくれれば、この戦争も早く終わる。」【晴明】 「それほど荒川の主が怖いのか。ならばなぜわざわざここを攻めたんだ。」【久次良】 「彼を警戒しているのもあるが…それに、若には迷って欲しくないからだ。」【晴明】 「残念だが望み通りには行かない。その傷だらけの姿から察するに、かなり長く戦ってきたようだな。今ならお前を退治できる。」【久次良】 「…死と隣り合う身だ。久次良は決して後に引かない。かかってこい、晴明!」 |
海潮ダンジョン「七人岬・須」
【神楽】 「う…なんて大きな影…」【博雅】 「神楽、俺の後ろに隠れてろ。3本の矢!」【七人岬・須】 「あっ!!」【神楽】 「倒した?」【博雅】 「おう、心臓に的中した、既に死んでいるはずだ。」【七人岬・須】 「へへへ、死んだ。とっくに死んだ。」【博雅】 「なにっ!?おまえら…一体何者だ?3本の矢に射抜かれたのに、なぜまだ立っている?」【七人岬・須】 「我々は「七人岬」、深海のあやかしと人間の霊の集合体。いわば海を漂う藻のようなものだ。弓の手練じゃないか、兄ちゃん。感心したよ。だが、我々を倒すには、もう少し勢いが必要だ。」【博雅】 「外道なやつだ…だが知ってるか、陰陽道を用いればお前らを全部封印できる。不死身で長期戦を行うのは、もっとも無駄な戦術だ。」【七人岬・須】 「危うい戦闘ほど俺を楽しませることはない。陸に上がったのもお前ら陰陽師と一戦を交えるためだ。俺は、逃げない。」【神楽】 「あいつの目、本気で来る。」【博雅】 「構わない。俺が相手してやる。」【七人岬・須】 「あんたたちは誰かを守ったら悦に入るようだが、俺には理解できない。海の漢は持っている全てを捨て、未知の旅に出かけるものだ!」【博雅】 「お前の夢をどうこういうつもりはないが、自分の「旅」のために、他人の平和なくらしを踏みにじるなんて…こんなに自分勝手で、「漢」と言えるのか!?」【神楽】 「お兄ちゃん……」【七人岬・須】 「その勢い、気に入った。お前と戦うのはきっと楽しいぞ!さあこい、陰陽師!」 |
金岸反撃戦
【久次良】 「誠に面目ございません、若。最前線を守りきれませんでした。」【大嶽丸】 「下がって休んでいろ。もう十分よくやった。」【博雅】 「ようやく大将のお出ましか。お前を倒せば海妖らも出て行ってくれるか!」【大嶽丸】 「俺が現れたということは、お前らの実力が全て見抜かれたってことだ。鈴鹿山の民よ、我が命令を聞け!全員、進め!!」【七人岬・須】 「俺、勢い、行け!」【七人岬・雲】 「殺せ!殺せ!殺せ!全部殺せ!」【晴明】 「大嶽丸一人だったらまだなんとかなるが、これほど大勢の海妖が相手では…」【八百比丘尼】 「ハァハァ……ハァハァ……」【晴明】 「八百比丘尼、大丈夫か?」【八百比丘尼】 「ええ…この前都の港で霊力をたくさん費やしましたから、まだ少し疲れが…」【神楽】 「晴明、あやかしが両側から湧いてくる。後ろに引かないと。じゃなきゃ、囲まれてしまう。」【晴明】 「だが、ここは絶好の場所だ。これ以上引くと奴らの前進を止められなくなる。」【金魚姫】 「オオバカったら、一体どこに行ったのよ…」【晴明】 「金魚姫、気をつけろ!」【金魚姫】 「あっ!!」【七人岬・雲】 「…やれやれ、もう少しで金魚ちゃんの首を取れたのに。」【大嶽丸】 「下がってろ。彼は俺が相手してやる。」【荒川の主】 「その通りだ。汝らの相手はこの荒川の主が務めよう。」【金魚姫】 「オオバカ!!」【博雅】 「よくも涼しい顔で現れたな。この数日、一体どこに行っていたんだ?」【荒川の主】 「別の戦場で戦っていた。敵軍の主将が真正面から挑んてきたと聞いて、わざわざ会いに来たのだ。」【金魚姫】 「オオバカ、その姿…」【荒川の主】 「これは正に存亡の戦い。吾は全力で参る。荒川のあやかしども!そして助太刀にきた友よ!反撃の時が来た!吾とともに、侵略者を海に返そう!」 |
海潮ダンジョン「夜叉」
【夜叉】 「おい、あれは人間か?なんか怪しい雰囲気だな。」【七人岬・須】 「へへ、そこの綺麗なお姉さん、我々七人岬の一員にならないか?潔く死んでくれれば、我々のような頼もしい仲間を手に入れられるぞ。」【八百比丘尼】 「残念ですが、私は死ねない人間です。なぜ海から陸を犯すのですか?ただ喧嘩しに来たんじゃないでしょう?」【七人岬・雲】 「「各地で戦乱を起こし、全てを奪い返す」と、たしか出立する前に、若が言ってたな。」【七人岬・須】 「あん?若がそんなことを言ったっけ?やりたいからやったと思ったよ。」【八百比丘尼】 「あなたたちは一体何を失いました?鈴鹿山には数え切れないほどの財宝があるのではありませんか?」【七人岬・雲】 「うん……小娘よ、「戦争」に参加したことはあるか?」【八百比丘尼】 「たくさん見てきましたが、自ら参加することはありませんでした。」【七人岬・雲】 「戦争に巻き込まれた以上、あまり詮索しないほうが身のためだ。大将の野望だの、鈴鹿山の仇だの、失った宝物だの、考えれば考えるほど武器を持ち上げる力が失せていく。一人の兵士として、自らの責務、そして人生でもっとも大切なことを覚えていれば十分なんだ。たとえ崖っぷちに立たされようが、その思いがあれば、正気を保つことができる。」【七人岬・須】 「俺の思いは、全ての戦いを思う存分、楽しむことだ!退屈な暮らしはもういやだ!」【八百比丘尼】 「本当に、変な方ばかりですね。」【夜叉】 「同感だ。全ての思いを失ったからこそ、より強くなるんだ!そうだろう!!人間、どっちが正しいか、判断してもらおう!!」 |
海原合戦
【大嶽丸】 「まだまだ!!お前とだけだ、こんなに痛快に戦えるのは!」【荒川の主】 「この刀は親友から授かったもの。鈴鹿山のあやかしは血気盛んだと聞くが、何故海妖どもの手先に成り下がれようか。この「海国作」のように血気盛んだと聞くが、何故海妖どもの手先に成り下がれようか。「川と海、いずれは合流するもの。」これは汝の言葉ではなかったのか!」【大嶽丸】 「お前の親友とやらは、もう死んだんだろう。これだけは教えておく。荒川を攻略できるまで、絶対に手を引かない。」【晴明】 「くっ…交わる刀と剣から、莫大な妖力がほとばしっている。」【八百比丘尼】 「宝刀「海国作」から溢れる力は、昔から知っているような気がします。よく知っている、「あの気配」です。」【荒川の主】 「うっ……はぁはぁ……」【金魚姫】 「オオバカ!大丈夫?ここで休んでて、私が替わってあげるから!」【荒川の主】 「大丈夫だ…彼は海国作の力を熟知しているから、全ての攻撃を巧みに受け止めた。だが、何回も繰り返す攻撃に彼も苦戦しているはずだ。」【金魚姫】 「でもオオバカはもう怪我してるじゃない!あいつに言って、ちゃんと治ったら出直すって!」【荒川の主】 「はは…」【金魚姫】 「えっ?」【荒川の主】 「この海国作と吾は長年の付き合いだ。とうに吾の魂と一体になっている。海国作なら荒川の魂の力を発揮できる。勝負はどうあれ、これは最後の戦いだ。」 |
海潮ダンジョン「吸血姫」
【吸血姫】 「ここは任せたぞ、チビ。」【蟹姫】 「わかった!悪党陰陽師、死ね!」【小白】 「こんな幼い子供まで戦場に連れてくるなんて、大嶽丸は最悪ですね。」【蟹姫】 「そこの子犬!若の悪口を言うな!」【晴明】 「お前の名前は何だ?」【蟹姫】 「「蟹姫」、私は「蟹姫」だ。この名をちゃんと覚えてなさい、悪党陰陽師!あんたを倒すのは、このアタシだから!う…舌噛んじゃった…」【晴明】 「戦は災いしかもたらさない。お前は人を傷つけることを本当に望んでいるのか?」【蟹姫】 「蟹姫は傷つけるのも、傷つけられるのも嫌いだ!海鳴様が言ってた。この戦いは、鈴鹿山の仲間全員のためだって。だから,蟹姫は本気で立ち向かうの!」【晴明】 「「海鳴様」とは…」【蟹姫】 「これも海鳴様が言ってた。悪党と話すなって!悪党が蟹姫から情報を聞き出してしまうって!へや!」【小白】 「セイメイ様!お気をつけください!」【晴明】 「……!!まだ幼い姿とはいえ、鋭い鋏だ。」【蟹姫】 「若はいつも前に立って、私たちを守ってきた。今度は蟹姫が前に立って、若を守るんだ!」 |
青浦防衛戦
【大嶽丸】 「もう一回だ!荒川の主!!」【荒川の主】 「まったく元気なやつだ。」【鯉の精】 「荒川の主様!我々の戦線がさらに後退させられました!」【荒川の主】 「撤退しろ…」【金魚姫】 「ど、どうして?」【荒川の主】 「仮に吾が大嶽丸を引き止められたとしても、深手を負った荒川の民たちはこれ以上海妖の攻撃を防げないだろう。ましてや海妖には深海からの、異様な力がある。だから、撤退と言った。」【鯉の精】 「荒川の主様…」【荒川の主】 「チビ、ずっと荒川の主になりたがっていただろう。願いが叶う時が来た。荒川の民を都まで連れて行け。私は後からついて行く。」【金魚姫】 「…いや。…いやだよ!荒川の主は逃げたりしない!最後の一息までここで戦うわ!」【荒川の主】 「我々の仲間を見ろ。」【金魚姫】 「えっ?」【鯉の精】 「ハァハァ……ハァハァ……ハァハァ……」【荒川の主】 「忘れるな。荒川の主の本当の役目は、荒川の民を守ることだ。」【金魚姫】 「ずるいよ…オオバカ、ずるすぎるよ…」【鯉の精】 「荒川の主様!私たち…私たちも…」【荒川の主】 「黙れ。行け、チビ。」 |
海潮ダンジョン「蟹姫」
【晴明】 「ここまで戦うとは、お前も大したあやかしだ。だが、ここまでだ。お前をここに封印する。」【蟹姫】 「封印…陰陽師の変な技…蟹姫は、封印されないもん!!」【小白】 「こいつの力に限りはないのですか!セイメイ様、これは何かの目くらましの術ですか?」【晴明】 「蟹は再生力の強い生き物だ。足が切れてもすぐ再生する。そして何より、彼女には仲間を守るという信念がある。その信念によって潜在的な妖力が引き出されているんだ。大嶽丸の強さも、彼の民から来ているのだろう。」【蟹姫】 「陰陽師、蟹姫をなめているのか!?海鳴様が言ってた。どれだけ人から軽く見られようが、自分を軽く見てはいけないって。若が陸に宣戦布告するといった時、とても心配だった。陸の人間とあやかしはきっとぐるになって、若をいじめるんだから…だらか、弱い蟹姫だけど、若の痛みを分かち合うんだ!」【晴明】 「お前の身体はもうぼろぼろだ。これ以上戦えない。うっ…」【小白】 「セイメイ様!!」【蟹姫】 「陰陽師、なんで同じ過ちを繰り返すの?蟹姫をなめるな、海国の民の意志をなめるな!!」 |
紫洲撤退戦
【八百比丘尼】 「セイメイさん、占いによれば、どうやら「海国作」は荒川の主の魂をこの辺りに固めているようです。彼は何も教えてくれませんでしたが、恐らく計画があるのでしょう。」【晴明】 「しばらく近くで様子を見よう。」【博雅】 「荒川の主、こんな状況でおまえはどう出るつもりだ?あやかしどもが撤退してる。俺たちは少なくとも、やつらが都に着くまで持たなければいけない——だがおまえはもう満身創痍だ。」【荒川の主】 「くっ…陰陽師、なぜまだここにいる?ここは吾一人で守れば良い。汝らは早くチビと離れろ。」【博雅】 「無理するな。大嶽丸を止めたとしても、海妖の軍勢をどうやって一人で止めるっていうんだ!?俺たちはまだ戦える。一人で戦わせるもんか。それに、俺たちは荒川のあやかしじゃない。お前の命令を聞く必要なんかないからな。」【荒川の主】 「…ははは、鴨川の頃より、だいぶ成長したようだな。ふん…ならば、吾とともに戦うことを許そう。」【大嶽丸】 「ふっ、荒川が負けを認めた。そう考えても良い頃だろう?この調子で行けば、我が軍はまもなくこの流域を一掃し、逃げ回るあやかしに追いつく。お前が敗軍の将になる日が来るとはな。」【荒川の主】 「なんと言われようが、彼らの命を守るまでだ。汝のような強者には感心するが、無意味な殺戮は好まぬ。汝らを止めるには、吾一人で十分だ。」【大嶽丸】 「やつらと一緒に逃げればよかったであろう。なぜ戦い続ける?諦めろ、我が友よ。」【荒川の主】 「吾がまだ倒れていない限り、我が民に指一本触れさせまい。」 |
海潮ダンジョン「清姫」
【久次良】 「あの水辺の死角で待ち伏せていろ。地形を利用して、陰陽師らを攪乱するんだ。」【清姫】 「忌々しい陰陽師め…今度こそ復讐を…」【神楽】 「久次良、もう行ったんじゃなかったの?」【久次良】 「人間の娘よ、お前が俺の相手になるのか?海国の大軍はまもなく総攻撃を発動する。俺の先遣隊も陣形を整えた。あやかしになってから、体力の回復が人間より遥かに速くなったよ。」【神楽】 「他の海妖も、あなたと同じなの?」【久次良】 「いや。鈴鹿山の仲間には、強い奴も、弱い奴もいる。ここまで来るには、お互いの手足となり、助け合わなければならない。」【神楽】 「お兄ちゃんが言ってた。あなたたちははまるで不死身のようだって。「あの先頭に立つ久次良というのは大した統率者だ」「人間だった頃は、さぞ一流の将に違いない」。そう言ってたわ。」【久次良】 「まだ人間だったら、とっくに貴族らの争いで犠牲になってただろう。ここで仲間とともに戦うことこそ、己の存在価値を感じさせてくれる。…お前はまだ子供だ。若にはお前を見逃すよう言っておこう。俺たちの道を阻まなければだが。」【神楽】 「あなたたちの敵になるなんて考えていない。分からないの?」【久次良】 「残念だが、我々はこの戦に勝たねばならない。海国の兵士よ、我が命令を聞け!魚鱗の備!進め!」 |
菊島決戦
【大嶽丸】 「一騎当千は所詮戯言。その体はもう限界だろう。」【荒川の主】 「うっ!!う…ぐああ…」【博雅】 「荒川の主————!!」【神楽】 「血…血が…」【晴明】 「荒川が悲鳴を上げている。まさかあいつが…」【大嶽丸】 「その消えぬ気迫。お前は海国作に相応しい大妖怪だ。…行くぞ、久次良。まだやらねばならないことがある。」【久次良】 「若、足元に…いつの間にか大きな渦ができています…」【大嶽丸】 「なにっ!?海国作でこの結界を書いたな。荒川の主、おまえは一体何を…」【荒川の主】 「言っただろう——汝らを止めるには、吾一人で十分だと…!」【大嶽丸】 「全員、撤退だ!結界から離れろ!」【荒川の主】 「もう遅い。この結界は時間をかけて張り巡らせた。囚われたら最後、誰も逃れることはできまい。」【大嶽丸】 「貴様、なぜ倒れぬ!!」【荒川の主】 「吾は既に死んでいるかもしれん。だが、死は必ずしも倒れるわけではない。荒川の魂が残っている限り、吾は戦い続ける。」【大嶽丸】 「…ふふ、ははははは!望むところだ!!来い、戦闘の続きといこうではないか!!」【八百比丘尼】 「荒川の主の真の狙いが、この渦の結界とは。目をくらます術で隠していましたから、誰にも気づかれなかったのですね。そして数日の間、退きながら戦い、ようやく大嶽丸はを渦の真上まで誘導した、と。」【晴明】 「渦はまだ不安定な状態だ。荒川の主を助けに行こう。」【博雅】 「待て、彼は致命傷を受けたのに、なぜ立てるんだ?」【晴明】 「八百比丘尼、彼の魂はこの辺りに固めてあると言ったな?」【八百比丘尼】 「ええ。」【晴明】 「…彼は肉体を捨て、命を解放したのだろう。海国作が戦場にある限り、彼は止まることがない。荒川の魂に支えられた彼は一人で海妖に抵抗し、一族が無事撤退できるよう守ったのだ。だが、彼は既に…死んでいるだろう…」 |
海潮ダンジョン「久次良」
【久次良】 「手強いやつめ、よくも渦で我が軍を!実力を温存するために隠れていたと思い込んでしまった。少しでも早く気づいていれば、若も巻き添えを食わずに済んだのに…」【博雅】 「こうして見れば、謀略にかけては荒川の主のほうが上のようだな。」【久次良】 「確かにそうだ。感服した。だが、この戦を経てむしろ安心した。」【博雅】 「どういうことだ?」【久次良】 「都の陰陽師はそこそこ腕があるが、戦術に欠けている。これからの都攻略戦なら、若の勝目が大きいようだ。」【博雅】 「ふざけた海妖め!都には我々数人しかいないと思うな。深海の海妖が陸に入り込めば、体力を大いに消耗するに違いない。あやかし退治といえば、都にはいくつかの陰陽師の名門もあるからな!」【久次良】 「それは知っている。だが、若が「目的」を果たせば、どんな陰陽師でも、反抗しようがあるまい。お前ら数人で、何ができようか。」 |
終章
【荒川の主】 「陰陽師、チビたちは…どこまで行っている…」【八百比丘尼】 「まだ荒川の流域内にいますわ。」【荒川の主】 「吾の意識は…失せていく…結界が…完全に閉じたら…汝らも…ここに閉じ込められてしまう…ここに…留まるな…都に…戻れ…」【博雅】 「だが——荒川の主——!!」【小白】 「イタタタタ…投げ出されてしまいました…」【博雅】 「あいつを一人で戦わせるもんか——」【晴明】 「ここは荒川、彼の戦場だ。俺たちがやるべきことは、都に戻り海国の情報をみんなに伝えることだ。俺たちの土地まで、こんな災いに見舞われては堪らない。」 |
【博雅】 「せめて、最後まで見送らせてくれ。」【荒川の主】 「大…嶽…丸… ………… ……」【大嶽丸】 「友よ、安らかに眠れ。荒川を治めることは本望ではない。ただ「目的」を果たすためには、ここを「占拠」せねばならない。だが、全てが終わったら、荒川を本当の主に返すことを約束しよう。おまえの民は、必ず、必ず帰してやる。誰であれ、この約束を破ることは決してできまい。」 |
驍浪荒川の主追憶絵巻
夢見
小さい頃から、世界を征服して荒川の主になるのが夢だったの。 「荒川の主」とは英雄の称号。いつも私をいじめる、あののっぽになんかに相応しくないわ…。 荒川の妖たちは、いつも私の夢を笑うの。 私、負けないもん!いつか大きな金魚船に乗って、荒波も恐れない、本物の荒川の主になってみせるんだから! 笑わないのはのっぽだけ。いつも扇子で私の頭をぽんと叩いて、こう言うの。 「志があるのはいいが、荒川の主として大切なのは名声ではなく、みなを守ることだ。」 あんないやな奴らを守るもんか! 夢を笑われた日には、いつも海辺に来て、ぼーっと夕日を見てた。 海と空の境にある山の影が、海に棲む大きな化物みたいに見えた。 荒川を侵すような奴がいたら、大波を起こして飲み込んでやるんだから、そう思ってたわ…。 今日も、大きな化物は現れなかったな。 がっかりして帰ろうとしたその時、向こうの山から黒々とした霧が立ち上った。 |
侵入
私たちの平和な暮らしは、荒川の水そのもの。いつも清らかで、穏やか。 そんな時代に生まれた私たちは戦うことを知らない。血を見たことすらなかったわ。 その黒い霧が海から生臭い匂いを運び、海国の大軍を乗せた鬼船が河口に差し掛かった時、私たちには抗うすべがなかった。 へとへとになっても、私は必死に拳を振って、海の妖と戦った。 海妖の刃に切りつけられると思ったその瞬間、間一髪のところで刃が宙に止まった。 「身の程知らずめ、度胸だけはあるみてぇだな。」 侵入者の首領が目の前に現れ、海妖たちはわきに退いた。その時、大きな背中がわたしを守った。 「その通りだ。お主らの相手は、この荒川の主が務めよう。」 にらみ合う大妖怪たちの目には、私には理解できない、何かが宿っていた。 |
宿命
彼が身にまとっているのは、海を征服した時につけていた鎧。小さい頃、その凛々しい姿を見たことがあったわ。 広い海を征服した武勇伝を開いて、必ず彼を越えてやるんだって心に決めたの。 海よりもずっと広い世界を征服するんだって。 あの鎧をまとっている彼は、いつも荒川を侵す妖を相手に、一人で勇ましく戦ってたわ。来る日も来る日も、戦い続けた。 その背中を見てるだけで、私たちは安心できたの。 荒川の主の辞書に、逃げるという言葉はないわ。 首領としての責任、戦士としての誇りのため、彼は戦わなきゃならなかった。 でもあの時、彼はこう言った。 「これが最後の戦いだ。」 まるで自分の宿命を知ったかのように、武器を握り直した。 それは彼がずっと大事にしてきた刀、海国作だった。その凍てつくような輝きを、あの時初めて見たわ。 「この刀はよき友から譲り受けた。鈴鹿山の妖はこの海国作のように粘り強い。海妖どもの手先になど成り下がれようか。」 「その友とやらも死んだに違いないぜ」 |
血戦
「ちび、お前は荒川の主になりたがっていたな。願いが叶う時だ。荒川の民を都まで連れて行け。我は後からついて行く。」 私はかたくなに首を振った。 「荒川の主は逃げたりしない!ここで最後まで戦うわ。」 普段は厳しいのっぽの目が、優しくなった。 「忘れるな。荒川の主の真の役目は、荒川の民を守ることだ。」 涙を流しながら振り返り、あたしは走り出した。のっぽには反抗し続けてきたけど、初めて彼の言う事を聞いた。 海妖が後から追ってくる。のっぽが一人でその行く手を阻んだ。 荒川の妖たちの身を案じて、彼はどんどん武器を投げ出し、海国作だけを残した。 高所から飛び込んできた海洋の首領の攻撃を、彼は海国作で受け止めた。 「負けるって分かってんのに、なんでまだ戦うんだ?」 歯を食いしばり、彼は百年貫いてきた信念を口にした。 「我こそ荒川の主であるからだ!」 |
守護
逃げながら、遠くにいる荒川の主を振り返る。 彼は静かに佇み、今まで守ってきたすべてを見下ろしていた。 攻めてくる海妖たちは、大妖怪の力に怯えて足をすくませている。 英雄は倒れないんだ。おとぎ話にあるとおり。 「底知れぬ気迫。お前は海国作に相応しい大妖怪だ。」 海妖の首領は大きな剣を拾い、軍隊を撤退させ、どことなく寂しげに霧の中に消えていた。 |
英雄
荒川の妖たちと逃げている途中、海妖の待ち伏せに遭った。怪我を負った時に、頭の中でいつもの声が響いた。 荒川の主として大切なのは名声ではなく、みなを守ることだ。 あんなに近かったのに、今ではどこにいるのか分からない。 のっぽの馬鹿…。壁みたいに鬼船と海妖たちの行く手を阻んでいる。 それに比べて、みんなを連れて逃げることすらできない私は、なんて情けないんだよ… もう一度会いたい。ここで倒れちゃだめ、彼が帰ってきたら、彼が守ってきたすべてをそのまま返してあげるの。 一匹の海妖が口を大きく開けて襲いかかってきたけれど、それ以上攻撃してくることは無かった。 その妖しい目に最後に映ったのは、空にも届きそうなくらい荒ぶる波だった。 荒川には守り手がいなくなってしまったって、妖たちはひっそり泣いている。 私は首を横に振った。 「あの人は荒川の主じゃなくて、荒川の英雄よ。英雄はね、ぜったいに倒れないのよ。」 都に来てからも、毎日夕日を見に行ったわ。けれど、遠くの山が海の化物に見えることはもうない。 いつか必ず帰ってきて、私の頭を撫でながら、笑って言うの。 「さすが、荒川の主だ。」 |
海国篇・名も無きの巻き
第一段階
砂浜で、貝の小妖が悠悠と荒川での日常を語っている。【貝の小妖】 「はぁ~太陽が海の向こうに滑り込んだなぁ。また退屈な一日で終わってしまった。」ここは荒川だ。僕は生まれた時から、ここで暮らしてきた。平淡な毎日が数百年と続いたけど、荒川の主様に守られ、みんなが穏やかで幸せな生活を送っていた。【貝の小妖】 (もちろん、仕事もしなくて済むなら、まじで完璧だぜ!)【貝の小妖】 「あれ?どうしてみんな集まってるの?」【金魚先生】 「ああ、貝ちゃんか……待てよ、さては今日も稽古をサボったな?毎日がこれじゃあ、万が一戦争が起きたらどうするつもりだい?」【貝の小妖】 「世界の平和を守るなんて、大妖怪たちに任せればいいじゃん。それに、悪い奴が本当に現れたとしても、僕のことが大好きな水妖のお姉さんならきっと守ってくれるさ!」【海魚の妖】 「水妖のお姉さんよ、貝ちゃんに何かを言って──」【水妖の娘】 「なんでもしますから、お願い、荒川の主様に私をもっと見て欲しいわ!」【貝の小妖】 (あれ、荒川の主様もここにいるの?)【貝の小妖】 「あっ、いったたた!……へっ、金魚姫の扇子?」【金魚姫】 「金魚大将、行け!」【荒川の主】 「無駄だ。隙だらけだ。」【貝の小妖】 「あああ!痛っ!なんで僕ばかり扇子に打たれるんだよ!」【金魚姫】 「あんたなんか大っ嫌いだ……フン、のっぽが!絶対に倒してやる!いつか巨大な金魚船で荒れ狂う大波に乗って、荒川の本当の主になってやるんだから!」【荒川の主】 「志は立派だが、荒川の主にとって最も大切なのは守る決意だ。称号ではない。」【金魚姫】 「……私を馬鹿にするような奴らなんか守りたくない!」【貝の小妖】 「金魚姫、もう行っちゃうの?」貝の小妖は金魚姫が離れていく姿を見つめた。【選択肢】 1-1.妖たちと雑談する 2-1.金魚姫を探しに行く |
1-1.妖たちと雑談する
【貝の小妖】 「あれ、荒川の主様も行っちゃったのか……」【水妖の娘】 「こうして荒川の主様の後ろ姿を眺めることができるなんて、本当に幸せだわ。彼のおかげで、私たちは平和に暮らすことができたのよ。」【海魚の妖】 「そりゃ、本当か?荒川の主様はいつも怖そうで、とてつもなく強いと聞くから、私らじゃあ近寄りがたい!」【金魚先生】 「オホホ、あれくらい強い力がなければ、荒川の主にはなれんぞ。百年前の荒川は、今とは違ったのじゃ。昔、荒川の河川は海と繋がり、波が荒れ狂い、無数の水族たちはここで暮らしていた。じゃが、荒川の妖怪たちは殺し合いを好んでいた。戦いが起きるたびに、河川はいつも真赤に染まっていてな。みんなが分かっていたのじゃ、荒川には主が必要だったと。紛争を終わらせてくれる主が……」【貝の小妖】 「ってことは、伝説の強者は荒川の主様だったの?」【水妖の娘】 「そうよ!荒川の主様が初めて荒川に訪れたときは鎧で身を包み、手に宝刀を輝かせ、神の域に達する武徳の持ち主だったそうよ。彼はこの河川で、戦闘を好む妖怪たちに宣戦したの。その戦闘が続く限り、荒川の河川は赤く染められていた。彼と渡り合える大妖怪が全て倒されるまでね。」金魚姫は妖怪たちが集まるところに戻ってきた。【金魚先生】 「……あれから、彼は荒川の主となった。この地は英雄に守られ、穏やかで楽しい場所になったのじゃ。」【金魚姫】 「何言ってるの?のっぽが伝説の英雄だなんて、そんなわけないでしょ!それに、あれはもう遠い昔のこと!これからの荒川には新たな大英雄が現われるの。そう、この私よ!」【貝の小妖】 (荒川の主様の話を聞くたびに、何か言い返さないと気が済まない金魚姫って、本当に変な奴だな……)【金魚姫】 「ホホ、まだまだ子供じゃな。君にはわからんだろうよ。荒川の主様が稀代の神器を手にし、身を鎧で包む勇ましい姿を!」【金魚姫】 「何のこと?」金魚姫は目の前にいる貝の小妖を叩き飛ばし、金魚先生の話の続きを急いで聞きだそうとしている。【選択肢】 1-2.抵抗 1-3.抵抗しない |
1-2.抵抗
妖怪たちが次々と金魚姫に叩き飛ばされ、河に落ちてしまった。【貝の小妖】 「何するんだよ!金魚姫め……うう!痛っ!僕を河まで叩き飛ばすなんて!まあいいや、別に悪いことばかりでもないし。このまま流されていけば、明日、明後日、そのまた明々後日の稽古にも参加しなくて済むからな……」僕は河の水の流れに身を任せて、悠悠と漂い始めた。【貝の小妖】 「眠い。熱い。まるで体が乾びくような感覚……それでも、動きたくないなぁ……このまま……そう……」やり直し |
1-3.抵抗しない
金魚姫が近寄り、妖怪たちが海国作と鎧の話を聞きだそうとしている。【金魚姫】 「さっき言ってた、のっぽが持っている秘密武器って何?そんな物一度も見たことがないわ。どこかに隠してるの?」【金魚先生】 「あれは見たければすぐに見れるもんじゃないぞ。言い伝えによると、荒川の主様がまだ若い頃、すでに全ての河川や海を遍歴し、邪悪な妖怪を討伐していたそうだ。その力強さは、荒れ狂う大波も踏みならせるほどのものだった。」【金魚姫】 「じゃあ、その秘密武器は?」【金魚先生】 「やれやれ、そう急かすな。あれは荒川の主様の戦利品なのじゃ。ある日、荒川の主様は大波のなかで、巨大な魚に出会ったのだ。魚の腹から、金色の光がキラキラと輝いていた。彼はその巨獣に追いつき、朝から晩までまる一日……いや、三日間戦って、やっと奴をねじ伏せた。巨獣が逃げる前に、金色の光を吐き出した。それがあの宝刀──金色にまるごと包まれた海国作なのじゃ!そして荒川の主様はある物を見た……ある物を……あれ?困ったもんだ、思い出せんわい。」【金魚姫】 「あぁもう、いつも中途半端に途切れるんだから。焦れったいわね……」金魚先生は惜しそうに頭を掻いた。【貝の小妖】 (その後も、荒川の主様の物語は僕たちの期待を裏切らなかった。荒川の主様の力は荒れ狂う荒波を起こすこともできる。彼は大波に立ち、鎧で身を固め、まるごと金色の光に包まれた海国作を持ち、何事に対しても恐れを見せなかったそうだ。)荒川が海国作を手に入れた時、巨獣と共に大波が退くと、前方に宝刀の持ち主が現われた。【貝の小妖】 (その時、荒川の主様は自分の相手として相応しい人物に出会ったんだ。荒川の主様にとって、今までの相手はみんなくだらない奴らばかりで、ようやく対等に戦える機会が訪れた。戦闘はまるごと三日間も続いた。二人の刃が裂け、両腕が血に染まる時まで……)【貝の小妖】 「気になるなぁ……荒川の主様をそこまで楽しませた相手は、一体どんな奴だったんだろう?」【金魚先生】 「我々がお目にかかることはもうないかもしれんな。ホホ。」【金魚姫】 「フン、もういいわ。どうせ嘘に決まってる。」【水妖の娘】 「あ……な、何あれ……」【貝の小妖】 「怖い!どうして山奥に黒い霧が漂っているんだ?」【海魚の妖】 「黒い霧……嫌な予感がする……」【金魚先生】 「見ろ、海にも嵐が起きているぞ!」【金魚姫】 「えっ!まさか──」 |
2-1.金魚姫を探しに行く
【貝の小妖】 「金魚姫!これ、君の扇子だろ?」【金魚姫】 「……ありがとう、貝ちゃん。ねえ、さっきあいつらと一緒に私を笑ったりしてないわよね?」【貝の小妖】 「もちろんしてないよ!でも、どうして何度も何度も荒川の主様に決闘を挑むの?」【金魚姫】 「私だってあいつなんかと決闘したくないわよ……でも私の夢は世界征服だから、ふふふん。まずは堂々と荒川の主にならなくちゃ!」【貝の小妖】 「えっ?」【金魚姫】 「荒川の主は英雄の称号よ。いつも私をいじめるあの馬鹿には相応しくないわ。」【貝の小妖】 「あれ?でも……」【選択肢】 2-2.荒川の主は正真正銘の英雄だ。 2-3.なぜ荒川の主をのっぽと呼ぶ? |
2-2.荒川の主は正真正銘の英雄だ。
【貝の小妖】 「あの御方は正真正銘の英雄だよ。そもそも、荒川の主の称号ってそんなに重要かな?」【金魚姫】 「当然よ。荒川の主になれるのは、英雄だけなんだから!昔、荒川の波が荒れ狂って、妖怪たちが殺し合いばかり続けていたの。争いが起こるたびに、河川はいつも真赤に染まっていたわ。そして、ある偉大な英雄が現われ、紛争を終わらせたのよ。私はそんな英雄になるの!」【貝の小妖】 「でも、戦いなんてとっくに終わってるよ?」【金魚姫】 「だから、他のやつらが私を馬鹿にするのよ……妖怪さえ現れてくれれば、金魚大将で証明してやるんだから。私は本気だってことを!まあいいや、どうせあんたにはわからないでしょ。」【貝の小妖】 「あれ、金魚姫……どこに行くつもり?本当に精力旺盛な奴だなぁ。やっぱり水妖のお姉さんたちのところに戻って情報を聞きだそう。」「1-1.妖たちと雑談する」に続く |
2-3.なぜ荒川の主をのっぽと呼ぶ?
【貝の小妖】 「偉大な荒川の主様のことを、どうして馬鹿って呼んでるの?」【金魚姫】 「フン、馬鹿は馬鹿でしょ!荒川の主は英雄の名称よ。あいつなんかに譲らないんだから……」【貝の小妖】 「えっ」【金魚姫】 「昔の荒川は少しも平和じゃなかった。水妖たちは争いの無い、穏やかな生活を送ることを望んでいたわ。そこである英雄が現われ、妖怪同士の紛争を終わらせたの。その者こそが本当の荒川の主よ!」【貝の小妖】 「僕も聞いたことがある!」【貝の小妖】 (あれは確か、水族の間に伝わる暴れん坊の強者の伝説……)【貝の小妖】 「あれっ?いつの間にいなくなったの、金魚姫?まあいっか。やっぱり水妖のお姉さんたちのところに戻ろう。」「1-1.妖たちと雑談する」に続く |
第二段階
【貝の小妖】 「何かが黒い霧の中から僕たちに向かってきてるう……真っ黒な鬼船のようだけど?」【金魚先生】 「まさか!奴らは海国の妖怪じゃないか!」【貝の小妖】 「海国?それはここより遥か遠い場所にあるんだろう?月の光も届かぬ彼方、嵐が吹き荒れる深い海……」海国の鬼船は荒川の岸辺の暗礁を砕いた。沿岸からは震える哀鳴が聞こえてくる。【貝の小妖】 (あの妖怪たち、固い鎧を着てて、鋭い刀も持ってる。穏やかな生活に慣れきった僕たちに勝ち目なんて……)【金魚先生】 「君たちはなぜ、荒川の主様の領地を遅い、我々を傷つけるんじゃ?」【海国妖怪】 「おまえらに分かる必要などない。おとなしく降伏すればよいのだ!」【金魚姫】 「フン、そんな大口はまずこの私に勝ってから言え!」【貝の小妖】 「待って、金魚姫!前に行くな、危険だ!」【金魚姫】 「やだよ!危険であればあるほど、私の強さが証明されるんだから!」【貝の小妖】 「金魚のお爺さん、どうしよう……ここはもう死体だらけだ。仲間を大勢失くしてる……」【金魚先生】 「ここを守り抜け、英雄を……信じるのだ……」【貝の小妖】 「あっちこっちから黒い煙が……もう……何も見えない……」【金魚姫】 「目障りな海妖ね、あんたたち!私の金魚大将があんたらを一匹残らず叩き潰してやるわ!」この時、ある威嚇的な力が荒川の上空を覆い被った。【金魚姫】 「何?何が起きてるの?体が冷えていく……」【貝の小妖】 (僕は、奇異な武器を持ち、長い角が生えたよ大な妖怪が遠くに現れたのが見えた。彼は僕たちを見下ろし、それはまるで水たまりにいる沙虫を眺めるようだった。)【海国妖怪】 「若様!岸辺にいる小妖たちを一匹残さず殺しちまいましょう!」【???】 「いや。降伏しようとしない者だけを征服すればよい。」【海国妖怪】 「承知致しました、若様。」【貝の小妖】 「あの大妖怪はおっかないよ!金魚姫、早く逃げよう!」戦を前にして、あなたは逃げるか、それとも戦うか?【選択肢】 1-1.逃げる 2-1.戦闘する |
1-1.逃げる
大嶽丸が起こした風波はあなたを吹き飛ばした。【貝の小妖】 (怖い、勝てない、諦めたい……)【貝の小妖】 「金魚姫、ご、ごめん!僕は、あ──!」大妖怪は強大な妖気を放った。僕は天地が回ったように感じて、体が宙に浮いていた。僕は戦火と硝煙に覆われた荒川から遠く離れた場所にいるような気がした。巨大な壁のような波が押し寄せてきて、僕は貝の中に身を隠した。もう外に出たくない。僕はただ静かに長い夢を見たいと思った。目覚めるとき、そこにはいつもの平穏な荒川であるだろうと……やり直し |
2-1.戦闘する
【金魚姫】 「貝ちゃん!付いて来て!一緒に嫌な連中を叩きのめしてやるのよ!」【貝の妖怪】 「金魚姫……僕は、僕はもうだめだ!あいつらには勝てっこない……」【金魚姫】 「諦めちゃダメ!荒川のみんなを守りたくないって言うの?」【貝の小妖】 「僕は……」【海国妖怪】 「海国の力の前では、どう足掻いても無駄だ!大人しく降伏しろ!」【金魚姫】 「戯言ね!私はこれから荒川を支配する者なのよ!あんたらの方が私に征服されるんだから!喰らえ!」【海国妖怪】 「身の程を知らねぇ小娘が!」【金魚姫】 「きゃー!あぁぁ……私の扇子が!あぁ、いった……」【選択肢】 2-2.逃げる(1-1.逃げるに続く) 2-3.戦闘する 2-4.援軍を呼ぶ |
2-3.戦闘する
【貝の小妖】 「ううう……どうしよう、海国の妖怪がどんどん増えてきて、もうとても適わない……くやしい、どうして今まで稽古をサボってきたんだろ……」【金魚姫】 「怖がらないで!私は絶対、絶対にみんなを守るから!」侵入者の首領が僕たちの前に現れた。海妖たちは彼らの傍らに退いた。【大嶽丸】 「まだ降伏する気はないのか?身の程知らずめ、度胸だけはあるようだ。」【貝の小妖】 「こわい……誰か、助けて……」大きな姿が僕たちの前に立ち、みんなを背後へと庇った。【金魚姫】 「のっぽ、どうしてあんたが……ということは、あれは夢じゃなかったんだ……」【金魚姫】 「金魚姫……どうしたの?」【金魚姫】 「荒川の平和はあまりにも長すぎた。私はのっぽが大英雄だってことすら忘れ、ただの夢だと勘違いしていたのね……乱戦が続く日々の中、身を鎧で包んで、毎日毎日荒川を守って……みんなが見れば安心するようなあの背中の持ち主は……あいつだったのに……」荒川の主様は凛々しい鎧姿で、突然戦場に現れた。彼は僕たちの前に立ち、伝説の英雄とまったく同じ後ろ姿を見せる。【貝の小妖】 (なんだか……荒川の主様さえいれば、みんなが安心できるような気がする……)【荒川の主】 「これが最後の戦だ。」荒川の主様は自分の武器を握りしめた。【貝の小妖】 (あの冷たく光っている武器が……海国作だろうか?)あの海妖の首領も荒川の主様が握る巨大な刃に気づいたようだ。【大嶽丸】 「……」【荒川の主】 「この刀はよき友から譲り受けた。鈴鹿山の妖はこの海国作のように粘り強い。海妖ともの手先になど成り下がれようか。」【大嶽丸】 「その友とやらも死んだに違いないぜ」【貝の小妖】 (なんだか……彼らは互いのことをよく知っているように感じる。)海妖の首領は手を出さずに、ただ高いところから戦場を見下ろしていた。【貝の小妖】 (僕の見間違いかな?彼の目に少し動揺が……)海妖の首領は目を閉じ、何かを考えていた。だがすぐに再び開き、何かを決意したようだ。【貝の小妖】 (あれは……彼の両目には、冷たい殺意しか残っていない……)【貝の小妖】 「荒川の主様!どうかお気を付けて!」 |
2-4.援軍を呼ぶ
【貝の小妖】 「もう迷ってはいられない、荒川の主様を探してくる!」僕はよろめきながら遠くまで走っていくと、荒川の主様が刀を抜く瞬間を目にした。【貝の小妖】 「荒川の主様!僕たちを助けてください!荒川と……みんな……僕はどちらも失いたくないんです……」荒川の主様は言葉を発しなかった。だが一瞬、僕は荒川の主様の体に眩しい鎧がまとったのが見えた。【貝の小妖】 (なんて強い妖気……目が……目が開けられない……)凛々しい鎧を身に着け、冷たい光を放つ海国作を手にする荒川の主様の姿を、僕は初めて見た。「2-3.戦闘する」に続く |
第三段階
海国の妖怪がますます増え、荒川のみんなを包囲した。【荒川の主】 「ちびよ、ずっと荒川の主になりたがっていただろう。その願いが叶う時が来たのだ。荒川の民を都まで連れて行け。私は後で追いかける。」【金魚姫】 「いやよ!そんなのいや!荒川の主たる者、逃げてどうするの。私は残って最後まで戦うから!」【荒川の主】 「忘れるな。荒川の主の本当の役目は、荒川の民を守ることだ。行け、ちび。」ずっと敵陣に突っ込もうとしていた金魚姫が初めて躊躇した。彼女は一瞬沈黙して、体を震わせはじめた。【貝の小妖】 「金魚姫……泣いてるの?」あなた、金魚姫と一緒にいく、それとも荒川様と一緒に戦う?【選択肢】 1-1.金魚姫と逃げる 2-1.荒川とともに戦う |
1-1.金魚姫と逃げる
【金魚姫】 「私についてきて。この細い逃げ道は都と繋がってる!」【金魚先生】 「はやく走れ……ごほっ、ごほっ!はあ、逃げる時くらい速く動かんかい!」【水妖の娘】 「でも本当にもう走れない……うう、荒川様は私たちを見捨てたの?」【金魚姫】 「そんなことないわよ!後からくるって、のっぽも言ってた。」【水妖の娘】 「でも……妖怪があまりにも多くて、もう荒川様の姿が見えない……」【金魚姫】 「本当に無茶なんだから!でも、もし私があの立場だったら、きっと同じようにしていたわ。」【貝の小妖】 「か、海妖どもが追いついてきた!足を止めるな!」【金魚姫】 「ぐ……ぐうっ、しぶとい奴らね……はやく!私たちは先に都へ急ごう。向こうであいつを待つのよ!」【海国妖怪】 「降伏しろ。おまえらの負けだ!」【貝の小妖】 「嘘つけ!荒川様は暴れん坊の強者だ!負けるはずないだろ!」【水妖の娘】 「そのとおりよ!それに、私たちには、金魚姫がいるから!」【海国妖怪】 「このちびが?はははは!」【金魚姫】 「うるさいわね!あんたにちびって呼ばれる筋合いは無いわ!私、絶対みんなを都まで連れていくんだから。」【選択肢】 1-2.金魚姫に助力する 1-3.荒川に助力する |
1-2.金魚姫に助力する
【海国妖怪】 「はは!もう逃げ場はねぇぞ!」【金魚姫】 「逃げる?逃げていないわ。」【海国妖怪】 「ほう!偉そうな口を──あっ!なぜだ、俺の武器が折れただと!」【金魚姫】 「……」【貝の小妖】 「金魚姫が……いつもと違うみたいだ。」この時、僕の目に映る金魚姫は、英雄の夢ばかりを見ていたあの小娘ではなくなっていた。彼女の足元からは、荒波がゆっくりと渦巻いて起き上がってきたのだ……【海国妖怪】 「お前、いったい何者だ!荒波を操れるとは!」【金魚姫】 「私……私が誰って?私は……私はただ、民を守りたいちび妖怪よ……」【貝の小妖】 「金魚姫、気をつけろ!」【金魚姫】 「絶対に、みんなに指一本触れさせないんだから!」【水妖の娘】 「ううぅ……都についてからもう半月経ったのに、荒川の主様がまだ来ていない。」【貝の小妖】 「でも本当にもう走れない……うう、荒川様は私たちを見捨てたの?」【金魚姫】 「あいつは荒川の主じゃない、荒川の英雄よ。英雄は、永遠に倒れたりしないわ。」【金魚先生】 「おや?金魚姫がまたどこかに行ってしまったのかの?」【貝の小妖】 「待ってよ、金魚姫!」【金魚姫】 「都の夕陽と山々は、荒川にちっとも似てない……のっぽ、あんたは本当に、ずるいよ……」【貝の小妖】 「……金魚姫、荒川様は本当に来ると思う?」【金魚姫】 「来るわ。いつか必ず。あいつは誇り高く戦から戻ってくる。そして私の頭を撫でながら、微笑んで言うのよ──「さすが荒川の主だ」って。」 |
1-3.荒川に助力する
【貝の小妖】 「だめだ、僕はやっぱり荒川の主様のところに戻って戦いたい……」【金魚姫】 「貝ちゃん、待って──」僕は荒川の主様がいるところに向かって走り出したが、邪悪な海妖たちが僕の進む道を塞いだ。【貝の小妖】 「ここで終わってしまうのか……?」海妖たちに噛まれ、僕は遠い彼方を眺めた──海国作を手にした荒川の主様は臆することなく、海妖の首領と戦っている。【貝の小妖】 「これで……少しは荒川の主様に近づけたのかな……」やり直し |
2-1.荒川とともに戦う
怒り狂う波が空に向いて湧き上がり、海妖の首領が高いところから飛び降りてくるのが見えた。【海国妖怪】 「殺せ、殺せ!荒川の主が死ねば、ここは若様の領土になる!」【貝の小妖】 (どうして僕はこんなにも弱くて、暗礁の隙間に隠れることしかできないんだろう……)海妖たちが両側に下がり、首領のために道を空けた。【貝の小妖】 「荒川様!どうか気を付けて!」鬼船の行く道を阻む荒川様のお姿はとても勇ましかった。まるでこの世界には、彼と彼の手にある海国作を止められるものなどまったくないような勢いだった。【貝の小妖】 「あああ──」二名の大妖怪が刃を交わし、引き起こされた妖気の風が、僕を一瞬で飛ばしてしまった。【選択肢】 2-2.隠れる 2-3.荒川に助力する |
2-2.隠れる
海妖の首領の攻撃は凄まじく、荒川の主様から流れ出た血は、徐々に、大地を赤く染めていた。【貝の小妖】 「荒川様が傷を負った……くそ、海妖どもめ、かかってこい!荒川様を傷つけるな!」しかし、僕の力はあまりにも弱く、身近の海妖を倒すことすらできなかった。このとき、荒川の主様が最後の力を振り絞って海妖の首領と戦っているのが見えた。荒川の主様の目には敵の大妖怪の複雑な表情が映っていた。奴は遥か遠い過去の出来事を見ているような表情だった。【大嶽丸】 「負け戦だと承知のうえ、なぜ諦めぬ?」荒川の主様はすこしも動揺した表情を見せなかった。【荒川の主】 「荒川の主!」刃を構える彼らの目には、僕にはわからない感情が宿っていた。海国の大妖怪の目にはすこし疚しい感情が一瞬掠れたが、彼はすぐに刃を振り下ろした。そして、飛び散った血が彼らの瞳を赤く染めた。【貝の小妖】 「荒川様!ううう……」【海国妖怪】 「俺たちの勝ちですね!あれ、荒川の主って奴は若様によって殺されたはずでは?」【大嶽丸】 「……」ある海国の妖怪が前に出て、荒川の主様に触れようとした。【大嶽丸】 「手を出すな。」あいつは荒川の主じゃない、荒川の英雄よ。英雄は、永遠に倒れたりしないわ。海妖首領が微かに会釈し、自分の刃を拾いあげたが、海国作を荒川の主様の傍に残した。【海国妖怪】 「若様、とどめを刺さないのですか?」【大嶽丸】 「もう反撃の気力も残っていない。放っておけ。お前らは己の役目をしっかり胸に焼付け、さっさと済ませてくるのだ。その消えぬ気迫。お前は海国作に相応しい大妖怪だ。」海妖首領は軍隊の撤退を命じた。鬼船に立つ彼の寂しげな姿が、海霧の奥へと徐々に消えていった。 |
2-3.荒川に助力する
【貝の小妖】 「荒川の主様!共に戦わせてください!あれ……僕の殻が奴らの死体に挟まれちゃった!身動きが取れない……」荒川の民でありながら、荒川の主様が一人で敵と戦うのを見ていること以外なにもできない。お天道様は恩返しの機会もくれないのか……やり直し |
第四段階「荒川の名を持って」
「まずい!渦の封印はまだ完全に起動できていない!」「まさか、もうなす術はないのか?」「海国作だ!私の力をすべて、その刀に委ねられるのなら──」荒川の守護者よ、結界の力が衰えてゆき、海国作の輝きはもうじき消えていく。信念のみが、再び希望を灯せるのだ。運命は定められているやもしれん。だが、硝煙の中なら、転機の兆しが見えるだろう。【選択肢】 荒川を助け、報酬を受取る |