【陰陽師】須佐之男(スサノオ)の評価・おすすめ御魂・出現場所
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「須佐之男(スサノオ)」の評価、ステータス、スキルを掲載!須佐之男の特徴を確認して、陰陽師の攻略に役立てよう!
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「須佐之男」の基礎情報
総合評価 | 10.0/10.0点 |
PvE評価 | 10.0/10.0点 |
PvP評価 | 10.0/10.0点 |
レア度 | |
攻撃タイプ | 単体攻撃 単体牽制 |
入手方法 | 召喚 百鬼夜行 |
登場場所 | - |
声優・CV | 日本語:内山昂輝 中国語:金弦 |
中国名 | 须佐之男 |
英語名 | Susanoo |
プロフィール詳細 |
覚醒前アイコン | 覚醒後アイコン |
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ダンジョン適正度
PvE評価 | PvP評価 |
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星6推奨度 | 所持しておきたい数 |
★★★★★ | 1~3体 |
活躍場所 | |
PvE&PvPバランス型 |
全コンテンツ評価
探索ダンジョン | 御魂ダンジョン | 覚醒ダンジョン |
---|---|---|
2/5点 | 5/5点 | 2/5点 |
御霊ダンジョン | 結界突破 | 闘技 |
5/5点 | 5/5点 | 5/5点 |
叢原火 | 日輪の隕 | 永生の海 |
2/5点 | 5/5点 | 5/5点 |
真オロチ | レイド | 鬼王襲来(麒麟) |
5/5点 | 5/5点 | 5/5点 |
陰界の門 | 異聞ダンジョン | 地域鬼王 |
3/5点 | 5/5点 | 5/5点 |
首領退治 | 妖気封印 | 経験値妖怪 |
5/5点 | 2/5点 | 2/5点 |
銭貨妖怪 | 石距 | 年獣 |
5/5点 | 5/5点 | 5/5点 |
イベント(※) | ||
5/5点 |
※イベントによって点数が大幅に左右される
「須佐之男」のスキル
スキル1:雷霆式
詳細 | |
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消費鬼火 | 0 |
効果 | 天罰は下された。 雷霆の力を集め、敵目標に攻撃力の100%相当のダメージを与える。 |
レベルアップ時の効果 | |
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Lv2 | ダメージが105%にアップ |
Lv3 | ダメージが110%にアップ |
Lv4 | ダメージが115%にアップ |
Lv5 | ダメージが125%にアップ |
スキル上げ優先度 |
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★☆☆☆☆ |
スキル2-1:神の領域(パッシブ)
詳細 | |
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消費鬼火 | 0 |
効果 | 体は雷雲、息は嵐、骨は雷。 唯一効果。 ターン開始時、6振の神剣・天羽々斬を獲得する。天羽々斬が存在する限り、自身以外の非召喚物の味方がスキル「天威」を獲得する。須佐之男が敵式神に致命的なダメージを与える時、優先的に敵式神を雷塚として鎮圧する。 【覚醒後】 戦闘開始時にも神剣・天羽々斬を獲得する。【雷盾】 [バフ、印]一定量のダメージを吸収できる。駆除不可。【唯一効果】 同じ式神が複数いても、このスキルを発動するのは一体のみである。【雷塚】 行動不能、御魂とパッシブスキルを発動させない、HPは須佐之男の初期攻撃力の150%に相当。雷塚が撃破された後、鎮圧された式神がHP1で復活する。敵に雷塚しかない時、戦闘勝利と見なされる。同じ式神に対してこの効果は1回しか発動できない。 |
レベルアップ時の効果 | |
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Lv2 | 「天威」のダメージが攻撃力の231%にアップ |
Lv3 | 「天威」目標の御魂効果を無視する |
Lv4 | 「天威」発動時、須佐之男が攻撃力の49%相当の雷盾を獲得する、2ターン持続、最大2重。 |
Lv5 | 雷盾を獲得していない場合、闘志を燃やし、「天雷万象」の毎回のダメージとダメージアップの上限を追加で20%アップさせる。 |
スキル上げ優先度 |
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★★★★☆ |
スキル2-2:天威
詳細 | |
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消費鬼火 | 0 |
効果 | 自身以外の非召喚物の味方がターン開始時に発動可能。 槍が空を切り裂き、威名が天下に鳴り響く。行動不能状態でない限り、須佐之男が神剣・天羽々斬を使って敵を攻撃する。味方はこの攻撃を協戦できない、同時にこのスキルを発動する味方はこのターンにダメージを与えられない。 【発動】 天羽々斬を1振消費して発動し、敵目標に須佐之男の攻撃力の211%相当のダメージを与える(このスキルを発動する味方の初期攻撃力の400%を超えない)。 |
スキル3:天雷万象
詳細 | |
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消費鬼火 | 3 |
効果 | 神は天界に座し、罪人は地獄に囚われる。 雷霆もまた、神の御心のままに。天雷の力を集め、空をも切り裂く槍とし、敵目標を6回攻撃し、毎回攻撃力の60%相当のダメージを与える。敵の最大HPが須佐之男よりも高い場合、最大HPの差10%につき、今回ダメージが3%アップする、最大50%。 |
レベルアップ時の効果 | |
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Lv2 | ダメージアップ効果は65%を超えない |
Lv3 | 毎回のダメージが70%にアップ |
Lv4 | ダメージアップ効果は80%を超えない |
Lv5 | 毎回のダメージが80%にアップ |
スキル上げ優先度 |
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★★★☆☆ |
スキル上げ優先度について |
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★★★★★:最優先で上げた方が良い(上げないと使えない) ★★★★☆:上げないと使えない場合がある ★★★☆☆:上げた方が良い ★★☆☆☆:優先度は低い ★☆☆☆☆:上げなくても良い |
「須佐之男」が覚醒して得られる効果
覚醒して得られる効果の詳細 |
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スキル2「神の領域」追加戦闘開始時にも神剣・天羽々斬を獲得する。 |
「須佐之男」の強い点
高HPにも強い高火力6回攻撃
須佐之男のスキル3は、敵単体に6回攻撃を行うのでワンパン性能が高い。さらに敵のHPが須佐之男のHPを10%上回るごとにダメージが3%ずつ上昇し、最大80%まで増加するため、単体に対して最大960%のダメージを出すことが可能(雷盾がない場合は最大1,200%)。
PvPでは高HPの耐久式神に強く、PvEではボス系の敵によりダメージを出していくことが可能。
味方ターンで御魂無視攻撃が可能
須佐之男のスキル2は、味方ターン中に天威スキルを選択することで、鬼火や行動ターンを消費せずに攻撃できる(須佐之男の御魂効果有効)。天威を使った場合、味方は敵にダメージを与えることはできないが、補助式神が使うことでデメリットほぼなしで御魂無視攻撃が可能。
天威スキルは毎ターン6回(天羽々斬の数)まで使うことができるので、天威スキルだけで敵を倒すことも可能。御魂無視は、青女房や返魂香、鏡姫、地蔵の像のような厄介な御魂の影響も受けない点が非常に優秀。
天威スキル使用後にバリア付与
味方ターン中に天威スキルを使用した場合、須佐之男は自身に駆除不可のバリアを付与する。天威を使用する必要はあるものの、耐久力が大幅に上昇するので非常に強力。
須佐之男が敵撃破で雷塚に変化
須佐之男が敵に致命ダメージを与えると敵を雷塚に変化させる。雷塚が倒されるとHP1で復活するが、攻撃される前に全体を雷塚にすることで勝利することも可能。
雷塚は、驍浪荒川の主や入内雀の腐血、帝釈天を初め、二段階目がある不知火や空相面霊気、神堕オロチなどにも非常に有効。驍浪荒川の主であれば不動の守護、帝釈天であれば金蓮を付与していても強制的に雷塚にすることができる。
二段階目がある不知火や空相面霊気は、一段階目の状況でも雷塚にすることができる。不知火は復活時に結界が切れた状況になり、神堕オロチの場合は復活時に本体の状態になるなど、もし復活させてしまっても有利な状況は続く点が優秀。
「須佐之男」の弱い点
パッシブ封印に弱い
須佐之男はパッシブ封印をされると天威スキルやバリアに加え、敵を雷塚にすることができなくなる。そのため、敵にパッシブ封印式神がいる場合は、デバフで制御するか共潜やデバフ駆除式神を編成しておくと安定する。
「須佐之男」に装備させるオススメ御魂
PvEオススメ御魂(アタッカー)
御魂 | セット/効果 |
---|---|
狂骨 |
【狂骨×4 + 会心×2】ダメージ与える時、鬼火1点を持つごとに、ダメージが8%アップする。 |
海月の火の玉 |
【海月の火の玉×4 + 会心×2】鬼火の数が上限に達すると、妖術発動時に追加で鬼火1点を消費し、ダメージが40%アップする。 |
隠念 |
【隠念×4 + 会心×2】与ダメージが20%アップ。同じ目標に複数回ダメージを与える時、ダメージが20%、40%、60%の順にアップする。 |
破勢 |
【破勢×4 + 会心×2】会心とき、40%で目標の最大HPの10%のダメージを与える。ただし、自身の攻撃力の120%は超えない。 |
心眼 |
【心眼×4 + 会心×2】ダメージを与える時、目標のHPが15%減るたびに、ダメージが10%アップする。 |
兵主部 |
【兵主部×4 + 会心×2】ターン終了後、兵刃を1重獲得、ダメージを与える時、1重ごとに目標の防御を75ポイント無視する。上限3重。 |
墓守り |
【墓守り×4 + 会心×2】HPが1%ダウンするたびに、会心ダメージが0.5%アップする。 |
御魂位置 | オプション |
---|---|
壱(左上) | 【メイン】攻撃力【サブ】会心率,会心DMG,追加攻撃力 |
弐(左) | 【メイン】追加攻撃力 / 素早さ【サブ】会心率,会心DMG,追加攻撃力 |
参(左下) | 【メイン】防御力【サブ】会心率,会心DMG,追加攻撃力 |
肆(右下) | 【メイン】追加攻撃力【サブ】会心率,会心DMG,追加攻撃力 |
伍(右) | 【メイン】HP【サブ】会心率,会心DMG,追加攻撃力 |
陸(右上) | 【メイン】会心率 / 会心DMG【サブ】会心率,会心DMG,追加攻撃力 |
御魂設置例
御魂 | 例 |
---|---|
パターン① | ①効果指標:与ダメージ └弐:追加攻撃力/素早さ └肆:追加攻撃力 └陸:会心率/会心DMG ②会心率:100% ③素早さ:128以上 |
PvPオススメ御魂(アタッカー)
御魂 | セット/効果 |
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網切 |
【網切×4 + 会心×2】攻撃時、50%の確率で45%の防御力を無視する。 |
針女 |
【針女×4 + 会心×2】会心とき、40%で目標の最大HPの10%のダメージを与える。ただし、自身の攻撃力の120%は超えない。 |
狂骨 |
【狂骨×4 + 会心×2】ダメージ与える時、鬼火1点を持つごとに、ダメージが8%アップする。 |
海月の火の玉 |
【海月の火の玉×4 + 会心×2】鬼火の数が上限に達すると、妖術発動時に追加で鬼火1点を消費し、ダメージが40%アップする。 |
隠念 |
【隠念×4 + 会心×2】与ダメージが20%アップ。同じ目標に複数回ダメージを与える時、ダメージが20%、40%、60%の順にアップする。 |
破勢 |
【破勢×4 + 会心×2】会心とき、40%で目標の最大HPの10%のダメージを与える。ただし、自身の攻撃力の120%は超えない。 |
心眼 |
【心眼×4 + 会心×2】ダメージを与える時、目標のHPが15%減るたびに、ダメージが10%アップする。 |
青女房 |
【青女房×4 + 会心×2】致命傷を初めて受けた時、すべてのバフ・デバフを解除し、100%のHPを回復させ、1ターンの間自身を氷結させる。氷結中、防御力が100%アップし、すべてのデバフを無効化する。氷結が解けた後、まだ生存している場合は再び100%のHPを回復させる。1ターンにつき1回のみ発動する。 |
日女巳時 |
【日女巳時×4 + 会心×2】ダメージを与えたとき、20%で敵の行動ゲージを30%減少。さらに敵にバフがかかっている場合、30%に上昇。 |
地蔵の像 |
【地蔵の像×4 + 会心×2】会心を受けたとき、ダメージの10%を吸収。さらに30%で他味方にも発動。挑発された目標に対する発生率が60%ダウンする。 |
兵主部 |
【兵主部×4 + 会心×2】ターン終了後、兵刃を1重獲得、ダメージを与える時、1重ごとに目標の防御を75ポイント無視する。上限3重。 |
墓守り |
【墓守り×4 + 会心×2】HPが1%ダウンするたびに、会心ダメージが0.5%アップする。 |
悲鳴鳥 |
【悲鳴鳥×4 + 会心×2】任意の非妖怪目標が倒された時、最大HPの20%が回復する。さらに戦闘終了まで、ダメージを20%アップさせる(上限120%)。 |
御魂位置 | オプション |
---|---|
壱(左上) | 【メイン】攻撃力【サブ】会心率,会心DMG,追加攻撃力 |
弐(左) | 【メイン】追加攻撃力 / 素早さ【サブ】会心率,会心DMG,追加攻撃力 |
参(左下) | 【メイン】防御力【サブ】会心率,会心DMG,追加攻撃力 |
肆(右下) | 【メイン】追加攻撃力【サブ】会心率,会心DMG,追加攻撃力 |
伍(右) | 【メイン】HP【サブ】会心率,会心DMG,追加攻撃力 |
陸(右上) | 【メイン】会心率 / 会心DMG【サブ】会心率,会心DMG,追加攻撃力 |
御魂設置例
御魂 | 例 |
---|---|
パターン① | ①効果指標:与ダメージ └弐:追加攻撃力/素早さ └肆:追加攻撃力 └陸:会心率/会心DMG ②会心率:100% ③素早さ:128以上 |
「須佐之男」のステータス
覚醒前 | 覚醒後 | |
---|---|---|
攻撃 | (184) | (197) |
HP | (992) | (1,099) |
防御 | (77) | (84) |
速さ | (102) | (112) |
会心率 | (10%) | (12%) |
会心ダメージ | 150% | 150% |
覚醒後レベル40のステータス
ステータス | ||
---|---|---|
攻撃 | 4,154 | |
HP | 11,735 | |
防御 | 494 | |
速さ | 112 | |
会心率 | 12% | |
会心ダメージ | 150% |
「須佐之男」の覚醒素材
素材 | 個数 |
---|---|
業火·大 |
10 |
風転·大 |
10 |
水霊·大 |
10 |
天雷·大 |
10 |
「須佐之男」と相性が良い&対策式神
須佐之男と相性が良い式神
式神 | 理由 |
---|---|
本真三尾の狐 |
天威の攻撃に反応して追撃を発動させることができる。 |
季 |
スキル3使用時以外であれば攻撃しないので、天威との相性が良い。 |
鈴鹿御前 |
スキル2の強制行動はダメージを与えなくても発動するので、天威との相性が良い。 |
ダメージを与えない式神全般
天威スキルを使用するとダメージを与えられなくなってしまうので、敵にダメージを与えないもしくは、与えなくても良い主にサポートやスキルでデバフを付与できる式神との相性が良い。
行動ゲージ操作式神を編成すれば、敵が行動する前に速攻で1体を倒しきることも可能。
須佐之男の対策になる式神
式神 | 理由 |
---|---|
心狩鬼女紅葉 |
味方被弾で葉燼を付与でき、1重につき攻防10%ダウン、心狩鬼女紅葉自身が攻撃を受ける時1重につき会心率を20%ダウンと大幅な弱体化が可能。 |
尋森シシオ |
絡みつくで天威スキルのダメージを無効化できる。 |
禍津神 |
天威後のバリア展開を初め、単体攻撃反射可能。 |
白蔵主 |
肩代わりで天威スキルの被ダメージを軽減。 |
御明かし |
肩代わり&HP回復で天威スキルのダメージを軽減。さらに、拘魂状態にして天威の使用を阻止し、行動不能できる。 |
蒼風一目連 |
HP40%以下で風の盾を付与できるので、耐えて再度風の盾を展開できる可能性がある。 |
空相面霊気 |
パッシブ封印で天威スキルと雷塚を封じる。 |
御怨般若 |
|
般若 |
|
閻魔 |
|
小松丸 |
|
八百比丘尼 |
須佐之男で対策できる主な式神
式神 | 理由 |
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驍浪荒川の主 |
不動の守護を無視して雷塚にできる。 |
帝釈天 |
金蓮効果を無視して雷塚にできる。 |
空相面霊気 |
2段階目に移行させずに雷塚にできる。 |
不知火 |
|
入内雀 |
憑依状態を無視して雷塚にできる。 |
「須佐之男」のオススメパーティ
パーティ例1
陰陽師/式神 | 役割 | スキル/御魂/ポイント |
---|---|---|
神楽 (6速) |
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・味方の被ダメージダウン ・味方単体を再行動 ・唐傘は延命でも可 ・安倍晴明や八百比丘尼でも可 |
||
大夜摩天閻魔 (1速) |
×4 + 命中/攻撃×2 | |
②素早さ ④命中 ⑥HP/防御/攻撃 ・敵単体を変化 └未変化の場合は閻魔の目1重追加 ・全体に閻魔の目を付与 └3重付与でCD増加 ・輪廻の薄消費か戦闘不能で無消費スキル3 ・御魂はバラ最速でも可 |
||
帝釈天 (2速) |
|
×4 + 命中/攻撃×2 |
②素早さ ④命中 ⑥HP/攻撃 ・敵1体を操作 ・味方のゲージアップ ・全体攻撃&味方のHP回復 ・雪幽魂/返魂香でも可 ・素早さ220以上 |
||
因幡かぐや姫 (3速) |
×4 + HP/攻撃×2 | |
②素早さ ④HP/攻撃 ⑥会心DMG ・祈念の力で鬼火補助 ・味方の会心DMG&効果抵抗アップ ・全体攻撃+祈念の力数に応じて追加効果 ・蛤の精でも可 ・素早さ200以上 |
||
一目連 (4速) |
|
×4 + 会心×2 |
②素早さ/HP ④HP ⑥会心DMG/会心 ・味方全体をバリアで守る └攻撃力&効果抵抗アップ&回復 ・単体にバリア付与で反撃&ゲージダウン |
||
須佐之男 (5速) |
×4 + 会心×2 | |
②攻撃 ④攻撃 ⑥会心DMG/会心 ・単体6回攻撃 ・味方ターンで御魂無視攻撃 ・敵撃破で雷塚に変化 ・素早さ128以上 |
※大夜摩天閻魔と一目連は状況に応じて、閻魔或いはダブル閻魔などに変更。
パーティ例2
陰陽師/式神 | 役割 | スキル/御魂/ポイント |
---|---|---|
神楽 (6速) |
||
・味方の被ダメージダウン ・味方単体を再行動 ・唐傘は延命でも可 ・安倍晴明や八百比丘尼でも可 |
||
白蔵主 (1速) |
×4 + HP×2 | |
②素早さ ④HP ⑥HP ・味方全体のダメージ軽減 ・味方単体のダメージ身代わり ・素早さ250以上推奨 |
||
面霊気 (2速) |
バラ最速 | |
②素早さ ④自由 ⑥自由 ・味方の行動ゲージアップ ・敵に間接ダメージ ・招き猫でも可 |
||
因幡かぐや姫 (3速) |
×4 + HP/攻撃×2 | |
②素早さ ④HP/攻撃 ⑥会心DMG ・祈念の力で鬼火補助 ・味方の会心DMG&効果抵抗アップ ・全体攻撃+祈念の力数に応じて追加効果 ・蛤の精でも可 ・素早さ200以上 |
||
帝釈天 (4速) |
|
×4 + 命中/攻撃×2 |
②素早さ ④命中 ⑥HP/攻撃 ・敵1体を操作 ・味方のゲージアップ ・全体攻撃&味方のHP回復 ・雪幽魂/返魂香でも可 ・素早さ200以上 |
||
須佐之男 (5速) |
×4 + 会心×2 | |
②攻撃 ④攻撃 ⑥会心DMG/会心 ・単体6回攻撃 ・味方ターンで御魂無視攻撃 ・敵撃破で雷塚に変化 ・素早さ128以上 |
パーティ例3
陰陽師/式神/順番 | 役割 | スキル/御魂/ポイント |
---|---|---|
神楽 (6速) |
||
・味方を再行動 ・味方のダメージダウン ・安倍晴明でも可 |
||
閻魔 (1速) |
バラ最速 | |
②素早さ ④命中/自由/攻撃 ⑥HP/自由/攻撃 ・最速で敵を封印&変幻 ・招き猫や蛤の精、火霊などでも可 |
||
大夜摩天閻魔 (2速) |
×4 + 命中/攻撃×2 | |
②素早さ ④命中 ⑥HP/攻撃 ・敵単体を変化 └未変化の場合は閻魔の目1重追加 ・全体に閻魔の目を付与 └3重付与でCD増加 ・輪廻の薄消費か戦闘不能で無消費スキル3 ・御魂はバラ最速でも可 |
||
禅心雲外鏡 (3速) |
|
×4 + 抵抗×2 |
②素早さ ④抵抗 ⑥HP ・デバフ/効果/印を1ターン短縮 ・味方全体のHPを均一化 ・HP50%分バリア/恢復/素早さバフ ・味方全体の効果抵抗アップ ・火霊でも可 |
||
因幡かぐや姫 (4速) |
×4 + 防御/HP/攻撃×2 | |
②素早さ ④HP/攻撃 ⑥会心DMG ・祈念の力で鬼火補助 ・味方の会心DMG&効果抵抗アップ ・全体攻撃+祈念の力数に応じて追加効果 ・火霊や共潜でも可でも可 |
||
須佐之男 (5速) |
×4 + 会心×2 | |
②攻撃 ④攻撃 ⑥会心DMG/会心 ・単体6回攻撃 ・味方ターンで御魂無視攻撃 ・敵撃破で雷塚に変化 ・網切でも可 ・素早さ128以上 |
パーティ例4
陰陽師 | ||||
---|---|---|---|---|
|
||||
式神(左から行動順) | ||||
バラ |
式神/行動順 | 御魂/ポイント |
---|---|
白蔵主 (1速) |
【効果指標】素早さ②素早さ ④攻撃/HP/自由 ⑥会心DMG ・PT内で一番会心DMG高く |
不知火 (2速) |
【効果指標】素早さ②素早さ ④⑥攻撃/HP/防御 |
神楽 (3~6速) |
- |
本真三尾の狐 (3~6速) |
【効果指標】与ダメージ 【会心率】100% 【素早さ】128前後②④攻撃 ⑥会心DMG/会心 |
食霊 (3~6速) |
【効果指標】与ダメージ 【会心率】100% 【素早さ】128前後②④攻撃 ⑥会心DMG/会心 |
須佐之男 (3~6速) |
【効果指標】与ダメージ 【会心率】100% 【素早さ】128前後②④攻撃 ⑥会心DMG/会心 |
「須佐之男」の伝記(ネタバレ注意!)
伝記一
渦巻く雷雲を抜け、俺は雷鳴とともに人の世へ降り立った。穏やかだった人の世は、六道の侵食によって風前の灯火だった。 城壁のほとんどが虚無に蝕まれ、邪悪な蛇どもの侵入を許してしまっている。闇の中から殺意を漂わせる妖たちが溢れ、草木は枯れ、山河は朽ち果てていた。 暗雲の向こうで、六悪神の茫漠たる影がうごめいていた。六本の巨大な手が、六道の門を越え、平安京へ向かって伸びている。 俺は稲妻を網のように張り巡らせ、平安京を守るべく動き出した。 「ここまでだ、六悪神。天を切り裂く稲妻を見よ!地を轟かす雷鳴を聞け!この雷光を前にして、それでもなお俺に抗うか?」 俺は六悪神の注意を引き付け、人々がいる街から奴らを遠ざけようとした。 「貴様たちの相手は、この俺だ!」 雷が俺の体を照らした――その刹那、六本の手が俺に襲い掛かってきた。一本の手が俺の体を、四本の手が俺の四肢を掴んだ。 残りの一本が、首筋を締め付けながら、暗雲漂う空へ俺の顔を向けさせる。 「太陽が沈み、星が輝きを失う世界で、いまさら神に何ができるというのだ!?」 俺はあえて抗わずに、雷の召喚に集中していた。 「この世を照らせるのは……太陽や、星だけではない!」 俺の体に、数多の雷が落ちる。俺を掴んでいた悪神たちは避けることもできず、俺もろとも雷撃を喰らう。さらに、天羽々斬が悪神たちめがけて、稲妻のように暗雲を切り裂く。 絶叫が聞こえるまで、ほとんど時間はかからなかった。力の差を思い知った悪神たちは退散し、再び六道の門に籠ることとなった。 だが、これで完全に危機が去ったわけではない。六道は今も人の世を蝕み続けている。このままではいずれ、何もかもが暗闇に飲み込まれてしまうだろう。 人々の泣きわめく声が、四方八方から聞こえてくる。親を失った子供、夫を失った妻、親族を失った人々の慟哭……それらは徐々に、神への祈りに変わっていく。 「神の子らを傷つけるなど……この俺が、許さない!」 俺は巨大な雷雲と、嵐と、稲妻を束ね、それぞれに俺の体、吐息、血肉となるよう命じた。 そうして巨大化した俺は、雷の結界で平安京全体を包み込んだ。 すると、六道から流れ出た虚無が膨大な量の泥塊となり、結界を押しつぶさんと津波のごとく、なだれ込んできた。 俺は天羽々斬を大地に突き立て、平安京を泥の津波から守った。それと同時に、六道の門を鎖で封印し、遠くへ押しのけた。 しかし、溢れ出る虚無は何処からか這い寄り、俺の力を蝕もうと蠢き続けていた。再び、悪神たちの嘲笑が聞こえる。 「処刑者よ、貴様は実に愚かだ!不完全な力のまま、どうやって平安京を守るつもりだ?ははははっ——」 その時、地上から、澄んだ声が聞こえてきた。 「スサノオよ。人間のために戦うあなたの、力になりたい」 「何者だ?」と俺は尋ねる。 「私は安倍晴明。平安京の陰陽師だ」 そうして、晴明が率いる陰陽師たちは、俺と共に押し寄せる虚無を退け、大地に輝きを取り戻してくれたのだった。 夕焼けの中、美しい草木と山河が見渡す限りに広がる。この世界は、不屈の生命で満ちている。街の灯火が、天の川のように遥か遠くまで続いている。 「……ここは穏やかで、美しい世界だ」 |
伝記一開放条件
条件 | 報酬 | |
---|---|---|
須佐之男をレベル40にする |
×5,000 |
伝記二
数千年前。神々の威光は、この大地に余す所無く降り注いでいたが……残念なことに、その陰ではおぞましい悪も蔓延っていた。 八岐大蛇を筆頭とした七悪神は、世界の安寧を脅かした。世界は絶望に包まれ、人々の慟哭が聞こえない日はなかった。 救いを求める人々の願いを叶えるため、俺は高天原の武神として、全身全霊を賭して悪神たちと戦い続けた。 稲妻の戦馬に跨り、妖だらけの大地を駆ける。不眠不休で戦い、ほんのひとときでさえ、凄惨な戦場を離れることはなかった。 馬が傷つけば雷雲で補い、武器が折れれば炎で修復し、その身が傷つけば雷で癒した。 気がつけば、俺の体は雷でできていた。戦馬も雷雲のごとく唸り、剣先には熱い炎が燃え上がっていた。 か弱い人々は、俺を敬愛すると同時に恐れてもいた。憧憬と畏怖の込もった俺の伝説が、人々の間で語り継がれていった。 かつて一度だけ、守る側のはずだった俺が、人間に守られたことがある。 俺が生まれてばかりの頃、俺は無意識に雷雨を呼び寄せ、そのせいで高天原の神殿を壊してしまうことがあった。 神々はその雷を俺の反逆心からくるものだと考え、俺を忌み嫌った。武神の統帥であるイザナギが、俺の力を手枷と足枷で封じ、ようやく雷は止んだのだが…… その枷では、俺の自由奔放な心まで止めることはできなかった。幼い俺は、よく人の世へ遊びに行っていたのだ。 ある時、妖が人の街に攻め込んでくる事件が起こった。俺は生き残った人間と共に、妖に拐われてしまった。 俺たちは、海底の牢獄に放り込まれた。人々は殺し合いや共食いをさせられ、妖たちの玩具として扱われていた。 それに耐えられなかった者は、食われるか、狂うしかなかった。人々が絶望する中で、妖たちは周囲を嗅ぐような仕草をしてから、こう言った。 「貴様らの中に神がいるはずだ。そいつを見つけて引き渡せ。そうすれば、見逃してやる」 俺は、すぐに立ち上がろうとした。 「――幼い神様。どうか逃げ延びて、より多くの者を守ってあげてください」 人々は俺を、折り重なる屍の下に匿った。俺はその隙間から、妖たちが生きたまま人々の血肉を喰らう光景を見つめるしかなかった。 体の半分が食われても、彼らの意識はまだ残っていた。……妖どもの残忍さに、俺は、耐えられなかった。 俺は、立ち上がった。 目当ての神を見つけ出した妖たちは、食べかけの人間を放り出し、醜い笑顔を浮かべて俺に近づいてきた。 |
伝記二開放条件
条件 | 報酬 | |
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須佐之男のスキルレベルを12回上げる | 須佐之男の欠片 ×10 |
伝記三
未来というのは、至高の理想なのだろうか?それとも、残酷な絵空事に過ぎないのか? 海底の牢獄では、人々は妖たちに傷つけられることはなくなっていた。だが、飢えと病いのせいで、ひとり、またひとりと命を落としていった。 どれだけ痛めつけられようと、俺は叫び続けた。 「俺は必ず全員を救い出す!生き延びた者は、共にふるさとを再建しよう。亡霊となった者は、必ず輪廻転生へと導こう!」 俺がそう叫ぶようになって以来、妖に堕ちた者はひとりもいなくなった。 力を封印されていたが、俺は幾度も幾度も妖に抗い続けた。妖たちは、俺のことを骨の髄まで恨んでいた。だが、やつらには俺を殺す力はない。 代わりに、俺の全身の骨を折り、肉を喰らい、神格を蝕もうとした。 俺の心を支えたのは、人々が死ぬ直前に託してくれた想いだった。人間たちの愛は純粋で、生死の境でさえ越えていく。だからこそ、それに応えたかった。 俺は妖たちの力を逆に取り込み、暗闇の中で執拗に生き延びようとあがき続けた。そしてついに、イザナギが俺を助けに来てくれる時が訪れた。 俺はイザナギに、妖に囚われていた亡霊たちを黄泉へ導いてほしい、と懇願した。 黄泉比良坂 で、俺は三途の川を渡る亡霊たちを見送ることができた。その時、俺はイザナギに尋ねた。 「どうして人間は、神のために命を捧げられるのだろう?」 イザナギは答えた。 「人間は神から命を授かった存在だ。赤子のことを顧みない親はいても、親を恨む赤子はおるまいよ」 「身を挺して俺を守ってくれた人間がいたからこそ、俺はあの絶望を乗り越えられたんだ。……じゃ、神々は、人間のためにその身を捧げられるのだろうか?」 イザナギは、俺の胸に手を当てて、言った。 「それは、己の心に聞くといい」 胸中に、熱い感情がこみ上げてきた。……イザナギは、俺の心を見透かしていたのだ。たとえ見抜かれていなかったとしても、俺はその恥ずかしい答えを、口にはできなかった。 俺は密かに、新たな神将になると誓い、イザナギのもとで修行を重ねていった。けれど、イザナギはなかなか封印の枷を解いてはくれなかった。 ある時、俺は罪で溢れている世界を見渡し、イザナギに尋ねた。 「人間は神に祈っている。……なのに、神はどうして彼らの前に姿を現して、祈りに応えようとしないんだろう?」 「この世界はもはや、神々の力を必要としないからな」 俺は、続けて尋ねる。 「じゃあ、俺がもし……この世界と共に生きる神に、なりたいとしたら?」 イザナギは、俺の手足にかけられた枷に触れた。 「汝の神格は、妖に蝕まれていたことを忘れたか。無理に雷の力を発動すれば、己の肉体と精神を傷つけてしまうぞ」 「それでも、その道を選ぶのか。たとえ汝の生涯は、閃光のようにまぶしく輝き、瞬く間に燃え尽きても、か?」 俺は答えた。 「人間は、神々が思っているよりずっと強い。彼らは強靭な精神を持っているんだ。短い一瞬の雷光でも、彼らの行く先を照らすには、十分だ」 「俺は、その一瞬の煌めきとなるために、この世に生まれたのかもしれない」 イザナギはしばらく沈黙した。そして、頬を緩めて、言った。 「スサノオよ。進むべき道を探しているのは、人間たちでなく汝なのではないか?……良かろう。人間のために、戦うがいい」 俺の手足の枷は、ようやく解けることとなった。 その後、俺は高天原の武神の頂点に立った。邪神八岐大蛇を打ち破った神として、後世に名を残した。 幾星霜を経て、俺は今、平安京のとある庭園にいる。桜の木の下に座り、俺の伝説を語る兄妹の話に耳を傾けている。 俺にとってなによりの驚きは、この人の世の変わりようだ。 晴明が、考えを見透かすような鋭い視線を俺に向けてくる。 「千年前の高天原は、このような未来を予見していたのか?」 俺はお茶をひとくち飲んで、言った。 「まさか。人と神と妖が食卓を囲む日が来るなど、想像もつかなかったことだ。陰陽師よ、それを叶えた君は、真に特別な存在なのだろう」 「未来は予見するものではない。人々が追い求める希望なのだ」 「だから、何千、何万年経とうと、世界がどれだけ姿を変えようとも……俺は君たちと共に、最後まで戦い続けよう――」 |
伝記三開放条件
条件 | 報酬 | |
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闘技、練習、模擬戦で須佐之男が神堕オロチと10回対戦して勝利する |
×10 |
「須佐之男」の紹介
高天原の三貴子の中の処刑の神。
天雷万象を司る武神の長。
数千年前の七悪神との戦いの中で、高天原の神々を率いる須佐之男は天照と共に七悪神を鎮圧し、高天原での審判で、天羽々斬をもってヤマタノオロチを封印した。
神はもとより尊き魂を持つ傍観者である。
しかし須佐之男は神の座を降り、人々の苦痛を背負う道を選んだ。
処刑者の名を持つ彼だが、処刑という形で彼が愛する人々や世界を守っている。
例えどれほど時が過ぎても、例え世界が変わり果てても、須佐之男は人々のために闘い続ける。
陰陽師「式神図鑑」より
「須佐之男」のセリフ一覧
※編集中
「須佐之男」のイラスト
覚醒前 |
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覚醒後 |
輝世神武(商店) |
清風雷霆(神秘な商店・特別版) |
イラスト1 |
イラスト2 |
イラスト3 |
イラスト4 |
イラスト5 |
イラスト6 |
輝世神武珍蔵スキン・心染プラン一覧
「須佐之男」のストーリー
記憶絵巻
雷鳴 |
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数千年前、ヤマタノオロチをはじめとする七悪神と神々が対峙し、人間界に数多の罪をまき散らした。人の世に屍山血河ができ、人々は苦痛にもがき苦しんでいる。罪に侵されて妖魔に堕ちた人間は悪神を崇め、高天原の八百万神を引きずり下ろし叩き潰してやると嘯く。 それは血や戦火に見舞われる、暗黒の時代だった。 妖魔の軍勢はすぐさまかつての同胞達に刃を向け、あちこちで起こる戦乱は人々を窮地に追い込んだ。逃げたくても、かつての楽土はもはやこの世から消えてしまった。絶望はさらに多くの妖魔を生み出し、この世は次第に破滅する直前を迎えようとする。 その時、最も古き神伊邪那岐は一番先に神の軍隊を立ち上げ、世界の理を守るために悪神と戦い始めた。向かうところ敵なしの伊邪那岐は、一度神々に勝利をもたらした。しかしある戦のあと、伊邪那岐は行方不明になってしまった。戦死したと噂されている。勝利はやはり儚く消えた。高天原と七悪神との戦いは、長きにわたって膠着状態にあった末、幾度も敗北を喫した。 時が流れ、人間界をはびこる罪は頂点に達した。戦力不足の高天原は、七悪神に太刀打ちできる神を切に望んでいる。 神々は神殿に集い対策を講じる。神々の王「天照大神」は自分が神軍の長と名乗り出て、予言の神「月読」を軍師にした。しかし軍を率いて悪神を討つ武神は誰が務まるのか? 神々が沈黙に徹している時、天照はこう言った。 「神軍を統べていた伊邪那岐様は一人の養子を育てている。その名は雷鳴、嵐の神、須佐之男」 言った傍から、神々は騒ぎ出した。 須佐之男は高天原に禁忌にされているからである。 噂によると、須佐之男は誕生した時に天雷を呼び起こして高天原の神殿をまるごと破壊した。漂う暗雲は太陽を覆い隠し、嵐は吹き荒び続けて、神々は驚きを禁じ得なかった。そして高天原は墜落するのではないかと、生まれてから天照大神に不遜な態度をとる新しい神はいつか神々を裏切るのではと疑う。 荒ぶる神軍の総帥伊邪那岐だけは彼を引き取った。 伊邪那岐は須佐之男の強い力を褒めそやし、そして無闇に神力を使うべからずと戒めた上、須佐之男の雷の力を枷に変えさせてその手足に付けさせた。 そのあと、幼い須佐之男は再建された孤高の神殿の中に幽閉された。 しかし妖魔討伐に明け暮れる伊邪那岐は滅多に帰らない。賢い若き神は寂しがり、いつも抜け出して人間界に行き、人間と遊んでいる。厳かな神々より、彼は悲しみや喜びに溢れる人間界を気に入っている。妖魔による虐殺に巻き込まれるまで、警戒心を持たない彼は人間に本当の気持ちを打ち明け続けている。 その日、妖魔は城の中に攻め入り、攫い奪った人々を深淵の中に閉じ込めた。妖魔は喉が渇いた者に生臭い鮮血を、飢えた者に親族の腐肉を与え、人々に殺し合いを強いた。力を封印された少年の神はそれを見て驚きを禁じ得なかった。それを阻止しようとしたが、彼は弱まりきった人間の友人に庇われた。 しかし友人まで妖魔に喰われた時、それを看過できなかった彼は身を挺して妖魔を阻止し、友人を庇おうとした。しかし神力を封印された少年の神は到底妖魔に敵わなかった。妖魔達は彼の骨を折り、血を啜り、神格を壊し、悪の限りを尽くして苛んだ。 しかし幼い須佐之男はそれに屈しなかった。芯の強い神は人間を弄ぶ妖魔の不興を買った。恐ろしい牢獄の中で彼を飼育する妖魔は、毎日罪のない人々がいじり殺される光景を見せ、無理矢理死者の血肉を食わせていた。 終わりなき苦痛に耐えられぬ須佐之男は崩壊しかけた。妖魔を憎しみ自分を責める中、彼は自分は誰なのか、なぜこんな残酷な罰を受けているかをも忘れ、神々は彼が妖獣だと勘違いし、自分の無実を証明するために罰を受けていると思い込んだ。 妖魔は神を殺めることができないため、彼が神格を握りつぶし自害するように誘導していた。しかし手を差し伸べた瞬間、人間の友人達の亡霊は周囲から押し寄せ、差し伸べる彼の手を引き留めた。 「俺の命は君達の犠牲の上にある。俺はこの命を捨てない」と彼は呟く。「亡くなられた友人達よ、俺はとっくに一族に蔑まれるのに慣れている。神々はもう俺を諦めたかもしれないが、君達が蔑ろにされるのは避けたい。君達の神への期待を背負う者はいるのか?」 肉体は血河に浮かび、精神は闇の中で漂い、苦痛すら消え去るような無関心が彼を包み込むまで諦めずに待ち続けた。 しかし、瀕死状態の彼が譫言を呟く時、光を纏う誰かは海底にある漆黒の牢獄を打ち壊した。嵐の中、海が二つに割れ、その者のために道を開けた。そして妖魔達は大波に呑み込まれて死に絶えた。 荒れ狂う浪を跨いだその者の両足は、彼を目に捉えた瞬間ひざまずき、神軍の千万の兵士を指揮するその者の両手は、彼に触れた瞬間かすかに震えた。 しかしその日、須佐之男の耳に届いた伊邪那岐の声は、今までの一番丁重で一番力強い言葉だった。 「私が来た」と彼は言い放つ。「もう何も怖がらなくていいんだ」 逆光の中の顔はよく見えない。しかしあの時の須佐之男にとって、それは一番まぶしい姿だった。 光を浴びて気を失う前、須佐之男は密かに誓った。 ……いつか、こんな人になりたい…両手に人々を守れる力が、人々の期待に応えられる力が宿る人になりたい。 ……いつか、こんな言葉を口にしたい…もう怖がらなくてもいい、泣かなくてもいい、俺が来るのを待てばいいと全ての人々に告げたい。 例え破滅の道を辿ることになっても、決して今日の誓いを破らないと約束する。 |
海原 |
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神格の砕けた須佐之男は伊邪那岐に滄海原に連れられ、そこで静養している。 伊邪那岐は、ここは自分の秘密基地と嘯き、須佐之男に決して口外するなと言って言質を取っておいた。 「空を飛ぶ鳥と海を泳ぐ魚を除けば、」と伊邪那岐は秘密を守るように口に指を当ててこう言った。「世界中、この場所を知るのは私達二人だけだぞ」 それから彼は真面目そうに釘を刺す。「君も他人に教えてはならないぞ」 神軍を統べる養父にもそんな一面があったとは予想外だった須佐之男は、仕方なく口を隠しながら小声で約束する。「絶対に誰にも教えない」 伊邪那岐は釘を刺しておいたものの、いざ本当に島に上がってみると、その平和な景色はやはり幼い神を震撼させた。 悪神が暴れ回る人間界や重々しい高天原と違い、ここでは妖魔に苛まれることも神々に蔑まれることもない。見えるのは海風、遊魚、そして森の中で咲く花だけ。 未熟な須佐之男は、「ここに皆を連れてあげたいな」と思わず口にしてしまった。 言った傍から、友人達はとっくに妖魔に殺されたことを彼は思い出した。 しばしの沈黙、伊邪那岐は彼の頭を撫でてこう言った。「まさか他人をここに泊まらせるつもりか?」 それから言葉を足した。「でも私がいないと君は一人ぼっちになるから、確かにちょっと寂しいかもな」 しばらくして、桃源郷のような小島の崖際で、伊邪那岐に倣い、傷がまだ治っていない少年は見様見真似で自分よりも大きい雷の槍の練習に励む。 励む少年の姿を見て、伊邪那岐は思わず聞いた。「須佐之男、君は本当に落ち着きがないな。この間妖魔から君を助けてあげたばかりだぞ。傷も全然治っていない、そんなに急いで練習する必要はあるのか?」 「伊邪那岐様、この島は静かでよそ者がいない。俺は……俺は早く強くなりたい、そうすれば皆を守れるんだ」 「よそ者がいないのに様呼ばわりするのか?」と伊邪那岐は笑った。 「師匠」 「もう一度よく考えて」 「……父上」 伊邪那岐はようやく満足したように頷いた。 「君を引き取った以上、親らしく育ててやるべきだ。今までは私が油断したせいで、危うく取り返しのつかなくなるところだった。今後についてはしっかりと考えた。決して今までのような無謀なことをさせない。そして今までのような寂しい思いはさせない」 それから伊邪那岐は凱旋するたびに、須佐之男が寂しがらないようにと託けて珍しい植物や獣を島に連れてくる。そして酒を飲みながら獰猛な獣や人食い花から逃げ回る少年の神の姿を楽しむ。月日が経つと、須佐之男は鳥獣を引き寄せる体質を持つようになり、どこに行っても神獣は彼についていき、足元で時に雷鳴の如き咆哮を上げたり子猫のように甘えたりする。そして須佐之男が動くと、必ず彼の行動を真似する。 その光景を見て、伊邪那岐は思わずからかった。「この島で一番珍しい神獣とは、君のことだったか」 面白がる伊邪那岐も鳥獣をいじめてみたが、結局は無視された。そのせいで須佐之男はより一層からかわれるようになった。それに耐えられない須佐之男は神獣たちにこう言った。「伊邪那岐様を無視してはならない、噛んだり、突いたりもするな」 伊邪那岐は戦場と島を行き来する中、島の鳥獣たちはめっきり増えた。 月日が流れ、伊邪那岐は自分の弟子をからかうのに夢中になりすぎたせいか、須佐之男は彼のような傲慢不遜な神ではなく、冷徹な少年になってしまった。須佐之男は毎日伊邪那岐が教えてくれた術を練習し、一度も神力の修行を怠らなかった。 伊邪那岐は彼に様々なことを教え、神の礼儀作法を叩きこんだ。陸から優れる鎧を見繕い彼に着させた上、ついには唯一無二の武器を作ってあげた。生まれ変わった須佐之男は礼儀正しく、神々しく振る舞う。白い服に金色の鎧を身につけ、雷の槍を握りしめて崖際に立つ彼が一旦槍を掲げれば、世界は命令を受けた如く異変が起こり、雷雲が立ち込め始める。無数の稲妻は王の前でひれ伏す民草の如く彼の足元に降り注いでくる。 須佐之男は修行に励み、何度も伊邪那岐に挑んだ。二人はよく嵐や雷を使って海上で勝負した。伊邪那岐は神力で世界に命令を下すと、海はたちまち渦巻いた。そして須佐之男は嵐や雷鳴を呼び起こし、周囲数十里の海面に雷を落した。 須佐之男の雷が夜通し鳴り響き、百里離れる漁村の中からでもよく見えた。島には乱暴で残酷な雷神が住んでおり、そこに近づくと雷神が怒り出し天罰を下すと噂されていた。 それを知った須佐之男は驚きの余り、伊邪那岐に尋ねた。「強くなりたいだけの俺は、なぜ人々から畏れられるようになった?」 「強者は人々から尊重されるかどうかを決められるが、畏れられるかどうかを決められない」と伊邪那岐は答えた。 「須佐之男、君は努力を惜しまない、真面目で人々のことを思っている。しかし君は理解しているか?神力に頼っては本当に尊重してもらえない」伊邪那岐は戒めた。「尊重してもらえるのは本当の強さだ」 「強さは世界を作り直せる神力、そして力を使いこなせる慎重さによるもの。それは強さではないと言うのか?」須佐之男には理解できなかった。「生まれたばかりの時、俺は神力を制御できないから高天原に嫌われ疎遠にされた。そして幼い頃の俺は、慎重さが欠けているから人間の友人を巻き込んでしまった。しかし父上は違うんだ。あの日、父上は海を切り裂いて魔を屠った。それはまさに天下無双の威勢だ。父上はこの世で至高にして究極の神力を持っているが、片時も制御を緩めなかった。だから畏れられずに人々から慕われる。この度し難い俺でも……その一員だ」 それを聞いた伊邪那岐は海崖の岩に腰を下ろし、岩礁に波打つ海のほうに目を向けた。「あの日、私は誰のために、何のために海を切り裂き魔を屠ったと思う?」 「……俺のためかな?」と須佐之男は答えた。 「違う、私自身のためだ」伊邪那岐は言葉を口にする。「君を助けたのは、君を助けたかったからだ。もし私が殺戮に溺れたら、それは殺戮に溺れたかったからだ。もしいつか自分を犠牲にしたなら、それは生きるのに退屈になったからに過ぎない。須佐之男、覚えとおけ。神は人々を思うけれど、人々のために存在しているわけではない、逆もまた然りだ。もし人々のために殺戮に手を染めたら、命を奪った業は己にあると知れ。もし人々のために亡くなったら、罪は己にあると知れ。もし人々のために全てを捧げたら、いつか人々に忘れられると知れ」 伊邪那岐は言葉を紡ぎ続ける。「他の命のために生きる命は一つもいない、それは命への冒涜だけだ。絶対にそんな馬鹿になってはいけない」 須佐之男は続けて尋ねた。「もし俺の喜怒哀楽は俺だけのもので、俺の命は他人に捧げることができないなら、命が誕生した日から寂しい思いをするではないか。万物衆生は、永遠にこの孤独の螺旋からは逃げられないのか?」 伊邪那岐は言う。「いいえ、あの日妖魔を屠り君を助けたが、殺戮の業は全て私が背負うもので君とは関係ない。でも一つだけ、確かに君に伝わった。例え君が嫌がっても、それを捨てることはできない。それは私の独断が背負うべき責任、傲慢な命が払わざるを得ない代償」 伊邪那岐は少し止まってから、言葉を補足した。「天照の言葉を借りれば、所謂『愛』じゃないか」 須佐之男は父の目を見つめる。「では、俺はきっと多くの人々を、様々なことを愛している。世界の隅々から、世界の隅々で生きている命まで愛している。だから俺は決して寂しがらない、辛いと思わない。ただより多くの地を、より多くの人々を守りたい。もしこれが運命の導きならば、この運命に俺は感謝するのみだ」 それを聞いた伊邪那岐は黙り込んだ。最後に、彼は三つの嵐の勾玉で作られる首飾りを須佐之男に渡した。 「この嵐の力が宿る勾玉は私の印だ。私を呼んでくれれば、どこにいようとも必ず君に応える」 翌日、伊邪那岐の部下は戦況を報告してくれた。七悪神は兵を挙げて高天原に奇襲を仕掛けた。伊邪那岐は須佐之男と別れ、戦場に出た。 とっくに伊邪那岐が征伐に明け暮れるのに慣れた須佐之男はいつも通り海崖で凱旋する伊邪那岐を待っている。しかし今回は随分と待った。彼のところに届いたのは神軍が大敗を喫し、総帥が討ち死になった知らせだった。 使者が離れた後、須佐之男は神獣達の傍から去り、一人で海崖に向かった。彼は握り締める高天原の密書を何度も読み返した。まるで伊邪那岐がまだ生きている可能性を探しているようだった。しかしどう足掻いても手紙の内容を理解できなかった。そして手紙が濡れた時、彼は自分の涙が手紙を濡らしたことに気付いた。 満ちる潮は崖の下の岩礁に打ち寄せて、彼は崖際で跪いたままで丸一日を過ごした。 ようやく立ち上がろうと思ったが、両足はまるで立ち方を忘れたかのように、彼は何度も躓いた。それによって胸に下げていた勾玉が近くの泥水の中に落ちてしまった。それを目にした須佐之男は慌てて泥水のところまで這いより、養父の印を引き上げた。そして泥まみれの勾玉を握り締めた手を胸に当てた。 「父上は以前、崖上に墓を建てるのは殺風景だからやめとけと仰った。もし今日直に止めてくれなきゃ、ここに父上の遺物を納める墓を建てるんだ」 「全く親不孝な子だな」その時、突然背後から笑い声が聞こえた。 「馬鹿な子だな。普段何かを教えてあげたら必ず言い返してくるのに、今回はあっさりと高天原の言うことを鵜呑みにしたか」 須佐之男は慌てて振り返った。意外にも崖に腰を下ろす伊邪那岐はいつも通り不遜な笑みを浮かべている。 「ただの冗談さ…強者は恣意勝手に暴れ、弱者は礼儀正しく振る舞う。これは我が弟子への一つ目の戒めだ」 失踪したはずの伊邪那岐が突如と現れ、傷を負ったため退役したと嘯いた。しかし、養父と再会できた少年の神はひたすら喜びを噛みしめる。それ以来、伊邪那岐は島で暮らし始めた。それから俗世から離れた寂しい島は、まるで夢の桃源郷のようになった。 時を重ね、須佐之男は日に日に大きくなった。一方、伊邪那岐はそれから一度も海崖を離れなかった。 しかし嵐の中の一時の平和は、長く続かなかった。人の世で殺戮を繰り返す妖魔を許せない須佐之男は、最後に海崖にいる養父を訪れた。 「俺は既に父上から教わった槍術を会得した。そして自由に自分の神力を操れるようになった。今日、岩鷹は外から情報を持ってきた。悪神は再び兵を挙げ、人の世をあちこち陥落させた。戦火は間もなく高天原まで広がるだろう」 雷の槍を抱える須佐之男は崖際に立ち、その目には空に浮かぶ高天原の輪郭が映っている。 「人々を、高天原を救いたければ、兵を統べる新しい武神が必要となる。俺は高天原に戻り、父上の武神の名を継ぎたいとお願いしたい」 海崖に立つ伊邪那岐はそれを聞いて振り返った。「一度槍を手に取ると、もうそれを捨てることはできない。ここを離れ外に一歩踏み出したら、もう後戻りはできない。君は大きくなった。幼い獣のように勇敢で、鳥のように自由になった。どこにでも行ける。しかし君が選んだのは、やはり戦場だったか」 須佐之男は答える。「悪神に打ち勝ち、人の世に平和をもたらす。それは神である俺の務めだ。そして父上の弟子である俺が背負うべき責任であり、まだ叶っていない願いでもある。そのためならば粉骨砕身の覚悟で臨むつもりだ。でも俺にも個人的な願いが、期待を募らせる地が、思っている家族が存在する」 須佐之男は笑みを湛える。「戦争が終わったら、俺はこの海に戻る。その時の俺は神将でも処刑人でもなく、ただの須佐之男になる。そしてこの海崖にて、潮音や風音の中で、いつか必ず父上と再会する」 戦場に赴く須佐之男にはまだ少年ならではのあどけなさが残っている。彼は重い鎧をまとい、自分のあどけなさを隠す。それはまるで世界の重さを背負っているような思いだった。 そして須佐之男は初陣を飾ったあと、ようやく冊封を受けた。 妖魔達は既に大軍を集結して空に登る梯子を作っている。高天原の神殿のもう少しのところでまで迫っていたため、須佐之男はそのまま戦場に赴いた。 雷をもって雷霆の軍勢を作り出し、数々の神獣を統べる須佐之男は槍を手に取り、稲妻の馬に乗って妖魔の大軍の背後に現れた。嵐の如く敵陣に切り込んだ須佐之男は、目で捉えない速さで両側にいる敵の首を刎ねた。 雲霞のごとく押し寄せる妖魔を前にしても、彼は眉ひとつ動かさずに雷を呼び出して空に登る梯子をぶち壊した。雷鳴が轟く中、梯子は轟音を立てて崩壊した。数千万の妖魔は地に落ち、悔しそうに耳をつんざくばかりの咆哮を上げた。 須佐之男は雲の上でそんな妖魔を見下ろす。しばらくして、彼は稲妻の如く落ちて、渦巻く罪の海の中に飛び込んだ。次の瞬間、稲妻が炸裂した。妖魔達は焼かれて消し炭になり、骸は彼の行く道を作った。 新しく誕生した武神は殺戮の中で海原から高天原の神殿までやってきた。血まみれの彼は地獄より這い出た恐ろしい悪魔のようだった。神々は逃げ惑い、顔を合わせる勇気すらない。 戦々兢々とする神官達は神殿の中で悪名高い凶神が来るのを待つ。しかし天照の神殿の前に現れたのは、すらっとした体で整った顔を持ち、礼儀正しく振る舞う若い神だった。 彼は天照の前にて跪き、恭しく頭を下げた。 「この須佐之男、人の世を守るがために馳せ参じました。ここにて誓おう。我が槍は人を守るために、悪神を屠るために、妖魔を切り裂くために、神々の王のために振るわれるものでございます」 「この身が滅んでも、決して私欲のために槍を振わないと誓います」 |
時空 |
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須佐之男が仲間に加わってから、高天原と七悪神との戦は転機を迎えた。 失敗を重ねた神軍は須佐之男に鼓舞され、新しい武神のおかげで百戦錬磨の軍隊に生まれ変わった。彼らが現れるところは妖魔の死体が積み重なる。 一度陥落した城や土地を、次々と取り戻した。ただでさえ名をとどろかせた須佐之男はより一層有名になり、噂では悪神よりも凶悪な凶神とされていた。人々から敬われるが、以前よりも疎遠された。 高天原に偏見の目で見られ、人々に誤解される中、須佐之男は養父伊邪那岐がかつて味わった寂しさを感じたと同時にあることを理解した。伊邪那岐はいつも戦の合間に滄海原に戻り、訓練と託けて自分をからかい、島の鳥獣をいじる理由を。 「たまに島に帰って様子を見てみたいな」墓守りの毛をいじりながら彼は嘆いた。「俺達がいないから、一人になった彼は寂しがるかな」 しかし墓守りは彼に見向きもせず、毛づくろいしてからすぐ眠りについた。 寂しい日々の中、荒と呼ばれる予言の神使いは軍師として彼の元に派遣された。しかし若い神使いはいつも先生である月読の見様見真似で須佐之男を戒めてくる。 「天命に逆らうことはできない。万物は天命を受けて誕生し、生涯苦楽の中でもがき続ける。やがて最期を迎えて塵となり、そして全てはまた最初から始まる。人々は輪廻を繰り返し、そして神々は輪廻を守る案内役である。これぞ天命のあり方である」 しかし須佐之男は笑った。「人々は皆幸せや平和を求めている。俺はそんな人を見かけたら、思わず手を差し伸べる。もし人々が皆天命を抱えて生まれてきたなら、人の世の運命を変えることこそ、俺の天命だろう」 若い軍師はあの時の須佐之男とそっくりだった。頑固な彼は幾度も須佐之男の命の危機を予言した。しかしその度に須佐之男はそれを一笑に付し、引き留めてくる神使いの言葉を無視して戦場に赴いた。 しかし血生臭い暗黒の世界の中、肉体は引き裂かれ、罪に侵食されようとも、金色の武神は決して屈したりはしない。常に人々の願いに応えている。 悪神が跋扈する戦場では、妖魔達は次第に須佐之男のことを熟知していき、人質を利用して須佐之男が自ら戦場に赴くよう脅迫するようになった。そしてその後は妖獣を駆使して彼と神軍を分散させた。妖魔達は彼の神獣を殺し、鎧を打ち砕き、鋭い爪で露になった彼の胸を切り裂く。瘴気に侵され、胸の中にある砕けた神格は炎の如く彼の体を燃やし、全身に痛みが走り回る。そして妖魔達は寄ってたかって巨躯で彼を押し潰そうとしている。 しかし空に聳える槍は下から妖魔達の胸を貫いた。空に雷雲が立ち込め、槍に集う稲妻を妖魔の大軍の中に落とした。まばゆい光が消えたあと、雷の轟音は周りに鳴り響き、積み重なる焦げた死体の中心に、傷だらけの手がしっかりと雷の槍を握り締めている。槍を振るい、刺し貫かれた残骸は振り落とされた。 金色の石碑の如く死体の山の上に立つ須佐之男は槍を空高く掲げている。ひどく打ちのめされた妖魔達は甚大な損害を被り、地にひれ伏して誰も須佐之男に近づこうともしない。そこで彼はおもむろに槍の向きを変え始めた。まるで守っているように、ひび割れる大地を指した。 こうして、須佐之男は何度も何度も荒が予言した命の危機を乗り越えてきた。天命を固く信じている若い神使いは少し動揺した。 「人々の運命は決まっている。いつか奪ったものを返さなければならない」荒は尋ねる。「須佐之男様、人々に多くのものを与えたあなた様自身の運命は、一体どうなるのでしょうか?」 すると須佐之男は笑った。「君は月海から来たように、俺の心の中には一つの海原がある。そこには一つの平和な島がある。大切な人達は島で俺の帰りを待っている。目を閉じれば、彼らが見えるんだ。そしてそこはいつだって、俺の帰るべき場所なんだ」 荒は分かったかのように目を閉じてこう言った。 |
「月海より生まれた私は、月読様が定めた星命の者となる。しかしこの命の帰るべき場所はもはやあの冷たい海じゃなくなった。私はここに残り、衆生の代わりに運命が指し示す道を見極めたい」 こうして、三貴子が力を合わせた末、神々の苦戦はついに終わりを迎えた。六悪神は封印され、ヤマタノオロチも神獄に監禁され審判を待つ身となった。しかし運命を司る予言の神月読は審判の神に進言し、素直に審判の結果を予言できなかったと打ち明けた。 異様な事態に対し、神々は混乱に陥った。そして若い荒と須佐之男は星海で審判の結果を垣間見ようとした時に予想外の結果が生じた。なんと、荒は未来の審判を予言できたのだ…… 審判場にて、ヤマタノオロチは自分と須佐之男の神格を入れ替え、須佐之男の体を占拠した上、処刑の神として天羽々斬を操り高天原をぶち壊し、神々を屠った。 処刑の日、大地は罪に侵され、空は闇に呑み込まれる。暗闇に落ちた世界は、蛇神の笑い声だけが響き渡り、衆生の悲鳴を楽しんでいる。そして蛇神から人々を守るため、天照は神力を分離させ、太陽に姿を変えて空に立ち昇り、再び人の世を照らして衆生を呼び起こそうとする。 その時、そのあとをつけていた巨蛇は生まれたばかりの太陽を噛み砕いた。落ちた太陽は岩漿の奔流となり人の世に流れてゆき、世界を火の海に変えた。火の海の中で六道の扉の出口が現れた。七悪神は再び人の世に顕現し、生き残った衆生をさらに悲惨な末路へと導く。 二人は絶望的な光景に驚愕を禁じ得なかった。そしてそれを除ければ、少年の神使いは他の運命の流れを見出せなかった。 長い間黙り込んだあと、須佐之男は口を開いた。「もしこの世で未来を変える方法がなければ、答えはきっと千万をも超える異世界の時空の中にある。俺は時空の扉を開き、他の世界に向かい運命を変える答えを探すんだ」 それを聞いた荒は一度希望を見つけたが、またすぐに失望した。 「時空の扉と呼ばれる秘術はこの世で最も古き神のみぞ知る秘密。私は扉を開くのに必要な星辰の力を使えるが、法陣のことは分からない」 しばらく黙ってから、須佐之男は打ち明けた。「古き神と呼ばれる俺の師匠伊邪那岐様は、かつてその秘術を使ったことがある」 彼は嵐の勾玉を使い、伊邪那岐の名を口にした。星々は嵐が止まぬ地へと通じる道を作り、伊邪那岐の幻影はそこに現れた。その深い目は、須佐之男が見たことがなかった表情を見せてくれた。 「須佐之男、君はついに私の存在を忘れていた世界で私の名を口にしたな。未来を変える秘術を求めているのか?」 「はい」須佐之男は疑問を口にする。「しかし父上はどうしてそれを?」 嵐の中の人影は須佐之男に嵐の中心を見ろと合図を送った。波風のない彼岸には、漆黒の宇宙が無限に広がっている。 「知らないはずがない、私もそこに向かったからだ。時空の中にある無数の世界は、空に聳える大樹から伸ばされる枝の如く、探究することの叶わない根源から生み出される。その木は無数の可能性を生み出す。君が求める未来もあれば、死や破滅よりも恐ろしい結末もある。そこで命を落としたら、神であろうと方向を見失い、二度と戻れなくなる。嵐雷鳴の子須佐之男、汝は身が無数の傷を負い、十分に孤独を味わった。一度時空の扉をくぐれば、幾多の絶滅の危機に瀕していて救いを乞う世界と出会うだろうか?人が苦しむのを見過ごせない君は、何度も自身を犠牲にするのか。それでも、君はそこに向かうのか?」 「ああ、」須佐之男は力強く答えた、「もちろん行く、そして必ず無事に帰って見せる」 伊邪那岐は目の前にいる須佐之男を見つめてから、遠くにある大戦乱に巻き込まれた傷だらけの世界を、そして嵐の前の静けさにある高天原に目を向けた。 彼は嵐の勾玉を須佐之男に返して上げた。 「私の印を持っていけば異世界の流れの中でも正気を保てる。同時にこれは君がここに帰る道標となる。しかし須佐之男よ、崇高すぎる願いは君の命を燃やし尽くすだけだ。時に運命を受け入れるのも、一種の勇気なんだ。抑えつけられない未知と崩壊寸前の希望は、運命に逆らう代償として、君と共に君が救いたい全ての世界を旅する」 勾玉を受け取り胸に下げた後、須佐之男は誓った。 「この身がまだ動ける限り、俺は決して世界を、自分を諦めない」 しばし黙ってから、伊邪那岐は笑った。笑い声の中には賞賛や諦観が込められている。 「長い年月を経て、君はようやく私の奥義を会得したな。強者は恣意勝手に暴れ、弱者は礼儀正しく振る舞う。ならば、時空の陣を君達に授けよう」 「嵐雷鳴の子よ、君は私の知らない月日の中で真の強さの答えを手に入れたかどうかを、時空の果てにて見極めさせてもらおう」 |
無限 |
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こうして、須佐之男は時空の扉の中に入った。 須佐之男は運命の奔流の中でたどり着いた最初の世界では、高天原の邪神への反撃は、荒が予言してたよりも悲惨だった。徹底的に全力を尽くさねばならないものだった。 蛇神の企みを知った須佐之男は前もって審判場にいる神使い達を避難させ、精鋭部隊を率いて審判場を幾重にも囲んだ。計画が失敗したと気付いたヤマタノオロチは、一か八かの勝負に出た。二人の神の戦いの中で高天原は崩壊した。地面に触れた瞬間に大蛇は迸る腐敗なる海と化した。その中に隠される様々な災いは、我先に人の世に流れ込んだ。神々は勝利したものの、災いの箱を開けてしまったように、安息の地を失った。人々は大地にひれ伏し、世界が浸食され、衆生が滅びゆく光景を見届ける。 大地を浄化するため、天照は再び神力を全て使い、太陽と化すことを選んだ。 神々は彼女の足元でひれ伏し、人々は涙を流し、彼女に解脱を乞う。須佐之男だけは彼女の前に立ちはだかった。 「俺は人々を救うためにここへ来た。もし同じ結果を辿ることになるなら、俺は一体何のために戦ってた?どうか行かないで下さい。必ずこの世界に希望をもたらすんだ」 しかし天照は落ち着いた雰囲気でこう言った。「世界には各々天命があるもの。天に逆らって定めを変えるものなら、必ず誰かが代償を払うことになる」 こうして彼女は空に登り太陽となった。世界を浄化して人々を救おうと願う彼女だったが、最後に闇に呑み込まれ、虚無の中に消えてしまった。太陽の最後の光が消えた瞬間、衆生の安息の地はたちまち片隅になった。最後の生存者達を乗せ、最後の箱舟の如く虚無の海に漂う。 須佐之男は空を見上げる。「結局、この世界を救えなかった……人々、衆生、天照様、ここにて誓う。必ず万物を救う方法を見つけ出してやる」 須佐之男は突然別の世界で夢から覚めた。今までの全てはまるで悪夢のようで、目に映るのは神々がひしめく審判場、目の前にいるのは得意満面のヤマタノオロチ、そして頭上からは天照が判決を下す威厳溢れる声が聞こえる。 「裁かれるべき罪であり、処刑を始めなさい」 その瞬間、須佐之男は予言のことを全て思い出した。処刑の台に駆け付けた彼は、二人の神格が完全に入れ替わる前に、力の限りを尽くして天羽々斬を刺した。 彼が持つ天羽々斬はヤマタノオロチを貫いた。しかし後ろにある五本の天羽々斬は須佐之男の体を貫いた。しかし今回は、噴き出した腐敗の蛇血をまんまと浴びてしまった彼は、正気を失くしてしまった。 ヤマタノオロチは重傷を負った須佐之男を押しのけ、鎖の束縛から抜け出した。そして天羽々斬を抜け出し、玉座に鎮座する天照を指した。 「神々の王よ、お前の処刑の神は一足先にあの世に赴いた。次はお前の番だ」 それを聞いた須佐之男は立とうとするが、その動きで毒の進行が早まってしまい、とうとう耐えきれず血だまりの中に倒れ込んだ。 彼は再び別の世界で目を覚まし、胸にある勾玉は灼熱を放ち、砕けた神格からは激痛が走る。よろめきながら立ち上がった須佐之男が目にしたのは、いつもの空に聳える審判場と神々だった。角笛は鳴らされ、審判は間もなく始まる。 彼は闇に包まれ絶望溢れる道を進み続け、全力を尽くして一つまた一つの世界を救ってみる。 無窮にも近い運命の奔流の中、一つ一つの世界、終わりのない決戦は彼をぶち壊し、作り直し、成長させたと同時に千年の時空という牢獄の中に閉じ込められた須佐之男は、永遠に姿が変わらなかった。 しかし蛇神は生きていようと死していようと、必ず世界に絶滅の危機をもたらし、光を喰らい尽して万物を滅ぼす。されど天照の輝きは、万物を蘇らせることができる。 だから新しい世界では、須佐之男は必ず全力を尽くして天照を守る。今回、天照が神力を分離する寸前、彼は体を張って太陽の女神と新生す太陽を守り、代わりにヤマタノオロチが放った致命的な一撃を受け止めた。複数の傷を負い、手足が折れ、骨が砕けた須佐之男は、間もなく崩壊する高天原から墜落した。彼は稲妻を鎖に変え、大蛇となって天照を追いかける邪神を災いが押し寄せる虚無の海に引きずり下ろした。 最後の瞬間、彼の目に映るのは光の中で蘇る人の世だった。あの時、彼は希望に胸を弾ませた。 しかし長き眠りから目覚めた彼が目にした。千年後に封印から這い出た大蛇を、人々の数千年に渡る欲望や悪意は彼を潤わせ、邪神の帰還を呼び求めている。 しかしその時の須佐之男は千年もの間虚無の中にいたせいで、体が完全に融かされ、魂もほとんど侵食されていた。残存思念しか残っていない彼は、泥水の中で足掻き始めた。しかしどう足掻いても彼は進み続ける蛇神を止められない。 蛇神は振り返り、嘲笑う目で彼を見ている。 「これが人なんだ、正義を求めるが同時に罪をも求めている。須佐之男、彼らは英雄に救われるより、自ら英雄として歌えられたい。悪事を働くより、誰かが代りに手を汚すことを望んでいる。だから千年万年経っても、私は必ず人間界に再び召喚される。そしてお前は、続出する新たな英雄に取って代わられるのだ」 「取って代わられようが、忘れられようが…貴様が人の世を滅ぼすことは決してさせない」と須佐之男は誓った。 言った傍から、光は全て消えた。頑張って神力を呼び集める須佐之男は、なんと虚無の海で荒波を呼び起こし、現世に向かおうとする大蛇を呑み込もうとするが、大蛇はそれをかわした。一方、須佐之男は泥の中に沈んでいき、潮水は彼を包み込み灼熱の苦痛を与えている。しかし彼にとって、希望は再び水泡に帰すほうがよっぽど絶望的だった。何とか形を保っていた神格は間もなく砕け、目の前に広がる世界も次第に崩れてゆく中で、もがき苦しんでいる。 最後の瞬間、胸にある勾玉は突然まぶしい光を放ち始めた。 須佐之男は今一度新しい世界で目覚めた。過去に起きた無数の失敗は悪夢のように彼を付き纏う。そのせいで恍惚となって、神格は異常に弱まった。肉体に力が全然入らず、囚われる獣のように這いつくばう彼は高天原に向かい審判を阻止しようとする。しかし彼は自分が鎖につながれ、周りでは妖魔達が暴れ、酷く痩せている数人の人間が檻の中に閉じ込められていることに気付いた。 妖魔達に苛まれながら彼は周りを見渡した。目が届く範囲には、地獄のような光景が広がり妖魔しかいない。空に浮かぶ日月は毒霧に包まれていて、地上は衆生が見当たらず、見えるのは際限のない炎だけだ。 「ここはどこだ?神々の王天照はどこにいる?」彼は聞いた。 それを聞いた妖魔達は哄笑を上げた。「ここは人間界だ、天照なら数百年前からとっくにいなくなったんだ。今は神々の王ヤマタノオロチ様が高天原を司ってるさ。昔武神ともてはやされるお前は、今は哀れな虜でしかない」 彼は妖魔達から聞き出した。人間はまだ生き残っているが、須佐之男の嵐の結界の中でしか生きられない。そして人々を守るため、須佐之男はとっくに妖魔に囚われてしまった。 須佐之男は、自分は荒が最初に予言した未来に迷い込んだと悟った。ヤマタノオロチは既に天照に取って代わり、人の世の支配者となった。今まで須佐之男は自由に行きたい時間を選べたが、自分は既に時空の中で道を見失い、次第に時空の陣を操れなくなるのではと思わず察知した。真相に気付いた須佐之男は早く牢獄から脱出せねばならないと悟った。しかし妖魔達は神力を封印できる鎖で彼を束縛していて、彼の目の前で人間たちを嬲り殺している。 人間の囚人達の号泣、祈り、妖魔達の大笑い、嘲笑いを混ぜ返した声は須佐之男の耳に入り、まだぼんやりとしている彼の頭を掻きまわし、幼い頃の悪夢と重なった。 あらゆる手を使って彼を脅迫する妖魔達によって、囚われた人間は次第に須佐之男を脅かす駒と化した。須佐之男は彼らの代わりに苛まれ、毒酒を飲まされた。おかげで毎日頭がくらくらしていて、例え目を覚ましても反撃する余力すら残っていない。こうして彼は完全に妖魔達が檻の中で飼い慣らす獣となった。妖魔達は美酒の代わりに彼の血を啜り、美食の代わりに彼の神力を頬張る。 屈辱に耐えられずに自害した人がいる。檻の前で跪いて彼の許しを乞う人がいる。そして狂っちまい妖鬼に成り下がって妖魔の軍勢に加わった人がいる。毒を盛られ続け、終日ぼうっとしている須佐之男は、度重なる悲劇を目にする時、やはり檻の中から手を差し伸べてくる。まるで神に祈りを捧げる人々の手を掴みたいようだ。 自分を奮い立たせ、人々にこう言った。「怖がらないで。俺がすぐ平和な世界を取り戻してあげるんだ」 |
しかし多くの血を失った彼は、ますます疲れやすくなった。 その時、耳元で懐かしい声が響き出した。「須佐之男、君は見失いすぎた」 首に付けている嵐の勾玉は急に燃え出し、彼は夢見る場所を見た。彼はついにかつての故郷を、目を閉じれば見えてくる海原を思い出した。永遠の平和を手に入れた寂しい小島は運命の残酷な奔流の中で揺蕩う。 「……夢か?この世で最も美しい夢は俺の故郷、海と空が繋がる場所、友人と家族に囲まれる中にある」 最後に須佐之男は呟いた。「俺はこの美しい夢を人々に届けたい、彼らにも自由に生きてほしい」 手足を縛っていた鎖がついに解き放たれた。鋭い牙と爪で檻をぶち壊したあと、獣は審判場のほうに駆けつける。 終焉審判を執り行う審判場にて、巨大な天秤は闇に包まれる人の世の空に出現した神々の王ヤマタノオロチが天羽々斬を起動させ太陽を撃ち落とす瞬間、黄金の巨獣は突然現れた。雷鳴は天秤を打ち壊し、稲妻は大地を切り裂いた。尖った爪は悪神達の体を引き裂き、鋭い牙は大蛇の肉体に噛みついた。二匹の古く強い巨神は大地の上で殺し合い続けている。数日経ったが勝負はまだ決まっていない。一か八かの賭けに出た蛇神は空に飛び上がり、太陽を喰らい道連れにしようとする。すると黄金の獣は蛇の体に噛みつき、振り返った大蛇は黄金の獣を絞め殺そうと動き出した。二人は戦い続けながら人の世に落ちていく太陽のほうに向かう。 炎に焼かれようとも、黄金の獣は決意して体で太陽を受け止めた。負けられない大蛇は口を大きく開けて太陽を丸ごと呑み込もうとする。危機一髪の時、黄金の獣の爪は人の腕と化し、そこから指が生えた。そして毛皮は鎧に、鋭い牙は雷の槍に、体は人のそれに変わった獣は巨神となって燃える太陽を持ち上げた。空に聳えるほどの巨躯は空高く飛びあがり、雷の槍は霧を振り払い、稲妻は闇を照らした後、巨神は太陽を人々、神々、そして妖魔達が決して届かない空の頂きに持ち上げた。 空に帰った太陽が迸るまぶしい光の中で、巨神の体は粉々に砕けて金色の灰燼となり、光を取り戻した大地に振り撒かれた。 光を失った一枚の神格は虚無の潮の中に落ち、生まれ変わった太陽が放つ光の中で人知れずに声を出した。 |
果て |
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須佐之男が再び目を覚ますと、自分は時空の果てにある虚無の海を漂っていると気付いた。彼は一番絶望的な世界を突破したが、同時に元の世界に帰る機会を失った。彼は間もなく時空の果てにて永遠の囚人となり、完全に道を見失って長き眠りにつく。 そして疲れ果てた須佐之男はただ惰眠を貪った。彼の両目は既に太陽に焼かれ、彼の手足も炎に奪われ、神格さえも砕ける寸前だった。しかし耳元で響く波音、風音、鳥の囀りは再び目を開けるように呼び起こした。 |
目に映るのは、とても懐かしい景色だった…… 滄海原の海は記憶通りの平和な海だった。海風も記憶通りに湿っている。海面で優しい浪と共に浮き沈みする彼は、彼を育てた小島を目に捉えた。 奇跡のような景色は疲れ果てた彼に新しい力を与えた。彼は見えなくなったはずの目を開け、失ったはずの手足を動かした。奇跡が立て続けに起こり、満身創痍になったはずの体には再び手足が……子供の手足が生えてきた。 喜びに胸を弾ませ、海水は顔を濡らしてくれた。そして涙のせいで目が霞んでしまった。彼は故郷に帰る黄金の獣ようになった。幼い金色の獣はうーっと鳴いていて、荒波をも無視して美しくて平和な小島を目指し始めた。 荒波の中で、かつて無数の世界を旅する時に一度も外さなかった鎧を脱ぎ、雷の槍を下ろした。角張る岩石を固く掴んだ彼は、傷ができても尖った石から手を放さなかった。彼はようやく帰りたい場所に辿り着いたからだ。 彼は足掻きながら海の中で泳いでいる。津波が収まり、闇雲がようやく消えたあと、海と空が繋がる小さな島に上がった彼はついに海崖に登り、故郷の今の景色を目に収めた。 かつて見慣れた海崖は既に苔に覆われ、きちんと整っていた海岸は崩れて岩礁となっていた。かつて活気あふれていた花園に向かう彼は以前世話してた草花がとっくに枯れ果ていた姿を見た。口笛を吹いてみたが、いくら待っても鳥獣たちは現れなかった。 不吉な予感がする彼は走って島の中心にある小屋に行った。扉を開けてみると、埃だらけの家の隅々に蜘蛛の巣ができていて、小屋の周りでは伊邪那岐の姿が見当たらなかった。そして島中を探し尽しても同じ結果だった。 「父上はまたどこかに行ってしまった」と養父のことをよく知っている須佐之男はため息をついた。「俺を残して島を出るなんて、全く待つ側の身になってほしいんだ」 子供になった須佐之男は仕方なく島での一人暮らしを始めた。彼は以前のように海崖で養父が帰るのを待ち続けている。月日が流れ、潮は満ち引きを繰り返している中、一日また一日が過ぎ、須佐之男は傷が治り、石に引っかかって破れてしまう服を直し、庭の手入れや小屋の掃除を全部済ました。彼は再び少年から元の姿に成長した。 養父の帰りを待ち侘びる彼は、いつも失望している。 島中を探し尽した彼は、ようやく海崖で砂に覆われる墓碑を見つけ出した。墓碑の上には、伊邪那岐の名前が刻まれている。 須佐之男はある恐ろしい考えを思いついた。 「馬鹿な…伊邪那岐、父上はこの世で最も古い神だ。例え世界が滅んでも、輪廻が消えてなくなっても、父上は必ず無事に生きている」 悲しみに襲われる中、須佐之男は海崖を打ち砕いた。「運命よ、なぜ俺にこんな残酷な嘘をつく?俺がお前を否定したからか?俺がお前から人々を救うからか?」 しかし須佐之男がいくら号泣をあげても、空はいつもと変わらない。日月は何も答えてくれない。幾重の雲に隠される高空の外には見極められない運命が巣食っている。彼はいくら祈っても、質問しても、答えを得ることはできない。 追い詰められた須佐之男は見上げて悲鳴を上げ、雷の力は完全に暴走した。手足に付けた神力の封印は解かれ、須佐之男は終わりなき雷雨を呼び起こし、地を引き裂き、暴風を起こした。津波は彼に応えるように周りから島に押し寄せてきて、森、花園、小屋を全て呑み込んだ。 精神が不安定になった須佐之男のように、小島は砕ける寸前になった。海崖の巨岩は次々と海に落ちていき、地面はひび割れ、いつ崩壊してもおかしくない。 その時、海に立ち込める霧の中に一つの人影が現れた。姿こそよく見えないが、人影は力強い声を発した。 「須佐之男よ、ようやく自分の運命を見極めたか?」 「俺の運命は、人々を守ることだ」 「それは人々の運命だ」人影は口を開いた。「そして君の本当の運命は既に目の前まで迫っている」 「ならば…」と須佐之男はよろめいて立ち上がり、その目にはもはや理性が見当たらなかった。「その運命とやらに勝って見せる」 そう言い捨てたあと、雷の槍を持つ彼は荒々しく相手に向かって突撃し始めた。空に浮かぶ暗雲は雷雲に変わり、雲の中で走る稲妻はいつでも落すことができる。しかし彼のやり方を熟知する人影は神力をもって嵐を呼び起こした。嵐は海水を吸い上げて巨大な竜を作り上げた。巨躯を持つ竜は海面を飛び、空中に飛び上がって尻尾で雷雲を打ち砕いた。 それを見て須佐之男は神力を使い稲妻と化した。轟音がした後、彼はいくつかの分身と共に黒竜に取り掛かり、あらゆる方向から出現した稲妻の刃は瞬く間に黒竜を切り刻んだ。すると黒竜は再び海水に戻り雨となって海に落ちてゆく。しかし相手が手を動かすと、空中の雨は突然氷の柱となり、須佐之男を襲ったが、彼は氷の柱の攻撃をかわした。守りに徹してた人影は槍を召喚して攻撃を始めた。彼は槍を薙ぎ払い須佐之男を海の中に叩き込んだ。雷をもって海水を切り裂いた須佐之男は、ドンと海底にある岩石にぶつかった。見上げると、相手は懐かしい深き目を持っていた。そして自分に襲ってきた武器は間違いなく伊邪那岐の天沼矛だった。 「一体何を……」と須佐之男が質問を口にするが、敵の矛は既に彼の腹にめがけて攻撃していた。慌てて雷の槍でそれを受け止めた、一歩下がると相手は一歩前に迫ってくる。海底の岩の上で二人は激しい攻防を繰り返し互角に戦っている。衝撃を受けた島は揺れ続け、間もなく崩れようとしている。 切羽詰まった須佐之男は巨大な雷雲を呼び起こし、伊邪那岐に襲いかかる無数の金色の稲妻を生成した。しかし伊邪那岐の前まで来た稲妻は急に止まってしまった。伊邪那岐は手を動かし全ての稲妻を吸収した。乱れる稲妻は彼によって数本の巨大な雷の槍に変え、雷の槍が全て戻ってきて須佐之男を襲った。 雷の槍は一瞬にして須佐之男の手足を貫き、彼を嵐の中心に釘づけにした。そして瞬く間に枷となり、須佐之男の手足から自由を奪い、暴走した雷を再び封印した。 次の瞬間、伊邪那岐は津波を操り、あっという間に須佐之男を押し寄せる海の中に叩き落した。海流の奥に巻き込まれた須佐之男は溺れて海水をたくさん飲んだ。窒息する直前、彼はようやく忘れていた真相を思い出した。 ……伊邪那岐はかつての大戦で討ち死になった。彼の死は高天原中を震撼させ、浮世から希望を奪った。そして須佐之男はいくら待っても、父上は帰ってこなかった。 幼い須佐之男は言うことを聞かず高天原から抜け出して人間界に向かい、妖魔の手に落ちてしまった。妖魔達は彼の神格を潰し、獣のように彼を飼った。そして戦場から帰ってきた伊邪那岐は彼が行方不明になったことを知り、急いで滄海原の淵に攻め、檻の中から瀕死になった少年を助けた。 「なぜ残酷な運命から君を助けることができない?なぜ運命はいつも君のような無知な幼子に悪戯を与えるのか?」伊邪那岐は質問を口にした。しばらく沈黙が続き、日月は彼の足掻きを静かに待っているようだった。そして運命は彼が既に決められた選択を口にするのを待っている。最後に伊邪那岐はこう言った。 「それなら、せめてこの世界の君を救って見せる」 このように、伊邪那岐は不死身を瀕死の須佐之男に渡した。死の運命にある須佐之男を助けたあと、不死身の力は消えてしまった。一方、伊邪那岐は神力を持つ凡人として、神々の戦場に戻り、戦死した。彼は二度と滄海原に戻らなかったが、少年の神は一人で彼の帰りを待ち続けていた。 最終的に神使いは伊邪那岐の死を知らせた。それを知った須佐之男は絶望に打ちひしがれ、津波を呼び起こし、消えることのない嵐を召喚した。嵐が収まったあと、彼は海崖の見えないところで養父の墓碑を建てた。 しかし翌日には、彼は海崖で養父に出会い、伊邪那岐は終わりなき戦に疲れたから島に戻ることになったと鳥獣たちに告げた。彼は興奮気味で鳥獣たちと喜びを分かち合う。「伊邪那岐様は今回は絶対に俺達の傍を離れない!」 しかし、誰もが滄海原に戻ったと言われた伊邪那岐に会っていない。そして月日が流れ、須佐之男は大人になり、悪神は再び兵を上げた。人々を守るため、須佐之男は高天原に戻り、新しい武神として神軍を任せてほしいと懇願すると決めた。彼は滄海原で儚い幻に別れを告げた。 「いつか必ずここに戻り、父上と再会する」海崖を見やる須佐之男は独り言をこぼして笑った。 足元の墓守りは彼の寂しそうな背中を見て、結局何も言わずに頭を下げた。 真相を思い出した須佐之男は海水の中で足掻き始めた。まるで運命の見えない鎖を引きちぎろうとしている。しかし無形無色の海水はただただ彼を包み込み、浮き沈みを繰り返している。結局手を伸ばした彼は何もできなかった。 その時、誰かの手は冷たい海水の中から彼の手を掴んだ。運命の導きの如く否応なしに彼を岸に引き上げた。ずぶ濡れになった須佐之男は黒い岩礁の上でひざまずいて胡坐をかく。 かつて島が成り果てた一枚の岩礁の上で、見上げた須佐之男は全てをも見通せる伊邪那岐と目が合った。 「あなたは本当の存在なのか、それとも俺は自分を騙す幻なのか?」彼は聞いた。 それを聞き、伊邪那岐は笑った。「須佐之男、久しぶりだが、君は昔と全然変わらないな」 |
千年 |
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無数の世界や時空の果てにある黄泉の国は、須佐之男が全てを思い出したあとに、ようやく本当の姿を現した。 虚無は水銀の如く茫々たる海の中で流れていて、時に銀色の浪を巻き起こしたり、時に暗くて底の見えない深淵に化したりする。ひび割れる岩礁の島は唐突にそびえていて、虚無の海に囲まれている。漆黒の世界は命の気配は感じられない。ここには海面に映し出され、波打つ星海のように見える星々しか存在しない。 岩礁に腰を下ろす須佐之男と伊邪那岐は、星海の中で浮き沈みする波しぶきを見ている。滄海原だった幻の島は伊邪那岐に隠され、今は一筋の踊る光しか残っていない。 悲しく、美しく、そして希望のない景色を、須佐之男はじっと見つめている。 「それは運命の奔流だ。そこで流れている星光は無数の可能性を持つ無数の世界さ」 伊邪那岐は言葉を紡ぐ。「そこには君に救われた世界、君の知らない世界がある。世界の中には君が実現できなかった夢を叶えた者、そして君が歩んできた道を進もうとする者がいる。そしてここで、私はそれらを目にする」 「俺の世界も、その奔流の中にあるのか?」須佐之男は驚いたように口にした。 「もちろんさ…」と伊邪那岐は笑った。「そして君もいつかそこに帰る、それは君の運命だから」 「運命?」 「万物は自分の運命に抗いながら生きている。時に自分を否定したり、時に自分を肯定したり、運命から逃げようとしていて、最後にまた運命に帰ってくる」と伊邪那岐は海と空が繋がる遠方を見てこう言った。「君は私の役を受け継いだが私の死を受け入れないように、天照が悪神の分身たちを生み出したように。しかし須佐之男よ、君は考えたことはあるか?世界だって、同じかもしれないということを」 「まさか世界でも逆らえない運命を持っているのか?」 「誕生した以上、世界はいつか必ず滅びを迎える」と伊邪那岐は立ち上がり、空を飾る星々を見上げる。「かつての私は全ての世界の上に立つ神、私は全ての世界と時空を巡り、災いを振り払い、均衡を守っている。しかし数万年前、ある異世界で起きた大戦は時空の果てにある隙間を引き裂いた。虚無は絶え間なく裂け目の中から世界に流れ込んできて、運命の海を汚染した上、それを虚無の海に変えた。それだけじゃない。虚無の浪はやがて未来から過去まで溯り、世界の進行を原点に押し返し、全てを再び虚無に帰させる」 伊邪那岐は続いてこう言った。「そんな結末を阻止するため、私は世界と虚無の境にて黄泉の国を築き、そしてここで世界を守り、虚無の侵食を、遡る様々な災いを止めている。ただし全ての世界が消えるまで、不死の神である私は決して真の死を迎えない」 「真の死を迎えていなければ、どうして俺のところに帰ってこなかった?」」須佐之男には理解できなかった。 「私は全ての世界において不死身を持っているが、君の世界では君のおかげで死の可能性を得た。私は不死身と引き換えに妖魔に苛まれて瀕死状態になった君を助け、最後に君達の世界の戦場で戦死した。私が死んだ世界は己の法則を守るべく私を追い出す。そして私を召喚する者がいなければその世界に帰ることはできない。君と連絡を取るためにわざわざ嵐の勾玉を残しておいたが、君は本当に馬鹿な子だな…いつまで経っても全然呼んでくれなかった」 それを聞いた須佐之男は養父の背中から目をそらし、俯いて真っ黒な海を見つめながら落ち着いた声でこう言った。 「そんなに大切な神力を、本当は俺なんかに渡すべきじゃなかった…それにどうして何も言ってくれなかった」 二人の間に沈黙が舞い降り、波音は遠くからやってきて、やがて遠くに帰っていく。 これ以上我慢できない様子で、伊邪那岐は前に出て須佐之男の目を見つめた。 「日月は我が両目も同然。世界の外にいる私だが、それでもいつも君が成長するのを見守っている」と彼は言った。「私は君が神力を鍛える方法に頭を悩ます姿を、人々を守るために犠牲になった姿を見た。今君はやっと私の前までやってきたが、君の全てを見届けたが、どんな目で私を見てたを思い出せなくなった」 しかし今回は、須佐之男は俯いて目を逸らさなかった。 伊邪那岐は彼を見つめながら言葉を紡ぎ続ける。「今の私はこの黄泉の国で虚無を封印していて、それが全ての世界に侵食するのを防いでいる。だから世界の流れの均衡を維持できなくなった。私は万物を蘇らせる力を太陽に、予知や導きの力を星月に与えた。かつての私は、自分の代わりに様々な世界に向かい均衡を維持する神を、全ての世界のために戦ってくれる仲間を全ての世界で探し続けていた。」 須佐之男は聞いた。「……俺は父上に選ばれた守護者なのか?」 「最初の頃は君を選ぶつもりはなかった。ただ今までと違う平和な人生を体験したいだけだった。しかし君は世界を救うことしか考えていない。私は苦しみに満ちた君の人生と献身的な精神を垣間見たから、君を世界の外側に導くと決めた。しかし滅びの運命は簡単に変えられるものではない。幼い君は苦痛の深淵に突き落とされたのもそのせいかもしれない。だから君は妖魔に遭遇し、酷く痛めつけられ、神格を壊された。どう足掻いても最終的に必ず滅びの道を辿る。分かったか、須佐之男。私は一度も君を助けなかった。むしろ君を運命の深淵に突き落とした張本人と言うべきだ」 海岸のほうに振り返った彼は、天沼矛で穏やかだった水面を分けた。さざ波の中から星々の光が浮かび上がり、一つの光が揺らめく世界となった。 「これは私が君を選択しなかった世界だ」伊邪那岐はこう言った。「君の胸にある嵐の勾玉はあそこに向かう鍵だ。それを燃やせ…そうすれば勾玉は君をあそこに導いてくれる」 須佐之男はさざ波を見やった。そこには滄海原にある平和で美しい小島が見え、さざ波の彼岸から鳥の鳴き声を運んでくれた海風は彼の髪をなぶる。神獣たちに囲まれる島の主は雲の上に昇っていき、若き嵐雷鳴の子はまるで世界に祝福された幼子のように風に乗って飛んでいる。彼は自由に、楽しく生きている。 「あれは俺じゃない」と彼は言い放つ。 彼は手をあげ海風を召喚して揺らめく幻を吹き散らかしさせ、最後の勾玉を握り締める手を胸に当てた。 「本当の俺は今ここに、あなたの目の前にいる。俺は運命と、世界と、そしてあなたと共にいる」 それを聞いた伊邪那岐は一瞬驚き、そしてすぐ大笑いした。笑い声は光を揺らし、岩礁と海と空の中で響き続けている。 「何という傲慢さ、何という大言壮語。これでも私に似てないと誰がほざくのか。君は間違いなくこの伊邪那岐の息子だ。須佐之男、槍を持て。私についてくる資格を持っているかを見極めさせてもらおう!」 それを聞くと須佐之男はすぐ雷の槍を召喚した。 「そのつもりだった!」 二人は時空の果ての海面で真剣勝負を始めた。彼らは嵐や雷で本気で対決し、風と雷が混じると大波を引き起こした。 二本の神槍は激しくぶつかり合い、迸る火花は無限なる虚無の海に火をつけた。水の黒竜は海の中から飛び出し、須佐之男に向かって巨大な口を開けた。時同じくして、黄金の獣は空から舞い降り、巨竜に噛み付く。二匹の獣は海上でお互いを追いかけている。 獣に囲まれた岩礁の上では、須佐之男は槍を横に倒し伊邪那岐の攻撃を受け止めてから、槍の両端を掴んで素早く回し始めた。驚くことに雷の槍は真っ二つになった。須佐之男の左手が持つ槍の先端は天沼矛をしっかりと防いだ。同時に右手が持つ槍は刃が現れて短刀となり、伊邪那岐の首を狙い定め短刀を振り下ろす。それをかわすべく伊邪那岐は後ろに下がり黒竜の頭上に飛び乗った。一方、須佐之男も黄金の獣に飛び乗り、空高く飛び上がった須佐之男は凄まじい勢いで海に落ちてくる。その瞬間、雷の嵐は虚無の海の落ち、無数の渦が現れ海水を吸い上げた。誰が想像できようか…海底はこうして平原と化した。 それを見た伊邪那岐は哄笑を上げ、押し寄せてくる荒波を呼び起こした。二本の槍を一つに戻してから須佐之男は槍を石の中に刺した。おかげで彼はかろうじて衝撃を耐えた。しかし見上げると伊邪那岐の槍は既に腹部の前まで迫っていた。とっさに雷の槍を手放して攻撃を避けてから、須佐之男は再び稲妻を召喚して伊邪那岐を下がらせようとする。伊邪那岐は槍を掲げ雷を受け止めようとするが、今回の稲妻は須佐之男の周りに出現した。 須佐之男は放たれた矢の如く伊邪那岐のほうに飛んできた。同時に黄金の獣も彼の目の前まで迫ってきて口を大きく開けた。伊邪那岐が天沼矛をなぞると、無数の鋭い氷の柱が生えてきた槍は一瞬にして長い刀と化した。伊邪那岐は刀を回し、そのまま獣の喉を切り裂いた。 しかし獣の巨口の中に出現した須佐之男は伊邪那岐の胸に向けて槍を刺した。伊邪那岐は再び刀を回し、槍を握っている須佐之男の右手を襲った。 勝敗を分かつ激突の刹那、雷の槍は元の目標を逸らし二人の足元にある岩礁に向かってまっすぐに落ちていく。 天沼矛の刃は須佐之男の顔を掠め、血は雷神の服と鎧を赤く染めた。岩礁の上に落ち倒れこんだ須佐之男は、自分の首の前にいる天沼矛を持つ伊邪那岐を見上げた。 「どうか俺から力を取り戻してください…さすれば黄泉の国を出て、世界の外側を流離う神をやめることができるでしょう」と須佐之男は懇願した。「俺の神格を受け取ってください…世界の法則の縛りから解き放たれたら、俺達の世界に戻り、まだ終わっていない戦争を終わらせ、まだ叶っていないあなた様の願いを実現させ、世界の運命を書き換えてください」 しかし伊邪那岐はただ槍を収め、須佐之男を見下ろす。それから彼はいつも通りに傲岸不遜な笑みを湛えた。「私の願いはとっくに叶った」 言った傍から、彼は天沼矛で空間を切り裂き、時空の果てにある何もない世界を二つに分けた。彼を引き留めたい須佐之男は慌てて手を差し伸ばした。しかし、裂け目に荒々しく裂け目の中に流れ込む海水の奔流に巻き込まれた彼は元の世界に送り返された。奔流の彼岸から伊邪那岐の笑い声が聞こえる。 「いつかまた、時空の果てで再会するのさ」 再び目覚めた須佐之男は星海の中にいると気付いた。心配そうな顔をしている荒は彼の手を掴んで呟いている。 「まだ生きている…」 「俺は長い夢を見ていたようだ…」と須佐之男は答えた。「夢の中では時に悲しみ、喜び、満足し、無念がったりする。俺は夢の中で自分の願いを叶え、一番行きたい場所にたどり着き、一番会いたい人に出会った」 |
最後に彼は荒に自分の選択を見せてあげた。 「来る審判にて、俺は犠牲という対価を払い邪神を封印する。しかしそれでも、千年後の彼はまた封印を破り、現世に舞い戻る。だから俺は審判が始まる前に千年後に向かい、千年後の世界でヤマタノオロチを確実に倒す。その後ここに戻り、高天原の審判に参加する。それからそこで死ぬ。……これこそが無数の時空の中で俺が見つけた本当にこの世を守れる答えなんだ」 それを聞いた荒は危うく涙を零しそうになったが、歯を食いしばり何とかして平気な顔を見せる。 「それなら、同行させてください」 須佐之男は彼に笑顔を見せた。 「千年後、俺達はまた会えるんだ」 須佐之男は数千年後の未来にやってきた。賑やかな平安京は彼が体験したどんな世界とも違い、平和で美しい。そして華やかな都は朝霧に包まれて微睡の中にある。その光景は夢の中の滄海原にある俗世から離れた小島を思わせる。 それを思うと、彼は胸の前に下げている勾玉を外して握り締めた。それから彼は朝方の空に同時に浮かんでいる月と太陽を見上げた。 「ここは俺が辿り着いた最後の世界となる。この世の人々の平和は俺の最後の願いとなる。俺は既に運命の奔流を見て、全ての真相を知った。それでも俺は人々のために、世界のために戦うのを諦められない」 「ごめんなさい、父上。俺は父上が見せてくれた美しい世界を選ばなかった。しかし全ての運命を知っているなら、とっくに俺の選択を見届けただろう。それでも父上は俺の前に現れてくれた。そして今でも、きっと黄泉の国で俺を見守っているだろう」 「美しくて残酷な世界よ、俺達を生み出し、そして俺達を選んでくれたのなら、どうかこれからも栄え続け、生き続けてください。俺の屍を踏んで俺が見なかった遥かなる未来へ進んで行け」 「そして遥かなる場所で、俺の運命を最後まで見届けてくれ」 |
「須佐之男」のプロフィール詳細
性別 | 男 |
武器 | 天羽々斬、雷の槍、雷で各種武器や馬を作ることができ、雷霆の軍勢を召喚できる。 |
タグ | 高天原の武神、戦の神、処刑の神、雷神 |
居住地 | 平安京(現在)、高天原(過去)、滄海原(過去) |
イメージカラー | 金色 |
長所 | 強くて頼れる、意志が強固、諦めない、心優しい、素直で面白い、責任感が強い、奉仕精神、打たれ強い、辛抱強い、後輩の面倒を見る、博愛、人望が厚い |
短所 | 処刑の神である時は冷徹で、残酷。たまに現実逃避する。金銭感覚が狂っていて、よく高価で安物を買う。 |
興味があること | 世の中の流行りを学び収集する、家事全般、料理の研究、猫や神獣を飼う、釣り、潮干狩り、剣術槍術や格闘技の研鑽 |
クセ/趣味 | 髪型は電力の影響を受けていて、神力を使わない時は髪を下ろしている。身につける一部の金属の飾りは電力によって宙に浮いている。神力を使う時、耳の上に二束の雷の髪が出現し、それは今の電力と本人の気持ちを示している。手足に付けている枷は普段電力を制限しており、枷を外すと神力を解放できる。様々な抹額を収集している。 |
特技 | 家事が得意、鳥獣を引き付け手懐ける体質を持っており、鳥獣に言葉を覚えさせることができる。子供の面倒見がいい。 |
性格 | 冷たい、威厳溢れる、優雅、優しい、素直、果敢で恐れを知らない |
関連人物 | 晴明 神楽 息吹(一緒に育った飼い猫) 伊邪那岐(尊敬、憧れる師匠) 天照(守るべき神々の王) 月読 荒(共に戦った戦友) 御饌津 縁結神 鈴彦姫 ヤマタノオロチ(宿敵) |
行動の動機 | 世界や人々を救う、罪を裁く |
好きなもの | 平和な浮世、賑やかな平安京、嵐の勾玉の首飾り、滄海原の平和な島と湿っぽい潮風、雷雨の日、自由な鳥獣 |
嫌いなこと | 荘厳なる孤高の神殿、犠牲、弱者を蔑ろにする |
弱点 | 電力不足の時は疲れやすい眠くなる、人を助けられないのが怖い、滄海原に封印された秘密、人に畏れられるか誤解されて孤独になる、値切り |
ギャップ | 見た目は冷たく厳か、長い間処刑の神を務めていたため噂では残酷な凶神とされているが、実は素直で博愛主義の、優しく面白い神だった。処刑の神の名を持つ彼は、世界を守るために罰を下す。数千年の時を超えて現世にやってきた神なので、常識がなく、様々な勾玉を騙し取られた。 |
好きな人 | 世の人々、世界を守ることのできる強い心を持つ者 |
好きな食べ物 | 人間界の流行りの料理、海鮮焼き、焼き魚、鍋、刺身。電光晶石のお葉子(雷の力を補充するため) |
嫌いな人 | 世界の秩序を壊し、危害をもたらす者 |
嫌いな食べ物 | 強い酒(飲むと電力を制御できなくなる)、辛い食べ物 |
「須佐之男」のCG
高天神武、為君之戦
CG Full.Ver